(旧)【習作】ポケモン世界に来て適当に(ry   作:kuro

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第7話

 

 

アカギの野望消滅、そしてギンガ団壊滅よりはや2ヶ月近くが経ちました。

そして今、オレたちはある大きなイベントに参加するために、シンオウ地方のスズラン島という島にいます。

地理的にはナギサシティの北に存在している島です。

ナギサシティとこの島の間には223番水道やチャンピオンロードといった難所が存在し、並のトレーナーとポケモンが通り抜けようとすれば、間違いなくそれらが容赦なく彼らに牙をむけることとなるでしょう。

よって、ここをトレーナーとポケモンのみで乗り越えるには『最低でもシンオウ地方で8つのジムバッチを持ていなければならない』という暗黙の了解があり、それを利用して行われるのが、今回の一大イベントです。

 

あ、ちなみにこの島の名前ですが、クナシリにするかスズランにするかで激しく争った経緯があるそうです。

現実世界ではシンオウが北海道をモデルにしているため、この場所は、現実では、だいたい国後島のあたりに位置しています。

 

うん……、なんていうか笑えない。

ヒッジョーに笑えない。

 

アバガイト・ヘイシャーズみたいな方法でうまく解決できていればいいのだが、と思ったりしていたが、既にどうなっているのかなんてオレにはもうわからない。

 

 

「どうしたんですか、ユウトさん?」

「いや、なんでもないよ」

 

内心の憂慮を気取られないようにヒカリちゃんに接する。

 

「(人間の国っていうのは大変ね)」

 

尤もラルトスには全然隠せてなかったけど。

ちなみに、

 

「ヒカリちゃん! 僕は君と当たっても全力でやるからね!」

「そうだぜ! 全力でやんなかったら罰金1億円だかんな!」

 

ナナカマド博士の助手の子でもあるコウキ君に、罰金ボーイ(byアニメロケット弾)こと、ジュン君もこの場にいます。

ちなみに彼らは幼馴染なんだそうです。

そしてどうやら、あの場にいた子たちは全員この場に来ることが出来た様子。

その才能には感嘆するし、嫉妬もしてしまいそうです。

 

「(わたしたちにはいろいろあって出来なかったことよね。でも、あの頃もなんだかんだ言っても懐かしいわ)」

 

たしかに。

今ではいい思い出だ。

 

「にしても結構な人数がアソコを抜けてきたもんだな」

「そうだね。ユウトさんも出ることだし、とんでもない大会になるかもね」

 

ちなみにオレのことはこの3人には黙ってもらっています。

あんまり騒がれるのもマズイかなと思うので。

そしてここはスズラン島内にあるのスタジアムの一つなのですが、競技場内にはたくさんのトレーナーがいます。

そして競技場内には大きな電子時計がセットされていて、それが、カウントダウンしています。

競技場の入り口から外を見ると、まだまだたくさんのトレーナーとポケモンたちがいて、この競技場に向かって走ってきています。

 

『さあ、残り時間はもうまもなくです! まだこのスタジアムに辿り着いていないトレーナーの皆さんは急いで急いで!!』

 

スタジアム内のスピーカーから男性実況のマイク音声がうるさいぐらいに響き渡っています。

尤も、この放送は島全体にも流すため、ある意味仕方ないということも言えるのですが。

 

『タイムアップまで、あと! 5、4、3、2、1、タイムアッ〜〜〜〜プ! 終了です! 競技場入り口の扉が閉まりますので近くにいるトレーナーは離れてくださいね! あぶないですよ!』

 

そうして競技場の入口に鉄格子の扉が上から落とされ、競技場の中と外を完全に遮断しました。

入れなかったトレーナーたちはガックリとその場で座り込むか、鉄格子の扉にしがみつき、泣き伏しています。

尤も、彼らは係員に連れ出されて行きました。

 

『ではナギサシティよりこの島まで、ポケモンと力を合わせて、海を渡り、山あり谷あり強い野性ポケモンありの、つらく厳しいチャンピオンロードを抜けて辿り着いた強きトレーナーたちよ、ようこそ! ここがスズラン島だァ!』

 

うおぉぉぉぉ!!

 

トレーナーやポケモンたちの歓声が上がる。

 

『そしてぇぇぇぇ、ここがシンオウ地方でポケモンリーグが開催される島、スズラン島だァァァァァァァ!!』

 

うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!

