転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0951話

 ボーゼスがアルヌスの丘の基地に来てから数日。帝国との一時的な停戦について賛成の方針で他の世界のメンバーからも賛成の言質を貰った俺達は、ボーゼスが俺達の返事を待っているというイタリカへと向かっていた。

 当初は基地施設で待たせるという案もあったのだが、ボーゼスだけならともかく5人もの敵国の人間を基地の中に留め置くというのはいい気分をしない者も多かった為に、イタリカで待機するということになっていた。

 監視カメラ等があるとはいっても、やっぱり帝国の人間が自分達の基地内にいるというのは我慢出来ない者が多かったんだよな。

 一時的なものならまだしも、ホワイトスターを襲った帝国の人間に対する嫌悪感を強く持っている者は多い。

 いっそホワイトスターにとも考えはしたんだが……ボーゼスはともかく、他の4人をもホワイトスターに招き入れるのは危険かもしれないという判断により、結局はイタリカでの待機となった。

 正直な話、ホワイトスターなら全く使っていない居住区画とかも普通にあるし、量産型Wを張り付けておけば大丈夫だと思ったんだがな。

 まぁ、こっちだけの都合じゃなく、向こうにしても敵国の……それも、自分達の常識が全く通じない俺達の本拠地に泊まるのは遠慮したいというのもあったんだろう。

 ともあれ、イタリカで待っているボーゼスを始めとした交渉団の所へと向かっているのだが……

 

「この面子は色々と問題がありそうな気がするんだけどな」

 

 大型バスタイプのエアカーに乗っている面子を見て、思わず溜息。

 レオンがいるのはいい。政治班のトップであるエザリアに万が一のことがあるもしれないと思えば、次点のレオンが停戦交渉に向かうのは当然だろう。

 そのお付きというか、レオンと一緒にシャドウミラーに入った部下2人もレオンの護衛やら細かい仕事をするのを思えば、いても当然。

 また、色々とフォローするという面でムウ。それとネギま世界から高畑が来ているのも別にいいだろう。2人共、特に高畑は個人としての戦闘力に関してはかなり上位に入るのだから。

 ちなみにギアス世界、SEED世界、マクロス世界からは誰も来ていない。帝国という存在がどのような存在なのかは十分に承知しているし、もし何かあった場合に生身で対処出来る能力がない者が殆どだからだ。

 いやまぁ、星刻だったりオズマだったりなら何とでも――星刻は生身で、オズマはEX-ギア装備して――しそうだが、星刻は実質的に陽光を動かしている人物として、オズマはレオンとの絡みで今回は遠慮して貰った。

 だが、何故スティングとアウルの2人がいる。

 そして何より、何故シェリルがいる。

 俺のジト目にそっと視線を逸らすアウルと、苦笑を浮かべるスティング。そして何か文句でもあるの? とばかりに俺の方へと視線を向けてくるシェリル。

 

「スティングとアウルはまだいい。一応生身の戦闘もそれなりの力を持っているしな」

 

 もっとも量産型Wにもまだ勝てない、自分の身を守れる程度の力でしかないが、それでも最低限の力はあると思ってもいい。

 だが、シェリルは違う。

 一応シャドウミラーの幹部って事で最近は戦闘訓練もエヴァとやるようになってはいるが、それでも最近だ。元々マクロス世界で歌手をやっていた時にある程度身体を鍛えていたとしても、それはあくまでもある程度でしかない。 

 魔法に関しても、まだ『火よ灯れ』くらいしか使えないしな。

 どう考えてもこの場にいるべきではない人物だ。

 そもそも、シェリルは技術班、実働班、政治班の3つに勝るとも劣らぬ程にシャドウミラーでは大事な人員だ。

 いや、勿論俺個人としては恋人であるシェリルの価値は限りなく大きいが、シャドウミラーとしてもその価値は大きいのだ。

 何故なら、現在のシェリルはシャドウミラーの広告塔のような役割なのだから。

 マスコミ対策という一面もある。

 ただまぁ、エザリアのようにシャドウミラーの意見を外に発信する報道官って訳じゃないんだが……その辺の区別は微妙に難しい。

 

「大丈夫よ。こうして護衛も連れてきているんだし。大体、あたしを誰だと思っているの? あたしはシェリル、シェリル・ノームよ? 相手が何か変な事を考えても、そんなのどうにでもしてやるわ」

 

 相変わらず、シェリルらしいと言えばシェリルらしい口調で呟く。

 まぁ、純粋に安全云々を抜きにして考えれば、シャドウミラーの広告塔が帝国に関して知っているのは悪い事じゃない……か?

