一万字突破した上にやりたい放題な内容wwww
4月7日
朝のSHR後の休み時間
『IS学園(ISがくえん)』1年4組教室
「はぁ……」
ブロントは溜息を零した。
学園生活2日目である今日、教室へ入った途端に女子達に揉みくちゃにされたのだ。
1限目のチャイムが鳴る2分前には皆席に戻っていったが、彼は早くも精根尽き果てていた。
「……ブロントさん…」
「カンザシか、」
ふと、自分を呼ぶ声がしたので声の方に顔を向けると簪が立っていた。
「昨日は有難う…、ブロントさんがくれたあの武器の御陰でミサイルポッドだけになったから…」
「ほむ、それは何よりだべ」
簪の微笑みにブロントも疲れた顔を消して笑顔で返す。すると彼女は頬を赤く染めながら尋ねてきた。
「あの…、良かったら整備を……今日も手伝ってくれるかな?」
「良いぞ」
「…本当?」
「俺も昨日できなかった整備をするつもりだべ、だから合間合間になると思うが構わにぃか?」
「うん…大丈夫、 それじゃあまたね」
「うむ」
簪は嬉しそうな顔で自分の席へ戻っていった。
「は~い、1限目の講義を始めたいけど、その前にすることがありま~す」
教室に4組の担任こと、
「今日から2週間後に学年別でクラス対抗戦があるからクラス代表を決めないといけないの~。だから誰かなりたい子はいるかしら~?」
愛宕の言葉に生徒達は静まりかえる。
「なんだったら推薦でもいいけど~?」
「はい! ブリリアント君が良いと思います!!」
「あー、私もー!」
「あたしもブロント君に推薦ー」
「おい止めろ馬鹿っ!! 何勝手に推薦している!?」
女子達の推薦にブロントは悲鳴に近い声を上げる。
「え~、だって4組で唯1人の男子生徒なんだよ?」
「他のクラスだってきっと男子生徒を推薦するよ~」
「男だからと推薦する浅はかさは愚かしい。4組唯一ぬにの男子生徒だといって物珍しさで推薦するのはずるい!」
「「「「「え~」」」」」
「おいいぃぃぃィィィ!! 何担任まで不満の声に混ざっているんですかねぇ!!?」
「だって~、折角の男子だし~」
「どちらかと言うと大反対だな。確かに俺は強いがISを使い始めてまだ1年にも満たない貧弱IS乗り、俺を代表にするより厨坊の頃からISを学んでいるおもえ達の誰かを代表にするべきなのは確定的に明らか」
「そうは言われても…」
「私達はあくまでも一般生徒だし…」
ブロントの意見に女子達は口を噤んでしまう。
「このままでは埒があかにぃぞ? 因みに俺はカンザシを推薦する」
「……私?」
ブロントの言葉に普段無口な簪は声を出してしまう。
「簪? 更識さんの事?」
「彼女を推薦するの?」
「カンザシは日本の代表候補生、それに専用機持ちだから一般生徒や俺よりも遥かに経験や場数が違うべ」
「確かにそうだけど……」
「簪さんの方が良いのかなぁ?」
「本人に無理強いはしないが、俺は彼女を推薦する」
「他のクラスも男子を選んでいると思うけど…、更識さんはどうする~?」
「私は……」
上手く答えることが出来ない簪、そこへ…
「経験者を代表にしたなら、俺も副代表か補佐位の立場なら立候補するべ?」
「!!?」
「俺は素人だが折角推薦されたのを無碍にも出来にぃ、他に立候補が居ないなら勤めさせて貰う感」
ブロントの言葉にクラスがしぃんと静まりかえる。これに彼は首を傾げるが…
「よ~し、じゃあクラス代表は更識さんで副代表はブロント君で良いわね~?」
「「「「「賛成ー!!」」」」」
「おいいいぃぃぃィィィィッ!!!??」
ブロントの絶叫も虚しく、決定されるクラス代表と副代表。しかし、この結果を面白く無さそうな表情で見ていた生徒が数人いたのだが、ブロントは気付かなかった。
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4限目後 昼休み
『マミーズ IS学園店(マミーズ ISがくえんてん)』
「うぅむ、人が多過ぎて席が全ぜぇん見付からない感…、このままでは俺の腹が空腹でマッハ」
