(旧)【習作】ポケモン世界に来て適当に(ry   作:kuro

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レベル? アニメと合体だからいいんです(キリッ


第2話 新しい仲間

 

 

「さて! 十分休息もとったし、そろそろ行こうか」

「はい! わかりました!」

 

片付けも済まし、肩掛けのショルダーバックのショルダーストラップを右肩に掛ける。

 

「ラルー」

「ん? あれは?」

 

ユウトさんのラルトスが何かを見つけたらしく、ユウトさんもそこに何かを見つけたらしく、そんな声をあげたので、わたしも其方のほうに視線を向けてみた。

何やら川の流れとは別の水飛沫がバシャバシャと上がり、水色のブロッコリーのような、何か房のようなものが水面に見え隠れする。

そしてそれはバシャンと一際大きな水飛沫が跳ね上がると、そにのブロッコリーのようなものを持つ何かが岸に上がってきた。

飛び出してきたのは——

 

「ヒヤッ、ヒユァ」

 

水色の、サルみたいなポケモン(ちなみにブロッコリーは頭部についていた)。

それがちょうど川から岸辺に這い上がってきた。

 

「へぇ、こんなところで野生のヒヤップとは珍しいな」

「ヒヤップ?」

「アララギ博士から図鑑貰ってるでしょ? 開いてみ」

 

あっと、いけない!

初めてのポケモンを見かけたらとにかく図鑑を開くっていうことを忘れてた。

 

『ヒヤップ みずかけポケモン

 頭の房に貯めた水は栄養たっぷり。植物にかけると大きく育つ。また乾燥した環境に弱いので、その水を尻尾からまいて周りを湿らせることがある。』

 

「ということはやっぱり水タイプなんですかね?」

「そうだな。ついでにいえば、ヒヤップはヤグルマの森にわずかにしか生息していない、珍しいポケモンなんだ」

「そうなんですか! よーし! ゲットしよ!」

 

結局旅に出てまだ1体も捕まえていない。

ここらでそろそろゲットしておきたいし、そんなに珍しいならなおさらといったところ。

身体の左側に来ているバックを勢いよく跳ねのけ、背中側に押しやった。

 

「ゲットの基本は大丈夫だよね?」

「バトルしてある程度ポケモンを消耗させてからモンスターボールを投げる、ですよね?」

 

ポケモンはモンスターボールというボールを使って捕まえるが、捕まえるポケモンが元気なままだと抵抗が激しくてボールから出てしまうことがある。

だから、バトルして相手の体力を消耗させるのだ。

 

「うん、その通り。じゃあ頑張ってみ」

「はい! いくよ、ラルトス!」

「ルー!」

 

するとヒヤップの方もこっちに気がついたみたい。

1対1で正々堂々!

 

「ラルトス、まずは先手必勝よ! でんげきは!」

「ラルーー!」

 

水は電気に弱い。

ということで、電気タイプのでんげきはをチョイスしたんだけど——

 

「ヒィィユァアアッップ!」

「いぃっ!? うそぉ!?」

 

ヒヤップはみずでっぽうのような技で応戦した。

ただ、どう見てもあれは“みずでっぽう”などといった威力なんかではない。

 

「おお! あのヒヤップハイドロポンプが使えるのか!? すごいな!」

 

わたしがゲットすると宣言していたから、ユウトさんは観戦をしている。

ていうか、やっぱりアレ、みずでっぽうなんかじゃなかったのね。

で、ユウトさんは感心しているっぽいけどわたしはそんなことをしている暇はない。

アレは避けないとマズイ。

でんげきははすっかり押し負けている。

 

「ラルトス、避けなさい!」

「ラ、ラル!」

 

ほっ。

なんとか間一髪回避。

でも、避けたところは木々の枝の数々は折れ、地面は抉りかえっている。

威力的にも相当高い。

さてどうしよう……。

おそらく今のラルトスで一番強い技だろうでんげきはは押し潰された。

10万ボルトはまだ覚えていない。

とすると、あのヒヤップに効果的な技が見当たらない。

つまりあのヒヤップにダメージは与えられそうにない……。

コレ、けっこうヤバいよね?

