転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0965話

 門世界の戦況は、当然の如くメギロートの投入で大きく変わった。

 いや、大筋は変わっていないとも言えるか。元々帝国軍の弱体化もあってエルベ藩王国を始めとして反乱を起こしている国々の方が優勢だったのだから。

 故に、この場合は状況が加速したと表現すべきなんだろう。

 俺達と繋がっている国に限るが、一国につき2機のメギロートの派遣。

 シャドウミラーのメンバーからすれば、それだけの戦力で十分なの? という思いをする者も多い。

 だが、門世界の戦力を考えれば、それだけと言われる程度の戦力で十分過ぎる威力を持っていた。

 帝国軍は連戦連敗、次々に領土を反旗を翻した国々に占領されていき、押し込まれている。

 勿論そうなれば俺達に対して警戒用に残しておいた戦力を使わなければいけなくなっており、渋々だろうがアルヌスの丘が動いた時にすぐ対応出来るようにしていた部隊が移動を開始し……そこにオーブ軍が襲い掛かった。

 以前コーネリアと相談した時に話題に出たように、やはりオーブ軍としては帝国軍に対して大人しく撤退させる気がなかったらしい。

 異世界間連合の会議でオーブの方から要請された結果だ。

 ただでさえオーブ軍と帝国軍では戦力差を数えるのも馬鹿らしい程に開いているというのに、オーブ軍の指揮を執っているのが砂漠の虎ときては……正直、ご愁傷様としか言えない。

 そして実際その通りの結果となり、対シャドウミラー用だった筈の帝国軍……即ち現在の帝国軍の中でも最精鋭が文字通りの意味で消滅したのだから、帝国の人間にしてみればショックだっただろう。

 M1アストレイも使われたが、リニアガン・タンクや爆撃機による上空からの爆撃をされては、この門世界の軍隊ではどうしようもない。

 その結果、帝国軍は本気で戦力の減少に悩まされる事になり、こっちに入って来ている情報によると、まだ帝国領内になっている場所で強制的に徴兵したりもしているらしい。

 ……その結果、村そのものが帝国に反旗を翻すという事態も起きているとか何とか。

 まぁ、そんな訳で帝国もようやく自分達が存亡の危機にあると知ったのだろう。……それはいいのだが……

 

「だからといって、あのような真似をしておきながら俺達との一時停戦を再び求めると? 恥知らず、という言葉を知っているのか?」

 

 再びアルヌスの丘にやって来たピニャとボーゼスに向けてそう告げる。

 

「そちらの怒りがまだ収まっていない事は重々承知している。だが……それでも、妾にはアクセル殿に頼むしかない。このままでは帝国そのものが存亡の危機なのだ」

 

 そう告げ、深々と頭を下げるピニャ。

 その様子を見ていたボーゼスも、皇女という立場でありながら頭を下げるピニャに一瞬驚きの表情を浮かべるものの、自分もまたその縦ロールを揺らしながら頭を下げる。

 だがこの部屋……アルヌスの丘にある基地の会議室で、その2人に向けられる視線は冷たいものが殆どだ。

 特にバルトフェルドにいたっては、口元に笑みを浮かべてはいるものの、その視線は絶対零度と言ってもいい。

 まぁ、自分の世界の人間が……それも現在はホームグラウンドとなっているオーブの住人が性奴隷にされていたのだから、不愉快なのは当然だ。

 それにホワイトスターでバルトフェルドが懇意にしていたコーヒーの豆を売っている店の店員が殺されたのも影響しているのだろう。

 そんなバルトフェルドを一瞥し、頭を下げているピニャへと視線を向け、最後通牒の意味を込めて口を開く。

 

「正直に言わせて貰おうか。既に俺達シャドウミラー……いや、異世界間連合軍は帝国という存在に毛程の価値も見いだしていない。いや、寧ろいるだけで害悪となる存在という認識だ」

「そんな……ですが!」

 

 ピニャの隣でボーゼスがそう口を開きかけるが、そこに被せるように言葉を紡ぐ。

 

「それに、帝国の降伏については前もって告げてある筈だな?」

 