ルームメイトである二コラスが1組の男性操縦者達といたので自己紹介をした後、自分が座れる席を見付けるべく探しているのだが、中々見付からないでいた。
「あ、ブロントさ~ん」
「む、その声はホンネか?」
声がした方へ振り向くと本音が手を振っており、彼女が座っている4人用のテーブル席には簪も座っていた。
「ブロントさんもお昼御飯?」
「hai! だがどこも席が埋まっていて中々座れない状況、このままでは俺の腹が空腹でマッハ」
「じゃあこの席に座ると良いよ~」
「いいのか?」
「もーまんたいだよ~、かんちゃんも良いよね?」
「え? あ、うんブロントさんも一緒に食べよう?」
「2人の心遣いに嬉しさが鬼なった。【失礼します】」
2人に感謝し、ブロントは相席することにした。
「あの……ブロントさん」
「何か用かな?」
「どうして私を推薦したの?」
「その事か……」
簪の問いに対しブロントは彼女の方を向き、頭を下げる。
「どうも、すいまえんでした」
「ぶ…ブロントさん!?」
「俺はカンザシの意見を尊重する事無く推薦してしまった。不愉快に思っている事は確定的に明らか」
「そ、そんな…不愉快になんて…」
「そう思っていないにしても、俺の言葉がカンザシを代表に誘導させてしまった感。それだけは謝りたいべ」
「ブロントさん……、顔を上げて?」
簪の言葉でブロントは漸く頭を上げた。
「私も…立候補しようと思っていたの……、だから謝る必要なんて無い」
「だが……」
「寧ろ…嬉しかった……」
「ほぅ?」
「な、何でもない。じゃあ私用事があるからっ!!」
「かんちゃん? あ~行っちゃった」
簪は慌てて自分のハンバーグ定食の残りを食べ終えると、そのまま本音を置いて走り去って行った。心なしか彼女の頬は赤くなっていた気がする。
「今何て言ったのか聞き返したかったが、時既に時間切れ。若干の後悔がブロントを襲った」
「かんちゃんはね、嬉しかったんだよ~」
「ほむ? それはどういうワケ?」
「かんちゃんって見た目通り控えめな性格だから、私以外の友達も少なかったんだ。しかも自分だけで何事もやろうって無理ばっかりしてたから」
「そるは…姉の事でか?」
「うん。かんちゃんはね、認めてほしいの。でも、それでかんちゃんがする無茶を私は今迄止める事は出来なかった…」
その時の本音の表情は何時も見せる事が無い悲しげな顔であった。何時もニコニコと笑顔でいる彼女であった為、自分の友人を何も助ける事が出来ないというのはとても辛かったのだろう。
「有難う、ブロントさん」
しかし、その悲しげな表情も一瞬で、本音はブロントへ花のような笑顔を向けた。
「おいィ、何で感謝するんですかねぇ?」
「ブロントさんの御陰でかんちゃんと仲良しになれたから。感謝するには十分だよ~?」
「ほむ、見事な感謝だがどこもおかしくないな」
「えへへ~、有難う♪」
食事を終えた本音は席を立つ。
「それじゃあブロントさん、私もクマさんと待ち合わせしているから先に行くね」
「了解したぞ、じゃあまた放課後な(クマさん?)」
「うん、バイバ~イ♪」
本音が去り、ブロントも食事を終えると教室へ戻って行った。
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4月9日
2限目後の休み時間
『IS学園(ISがくえん)』1年4組教室
「ちょっと、更識さん」
「な…何?」
ある日の1年4組の教室にて、簪の席の前に3人の女子が現れた。
「後1週間ちょっとでクラス対抗戦だけどさ、大丈夫なの?」
「専用機の調整が終わって無いって聞いているし~?」
「えちょwwwww「当日だけど未w完w成です」とかwwwwwww有り得ないんですけどwww」
女子達は意地悪そうな笑みを浮べながら威圧的に問い掛けてくる。元々控えめな性格である簪は押され気味な様だ。最後の1人が草を生やし過ぎだが…
「…機体はもう出来ているから……後は武器だけ…」
「武器って…一番大事じゃないっ!!」
「そんな大事なのを後回しとか調子乗りすぎだし~」