 

「トウコちゃん!」

 

そこにユウトさんの声が耳に届いた。

 

「ポケモンバトルは、何も真正面から力技でぶつかっていかなきゃならないわけではないんだ! 特にラルトスなら、そればっかりではなおさらダメだ! 搦め手でいこう!」

「搦め手って……いったいどうすればいいんですか!?」

 

ユウトさんの言う搦め手……はっきり言ってなにをどうすればいいのか全然思い浮かばなかった。

 

「まずはかなしばりだ!」

 

かなしばり?

いったいそれって……?

 

「早く!」

「は、はい! ラルトス、かなしばりよ!」

「ラル!」

 

すると前髪らしき(?)部分で隠れているラルトスの目がカッと光った。

 

「ヒヤッ?」

 

一瞬その眼光にヒヤップはビクッとしたようだが、すぐさま元の調子に戻る。

 

「ヒィィユァアアッップ!」

 

そしてまたハイドロポンプを発射しようとする。

 

 

「ヒヤッ!?!?」

 

 

だけどハイドロポンプが発動することはなかった。

 

「えっ? な、なんで?」

「ラルー?」

 

ヒヤップ当人はもちろん、わたしたちも混乱していた中で、

 

「落ち着いて、トウコちゃん。かなしばりは直前に出した相手の技を封じる効果があるんだ」

 

ユウトさんたちだけは冷静だった。

 

「今度はこごえるかぜからのメロメロ!」

「は、はい!」

 

ユウトさんに言われるがまま、ラルトスに指示する。

ラルトスが放ったこごえるかぜにメロメロ。

こごえるかぜは冷気の風による攻撃みたいで、見た目と技名からおそらく氷タイプなのかな。

でも水タイプに氷タイプの技って相性が悪いと思ったけど……。

そしてメロメロ。

ラルトスがウインクをするとピンクのハートが発生して、それがヒヤップに向かって飛んでいく。

あまり速いスピードではなかったのに、なぜかそのまま命中(そういえばヒヤップのスピードが落ちていたような?)。

ヒヤップの両目はピンクのハート型に変わり、頬に紅が差し、顔が赤らんでいる。

メロメロ成功のようだった。

 

「よし、いいぞ! 今度はシャドーボール!」

「ラルトス、シャドーボール!」

「ラー、ルッ!」

 

ラルトスはほんの僅かに、溜めの動作を行った後、黒紫色をした球体状のエネルギー体であるシャドーボールをヒヤップに向かって発射する。

メロメロによってフラフラしているヒヤップは避けること叶わず、そのまま命中。

 

「最後にでんげきはだ!」

「でんげきはよ!」

「ルッ! ルーッ!」

 

さっきはなんなく押し退けられたでんげきは。

でも、今度はそれを撃墜するものは何もない。

 

「ヒヤヤヤヤヤヤヤヤヤヤヤヤヤ!」

 

今度は、水タイプのヒヤップに効果的な電気技を当てることが出来た。

でんげきはの直撃を受け、びりびりと痺れているみたい。

 

「ヒヤ〜〜……」

 

ヒヤップはどうやら今のでメロメロとはまた違うフラフラ状態に陥った。

ところどころに痣が見受けられ、焼け焦げ、そして目はグルグルと回している。

 

「ヒ、ヤ〜……」

 

そのままボテッと倒れた。

どうやらダウン寸前みたい。

 

「今がチャンスだ、トウコちゃん!」

 

“なにが”とは言わない。

もうここまでくればユウトさんが何が言いたいのかもわかる!

わたしは既にバックからあるものを取り出していた。

それは赤と白のツートンカラーのまるい球体状のボールで、大きさはピンポン玉よりもやや小さい部類のもの。

真ん中の部分には白いボタンが付いている。

それを押し込むと、大きさが手のひらよりやや大きく、すべてが手のひらには収まらない程度の大きさにまで膨れ上がった。

 

「いけぇっ、モンスターボール!!」

 

サイドスロー気味に、最先端科学技術が詰まったそれを目標に向かって投げつける。

それは自身に回転を加えながら突き進み、そしてダウン寸前のヒヤップについに命中。

するとボールが勝手に口を大きく開き、赤いレーザー光のような光とともにヒヤップをその開けた大口の中に取り込んだ。

ボールは地面に落下、小刻みに揺れる。

また、その揺れに連動するかのようにボタンの部分も赤く点滅する。

それが5秒、いや10秒くらい続いたのか。

たかが、5秒10秒。

でも、わたしにとってはそれが1時間にも2時間に持感じられたような長さだった。

そして赤の点滅が「ポッオン!」という音と共に消える。

それと同時に揺れも収まった。

わたしはただただ呆然としていた。

その意味は知っていても、理解出来ていても、実感がわかなかったから。

 

