転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0950話

 SEED世界でグレイ・イレブンを触媒としたブラックホールエンジンのテストが終了してから10日程。その後も色々と試してみたが、特に異常は見つからなかった為に正式にグレイ・イレブンをブラックホールエンジンの触媒として採用する事が決定した。

 とはいっても、G元素の中でもグレイ・イレブンはアメリカがG弾を開発しているのを見れば分かるように、人類が利用出来る数少ないG元素だ。

 ここで唯一のとしなかったのは、グレイ・ナインが夕呼の研究で使われている為だ。

 ともあれ、BETAに対する武器として使えるG弾を量産する為にも、アメリカとしてはグレイ・イレブンを少しでも多く手に入れたいと考えるのは当然だろう。

 その結果、俺達が得たグレイ・イレブンの量も限られている関係上、触媒として使うのはシャドウミラーの幹部――ついでにスティングとアウル――の機体だけとなった。

 同じくブラックホールエンジンを使っているシャドウに関しては、結局現状のままとなっている。

 触媒として使われたグレイ・イレブンにしても数回の戦闘で使えなくなるという訳じゃないが、永遠に使える訳でもない。

 それを思えばやはりある程度の備蓄は必要だし、決められた機体だけに触媒として使うのがベストなんだろう。

 ともあれ、技術班に対して色々と負担を強いていた研究の1つが完成した頃……予想外の客人が俺達の下を訪れていた。

 

「……正気か? 俺達とお前達は敵対しているのを知っている筈だな? それなのに、よくアルヌスの丘にやってきたな。それも護衛を入れてもたった5人で」

 

 アルヌスの丘にある基地の一室で、俺は呆れた様に向かいに座っている人物へと声を掛ける。

 正直、この人物がアルヌスの丘にある基地に俺を訪ねてきたと量産型Wから聞いた時には、一瞬冗談か何かだと思った。

 だが量産型Wが冗談を言う筈もなく、結果的に見れば現実が冗談染みたものだったという、笑えない状況になっていた訳だ。

 

「確かに帝国とシャドウミラーが……いえ、異世界間連合軍でしたか。それが敵対しているのは知っています。ですが、お互いの関係を考えれば敵対している状態というのは損失しか産まない。ピニャ様はそう考え、少しでもお互いの溝を埋めるべく私を派遣されました」

 

 そう告げるのは、金髪の縦ロールが目に眩しいボーゼス。

 以前にピニャと共にアルヌスの丘に……そしてホワイトスターにやってきた人物だ。

 護衛としてついてきた中年の禿げている男は確かイタリカで盗賊と戦った時に一緒にいた奴だな。他の3人は……まだ若い女だというのを考えると、恐らくはピニャの騎士団の人員なのだろう。

 俺に向けてくる視線に若干ではあるが恐怖が宿っているのは、イタリカからの帰り道での一件があったからか。

 ……その割に、両肩を砕かれたボーゼスの方が平然としているのは疑問だが。

 

「損失? 少なくても俺達にとっては損失と言えるだけのものはないぞ? 帝国の方は、日を置く事に独立を求めて行動する国が増えてきているみたいだが」

 

 最初に帝国に反旗を翻したエルベ藩王国や、それに追随するようにして独立を求めて帝国との戦いに踏み切った幾つかの従属国。

 勿論その時点では帝国としては面倒だと思いはしても、脅威とは感じていなかったのだろう。

 地方にある従属国の反乱なのだから、周囲の国々を支配して版図を広げてきた帝国にしてみればそれ程珍しくもなかったのかもしれない。

 だが……帝国のそんな思惑は、反乱を起こした国に向かった帝国軍が次々に敗退した事により、大きく狂う。

 ただでさえシャドウミラーと戦って大きく数を減らした帝国軍、反乱を起こした従属国に向かって送られた帝国軍の敗退。その結果、周辺の従属国は帝国軍を既に脅威にあらずと認識したのだろう。エルベ藩王国を始めとした最初に反旗を翻した従属国に続けとばかりに、次々と反乱が起こっていた。

 勿論最初に反乱を起こした国が帝国軍に勝てたのは、俺達が以前連合諸王国軍との戦いの時に内応を約束した国々へと援軍を送った為だ。

 俺達の暗躍を帝国に悟られないよう、メギロートやイルメヤを始めとした無人機やKMF、MS、VF、PTといった機動兵器も使う事は出来なかったが、ネギま世界の魔法使いを始めとしてシャドウミラーの幹部のように生身でも戦える人材を送ったり、あるいは量産型Wを送ったりして戦力の補強をした。