「丸腰でwww戦う気wwwwwだったww? 勇者www過ぎwwwww」
「そんな……つもりじゃ…」
何が気に食わないのか3人は簪を責め立てる。
そこへ…
「おい止めろ馬鹿」
簪の元にブロントが現れた。
「ブロントさん……」
「何? 今話し中だから邪魔しないでよ」
「今の会話が唯の話と言うならお前は馬鹿すぐる。どう見てもカンザシをDisってるだけでしょ?」
「別にうち達、ディスってないですしおすし~」
「寧ろwww正論wwwwwwww言ってるww」
「幾ら正論だからって言い方ってもんがあるっしょ? あまり調子こくとリアルで痛い目を見て病院で栄養食を食べる事になる。お前らにカンザシの努力の何がわかるってんだよ?」
「はぁ? わざわざ心配して声を掛けただけだし。というか、男子が邪魔しないでくれる? ウザいんだけど?」
「うちらより貧弱とか言ってた男子が口出しする権利なんてないし~」
「男wwwwwのwww癖にwwwww生意気wwwwwwwww過ぐるww」
「お前ウザいな喧嘩売ってんのか? そういう悪口は名誉毀損で犯罪行為だからお前は死ぬ」
「と言うか、さっきから一々言ってる事分かんないし~」
「男は黙っていなさいよ!! ISを起動できたからって調子乗らないで!」
「……お前等のナメた態度を聞く事で おれの怒りが有頂天になったッ! この怒りは暫く……治まる事を知らない!!!!」
「な、何よ! 気に入らないからって暴力に走ろうっての?」
「リアルバイオレンスで解決すると言う浅はかさは愚かしい。此処はIS学園、だったらやる事は一つ、ISで決着を着けるべ」
「うはwwwwwwwwwwwwwおkwwwww!!」
「上等だし~」
「何ならお前等3人で掛かってきても良いぞ? 黄金の鉄の塊でできたナイトが性悪な小娘3人に遅れをとるはずは無い」
「なっ!?」
「ブロントさん、其れは流石に…」
ブロントの挑発に顔を真っ赤にするリーダー格の女子。
「言ってくれるじゃない。ならお望み通り3:1で無様な負け姿を曝してやるわ!!」
「叩き潰してやるし~」
「うはwwwwwみwwwwwなwwぎってwwwwwwwwwwwきwwwwwwwたwwww!!」
「後はデュエルの日程を決めるだけだな、ほむ…何時にするべか…」
「話は聞かせて貰ったわ~!!」
教室の扉がスパンッ! と開き、愛宕が現れた。
「丁度今月、14日の3限目にアリーナを借りて実習をする予定なの! その時間の一部で模擬戦をしましょう!!」
「先生!? それでいいんですか?」
「大丈夫よ~、それにブロント君が9分で決着を着けるって言ってるし時間も問題ないわ~」
「ほう、デュエルの舞台は整っているようだな。ならその日を楽しみにしておくべ」
ブロントは不適な笑みを浮べた。
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放課後
整備室
「ブロントさん……、その…大丈夫なの?」
打鉄弐式の武装であるミサイルポッド『山嵐』のチェックをしながら簪は不安そうにブロントへ問い掛ける。ブロントは本音と一緒に機体の動作に遅れが無いかチェックしている。
「1:1なら兎も角、1:3なんて無茶だよ……」
「カンザシ」
ブロントは作業の手を止めると簪の元へ行き、彼女の頭を優しく撫でた。
「あ……」
「俺を心配してくれるのは嬉しい、だが俺は彼奴等に負ける気はぜぇんぜん無いんですわ? お?」
「でも……、対複数の試合なんて公式の試合でも無いし…」
競技として使われるISは基本、個人競技か1:1の競技が基本である。複数で乱戦になる競技はキャノンボール・ファストぐらいであろう。
簪としてはヒーロー像として映ったブロントが負けてしまう姿を見たくは無かった。
「複数からの集中砲火には慣れているからな、9人でも問題にぃぞ?」