 

先程よりもさらに大きな歓声が上がる。

もはやこれは様式美とすら言ってもいい。

ア○リカ横断ウルトラクイズ的なノリだ。

 

『さて、今回このスタジアムに辿り着いた猛者はなんと過去最高の200人以上! これはかつてないほどの激戦、そして波乱に満ちた大会となることでしょう!!』

 

そして最後に実況が告げる言葉——

 

 

『これよりシンオウリーグスズラン大会を開催します!』

 

 

これによりトレーナーたちのボルテージは最高潮に達した。

 

 

 

 

「へぇ、キミがヒカリちゃんっていうんだ」

「は、はじめまして!」

「ああ、そんなに硬くならなくたっていいよ。聞けばシンオウチャンピオンのシロナとだって普通に接してるんだろ? ボクにもそんな感じでお願いしたいな」

「ヒカリちゃん、あとでバトルしよーよ! ユートに師事されてたってことはバトルの腕は相当なんだよね!?」

「え!? あ、いや、その……」

「何言ってんだ、俺が先だ! なっ、ヒカリちゃん! コイツなんかより俺と先にやろうぜ!」

「ちょっとアンタ! コイツってなにさ!」

「るっせ! お前なんてコイツで十分なんだよ!」

「あによ〜〜〜!?」

「コラコラ、君たち、ヒカリちゃんが困ってるじゃないか」

 

ここはシンオウリーグスズラン大会に出場する選手のために用意された宿の一室だ。

そしてここはオレが泊まる予定の部屋になっている。

 

「ヒカリちゃんがここにいるのはまあいいさ。大会にだって出場することだし、ずっと一緒に旅をしてきたことだし」

 

でもな——

 

 

 

「おい、テメーラ!! なんでこんなところに居やがるんだ!!?」

 

 

 

自分の部屋を開けた瞬間にこの惨状を見せつけられ、オレはいつもの自分を忘れて思わず怒鳴りつけていた。

 

 

 

 

この部屋にいてはおかしな人たちを一人ずつ挙げていこう。

 

「おい、ホウエン地方チャンピオン様がなんでこんなところにいる?」

「いやだなぁ、いまさらそんな敬称で呼び合う仲じゃないじゃない、ボクたち。ダイゴでいいよ。それに言っとくけど、ボクはキミが勝手に辞めたからチャンピオンの代わりをしてるだけだし」

 

現ホウエン地方チャンピオンで、デボンコーポレーション社長の息子。

石集めが大好きな変態であるダイゴ。

 

「現カントー四天王、ワタルさんに変わり4人目を務めるはずの人間よ、リーグはどうした!?」

「やーね、今リーグはやってないし、ヒマだったし。レッドもどこにいるかわかんないし」

「だからぁ、アンタの恋人はシロガネ山にいるって言ってんだろぉ!?」

 

カントー四天王の4人目、ブルー。

彼女はFRLGの女主人公だ。

そしてレッドとはカントーチャンピオンのことで、FRLGの男主人公、サートシ君のモデルになった人だ。

ちなみにブルーさんとレッドさんは恋人同士なのだが、レッドさんは常日頃はシロガネ山にいて滅多に下山してこない。

彼女は恋人ということもあり、レッドさんに会いに行こうとしているのだが、凄まじいくらいの方向音痴なため、落ち合うことはないらしい。

一度、オレも付き添いで一緒に行ったら、オレの後ろを着いてきていたはずが、なぜか彼女だけ下山していたという、摩訶不思議な女性だ。

 

「ジョウトの四天王ってのは随分ヒマなのか? あ?」

「ハッ! ふらつき歩いてるお前に言われたくはないな。それに年上には敬語を使え、敬語を」

 

ジョウト四天王でゴールドさん(HGSSの男主人公)のライバル、シルバー。

ロケット団のボス、サカキの息子というのは公然の秘密である。

ちなみにゴールドさんもジョウトチャンピオンになったのだが、オレと同じくワタルさんにチャンピオンを任せて旅に出ている。

 

「グリーンさん、常識人のあなたがこんなところに来ていいんですか? トキワのジムは?」

「ハハハ、心配ないよ。ゴールド君とたまたま会ってね。少しの間、ジムリーダーやれって、センパイ権限で押しつけてきたんだ」

 

オイ、いいのかそんなんで。

ジムリーダーってそんな軽いもんなのか?

とまあそういうわけで、トキワジムジムリーダーのグリーンさん。

レッドさんやブルーさんのライバルで一度はカントーチャンピオンに輝いたことすらある“最強のジムリーダー”だ。

 

「まあ、ボクたちの本当の目的はさ」

「個人的にはユートのバトルを見るためっていうのもあるんだけどー」

「リーグの公人としての仕事はなぁ」

「「「(キミを)(ユートを)(てめぇを)リーグに連れ戻すこと(さ)(よ)(だ)!」」」

 

ゲッ!

