一龍妖魔學園紀   作:影鴉

8 / 41
今回の話、実は昨日の内に書き上げてしまってます。
スイスイと書けすぎだろ…
今回は少し短いです。
セシリアやガキさんの態度が変では無いか不安だ…


サブタイトル元
『少女S』 歌手:SCANDAL


 少女S

後援者も実権もまだない若者が世間へ出るに際して心掛けるべきことは、

第一に働き場所を得ること、

第二に差し出口を控えること、

第三に周囲をよく観察すること、

第四に誠実であること、

第五に雇い主に重”宝”がられる人物になること、

第六に礼儀正しいことである。

 

───ラッセル・ケージ

 

 

____________________________________________

 

 

2限目

 

『IS学園(ISがくえん)』 1年1組教室

 

 

「で、あるからして。ISの基本的な運用は、現時点で国家の認証が必要です。枠内を逸脱したIS運用をした場合は刑法によって罰せられてしまいますので……」

 

 

 2限目はISに関する歴史や法律についての講義であった。IS学について一龍は既にロゼッタ協会の方で基礎となる知識は全て詰め込んできた。男性操縦者という事実を公表してIS学園へ入学依頼を送った後、教材が送られて来たのだが、IS学における教科書の分厚さに驚いた。

 

 

(タ〇ンページか!?)

 

 

 電話帳サイズの分厚さなのである。大学で使う参考書でもこれ程厚い本は無いのではなかろうか……

 因みに、これを見た師匠の仲間である皆守 甲太郎(みなかみ こうたろう)は、

 

 

「枕として使うのに最適だな」

 

 

 と呟き一龍の肩にポンと手を置いた。

 頑張って3周ほど読んだ為、大体の内容は理解している上、授業の内容もばっちりと解った。

 

 

「荒垣君と葉佩君は解からないところはありませんか? 質問があったら遠慮無く聞いてくださいね、私は先生ですから」

 

 

 真耶は一龍と真次郎に声を掛ける。本来、IS学はIS学園へ入る前から女子なら幾らか学んでいる為、講義内容もそれに沿った内容となっている。男性は基本、希望しない限りは学ぶ事は無いので真耶もその事を考慮した行動であった。

 

 

「今のところは大丈夫ですよ、先生。有難う御座います」

「俺も同じだ、問題無い」

「そうですか、何かあったら何でも質問して下さいね」

 

 

 そう言って真耶は授業を再開する。

 

 

(そう云えば師匠は担任の先生にスリーサイズなんて聞いていたらしいな、今の時代やったらセクハラで捕まりそうだ)

 

 

 そんなしょうも無い事を一龍は思い出しながら授業は進んでいった。

 

 

::::::::

:::::

::

 

 

「お疲れ、ちょっと良いか?」

 

 

 2限目が終わり、一龍は箒を連れて真次郎に話し掛けた。

 

 

「…何だ?」

「【友】1限目の休み時間には話せなかったからさ、同じクラスの男同士仲良くしようぜ」

「……馴れ合いは好きじゃないんだが、此処は女ばかりだしな、構わねェ」

「【喜】自己紹介でも話したけど、俺は葉佩 一龍。こっちは幼馴染の箒だ」

「篠ノ之 箒だ、宜しく」

「荒垣 真次郎だ、好きに呼べ」

「分かった、宜しくな”シンジ”」

「!?」

 

 

 一龍がそう呼ぶと、真次郎は少し驚いたような表情になった。

 

 

「ん? 嫌な呼び方だったか?」

「いや、そうじゃねぇ、嘗て幼馴染にそう呼ばれていたから懐かしくてな」

「荒垣さんの幼馴染ですか?」

「ああ、だから気にするな。よろしくな、一龍、箒」

「「宜しく」」

 

 

 互いに自己紹介を終え、世間話をし始めた。

 

 

「お互いこんな所に来てしまった訳だけど、どうだ?」

「俺としては勘弁して欲しいんだがな…美鶴の奴に行って来いと言われちまって、しぶしぶってやつさ」

「美鶴?」

「友人だ、『桐条グループ』と言えば解るか?」

「桐条グループってあの世界有数の複合企業の名前じゃ…」

「もしかして美鶴って人は…、桐条グループの現総帥の『桐条 美鶴(きりじょう みつる)』!?」

「静かにっ、声がでけぇよ」

「す、すまない…」

「そんな有名人と友人だなんて…」

「これも何かの縁だから行って来いって言われてな、入学手続きとか学費とか色々用意を済ませやがっていた」

「うわぁ…」

「大変だな、」

「まぁ、なっちまったもんはしょうがねぇ」

 

