(旧)【習作】ポケモン世界に来て適当に(ry   作:kuro

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『積み技(変化技)ってすごく大事だよね?』
これが今話のテーマです。アイデアを提供していただいたKI様、沢庵様、ありがとうございました。


外伝20 雨乞い祭り とあるモブの立場から

 

 

【タテワクタウン雨乞い祭り記念 雨乞いバトル大会!!】

 

 毎年恒例となりつつあるこの大会。今回も開催しますよ!

 エントリーはタテワク広場にて○月○日○時まで随時受付中!

 さあ、キミもエントリーして豪華商品をゲット!

 明日のポケモンマスターはキミだ!!

 

 

《大会ルール》

本大会のルールについて

・エントリー出来るポケモンは6体まで。

・その中から2体を選択しての2vs2シングルバトルです。

・準決勝からは3体を選択しての3VS3シングルバトルとなります。

基本はバトルタワーやバトルサブウェイと同一ルール(道具を持たせることは許可、ただし、重複は不許可。またポケモンの重複も認めないetc)

 

ただ一点、

 

【フィールドは常に雨が降っている状態であり、雨を止ませた段階で、止ませた方のトレーナーの負けとなる】

 

この大会にはこのルールが存在します。

この点に関しては十二分に注意して大会をお楽しみください。

 

 

タテワクタウン雨乞い祭り記念 雨乞いバトル大会実行委員会

 

 

〜大会宣伝のチラシより一部を抜粋〜

 

 

 

 

『さあ、このバトル大会もフィールド内は雨が降り気温も若干低下する一方、バトルに臨むトレーナー、ポケモン、そして観客席の熱気はどんどんと高まっています! では次のバトルに参りましょう! まずは赤コーナーはイッシュ地方シッポウシティ出身アッシュ選手です!』

 

うわっ、結構人多いな。

だって会場いっぱいに人が入ってるし。

ま、ちょっと緊張するけど、どうせポケモンリーグに出ればここより遥かにデカい会場にいっぱいの観客の中でバトルするわけだから、いずれオイラの花道を飾るための予行演習と思えばちょうどいいわけだ。

 

「続いて青コーナー、記録によれば初めてのイッシュ以外の地方から参戦してくれました! ホウエン地方ミシロタウン出身ユウキ選手!」

 

なんか頭が真っ白な人が出てきました。

つか白髪?

しかもホウエンとか田舎だろ?

お上りさんには都会人の情けで負けてあげるより、現実は斯くも厳しいということを理解させるべきでしょ。

 

『では、バトルスタート!』

 

ということで

 

「いけ! ダゲキ!」

 

気合いと根性でガンガン押しまくってやるぜ!

 

 

 

 

 

 

なんで

 

なんでだよ

 

なんでなんだよ!

 

「ダゲキ! もう一度からてチョップだ!」

「ダゲキッ!」

 

「デンリュウ、コットンガードとリフレクターはもう十分だ。なきごえでもしておこうか」

「リュウ。デン、リュ〜!」

 

相手は余裕綽々、逆にこちらは焦りばかり募る。

なぜかっていうと——

 

「リュウ♪」

「デンリュウ、大丈夫だよな」

「リュウリュウ」

「念のための確認だ」

 

オイラのダゲキの攻撃は間違いなくデンリュウにヒットした。

だけど——

 

——どうして相手のデンリュウには効果がないんだ!

 

「あ〜、さっきから見てるとむやみやたらに攻撃の指示ばかりしているようだけど、ポケモンバトルってそれだけではダメなんだよ」

「なんだと!?」

「それに今のきみのダゲキの状態を理解しているかい?」

 

白髪の言うとおり、注意深くダゲキを見てみると、

 

「ダ、ダギッ……!」

 

動きが何だかカクカク(?)していて、常日頃の状態に比べると少し精彩が欠けているようにも感じる……?

 

「このポケモンの名前は知っているかい?」

「デンリュウだろ、電気タイプの?」

「なら、デンリュウの特性は? 覚えられる技は? デンリュウは能力的にどういうことが得意で何が不得意なのか知っているかい?」

「そ、それは……」

 

く、悔しいけど、あの白髪の言うとおり、オイラはそんなこと全然知らない……。

 

「まあ、ここでデンリュウの解説を細かくしても仕方ないが、一部だけ。デンリュウは電気タイプのポケモンで素早さは低いが、耐久力はそこそこあるポケモン。そしてコットンガードは物理防御を大幅に上げる技で、リフレクターは物理攻撃のダメージを半減させる技、なきごえは相手の物理攻撃力を下げる技だ。ダゲキは能力的に物理攻撃が非常に得意だが、コットンガードとリフレクターで防御が限界まで上がり、加えてなきごえで攻撃力を下げられては、攻撃力が非常に高いダゲキといえど、ダメージは稼げない。ここできみはその状態に構わず、デンリュウに接触するような攻撃の指示をダゲキにし続けた。ところでぼくのデンリュウの特性は“せいでんき”。効果は接触攻撃をしてきた相手を一定の確率で麻痺状態にすること。あれだけ何度も触れられればそりゃあデンリュウの特性も発動する。つまり、きみのダゲキはぼくのデンリュウにほとんどダメージを与えることが出来ず、逆に“せいでんき”で麻痺状態に陥ってしまったということさ」