 以前の相談の時は量産型Wは見た目から怪しすぎるし、一目で所属が分かるから援軍に送るのは却下とされていたのだが……なら人目につかない場所で運用すればいいという話になり、狙撃銃を持ったまま戦場から離れた場所に配置して、帝国軍の指揮官や、数少ない魔法使いを次々と射殺していった。

 旧態依然とした指揮系統である帝国軍であるから、指揮官が次々に射殺されてしまえば指揮系統も簡単に混乱し、従属国の攻撃を防ぐ事も出来ず……結果的に敗走するのに時間は掛からない。

 勿論中には有能な人物もおり、指揮を引き継いで対抗しようとした者もいる。

 だがそのような人物は当然量産型Wに優先的に狙われ、あるいは運を含めた何らかの要素で生き残ったとしても、所詮は1人でしかない以上は敗退するまでの時間を多少延ばす事しか出来なかった。

 もっとも、反乱を起こした全ての国に対して援軍を送るという訳にもいかない為、援軍を送ったのはあくまでも連合諸王国軍との戦いでこちらに内応をする選択をした国々に限る。

 あの戦いで派遣されてきた従属国の指揮官が、国王を始めとして権力を持っている者達だったのが幸いした形だ。

 ただし、当然こうまで反乱が広がれば自分達もと考える国も出てくる訳で。

 半ば行き当たりばったりとでもいうように反乱を起こした国には、当然援軍を送ってはいない。

 そもそもエルベ藩王国辺りと繋がって連携を取っていくというのならまだしも、それは嫌だと、他の国が成功しているのだから自分達も成功するだろうと判断して行動を起こすような国だ。そんな国と繋がったとしてもこちらの足を引っ張るだけだろう。

 そうなると、当然こっちから援軍を出していない国と帝国軍がぶつかる訳で……地力の差というものが出てくる。

 しかも全てではないが、そのような人物が国王だったり、あるいは上層部にいる国の軍隊が強い筈もなく……結局は帝国軍が送ってきた討伐軍との戦いでは勝つ事が出来ない。

 ここで負けると表現しなかったのは、単純に帝国軍の手が足りていないからだ。

 本来であれば、反乱を起こした国の国王やらその一族やらを処刑する程度の見せしめは必要になるのだろうが、そんな真似をすると当然反乱を起こした国の方でも徹底的に抵抗する。

 そうなると討伐するのに時間が掛かり、その間に他の従属国でも不穏な動きが……という、負の連鎖が起きている為だ。

 結果的に、一戦して反乱を起こした国の戦力を減らしたら次の戦場へという流れになっている。

 勿論全てが上手くいく訳もなく、俺達と内応している国が反乱を起こした時には戦力を送っている為に、帝国軍としても戦う時には相手を警戒する必要がある。

 つまり色々な意味で帝国の手が足りなくなってきており、その中で最も強大な戦力を持っている俺達とは戦うだけの時間も戦力もない。そういう事なのだろう。

 そうすれば俺達を警戒していつでも動かせるようにしてある戦力を、全てとはいかないがある程度は動かせるだろうし。

 

「つまり一時的な停戦を希望する、と?」

「はい。簡単に言えばそうなります」

「……だが、さっきも言ったようにこっちに対して利がないが? 寧ろ、今の状況を維持した方が敵対国である帝国に被害を与えるという意味では十分過ぎる」

「それは……確かにそうですが」

 

 まぁ、本音では和平交渉に持っていきたいんだろうが、残念ながらこちらとしては帝国の無条件降伏以外の条件を認めるつもりは全くない。

 停戦交渉に応じるつもりは……

 

「アクセル、一時的な停戦という事なら構わないんじゃないかしら」

 

 そう告げたのは、先ほどからずっと黙ったままだった人物。

 本来であれば、シャドウミラーの政治を司る中でもトップの人物だ。

 ……まぁ、そもそも実質的な政治班と呼べるのはエザリアとレオンの2人しかいないんだが。レオンの部下2人は、あくまでも雑用に近い仕事だし。

 ともあれ、異世界間連合軍の中でも広まっている認識としては、攻撃的なレオンに対して融和派のエザリアといった認識だ。

 だが、元々はエザリアにしてもSEED世界のプラントでザラ派と呼ばれる強硬派の一員として……いや、その強硬派の顔として活動していた人物だ。当然その性質はどちらかと言えば攻撃的な方に向いている。

