(旧)【習作】ポケモン世界に来て適当に(ry   作:kuro

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第5話

 

 

「う……んー……」

 

誰かに揺すられている気がする。

 

「——……、——ー、——グー、アグー」

 

なんかアグーって聞こえる。

そういや、オレはどうしていたんだっけ。

あー、確かギンガ団がリッシ湖にいるアグノムを連れ出そうとしていて、それを食い止めるために、リッシ湖に来て、アグノムを無事を確認したら、でんげきはが飛んできて、それを食らって異次元に落っこちて——

 

「て、そうだよ! ヤバいじゃんオレ!」

 

事の重大さに飛び起き、周りを確認。

 

「アグー」

「ってアグノム?」

 

頭を抱えてうずくまるアグノムを見つけて抱きかかえた。

 

「(うー、痛い、ユウト)」

 

えっ?

今声が……?

 

「アグノム、まさか今のはお前が?」

「(そう、ユウト。とりあえずいきなりで痛かったから謝って)」

「え? あ、ご、ゴメン」

 

何がなにやら訳が分からなかったのだが、とりあえずオレは謝ることにした。

 

「(いい。許す)」

 

ラルトスとは違い、抑揚があまりないその声で、だんだんと冷静になってきた。

 

「そういや、なんでお前はオレの名前を知ってるんだ? それにここはいったい?」

 

その疑問を発してすぐだった。

 

「ギゴガゴーゴォー!」

 

その鳴き声と共に目の前に現れた存在。

その存在にオレは驚愕した。

 

 

 

 

「これは?」

 

オーバに足止めを頼み、走り抜けた私たち。

そこは、

 

「うぅ〜、寒い!」

 

雪が降りしきる雪原に出た。

 

「ラルトス、ここは?」

「(ここはテンガン山の奥。一年中降りしきる雪によって、ここの雪は永久に解けることはないらしいわ)」

 

つまりは万年雪ってことか。

テンガン山にこんなところがあったなんて。

私はここには来たことがなかった。

 

「(こっちよ、ついてきて)」

 

私でも少しは道がわかるかと思っていたけど、これはラルトスに頼りきりになりそうだ。

 

それにしても、

 

「ジバコイル、お願い!」

「ジBRRRRRR!」

 

こんな雪深くともポケモンはいるみたいで、今ヒカリちゃんのジバコイルがユキカブリを鎧袖一色のごとく退けていた。

 

今までレアコイルとジバコイルは、関係があるとはわかっていても、進化については謎に包まれていた。

しかし、以前ユウト君が講義の中で言っていた内容。

それがその通りの現実として起こった。

これには些か驚きを覚えた。

そして彼の知識はまだまだ奥がありそうだった。

未知の知識への渇望と彼への興味が私をさらに前へ突き動かす。

こんなところで彼を失うことは様々な意味であってはならない。

絶対にアカギに、そしてパルキアに会う。

会わなければならない。

そう新たに決意を秘めて、視界が悪い中を突き進む。

 

 

 

 

「お前はもしかして……」

 

黄色い突起物がムカデのように体の横から生えている特徴的なフォルム。

 

「……ギラティナ。ということはここは……!」

 

ギラティナがオリジンフォルムで存在し、ヒカリちゃんたちがいる世界でもないここは——

 

「やぶれた世界、ということか」

「(ギラティナがあなたをこの世界に呼んだ)」

 

お前が?といった感じで視線をギラティナに合わせると、ギラティナはコクリと頷いた。

 

「いったいなぜ?」

「(あなたにはフシギな感じを覚える。なんて言うか、この世の人間じゃないような。表の世界とこのやぶれた世界は表裏一体の世界で、どの生物もどちらかの世界に、例外なく、絶対属している。ただ、ギラティナ以外は皆表の世界にいる。だけど、あなたはそのどちらにも属していない、そんな気がして仕方がない。だからアグノムもギラティナもあなたに興味を持った)」

 

アグノムの言葉にギラティナも頷いてみせる。

 

オレの素姓に神と呼ばれることもある2体のポケモンたちがそこまで興味を抱くなら、とオレは自分のこれまでのことを話すことにした。

 

 

 

 

「(あそこよ! あの光の先にやりのはしらがあるわ!)」

 

薄暗い洞窟を抜ける中、そうしてラルトスに導かれた場所。

 

「ここが……!」

「やりのはしら、ね。確かに言い得て妙ね」

 

なるほど。

私やヒカリちゃんの両腕を回しても届かないほどの太く、そして柱の先がまるで見えない様が、恰も槍のようにと、形容させる。

それほどの長さを誇る柱。

それらが何やら、何かを囲むように特別な並び方で並ぶ。

しかも、ご丁寧にそこは祭壇のごとく、他よりも数段高くなっている。

何かを召喚するにはうってつけというわけだ。

 

「おやおや、結局アンタ達も来たのか」

「ここから先はちょぉっと通せませんわよん。通りたいならぁ、ワタクシ達を倒してからねん」

 

ギンガ団幹部のマーズにジュピター。

彼女らが最後の障壁ということね。

 

「全員行け!」

 

マーズが繰り出すはブーバーン、ゴルバット、プニャット、フーディン。

 

「こっちもよん」

 

ジュピターはエレキブル、ドータクン、スカタンク、フーディン。

 

「言っとくけど、アタシらはトレーナーってわけじゃないからね」

「1対1ぃ? なぁにそれ、おいしいのぉ?」

 

ジュピターとかってのは初めて会ったけど、なんだかイラッとくるわね。

 