 

な、なんだよそれ……。

そんなこと……。

 

「2度目だけど、ポケモンバトルはただただ闇雲に攻撃ばかりしてもダメなんだ。ポケモンの様々なことをトレーナー自身がよく知り、理解すること。そしてそれに見合った戦略をトレーナーが組み立てて、それを遂行出来るようにバトルの流れの舵を取ること。もちろんトレーナーとポケモンの息の合った連携とポケモンのレベルも必要なことだけど、これができなければこの先勝ち上がっていくことはかなり厳しいということを理解しなければならない。さて、仕上げだ、デンリュウ」

 

——かみなり

 

オイラのダゲキはその一撃を麻痺で避けきることが出来ずにクリーンヒット。

 

 

『これはすごい! ユウキ選手のデンリュウが圧倒的強さを見せつけ、アッシュ選手のダゲキを一撃の下にダウンさせました! ダゲキ、戦闘不能です!』

 

 

 

 

「確かにアンタの言うとおりなのかもしれない。でも、勝負は最後まで何があるかわからないし、最後まで諦める気もオイラにはない! 絶対アンタに勝ってみせる! 頼むぞ、行け! ハーデリア!」

「バウッ!」

 

オイラが2番目にゲットしたポケモン、ヨーテリーの進化系。

ダゲキと並んで最も頼りにしている一匹。

ただ、ああは言ったけど、勝てない可能性が正直高えと思う。

けど、ここで勝てなくたって一矢は報いてみせる!

 

「ハーデリア、かたきうちだ!」

 

これは直前に自分のポケモンが倒されていたときには、威力が大幅に上がる技。

その驚異はアロエさんにこれをやられたときに実感した。

これなら、いくらあのデンリュウでも——

 

「リュ、リュウ!」

「んっ、そこそこいいダメージだったか」

 

ちっ、倒すまでにはいたらなかったか。

ていうかあのデンリュウどんだけ堅いんだよ!?

こっちは以前これでダゲキが一撃でダウンしたってのに!

 

「デンリュウ、ボルトチェンジ!」

「避けろ、ハーデリア!」

 

だけど、ハーデリアがデンリュウにかたきうちを決めた直後ということもあり、ボルトチェンジは避けられず。

デンリュウは発光する玉のような形になってハーデリアに一撃を加えた後、モンスターボールに戻っていった。

 

 

 

 

「デンリュウ、ありがとう。ゆっくり休んでくれな」

 

 

白髪はボールに戻ったデンリュウに労を労っている。

さて、次はどんなポケモンが出てくるのか。

ボルトチェンジは相手に一撃をくらわす代わりにこちらのポケモンを強制的に交代させる電気タイプの技。

以前ヒウンジムジムリーダーのアーティさんがとんぼがえりを使っていたのをバトルで見たことがあるが、それの電気タイプ版がこれだと教えてもらったことがある。

あんなつええデンリュウが出てきたわけだから、次のポケモンも相当強いに違いない。

正直ジムリーダーなんかよりよっぽど強いのかもしれない。

 

「よし! 次はお前だ、いけ!」

 

そして投げられたモンスターボールからは、

 

「フニャァァウ!」

 

『ユウキ選手、デンリュウのボルトチェンジによってフィールドに現れたポケモンはレパルダスです!』

 

レパルダス。

確かタイプは悪タイプでチョロネコの進化形だったよな。

ていうか、ダゲキだったら相性有利だったのに……!

オイラが交換してダゲキを温存しておいたらよかったのにな。

ちっ。

オイラがもっともっとよく考えておけば……。

 

「さあ、いくぞ、レパルダス!」

「フニャァァウ!」

 

おっと、そんなのは後で考えよう。

ええと、そうだな。

 

「ハーデリア、ふるいたてるだ!」

「バウッ? バウッバウッ」

 

ハーデリアは『えっ?』といった感じで振り向いたけど、オイラが頷くとその命令が間違いではなかったとばかりに頷き、自身をふるいたてる。

たしかこの技で自分の攻撃力を上げることが出来るってサンヨウジムの三つ子ジムリーダーに教わったから、これでハーデリアはさらに強くなったはずだ。

 