 それでも融和派と呼ばれているのは、レオンの方が強硬派の政治要員として向いている為だ。

 つまり、今のこの意見も帝国に妥協するのか。そういう思いでエザリアへと視線を向けたのだが、その目にあるのはあくまでも怜悧な視線。

 その視線がどこまで見通しているのかは分からないが、決して帝国の事を思っての提案ではないというのは明らかだった。

 だがそれが分かるのは、あくまでも俺がエザリアという人物を知っているからこそだ。

 そして、エザリアという人物を理解していないボーゼスは、喜色満面といったような視線をエザリアへと向ける。

 

「そう言って貰えるとこちらとしても助かります。それに、ピニャ様もお喜びになるでしょう」

 

 笑みを浮かべてエザリアへと言葉を返すボーゼスだったが、俺が出来るのはエザリアに疑問の視線を向けるだけだ。

 現状でもこっちの利益になっているのに、何故わざわざ向こうに対して譲るような事を言うのか。

 そんな俺の疑問は、次のエザリアの言葉で更に高まる。

 

「では、そうですね。停戦に向けての協議に関しては帝国で行うという事でどうでしょうか?」

「よろしいのですか?」

 

 予想外。そんな表情を浮かべるボーゼスに、エザリアは薄い笑みを浮かべたまま頷く。

 

「勿論私が出来るのは提案であって、決めるのはアクセル代表です。それに異世界間連合軍として敵対している以上、他の世界の方々とも協議する必要はあるでしょう」

 

 エザリアの対応に疑問を抱かざるを得ないのは事実だが、当然こんな提案をする以上は何か考えがあっての事なのだろう。

 

「……分かった。確約は出来ないが、その方向で他の世界の連中にも提案してみよう」

 

 一応そう告げるが、何だかんだ言っても異世界間連合軍の中でシャドウミラーは中心的な存在だ。出している戦力にしても他とは比べものにならない。

 それを思えば、余程の事でもない限り……それこそ現状で帝国と和平をするといった悪手ではない限り、認められるだろう。

 和平と一時的な停戦。この2つは似ているようで全く違う。

 ……何をするのかは分からないが、その一時的な停戦を利用して帝国に対して何かを仕掛けようとしているのは分かる。

 正直な話、謀略を仕掛けるにしろ何にしろ、こっちが圧倒的に有利なんだよな。

 こっちとしては帝国に反旗を翻した国々と協力関係にあるのに対し、帝国が俺達に何かを仕掛けるにしても、そもそも伝手がない。

 唯一の伝手が、こうして俺達に一時的な停戦を申し込んできたピニャ経由のものだが、当然アルヌスの丘の基地に入った時点で量産型Wや警備のイルメヤ、メギロート、はたまた監視カメラ等で一瞬の隙もなく監視されている。

 そうである以上、何らかの謀略を仕掛けようとしても出来る筈がない。

 いやまぁ、それ以前にピニャ率いる騎士団に所属する騎士ってのを考えれば、ボーゼスにその手の暗躍は出来ないか。

 寧ろそっちが出来るとすれば……

 チラリ、と中年の禿げ頭の男へと視線を向ける。

 今回の交渉に関してはボーゼスに全権が任されているのか、交渉を全て任せきりにして一切の口を開かない。

 純粋に護衛としての自分の役割のみを全うしようと考えているのか、あるいは……そもそも今回の交渉に関しては失敗を前提としており、ボーゼスの経験を積ませる為と割り切っているのか。

 どっちもありそうだな。

 男から視線を外し、改めてボーゼスの方へと向き直ってから口を開く。

 

「それで、連絡方法はどうすればいい?」

 

 通信機に関しては、そのようなものがあると知れば俺達と従属国間の関係に気が付くかもしれないのを思えば、簡単には渡せない。

 いや、その辺の事情はちょっと勘が鋭い奴なら既に察知していてもおかしくはないんだが。

 ともあれ無事に話は纏まり、異世界間連合軍での会議に今回の話は掛けられ……エザリアとレオンの根回しの成果か、一応受け入れるという方向でこの件は進む事になるのだった。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:290
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1167

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