 

 真次郎は肩を竦める。

 

 

「しんにー、はばっち~」

 

 

 のほほんとした声が聞こえたので声の方を向くと、ぶかぶかした袖をプラプラさせながらほんわかした雰囲気の女の子がいた。

 

 

「なんだ、また来たのか?」

「うん、あのね~私もね~しんにーの作ったお菓子食べたいな~って言いに来たの~」

「それでわざわざ来たのか? 別に構わねぇぞ」

「わ~い、有難う~」

「シンジ、知り合いか?」

「いや、前の休み時間に話しただけだ」

「確か、布仏だったか?」

「うん~、私は布仏 本音(のほとけ ほんね)って言うんだよ~」

「本音か、俺は葉佩 一龍、とは言っても自己紹介したし休み時間にも話したからから判るか…」

「私は篠ノ之 箒だ、私も自己紹介したが一応、な」

「宜しくね~、はばっち、しののん~」

「し、しののん!?」

「篠ノ之だから”しののん”だよ~」

「独特のセンスだな…」

 

 

 本音のぽやぽやしたオーラに周りはつい和んでしまう。

 

 

「しかし、シンジは菓子とか作れるのか?」

「料理が趣味でな、」

「【友】マジか? 俺も趣味で色々作っているんだ」

「ほう…」

「最近は『王様プリン』の作り方に凝っていてさ」

「王様プリン…? ヨード卵でも上質の奴で作るやつか?」

「ああ、だからなかなか作る機会が無いんだけどな、」

「贅沢な菓子だからな…」

「主にどんな料理を作るんだ?」

「美味く、栄養のバランスが整った料理が主体だな」

「いいねぇ、今度作ってくれないか?」

「…機会があったらな」

 

 

 料理談義で盛り上がる男性二人。

 

 

「『王様プリン』とは何だ?」

「えっとね~、卵の中でも貴重な『ヨード卵』を使って作るプリンの中の王様なんだよ~」

「と、取り敢えず珍しいプリンという事で良いのか?」

「うん~、King Of プリンって覚えていれば良いよ~」

「そ、そうか…」

「ねぇねぇ~、はばっちもお料理できるの~?」

「ああ、世界中回っていたから色々と作れるぞ」

「じゃあはばっちもお菓子作って~」

「【友】ああ、いいぜ。箒も食べるだろ?」

「私か!? 作ってくれると言うのなら、その、勿論戴くぞ(一龍の手料理か…)」

「なら決まりだな」

「わぁ~、楽しみにしてるね~」

 

 

 両手を挙げて本音は喜んだ。

 そこへ、

 

 

「ちょっと宜しくて?」

「げっ……」

「ん?」

 

 

 真次郎が嫌な顔をしている。それも其の筈、前の休み時間に絡んできたセシリア・オルコットがまた来たのだから。真次郎に色々と言われた為か目は吊り上っており、声も更に高圧的であった。

 

 

「何か用か?」

 

 

 セシリアの態度が他人に話し掛ける態度ではないので、若干顔を顰めながら箒が応対する。

 

 

「貴女ではありません、そちらのお二人に用があるのです」

「テメェがあっても俺は結構なんだが?」

「本当に口が悪いですわね?」

「まあまあ、それで何の用かな、イギリス国家代表候補生のオルコットさん?」

 

 

 真次郎の言葉にキッと睨み付けてくるセシリアを窘めながら一龍は尋ねる。

 

 

「貴方は割かし教養がなっているようですわね、流石世界初の男性搭乗者なだけありますわ」

「世界初は余り関係無い気が…」

「おい、一龍、こいつが代表候補生ってどういう事だ? 意味は大体解るが…」

 

 

 真次郎が一龍に尋ねて来た。

 

 

「『モンドグロッソ』ってISを使って世界の代表が競い合う大会があるだろ? 競技毎に国は1名ずつ代表を選出するんだけど彼女はその代表になれる候補生なのさ。確か学園入試も主席だっけ?」

「そう! つまりエリートなのですわ!!」

 

 

 自慢げに胸を張って声を上げるセシリア。

 それを聞いた真次郎はあり得ないといった顔をしていた。まぁ、この高飛車な態度をとられては仕方ないだろう、箒や本音も困った顔をしている。

 

 