「レパルダス、みがわりからのいばるだ」

「フッ! フ、ニャァァァァァァウ」

「バウ? !! バウッバウッバウッバウッバウッバウッ!!」

「お、おい! ハーデリア、落ちつけって! なにやってんだよ!」

 

あのレパルダスがいばるをやってくれたおかげで、急にハーデリアが怒り出した。

 

「バウッバウッバウッバウッバウッバウッ!!」

「ああ、くそっ! いいから、落ちつけ! 落ちつくんだ、ハーデリア!」

 

ハーデリアは勝手に攻撃しだすが、怒りで我を忘れたその攻撃にレパルダスは当たってくれず、逆にハーデリアは自滅ダメージを負う。

 

「バウ、バウゥゥゥゥ!」

 

それが余計気に入らないらしく、またまた頭に血が上ってしまうという悪循環に達しているようだった。

 

「とどめだ! レパルダス、イカサマ!」

 

レパルダスが素早くハーデリアに接近してその前足で一撃をくらわした。

というかイカサマ?

なんぞそれ?

というかあんな猫キックのような軽そうな技でハーデリアが負けるはずが——

 

「バ……バウ……」

 

って、んな……。

 

『決まりました! ハーデリア戦闘不能です! このバトルはホウエン地方ミシロタウン出身ユウキ選手の勝利です! ユウキ選手、2回戦進出決定!』

 

アホな……!

 

 

 

 

「ああ、いたいた」

 

ボーっと試合を眺めていたときに、横からそんな声が聞こえた。

 

「あんた、さっきの」

 

オイラとバトルした白髪だった。

 

「なにしに来たんだ?」

 

正直今は関わりを持ちたくはない。

早くどっかに言ってくれとも思ってる。

 

「いやさ、正直ぼくとのバトルで何を感じたのか、それを聞きたくてね」

 

何を感じたか?

アンタとの圧倒的な格差を感じたってところか。

 

「ぼくの感じたこととしてはきみはこれからもっともっと強くなることが出来ると思う」

 

いや、それをアンタに言われてもね。

オイラが今までやってきたことはアンタに全否定されたわけだし。

 

『さあ、続いて次の試合です! ——』

 

「まあ、言いたいこともいろいろあるだろうけど、この試合を見ながら聞いてよ。この試合はものすごい見所のある試合になるはずだ」

 

んー、見所ねぇ。

全然知らないトレーナー同士の対戦だけど。

強いて言うなら、片方が“全国チャンピオン”って人と同じ名前なだけか。

あ、それとラルトスを連れてる。

まあ、偶然かな。

“全国チャンピオン”はなかなか行方がつかめないことで有名だし、第一顔も違うし。

それにそんな人がこんなところの大会に出てるとは思えないし。

と、思ってたんだけど、この白髪が言うんだからきっと何かすごいことが起こるんじゃないか、とも思ったりする。

 

『両者1体目のポケモンが出揃いました! シューティー選手のポケモンはプルリル、ユウト選手のポケモンはドレディアです! しかし、シューティー選手はいきなり苦しいタイプに当たりましたが、はたしてどのような立ち回りを見せてくれるのか! 期待したいところです!』

 

「戻れ、プルリル! ゆけっ、ハトーボー!」

「ドレディア、ちょうのまい!」

 

『シューティー選手、プルリルを戻して、相性有利なハトーボーに交換しました! 一方ユウト選手はドレディアでちょうのまいを選択! これは今やドレディアを代表する超有名なあのコンボに繋がる布石でしょうか!?』

 

ドレディアを代表するコンボというのは、ちょうのまい→はなびらのまいと繋げるコンビネーション技のことで、“全国チャンピオン”がポケモンリーグで初披露して、その美しさと強力さから一気に浸透した。

以後、ドレディアの使い手は皆この技を覚えさせているらしい。

 

「特性“マイペース(混乱しない)”なら混乱のデメリットなしで使えるしね」

「でも、飛行タイプ相手じゃあ、ドレディアは交換するしかないんじゃないか?」

「……本当にずいぶんと変わったみたいだね」

「そりゃあ、さっきイヤっていうほど痛感したし。ダゲキ温存しとけば、レパルダスは何とかなったかもしれないって思ったし。だから、交換だって考える」

「うん、まあそうだね。ただ、草だから飛行には弱いって頭から考えてそこで思考停止してしまうと手痛いしっぺ返しを食らうこともある」

 

そうこうしているうちに、ドレディアのコンボを完成させまいと、ハトーボーのエアスラッシュが決まる——

 

「ってなんでほとんど効いてないんだよ!?」

「エアスラッシュはタイプ一致といえど、特殊技でハトーボーはそんなに特攻は高くない。加えて、ちょうのまいは特攻特防素早さが1段階上がる技だから大したダメージにはならなかったわけだ」

 

……ごめん、なんか解説してくれてるみたいだけど、なにを言ってるのかサッパリわかんねぇ。

特殊技ってなに?