「上等よ、私たちの本気、見せてあげる。行きなさい! ルカリオ、ミカルゲ、ミロカロス、ガブリアス!」

「こっちも! ポッチャマ、リザードン、エルレイド、ジバコイル!」

 

こちらもそれぞれ4体ずつにしたのは、これ以上だとそれぞれのバトルに支障をきたす恐れがあったからだ。

さて、とりあえず相手の手持ちの中で面倒そうなものは、と。

 

「エルレイド! つじぎりで相手のフーディンを沈めなさい! 他のみんなはエルレイドが邪魔されないように援護! それからエレキブルに電気技は厳禁よ!」

 

ヒカリちゃんもやはり最優先でフーディンを落とそうとしていた。

素早さと特攻が非常に高いフーディン。

その高さはイッシュを除いて493種類いるらしいポケモンの中で上から数えて10番目くらいに入るのだという。

そこから繰り出される特殊技の数々は脅威だ。

 

「ガブリアス、エルレイドを援護なさい!」

 

しかし、反面それ以外の能力が、ユウト君の言葉を借りれば『紙』だ。

一撃当てれば、ほとんど落とせる。

物理技なら特にだ。

 

「ムダよ! フーディンの素早さに勝てる奴なんかいないわ! フーディン、サイコキネシス!」

 

ユウト君の講義で初めて習った概念、種族値、個体値、性格、そして努力値。

個体値や性格についてはいまさら遅いが、努力値については木の実を食べさせて一から育てなおした。

種族値上、ガブリアスは素早さでフーディンに劣っているが、素早さに努力値を極振りしているため、

 

「なんですって! フーディンより速い!」

「今よ、ガブリアス! ドラゴンクロー!」

 

努力値の概念などを知らないフーディンの速さを抜くことは可能。

私のガブリアスはがんばりやな性格のため補正はないが、攻撃の種族値は高い上、こちらにも努力値をかなり振ってある。

しかもタイプ一致物理技のドラゴンクローなため、それを食らった紙耐久なフーディンは起き上がることはなかった。

そして、もう一方のフーディンも片方が倒されて動揺した隙をついて、エルレイドのつじぎりが決まって、地に沈んだ。

 

「ポッチャマ、ブーバーンの特性に気をつけなさい!」

「特性ばっかり目を取られてもダメよぉん、かえんほうしゃ!」

「ハイドロポンプで撃ち返しなさい!」

「なぁんですってぇ! なぁんで進化もしていないポッチャマがハイドロポンプなんて使えるのよぉ! でも、進化してないポケモンなんかの技でやられるわけがないわぁん!」

 

今まで、進化をすると技の威力が上がると信じられてきたが、ユウト君曰く、実際は能力値が大幅にアップしているからダメージが増えるだけなのだ。

そして、進化をすると自力で習得する技に対しては覚えるのに時間がかかるという欠点がある。

また、覚えたての技については十全に威力を発揮するのは難しい。

ヒカリちゃんのポッチャマはかなり前にハイドロポンプを習得していた。

そして努力値についてもきちんと学習し、振ってあるから、

 

「ブー、バーーン!」

 

タイプ一致相性有利なハイドポンプが、かえんほうしゃと拮抗することなく押し返してブーバーンを倒した。

これであと厄介そうなのは、特性が『あついしぼう』か『じゅうなん』のプニャットのみ(ドータクンは浮いていることから特性はおそらく『ふゆう』)。

 

「ミカルゲ、ルカリオ、それからエルレイド、サイコキネシス!」

「ジバコイル、じゅうりょく!」

 

エルレイドは私のことを知ってくれているので、私の指示にも従う。

そうして、身動きを封じて一か所に固めた。

 

「リザードン、準備は良い?」

「ガブリアスも大丈夫?」

 

すると、2体とも力強い返事が返ってきた。

 

「よし! リザードン、ブラストバーン!」

「ガブリアスはだいもんじ!」

 

力をためた状態のブラストバーンにだいもんじ。

それらが、じゅうりょく下(命中率が1.66倍上昇)で、かつ、サイコキネシスで身動きを封じられている相手のポケモンたちにクリーンヒット。

プニャットを残して全員が戦闘不能になった。

どうやらプニャットは『あついしぼう』の方だったようで、まだ、かろうじて立っている状態だった。

 

「とどめよ! ジバコイル、ラスターカノン!」

 

そこに容赦なく、ジバコイルのその高い特攻からのタイプ一致特殊技のラスターカノンが突き刺さり、プニャットは倒れ伏した。

 

「ほう、なかなかやるではないか」

 

不意に、上から掛けられた声。

そこを見ると

 

「アカギ!」

 

ギンガ団ボスのアカギだった。

アカギの周りにはユクシー、エムリットが浮かんでいた。

だが、その2体は目が正気ではなく、何やら操られているような感じであった。

 

「アカギ様!」

「申し訳ありませんです」

「お前たちは下がっていろ」

「「ハイ……」」

 

気落ちした様子の2人を冷たい目で以って下がらせると、私たちに向き直る。

 

「なにはともあれ、ようこそ、お二人さん」

「あんた、ユクシーやエムリットに何をしたのよ!?」

「なに、わたしの野望、新たなる宇宙の創世に必要なことをしたまでだ。安心したまえ、命までは取らない」

「そういうことを言ってるんじゃないわよ!」

「まあ、ここで不毛な言い合いをしても仕方あるまい。私と君たちとは決して交わることはない平行線なのだ。さて、せっかくここまで来たんだ。キミたちにもイイモノを見せてあげよう」

 

そうして彼はやりはしらの中心に供えられたしらたま、こんごうだまに手をかざし始めた。

 




ヒカリのリザードンのブラストバーンは主人公君に教わりました。

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