「それで、用は何なんでしょうか?」

「ISを起動させた世界に7人しかいない男性操縦者がどのようなものかわたくし、気になって来ましたの」

 

 

 そう言ってセシリアはチラリと真次郎を見る、真次郎は面倒臭そうな顔をしていた。

 

 

「貴方はまだともかく、それなりに期待しておりましたが……期待外れですわ。程度が知れます」

「………どうでもいい」

 

 

 散々な言い様に真次郎も五月蠅そうに答える。

 

 

「ふんっ、まぁいいですわ。わたくしはエリートですから貴方のその無礼な態度も見逃してあげますわ」

「あー、そりゃ有難ぇ。涙が出るぜ」

「─────────ッ!!」

 

 

 売り言葉に買い言葉、高慢なセシリアの態度に冷たく返す真次郎。

 

 

「本当に失礼な男ですわね!! 生まれや育ちが知れますわ!」

「【困】オルコットさん落ち着いて、シンジも頼むから…」

「ほっとけ」

「まったく、その男はどうでもいいですわ! 貴方ならISについて分からない事があればこのセシリア・オルコットが教えて差し上げても宜しくてよ。何せ、このわたくし、入試の模擬戦で唯一教官を倒したエリートなのですから!!」

「入試の模擬戦? 俺も勝ったから唯一じゃあ無いだろ?」

「………は?」

 

 

 一龍の言葉に固まるセシリア、箒と本音は驚いた表情になっていた。

 

 

「本当なのか、一龍?」

「ああ、学園の『打鉄(うちがね)』でだな、武装は俺なりに用意させて貰ったけど」

「打鉄で教官に勝ったんだ~、はばっち凄~い♪」

「そんな、わたくしだけと聞きましたのに…」

「女子の中ではってオチだろ、一応だが俺も倒したぞ」

「な、なんですって!?」

 

 

 セシリアが驚愕の表情を浮かべる。

 

 

「お、シンジも勝ったのか?」

「一応だ、あれは勝ったとは言えねぇ」

「どういうこと~?」

「俺の担当になった教官が此処のクラスの副担任でよ」

「山田先生か、」

「模擬戦が始まるや否や俺の所に突っ込んで来てな」

「特攻ですの!?」

「避けたらそのまま壁に突っ込んでな、自爆しやがった」

「…………先生がそれでいいのか…?」

「知らん、不本意だが俺の勝ちという扱いになった」

「あの先生、男性に耐性無さそうだからな……」

 

 

 内容はどうあれ教官を倒していた二人にセシリアはわなわなと震えていた。

 

 

「み、認められませんわ!!」

 

 

 セシリアは叫んだ。

 

 

「そんな事言われてもな…」

「男なんかがわたくしと同じく教官を倒したなんて、ありえませんわ!!」

 

 

 その言葉に対して、流石に一龍もカチンときた、やはりセシリアは今時の女尊男卑主義者であるようだ。

 

 

「【怒】俺達が勝ったのは事実だし、そんな言い方は無いだろ?」

「そもそも貴方達は「いい加減にしろ」…っ!?」

 

 

 セシリアの言葉を真次郎は遮る。

 

 

「さっきから高飛車な事を一々言いやがって、文句しか言う気が無いならとっとと失せろ」

「貴方って男は本当に言葉が……」

 

 

 今度は3時限目開始のチャイムがセシリアの言葉を遮った。

 

 

「授業の時間だ、さっさと席に戻れ。そして二度と関わるな」

「ふんっ! 覚えていなさい!!」

 

 

 捨て台詞を吐いてセシリアは自分の席へと戻って行った。

 

 

「私も女だが、あの態度は気に喰わないな」

「う~、感じ悪~い」

 

 

 セシリアについての感想を箒と本音は告げてそれぞれ戻って行った。

 

 

「厄介な奴に絡まれたな」

「…まったくだ」

 

 

 互いにやれやれと溜息を吐き、一龍も席へ戻って行った。

 それと同時に千冬と真耶が入ってきた。

 

 

「皆席に就け、それでは授業を始める」

 

 

 3時限目の講義が始まった。

 

 

TO BE CONTINUE




結局、2回も絡んできたセシリア。噛ませキャラすぐる…
今回が短かった分、次回は長くなる筈。
次回、他クラスの男性搭乗者等が多数登場する予定。
九龍ユーザーなら二ヤリとするあのイベントも発生!
お楽しみに!


誰か九龍のパッケージ風なイラスト描いてくれませんかねぇ(チラッ


感想コメント、質問等お待ちしております。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。