強がりの様に聞こえるかもしれないが、ブロントの言葉は真実である。シャントットの元で行われた訓練で彼は地獄すら生温い体験を嫌と言う程味わったのだ。その訓練の一つに回避訓練があったのだが、四方八方、360°を自動追尾する直径5メートル程の無数の鉄球が襲い掛かってくるモノであった。ブロントのISは全身装甲であったが1回掠っただけで装甲が凹む威力で突っ込んで来る為、死ぬ気で避けた。それはもう訓練終了後に10歳近く老けて見える位になるまで……
「ところでブロントさんの専用機ってどんなの~?」
「ほむ、見るか?」
ふと、本音がブロントに尋ねてきたので彼は別のハンガーへ向かう。
「
ブロントの呼び声に、ハンガーに白いISが現れる。
「綺麗……」
「わー、アニメに出るヒーローロボみたい~!!」
簪と本音は感嘆の声を上げる。
白色に輝く装甲に覆われたブロントの専用機『ホワイト・グリント』は唯々、美しかった。言うならば、正に騎士。
「この子がブロントさんの……」
「ほむ、Dr.シャントットの力作にして俺の愛機だべ」
「Dr.シャントットってイギリスにある『ウィンダステクノロジー』のマッドサイエンティスト?」
「ほう、彼奴をマッドサイエンティストと理解しているやつは本能的に長寿タイプ。間違っても会わない方が良い、下手したら骨になる」
「骨になるの~?」
「うむ、骨になる(リアル話)。実力は折り紙付きだが、他のステがヤバイから近付かない方が身の為。死にたくないなら関わらないべき(切実)」
ブロントの余りに真剣な顔に簪と本音はそれ以上追求する事は無かった。
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4月14日
3限目
『IS学園(ISがくえん)』 第6アリーナ 第1ピット
「ブロント君~、準備は良い?」
「大丈夫だ、問題にぃ」
どこかのフラグ的なセリフで答えながらブロントはピットに立っていた。
「ブロントさん…」
「心配にぃぞカンザシ、俺は別に強さをアッピルなどする気は無いが…」
心配そうに見つめる簪をブロントは微笑みながらその頭を撫でる。
「人の気も知らないで馬鹿にする奴を見過ごす気は全く無いべ」
そう言うとブロントは銀色のブレスレットを掲げる。
「白き閃光、
ブロントのコールと共に彼の体が光に包まれる。光が消え、ホワイト・グリントに身を包んだブロントの姿があった。
「カンザシ」
「何?」
「勝ってくる」
「!! ……うん! 頑張って!!」
簪に勝利を誓い、ブロントはアリーナへ射出された。同時に向こうからブロントに喧嘩を売った3人組、
「9分で良い」
「は?」
「おもえらと決着を付ける時間は9分で良いと言っている」
「!!? 言ってくれるじゃない!」
「専用機だからって嘗めるんじゃないしー!!」
「調子wwwwwwwwにww乗りすぎwwwwwwwwwwwww修正されるねwwww」
模擬戦開始のブザーが鳴り響くと同時に打鉄に乗った千絵が近接ブレードを構えて突っ込んできた。ブロントがその切り込みを避けると左右に展開したラファールに乗ったチルと志騎子の2人がマシンガンを撃ってきたのでそれも回避する。
「くっ、ちょこまかと飛び過ぎだし~!!」
「囲めばどうって事無いわ! あっちに回って!!」
「了wwwww解wwwwwww!!」
マシンガンで牽制しながらブロントの周囲を囲もうと動く3人に対し、ブロントはジグザグに飛行しながら弾丸を回避し、両手に突撃用ライフルを展開して1人、志騎子へターゲットを定め突撃する。
「あいつ、志騎子を狙いに定めているしっ!!」
「ちょっと志騎子!! さっさと振り切りなさいよっ!!!」
「ちょwwwww振り切れないww無理ゲー過ぐるwwwwwwwww修正されてwww」
「くぅ~、2人掛かりで撃ちまくっているのに何で当たらないのよ!?」
他2人の攻撃を避けながらブロントは志騎子のラファールを肉薄しながら確実にライフルの弾丸を敵機体に撃ち込んでいく。そして上手く壁際に追い込みながら更なる武装を展開した。
「
ブロント機の背中から発射されたミサイルが志騎子へと突き進む。
「志騎子っ、撃ち落としなさい!!」
「言われwwなくてもwwwww撃ち落とすしwww」