 異世界間連合軍として、帝国に告げた降伏条件……即ち、無条件降伏に関しては最初から全く変わっていない。

 無条件降伏さえすれば、帝国はこれ以上領土を減らす事はないのだ。……もっとも、その後の戦後処理でどうなるのかは分からないが。

 特に皇帝の一族は後の禍根を断つために全員纏めて処刑という可能性もある。

 俺達と交流のある世界ならともかく、この門世界ではその辺は普通にやりそうなんだよな。

 皇帝のモルトやゾルザルはともかく、ピニャはそれなりに有能だという話だし……さて、どうなる事やら。無難な線で考えればエルベ藩王国辺りの預かりか。

 

「さて、用件はこれで終わったな? こちらとしても帝国に対する侵攻やエルベ藩王国との連絡といった風に、やるべき事が多々ある。そろそろお帰り願おうか」

「アクセル殿、ではせめて帝国に対して反乱を起こしている国に協力するのは止めて貰えないだろうか」

 

 これ以上ここにいても無意味だと感じたのだろう。せめてそれだけでもと告げてくるピニャ。

 いや、違うな。俺達に対しての停戦というのはこれまでのやり取りから考えてまず無理だというのは向こうも理解していた筈。となると、最初からこれが狙いだったのか?

 

「そちらの言葉で……そう、内政干渉というのだったか? それに当たると思うのだが、どうだろう?」

「内政干渉……内政干渉か。だが、俺達としてはエルベ藩王国を歴とした一国家と認識している。そのエルベ藩王国を始めとした諸国と協力関係にあるというのは全く問題は……」

 

 そう告げた、その時。身体に揺れを感じる。

 

『っ!?』

 

 瞬間、ピニャとボーゼスの2人が息を呑んで身体の動きを止めるのが分かった。

 まぁ、あの時の事を思えば、帝国領内で地震は今までなかったんだろうしな。

 だがその割には、ここ最近結構な頻度で地震が起きている。

 火山とかそっち関係かとも思ったが、今のところそんな情報はない。そうなると、この門世界で地震が頻発している理由は結局不明なままだ。……とんでもない地震が来る前兆とかじゃないだろうな?

 そんな風に考えつつ、ようやく我に返ったピニャとボーゼスの2人へと改めて視線を向ける。

 ボーゼスはともかくピニャがここまで地震を怖がるのは、あの時のやり取りが理由だったりするのか? 実際、ゾルザルは心身含めて色々な意味で重症を負ったし、心の方にもこれでもかとばかりにトラウマを刻み込んでやった。

 皇帝の方も、肉体的にはともかく精神的にはショックが大きかっただろう。

 それを間近で……自らの血縁がそうなるのを見たのだ。それを思えば、ピニャを含めてトラウマに陥った者がいたとしてもおかしくはない……か?

 

「地震、最近多いねぇ。何かの前触れじゃなければいいんだけど」

 

 バルトフェルドの言葉に頷を返し、レモンを始めとする技術班に一度しっかり調べて貰った方がいいかもしれないと考える。

 いやまぁ、調べるにしてもどこを調べればいいのかってのはあるんだが。

 取りあえず今パッと思いつく地震の原因は、門なのか?

 ただ、地震が起き始めたのはあくまでも最近だ。もし門が理由なのだとすれば、地震の起きるタイミングがちょっとおかしい。

 ……俺の気のせいか? だが念動力が微妙に嫌な予感を教えてきているんだよな。

 ただ、微妙と表現したように、あくまでも緊急性のない嫌な予感だ。それを思えば、そこまで緊急性が迫っているという事ではないんだろう。少なくても今は。

 

「ま、帝国が地震で滅んでも俺達にはあまり関係ないしな」

 

 俺の口から出たその言葉に、ピニャとボーゼスの顔が引き攣る。

 色々な意味でトラウマなんだから無理もない。

 

「ともあれ地震で話は途中で終わったが、これ以上話してもお互いに得るものはない。俺達が帝国に出来るとすれば、最初に告げた無条件降伏を勧めるだけだ」

 

 そもそも、こっちは現在色々と忙しいものがある。新年を迎えてから1ヶ月が過ぎており、既に2月に入っている。

 つまり……ネギま世界に限らず、卒業式のシーズンが近づいている訳だ。

 そして高校を卒業すればあやか、千鶴、円、美砂の従者4人組に、葉加瀬、四葉がシャドウミラーに入る事になる。

 ……そう、結局葉加瀬はそのままシャドウミラーに所属する事に決まり、四葉もまた料理のためにシャドウミラーへと所属する事が決まった。

 特に四葉は、政治班の下に一般部門でも作ってそこに配属されることになるだろう。

 一般人である両親に関しては、結局雪広財閥の方を通してシャドウミラーの事を知らせるという形をとったらしい。この辺に関してはエザリアの方で対処したらしく、報告でしか聞いていないが。