 半ば無理矢理に自分を納得させ、そのシェリルの側に控えている量産型Wへと視線を向ける。

 

「お前の役目は、まず何があってもシェリルを守る事を最優先とする。分かったな?」

「了解しました、アクセル代表」

 

 俺の命令に頷く量産型W。

 量産型Wは色々と不自然で目を引く存在だが、無数に集まっているのではなく1人の状態ならそれ程違和感はない……と思う。

 勿論顔全体を覆っているヘルメットは色々と怪しいが、あくまでも量産型Wが1人だけなら問題はない筈だ。

 このエアカーを運転している量産型Wもいるが、こちらは完全に運転手としての役割に専念させるから問題はない……と思う。ないといいなぁ。

 

「はっはっは。相変わらずアクセルは苦労が絶えないなぁ。ま、いつもいつもいい目を見てるんだから観念しろよな」

「……何だってお前が来たのか、その辺が不思議なんだが」

 

 シャドウミラーからメンバーを出すという意味では実際に交渉の担当となるレオンがいるし、最高責任者という意味では俺がいる。

 そんな中で何故ムウがいるのかというのは、やはり疑問があった。

 いや、一応俺のフォローをする為に派遣されたというのは分かっているんだが、今のムウの言葉を聞いた時にどうしてもそう思わざるを得ない。

 寧ろ面白半分で来たんじゃないか、と。

 だがムウ本人はそんなのは全く気にした様子もなく、肩を竦めて口を開く。

 

「ま、シャドウミラーのメンバーとしてはお前さんを護衛無しで放り出すのは色々と外聞が悪いって事さ」

「今更だと思うがな」

 

 そもそも、俺に護衛が必要かと言われれば……シャドウミラーだけではなく、シャドウミラーが関わっている全ての世界の人々が否と答えるだろう。

実際今まで他の世界に向かう時に、俺が先行して転移するというのはその転移先で何があっても俺に危害を加えられない可能性が高く、また実際に危害を加えられるような相手がいたとしても生き残る事が出来るからというのが大きい。

 ムウもそれは理解しているのだろう。手に持っていた貝柱の干物を口に運びながら、小さく肩を竦める。

 そのツマミはどこから持ってきた? そうも思ったが、この手の食べ物を用意出来るのはネギま世界だろう。

 いや、オーブなんかも周囲は海の島国で日本人が祖先という人物も多いんだから、この手のツマミは普通に売っててもおかしくないか。それに、ムウがナタルやレイと一緒に暮らしているのもオーブだし。

 そんな風に考えていると、ムウは苦笑を浮かべつつ口の中にあるツマミを飲み込んでから口を開く。

 

「ま、確かにアクセルがいれば普通は何も心配ないだろうさ。特に物理攻撃に関しては効果がないって卑怯な能力だし。けど、この世界には一応魔法があるからな。他にもドラゴンがいたり、神や亜神といったものが普通にいる。それを思えば、アクセルの身を案じても当然だと思わないか?」

「……個人的にはどうかと思うが。まぁ、そこまで言うなら別にいいさ」

「なら、これで話は決まりね。文句は言わせないわよ」

 

 何故かシェリルが仕切る言葉によって、結局何だかんだと有耶無耶になるのだった。

 その後、殆ど掛からずにイタリカへと到着する。

 何しろバス型のエアカーではあっても、その速度は以前イタリカに来た時に使っていた大型トラック型のエアカーと変わらず、時速300kmを出して走れば1時間掛かるかどうかって距離なのは間違いない。

 イタリカの門番は向かってくるバス型のエアカーに一瞬驚きはしたものの、あくまでも驚いたのは一瞬だった。

 盗賊のイタリカ襲撃の時に俺達がトラック型のエアカーに乗っていたのを覚えている者もいるだろうし、何よりあれから何回かホドリュー達ハイエルフがイタリカまで武器や防具を売りに来ている。あるいは帝国を含めた情報の入手や操作の為にシャドウミラーの人員がエアカーに乗ってイタリカまで来ていたりするから、その影響だろう。

 この中だと、何だかんだでムウが一番イタリカに来ている……か? 何でもナタルに関する土産をイタリカで購入したところ、予想外に喜ばれたらしい。

 しかもそれだけに終わらず、オーブ軍にいるナタルの同僚からも自分も欲しいって事で頼まれているとか何とか。

 悲しい使いっ走りだ。

 そんな風に思いつつムウの方に視線を向けると、何となく不愉快そうな視線をこっちに向けてくる。

 この勘の良さは相変わらずだな。

 