志騎子はマシンガンの銃口をミサイルへ向けるが、突如ミサイルは8つに分裂した。
「ちょwwwwwここで分裂とかwwwタイミングwwww悪すぎ」
志騎子が驚いたことでミサイルは彼女との距離を一気に詰め、志騎子は振り切ろうと壁沿いに逃げようとするが、追尾機能を持ったブロントのミサイルはそのまま彼女へ喰らい付き大爆発が起きる。
「志騎子!? っげぇ!!!?」
「こっちにもミサイルが来やがったし!!?」
爆煙に包まれた志騎子を確認しようとする千絵達だったが、その煙から新たなミサイルが2人に襲い掛かってきた。再び8つに分裂したミサイルはそれぞれ4つずつ別れてとんで行き、2人は迎撃しようと躍起になる。この隙にブロントはミサイルをモロに喰らった志騎子へ止めを刺すべく突貫する。
「リアルではモンクタイプ!!」
「百ww烈ww拳とかwwwwwwwwテラwww北斗wwwwwwwwぶべらぁっ!!???」
「墜ちろぉっ!!!」
両手の武装を専用のガントレットに変更したブロントは、無数の拳を志騎子に叩き込んだ。ライフルとミサイルによって削られていたSEは瞬く間に消えていき、止めとばかりの踵落としに彼女は為す術も無く撃墜するのであった。
【ラファール 内藤 志騎子機、シールドエネルギー残量0】
「まだ3分も経っていないのに内藤の奴、墜ちやがったしー!!」
「まだよ!! 挟み撃ちで仕留めるよ!!」
「合点了解だし~」
何とかミサイルを振り切った2人は態勢を整えて挟み撃ちで襲い掛かる。
ブレードで斬りかかる千絵へグラットンソードを展開し、迎え撃つ。そこへチルがチェーンソーの様な近接武器、モーターブレードを展開して背後から斬りかかろうとするが……
「下段ガードを固めた俺に隙は無かった」
「な!? 盾持ちとか聞いていないしっ!!」
ブロントは左腕にケーニッヒシールドを展開し、チルの斬撃を受け止める。挟み撃ちを防がれた事に驚く千絵をケンカキックで蹴り飛ばしながら、盾で受け止めているモーターブレードを弾き、回転による勢いを付けながら殴りつける。
「ギガトンパンチ!!」
「またパンチ~!? あばばばばばば!!!」
ブロントの雷属性の左ストレートが打ち込まれたチルは感電しながら吹き飛んでいく。アリーナのシールドに叩き付けながらも痺れて動けない彼女はそのままシールドに弾かれて落下していく。
「見ろ。見事なカウンターで返した。俺パンチング・マシンで100とか普通に出すし」
「こ、こんのぉ!!」
千絵が直ぐさま斬りかかるが、ブロントはその斬撃を急降下で回避し、右手のグラットンソードを振りかぶりながら墜落していくチルへアリーナの床すれすれを低空飛行で突っ込んでくる。
「追撃のグランドヴァイパァー!!!」
「追撃とか…有り得ないですし…ふぉぶお!!!?」
炎を纏ったグラットンソードの切り上げを喰らったチルは錐揉みしながら吹き飛び、墜落と同時にSEが0となる。
【ラファール チル ランドルフ機、シールドエネルギー0】
「ついげきのグランドヴァイパでさらにダメージは加速した。後はおもえだけだな。来いよ、タイマンでやってやる」
「くううぅぅ、嘗めるなあぁぁ!!!」
千絵は近接ブレードを、ブロントはグラットンソードを構え、激突した。
・・・・・・・・
「す、凄い……」
3人掛かりでの攻撃を物ともせず、5分足らずで2機を戦闘不能にしたブロントの姿に簪は驚愕の声を上げた。
「やっぱりブロント君なら素人3人なんて歯牙にも掛けないわね~」
「先生?」
モニターに映るブロントの姿を見ながら愛宕は納得の表情で言葉を漏らし、簪はその様子を疑問に思う。
「入学の際に彼の模擬戦を担当したのは私なの、そしてブロント君は5分足らずで私を倒したわ」
「え…、先生を!?」
「しかも今回みたいにライフルやミサイルは使わずに剣と盾だけでね」
「近接武器だけで……!!?」
「え~と、ウィンダスコーポレーションだったかしら? ブロント君、専用機を造ってくれた研究所でずっと訓練していたらしいわ。それでも1年足らずの搭乗時間で試験官を倒しちゃうんだから、彼の才能は確かね~」