 あやか、千鶴の2人は政治班へ。円と美砂の2人はシロガネのブリッジクルー兼生身での戦闘要員として実働班で働く事になっている。

 今はそれらを迎え入れる準備や、あるいはその教育課程に関しての纏め、同様に一応念の為に雪広財閥と那波重工の方で作った通信制の大学に関しての話もある。

 また、今年の卒業で増えるのはネギま世界だけではない。SEED世界でもレイとステラが高校を卒業して、本格的にシャドウミラーに関わってくる事になっていた。

 レイは実働班に、ステラは恐らく四葉と同じ一般部門で仕事をする事になるだろう。

 これまでは少数精鋭だったシャドウミラーのメンバーが、一気に8人。倍とまではいかないが、かなりの人数が増える事になるのは事実だ。

 更にマブラヴ世界でのBETAとの戦いに、門世界での帝国との戦い。これらを考えると、本気で色々と忙しい。ピニャやボーゼスの戯れ言に関わっている暇は全くない。

 こちらの態度を見て、本気で相手をしている暇がないというのを理解したのだろう。ピニャとボーゼスは残念そうに溜息を吐いて頭を下げる。

 

「分かりました。今日はこれで失礼させて貰います。ピニャ様」

「ああ。……アクセル殿を始めとして、皆には急な来訪で迷惑を掛けた。だが、お互いに現状のままで良いとは思っていないというのを理解して欲しい」

 

 お互いに……ね。こっちとしては時間を掛ければそれだけ帝国が削られていくんだから、現状はそんなに悪くないんだけどな。

 その後、ピニャとボーゼスは残念そうにしながらも帰って行く。

 何かあったら是非連絡して欲しいと告げて帰って行くその様子は、まだ少しも講和、あるいは和平を諦めた訳ではないことを示していた。

 

「まぁ、帝国としても今が存亡の危機だというのは分かっているんだろうね。だからこそ、少しでも能力がある人物なら何とか帝国を滅ばさないようにしているんだろう」

 

 バルトフェルドの言葉に、その場にいた多くが頷く。

 実際、このまま事態が進めばその予想通りに動くのは間違いない。俺達がそういう風に物事を進めていくのだから。

 

「それだけを見れば、強国に食い荒らされる小国ってイメージなのですがね」

 

 そう告げるレオンの口元は皮肉な笑みが浮かべられていた。

 これまでの自分達の行いがそのまま返ってくる。それだけなのだから、特に同情する必要はないという事なのだろう。

 確かに自業自得と言えばそれまでだ。何しろ、帝国がホワイトスターに侵攻してこなければこんな状況にはなっていなかったのだから。

 それこそ友好的に使節を派遣していれば、こちらとしても他の世界と同様に異世界間貿易の類をしていただろう。

 それを選ばず、安易に征服しようという考えで行動を起こしたのは帝国だ。ならば、こちらとしても相応の対応をしても問題はない。

 ……それが例え、帝国の消滅という結果であったとしても。

 

「エザリア、帝国がエルベ藩王国を始めとした諸国によって攻め滅ぼされるのはいつくらいになる予定だ?」

「私達が色々と協力しているとしても、事態そのものは流動的よ?」

「ああ。だから正確な日数じゃなくてもいい。あくまで試算で十分だ」

 

 戦力に関しては、各国家にメギロート2機がいるだけで、既に帝国の負けは決まっているようなものだ。そうなると残るのは、反乱を起こした国同士の権力闘争。

 別にそれが悪いとは言わない。……いや、見ていて気分のいいものではないが、それでも帝国を倒した後で連合国家として存続する以上、その辺の駆け引きが必要になってくるのは十分に理解出来る。

 だがそれによって帝国を攻めるタイミングが遅れ、あるいは下手をすれば反乱を起こした国同士で牽制し合ったりという可能性もある。

 その辺を考えると……

 

「何の問題もなくスムーズに進めば20日程度、問題が起きれば数ヶ月といったところでしょうね」

「やっぱりそうなるか」

 

 俺の予想と大体同じだ。違うのは、スムーズに進むと2週間程度と予想していたところか。

 ともあれ……

 

「出来ればあやか達がシャドウミラーに入ってくるまでには、帝国のゴタゴタは片付けておきたいな」

 

 そう呟くのだった。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:290
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1167

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