「ラル!」

 

ラルトスが嬉しそうにわたしの胸に飛び込んでくる。

 

「やったな、トウコちゃん! おめでとう!」

「ラルラル」

 

ユウトさんと彼のラルトスもわたしをお祝いしてくれた。

わたしはラルトスを抱えたまま、ボールの佇む場所へと歩く。

しゃがむ。

拾う。

立ち上がる。

右手には今までとは違うズッシリとした感覚広がる。

いや、モンスターボールの重さ自体は変わらない。

そのはずなんだけど、わたしにはとても重く感じた。

するとジワーッと背筋を駆け上がるなにか。

心地よい感触。

それがいつのまにか全身に廻(めぐ)り廻(めぐ)っていた。

 

 

「いやったーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

 

 

よろこびが爆発した。

 

 

「ヒヤップ、ゲットだぜぃ!!」

 

 

 

■□■□

 

 

 

「おめでとう、トウコちゃん。ホント、よくやったよ」

「あ、ありがとうございます」

 

今目の前にいるトウコちゃんは先程のヒヤップを捕まえて全身を使って喜びを表していたときとは異なっている。

具体的には、初ゲットの喜びはもちろん大勢を占めているが、その中にわずかにやや微妙な感情が見て取れる。

 

「トウコちゃん、最初から誰でもうまく出来るわけじゃないんだ。今は初ゲットできたことだけでも十分。反省すべき点があっても今は脇に置いておこう」

「はい……」

 

まあ、自分のポケモンなのに自分ではない他人の方が上手く扱えていたら、ある意味こうなってしまうのも仕方がない……のか?

んー、でも、オレと今の彼女じゃキャリアも知識も全然違うからなぁ。

比べられて、逆にオレに彼女が比肩されてたら、それはそれでオレが傷つくし、オレがヘタレすぎだし。

彼女の向上思考というよりもプライド(?)が許さないのかな。

 

「ラルー、ラルー」

「ありがとう、ラルトス。でも、ごめんね。わたしもっと頑張るからね」

 

ラルトスが、見兼ねてか、彼女の肩をポンポンと叩いている。

……うん。

やっぱりさすが主人公なだけあるかな。

ダメな人はさっきのバトルで自分ではなくポケモンを責める。

実際に言えば、ポケモンの方でももっと強ければ技を押し切られるなんてことはなかった、という見方も出来る。

ポケモンの方にも非はあるといえばあるとはいえ、彼女はポケモンではなく自分自身を悔やんでいる。

悔やむということはそれを省みて、直すべきところは直し、向上していこうという意志の表れでもある。

もし、ここで彼女がポケモンを責めていれば、彼女には才能もなく、また“ポケモンと共にいる”ために必要な、ポケモンとの信頼関係も生まれない。

 

(やっぱり主人公は主人公か)

 

ゲームとは全然違う。

ゲームはプレイヤーが動かしているから。

しかし、ここは現実。

現実にいくらゲームの主人公と似ているキャラがいるからといって、果たしてそのキャラゲームのキャラと同格であるということは一切ない。

ないはずだが、実際にはなるのに必要なモノは持ち合わせている——

 

「ねぇ、トウコちゃん?」

「はい?」

 

強いポケモン、弱いポケモン、そんなの人の勝手。

トレーナーなら、自分の好きなポケモンで勝てるよう頑張るべき。

 

「あ、その言葉知ってます。いい言葉ですよね。わたし、初めて聞いたとき感激しちゃいましたよ、なんて奥が深い言葉だろうなぁって」

「そう」

 

——いいね。

なら、オレはこの子を今までよりも遥か高みにまで至らせようかな——

 

ゲーム通りの、まさに英雄に相応しい存在——

尤もまだ候補止まりだけどね。

 

 

 




すみません。なんだか中途半端なところで終わっている感じなのですが、2話は終了です。

そしてトウコは2匹目ゲット。彼女は、イッシュリーグ後まで、ラルトス以外はイッシュ縛りでいこうかなと考えているので、水タイプは貴重です。初心者なので、バトルもこの具合がちょうど良いかと。

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