マヂですか……。

 

「まあそういうことさ。それで僕たちが君を【監視】するためにここに来た、というわけだ。ちなみに今はこの4人だけだが、後からさらに何人か派遣されてくるはずだ」

 

マズイな。

今までもこういうのはあったけど、ここまで人数多くなかったし。

 

(ラルトス、あとで何とか逃げ切る算段を考えよう!)

「(わかったわ!)」

 

そんなオレを若干冷たい目で見ているヒカリちゃんにオレは気がつかなかった。

 

 

 

 

翌日

対戦の組み合わせが発表されるので、それを受け取るために宿を出たオレ。

ちなみにヒカリちゃん、ジュン君、コウキ君らは先にスタジアムに向かってます。

や、俺が寝坊して置いていかれただけなんですけどね。

 

「ラルトス、起こしてくれてもよかったじゃん」

「(ヒカリもたまには彼らいっしょにいる方がいいでしょ?)」

「……それもそうか」

 

後から聞いたんですけど、3人ともフタバタウン出身で幼馴染なんだそうです。

 

「そういえば、お前との2人きりなんて久々だなぁ」

「(そう、うん? ユウト)」

 

オレたちの歩く先に立つ1人の少年。

 

 

 

「あなたが、ユウトさん、ですね?」

 

 

 

なぜか彼はオレの名前を知っていました。

 

「まあ、そうなんだけど、君は誰かな?」

 

尤も、口ではそういうものの、オレとしてはどこかで見たことあるような気がして仕方なかったです。

 

「オレの名前はシンジと言います。トバリシティの出身です」

 

この目つきの悪いシンジと名乗った少年。

 

(ああ、なるほど)

 

思い出した。

たしかアニメのDP編でサートシ君のライバル的な扱いされてたキャラクターだっけ。

ネットだとあだ名が廃人だとか。

なんでも能力の高いポケモンは捕まえて、そうではないのは逃がすとかしていたらしい。

うん、まさにポケモン廃人だ。

 

「そうか。それでシンジ君、オレに何か用かな?」

「オレ、5回戦、つまり、予選リーグ決勝であなたと戦います」

「シンジ君、オレがまだそこまで勝つなんて決まってないよ?」

「それはありえない。ホウエン、ジョウト、ナナシマチャンピオンでカントー準チャンピオンであるあなたなら」

 

あら、そんなことを知っているということはもしかして?

 

「オレはホウエン、それからジョウトを旅してきました」

 

やっぱり。

ん?

今の言い草だとカントーはまだ旅していないのか。

 

「そこでオレは行く先々である言葉を耳にしました」

 

 

『強いポケモン、弱いポケモン。そんなの人の勝手。トレーナーなら、自分の好きなポケモンで勝てるよう努力するべき』

 

 

「オレはこれには納得がいかない。好きなポケモン? 違う! 強いポケモンでなければバトルでは勝てないんだ! だから、オレはあなたに勝って、それを証明してみせる!」

 

あ〜、なるほど。

この手の手合いは今まで何回も相手してきた。

 

「そうか。期待しているよ」

 

ゲームだったらむしろそれが正しい。

個体値を粘り、性格を粘りで(努力値なんてものは戦略の指針だから)。

実際、彼は確か育て屋をやっていた身内がいたはず。

 

「君とバトル出来るのを本当に楽しみにしているよ」

 

オレとシンジ君は180°正反対の方向に歩きだした。

 

 

 

 

ポケモンシンオウリーグスズラン大会。

試合形式は何やらベスト8までは予選リーグという形でブロックごとに分けられるらしい。

またバトルフィールドが草、水、岩、砂、ノーマル(通常)とあり、ベスト8選出までブロックごとに対戦するフィールドの順番が異なるようです(例えばAブロックは岩→草→砂→ノーマル→水となるが、Bブロックは水→砂→岩→草→ノーマルといった具合になる)。

 

ルールについては

・1対1のシングルバトル

・使用ポケモンは3体

・ポケモンの入れ替えはあり

・道具の使用はなし

と、ごくごく一般的です。

そしてベスト8から決勝リーグとなり、使用ポケモンが6体に増えること以外、予選リーグとルールは変わりません。

 

ちなみに、この世界はポケモンに道具を持たせるという概念がないらしく、気合いのタスキや拘りスカーフ、オボンの実なんて使ったら、下手したら反則を取られてしまう危険性があるため、なかなか使えなかったりします。

 

で、コウキ君たちに合流したオレは自分のブロックのトーナメント表を見比べながら、宿に戻る道程を3人で歩いていた。

ちなみにヒカリちゃんは一足お先に宿に戻っているそうです。

 

「僕はAブロック、ジュン君はEブロックで別々のブロックになったね」

「ああ。けど……なぁ」

「……そうだねぇ」

 

一つ問題があった。

いや、オレに取って言えば二つか?