モニターには千絵のマシンガンを叩き斬り追い詰めつつあるブロントの姿が映っていた。
決着は近い…
・・・・・・・・
「バラバラに引き裂いてやろうかぁ!!」
「ぐうぅぅっ(切り返せないっ、このままじゃあ…)」
「いただきぃ!!」
「あぐっ、ブレードが!?」
「これで終わりだ、ハイスラァッ!!」
「きゃあああああぁぁぁぁ!?」
ブロントが繰り出す連続の剣劇に耐えきれず、ブレードを弾かれた千絵。慌ててマシンガンを展開しようとするが、そんな隙をブロントが見逃す筈が無く、グラットンソードを振り下ろし千絵を叩き墜とした。
【打鉄 早峰 千絵機、シールドエネルギー残量0。ブロントの勝利】
「今のがリアルでなくて良かったな、リアルだったらお前はもう死んでるぞ?」
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「「「どうもすいまえんでした……」」」
「3人でなら勝てると思ってた結果がこれ。お前等、調子ぶっこき過ぎてた結果だよ?」
ブロントの前でプリ尻土下座をする3人。
「こるに懲りたら2度と調子に乗らないことだな、俺は北海道最強って言われてる。甘く見ると死ぬ」
「北海道wwwww最強とかwwwwwwwwwwww自称wwwww乙ww」
「自称じゃねーっよ! 俺は北海道の『DRAK~ダーク~』っていう喧嘩チームの頭だべ」
「だっ、『DRAK~ダーク~』!?」
「千絵、知っているし?」
「知っているも何も、北海道の暴走族やら学校の不良全てを仕切っているってニュースでも有名なチームじゃない!!」
「ちょwwwwDRAKの頭ってww1人で50人近いチンピラを叩きつぶした伝説持ちwwwww」
「ほう、経験が生きたな。俺を強いと感じてしまってるやつは本能的に長寿タイプ」
3人が唖然する中、愛宕がやって来た。
「は~い、3人共ブロント君の実力は分かったわね~? でもブロント君は本当に副代表で良いの?」
「構わにぃ。カンザシはクラス代表を立候補するつもりであったし、俺はカンザシを補佐する形で良いべ」
「そう? 残念だけど仕方ないわね~。それじゃあ授業を始めるわよ~?」
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授業終了後、
「ブロントさん!」
「カンザシか、勝ったぞ?」
「うん…、凄かった!!」
簪はまだ興奮が冷めない様子でブロントの元へ駆けてきた。
「これで文句を言う奴は消えた。カンザシは安心して対抗戦に出場して良いぞ?」
「うん…でもいいの?」
「何がだ?」
「今日の模擬戦を見て分かった……、ブロントさんは私よりも強い…」
「………」
「ブロントさんならクラス対抗戦も絶対優勝出来る、私はまだ自分の武器も使いこなせていないし……」
「だからネガは止めろと言っている! 「諦めたら其処で試合終了だよ」と言う名セリフを知らないのかよ?」
「…それって安西先生のセリフだよね?」
「ほう、知っていたか。兎に角、カンザシが頑張ろうとしている事を俺は知っている。だから俺はナイトとしてカンザシをサポートするべ」
「…私を?」
ブロントはグラットンソードだけを展開し、下に構えると簪の前に膝を折る。その姿は主に忠誠を誓う騎士の姿そのものであった。いきなりの事に簪は顔を赤くしながら戸惑う。
「ブロ……ントさん…?」
「カンザシ、おもえの目標は何だ?」
「……目標?」
「カンザシはこの学園でどうしたい?」
「私は……、お姉ちゃんに勝って認めて欲しい…」
「それだけか?」
「…え?」
「カンザシの目標は姉に認めて貰えばそれで終わりなのか?」
「!!?」
その言葉に簪は目を大きく見開いた。姉に”ある言葉”を言われてから自分は姉に勝とうと今迄、努力を重ねてきた。「姉に勝ちたい」、「自分は姉に護られるだけの存在では無い」そんな想いを胸に秘め、ひたすら、がむしゃらに頑張ってきた。
でも…
目標に辿り着いた後は?