「何だよ?」

「いや、何でもない。ああ、いや。言っておくけど、イタリカでボーゼス達を拾ったらすぐに帝都に向かうから、買い物している暇はないからな」

「む、それくらい分かってるよ」

「なら不満そうな表情を浮かべるなよ」

 

 下らない言い合いをしていると、やがてイタリカの門からボーゼスとその護衛の騎士達が姿を現し、こっちを見ながら驚愕の視線を向けているのが窓から見える。

 

「レオン」

 

 その一言で俺の言いたい事を理解したのか、いつもの2人の護衛と共に降りていくレオン。

 何だかんだ言って随分とシャドウミラーに馴染んできたよな。有能さに関しては既に疑うべくもないし。

 まぁ、それでも鵬法璽を使わないで引き込むという選択は無かったと思うが。

 やがてレオンの説明に納得したのだろう。ボーゼスと騎士達が話し合っているのが見え……やがて、騎士2人がその場に残り、ボーゼスを含めて3人が車内へと入ってくる。

 

「アクセル代表、よろしくお願いします」

 

 俺を見て頭を下げてくるボーゼスに、疑問を口にする。

 

「何で全員が乗らないんだ?」

「え? ああ、私達はイタリカまで馬で来てますので。ここで全員がこの巨大な乗り物で移動してしまうと、馬をそのまま残してしまう事になりますから」

「……ああ、なるほど」

 

 寧ろこの場合は、バス型のエアカーではなく馬を荷台に乗せられるトラック型のエアカーの方が良かったのかもしれない。

 正直、影のゲートを使えばあっという間に帝都まで移動出来るんだが……それだと帝国に対してプレッシャーを与える事が出来ないとして、却下される事となった。

 まぁ、この門世界は色々と後進世界なのは間違いないから、今まで以上に軍事力を誇示する必要があるというのは事実なんだが。

 いっそ帝都から少し離れた場所に影のゲートで転移して、そこからエアカーで移動というのもいいかもしれないとも思ったのだが、そっちに関しても同様に却下された。

 理由としては、こちらの能力を必要以上に向こうに知られない為……って、イタリカ攻略後にボーゼスとかを影のゲートで運んでいるんだが。

 

「まぁ、そういう事ならしょうがないか。行くぞ。好きな場所に座れ」

「あ、はい。分かりました」

 

 俺の言葉にボーゼスが頷くと、そのまま部下の2人と共にバスの座席へと座る。

 

「ねぇ、アクセル。実はああいう娘、結構好みなんじゃない?」

 

 俺の隣に座っていたシェリルが、そう耳元で囁く。

 その瞳はシェリルらしい好奇心で輝いており、俺が何と答えるのかを楽しそうに待っているのが分かる。

 だが、俺がその質問に対して返したのは、首を傾げるというものだった。

 

「どうだろうな」

「あら? 女好きのアクセルとしては珍しいわね」

「その女好きの恋人が、何で他の女を勧めるかな。いやまぁ、それはともかくとしてだ。確かに外見が好みなのは否定しない。けど、ピニャに対して依存しすぎているところがちょっとな」

 

 俺自身はそんな自覚は無かったが、レモン、コーネリア、マリュー、スレイ、シェリル。

 そしてあやか、千鶴、円、美砂。

 この全てに共通しているのが、自立しているという事だ。

 スレイ辺りはフィリオに対して依存心のようなものを抱いていたが、病気の治療やシャドウミラーの参加でいつの間にかその辺の問題は解決していた。

 それを考え、客観的に考えた場合、やっぱり俺の好みというのはその辺が関係してくるのだろう。

 

「ふーん。ま、いいけどね」

 

 そう告げ、俺の肩に頭を預けてくるシェリル。

 ボーゼスに手を出すように言ってみたり、それを断るとこんな態度を取ったり。

 さて、一体何を考えているんだろうな。

 まぁ、ここ暫くシェリルと2人きりでゆっくりとする時間は取れなかったから、こういうのも悪くはないけど。

 夜に関しては全員一緒だし。いやまぁ、夜は夜で当然俺としては色々な意味で大歓迎な時間帯でもあるんだが。

 誰にともなく内心で呟きながら、バスが時速300kmを出しながら帝都へと到着するまでシェリルと一緒に甘い時間を過ごすのだった。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:290
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1167

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