 

「なんで、ユウトさんがヒカリと同じBブロックになっちゃうかなぁ」

 

そう。

罰金ボーイ、ジュン君の言うとおり、オレとヒカリちゃんは抽選の結果、同じBブロックになった。

順当にいけば予選ブロック決勝でオレと当たることになる。

 

「まあ、こればっかりはしょうがないさ。完全な運だもの」

 

教え子だからと手を抜いたら、逆にヒカリちゃんに失礼になるからやはり、全力で行く。

その辺、この2人は幼馴染だからと「ヒカリに対して手を抜いてくれ」とは言わなかった。

旅に出る前だったら、きっとそういうことも言っていただろう。

これも、ポケモンとの旅が彼らを成長させたということだろうか。

 

そしてシンジ君について。

彼は順当にいくと3回戦でヒカリちゃんと当たる。

おそらく3回戦は間違いなくヒカリちゃんVSシンジ君のバトルになる。

彼の試練はまずヒカリちゃんをクリアすることでしょう。

 

 

「そこのラルトスを連れているキミ、キミがユウトという人物で合っているかな?」

 

 

オレたちの後ろから掛かった声にオレは深くため息をついた。

振り返るとえんじ色のポンチョのようなものを羽織り、長い長髪を後ろに流して顔の左半分がその長髪で隠れている男。

 

「やれやれ、今日は千客万来だなぁ、しかも知らない人ばっかり」

 

ホントに誰だ、アンタ。

 

「ボクの名前はタクト。キミを倒す男さ」

 

タクト、タクトねぇ。

あれ、そういえば何かこの風貌と言い、名前と言い、どこかで……。

 

「キミはダークライ使いの噂を聞いたことはないかい?」

 

ダークライ使い?

いや、聞いたことはないかな。

ただ、アニメの方では心当たりが一人……。

 

「ダークライ使いってアレですか!? あの、ジム戦とかバトルの全てをダークライ1体で切り抜けたって言う!?」

 

コウキ君の言葉で完全に一致した。

そうかこいつが——

 

「そのダークライ使いとはボクのことだ」

「なんだってぇ!?」

「あのダークライ使いがあなた!?」

 

あの催眠厨にして、伝説厨ね。

 

「ボクはキミの掲げる言葉については異論があるんだ。ポケモンバトルは強いポケモンで戦えば負けない。このボクのようにね。愛情だなんだかんだ言う前に強いポケモンだ」

「それで、伝説のポケモンばかりを手持ちに入れていると?」

「そういうことだ。しかし嬉しいよ。キミが僕のことを知っていてくれてたなんて」

「オレは今すぐ忘れたいな」

「大丈夫だ、絶対忘れられなくなるよ。安心したまえ。では、4回戦で逢おう」

 

そう言って去っていくタクト。

 

「ああ、言い忘れていた。ひとつ君に忠告をしておこう」

「なんですか?」

 

 

「キミのつれてるラルトスなんかじゃあ、ボクのポケモンになんか絶対敵わない。だから、入れ替えをお勧めしとくよ。ではね」

 

 

ピキッ

 

 

辺りにそんな音が響いた。

うん、なんだ、その、問題が三つに増えたとか、そんなことはどうでもいい。

 

「(ユウト……)」

「……ああ」

 

 

オレのラルトスを——

オレの最高の相棒を侮辱するとは——

 

 

「あ、あの……ユウトさん……?」

「だ……大丈夫ですか……?」

 

正直、オレは2人の言葉なんか一切聞こえなかった。

 

いいだろう、そこまで言うのなら見せてやろう。

この世界に蔓延る派手な技の出し合いではなく、オレの世界での、

ポケモンバトルの真髄を——

オレたちの本気を——

 

そして——

 

 

(あのヤロウを——)

「(あのワカメを——)」

 

 

 

 

ブチコロス!!

 

 

 

 

 

 




①アバガイト・ヘイシャーズというのはアムール川とウスリー川が合流する付近の中露国境に存在していた、『解決不可能』と世界中から目されていた領土問題です。しかし、2004年に円満解決し、世界中に衝撃を与えました。このケースが全て丸々当てはまることはないのですが、経緯等々が北方領土問題に酷似していたため、自民政権時代(麻生外相以降)交渉が進められていました。

②アニメキャラのシンジとタクトが登場。いろいろフラグが立っています。ただ先に謝っておきます。この2人(特にタクト)のファンの皆さん、ごめんなさいm(_ _)m

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