姉に勝った後は?
護られる存在では無いと証明した後は?
私はどうするの?
「私は……」
「そこで終わりと言う浅はかさは愚かしい。「目標は次の目標への通過点」と言う名セリフを知らないのかよ?」
「……通過点?」
「カンザシは”姉に勝った後”はどうしたい?」
「勝った後…………その後……」
「姉に勝ってそれで終わりなんて、それだけじゃつまらないぞ? 目標の無い人生に未来はにい」
「……え?」
ブロントは簪の頬を優しくなぞる。
「俺はカンザシの姉を良く知らないからどれだけ強いか分からないべ、だがブリュンヒルデより強いワケでは無いだろ?」
「それは……そうだけど…」
「なら姉に勝った次は打倒ブリュンヒルデだべ」
「!? そ、それはいくらなんでも!!?」
「強くなりたいなら世界一を目指しても罰は当たらないと思うんですがねぇ?」
「でも……飛躍し過ぎだよ?」
「夢は大きく、有り得ない方が充実した人生を送れるケースがたまに良くあるらしい」
「ぷふっ、何それ?」
ブロントの妙な言葉に簪は思わず吹き出してしまう。しかし胸に溜まったナニカが消えて軽くなった気がする。
「俺はナイトとして、カンザシが目標に辿り着くのを手伝う事を誓う」
「ブロントさん……」
ブロントの真摯な表情を前に簪はその瞳を見つめる。
深紅のルビーの様な瞳に引き込まれていく様な感覚を簪は感じた。
~♪
「おおっと、チャイムが鳴ってしまったべ。早く教室へ戻るぞカンザシ」
「あ…、うん」
4限目始業のチャイムが鳴り出し、ブロントは簪を連れて駆け出す。
「ねぇ、ブロントさん」
「何か用かな?」
「ブロントさんの目標って何?」
「俺のか……」
走っている姿を教師に咎められない様に注意しながら走り、簪はブロントに尋ねる。
そんな彼は二ヤリと笑いながら答えた。
「俺はナイト、唯一ぬにの盾として護りたい人を護る事だべ」
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4月14日
朝
『IS学園(ISがくえん)』1年4組教室
何時も通り教室へ入ってくるブロント、そこへ…
「もうついたのか!」
「はやい!」
「きた!ブロントさんきた!」
「メイン副代表きた!」
「これで勝つる!」
「おおっと、何時も通り教室に入ったら大歓迎状態だった感」
昨日の模擬戦の影響か、それとも別のナニカのせいか、ブロントに悪い感情を持った生徒は1人もいなくなっていた。
「お早う、ブロントさん」
教室入り口に立つ彼に簪は微笑みながら挨拶し、
「お早う、カンザシ」
ブロントも笑顔で返すのだった。
謙虚なナイトの学園生活が始まる。
4組話これにて終了。
正直書き込みが足りない気が……
次回は砂糖警報発令します(予定)。
感想コメント、意見・質問お待ちしております。