特防ってなんだよ?

 

「それにちょうのまいのおかげで素早さも上がってきてるから、だんだん外れるようになってきた」

 

見てるとたしかにエアスラッシュの風の刃がドレディアに向けて放たれるのだが、当たる直前で悠々と避け始めるようになってきた。

 

「チッ! ならば、ハトーボー! 今度はかぜおこしだ!」

「ドレディア、つるぎのまい!」

 

かぜおこしはエアスラッシュのように点での攻撃ではなく、どちらかというと面に近い攻撃なため、ハトーボーの起こしたそのかぜおこしが、雨露を伴ってドレディアに襲いかかる。

 

『ハトーボーのかぜおこしがドレディアを襲っています! しかし! 効果抜群であるはずにもかかわらず、ドレディアは平然としております! まったくと言っていいほど効いておりません! 一方、ドレディアの方はそのかぜおこしの中でつるぎのまいで力強く舞っております!』

 

「かぜおこしはエアスラッシュと同じで特殊技。しかも威力的にはエアスラッシュよりも低い。これでは特防の上がったドレディアにダメージは見込めないね。しかし、つるぎのまいとは……。いったい何を狙っているんだ?」

「どういうことだ? 確かつるぎのまいって攻撃力が相当増す技だから別にいいんじゃね?」

「上がるのは攻撃の方だ。攻撃が2段階上がる技」

 

は?

それになんか違いがあんのか?

それから段階ってなによ、段階って?

 

「ドレディアはその特攻の高さから、特殊アタッカーで生かすのが一番いい。攻撃を上げてもあまりそれを生かせる技は覚えないんだ。だから、彼の狙いがわからない」

 

相変わらずサッパリわからん解説ご苦労。

理解の範疇から完全に逸脱してるわ。

そして試合が大きく動いたのはこのときだった。

 

 

「決めろ、ドレディア! しぜんのめぐみだ!」

 

 

 

 

……その会場内で理解出来たのはほとんどいないだろうな。

 

「なるほど! その手は考えつかなかった!」

 

隣りのヤツは除いてな。

 

『あ、え、ハ、ハトーボー、戦闘不能です!』

 

実況が目を回して地に倒れ伏すハトーボーに判定を下す。

ただ、実況の人も何が起こったのかわからなかったようなので、半ばまだキョトンとしていたりする。

 

「ちょっと待て! アンタ、いったいなにをしたんだ!?」

 

まあ、そうなるわな。

オイラもわからん。

 

「しぜんのめぐみ」

「しぜんのめぐみ?」

「そう。れっきとしたポケモンの技だ」

「な、なんだと!? なんだよ、それは!?」

「しぜんのめぐみはポケモンが持っている木の実によって、タイプ・技の威力が変動するノーマルタイプの物理攻撃技。使った木の実は当然消失する。で、持たせていた木の実はミクルの実。この場合、しぜんのめぐみはノーマルタイプだが、岩タイプとしての物理攻撃技になる。岩タイプは飛行タイプに効果抜群。おまけに火力はつるぎのまいを積んで2〜3倍。防御やHPがどちらかといえば高くはないハトーボーなら、しんかのきせきでも持たせていなければ、これで落ちるのは必然だよね」

 

……どう感想を言やあいいのかわかんねぇが、とりあえず、なんかいろいろすごいのはよくわかった。

いや、しぜんのめぐみっつう技に関してはわかったけど、それ以外はなんだか「はぁ……」という感じだ。

 

「今のを聞いてどう思った?」

「いや、どうって」

「『飛行タイプ相手に草タイプでは、交換するしかない』。たしかに普通ならそうだろうね。けどもそうならない場合もある。この結果になったのはドレディアに指示するトレーナーの戦略がうまくいったからだ。さっきのぼくがやった『いばる→イカサマ』もそうさ。あれは相手の攻撃を利用してダメージを与えるイカサマの特徴を生かして、いばるとのコンボとして使ったといった感じかな。まあ、こんな感じに戦略を立てるには、技、タイプ、特性、得意不得意なこと、性格、個性といったポケモンのあらゆる知識が必要だ。逆にそれさえ修められれば、きみときみのポケモンの実力は数段以上上のランクに上がるはずだ」

「……なんだかそう言ってくれるのはありがたいが、なんだってアンタそこまでオイラに言ってくれるんだ?」

 

正直ほんの少し前に出会ったばかりだぞ。

 

「見込みというか、きみには才能を感じるから、かな。きみがさっきのバトルでハーデリアにふるいたてるを指示したとき、ハーデリアが不思議そうに振り返っていた。これってハーデリアが「えっ、その指示でいいの?」って驚いたからじゃないかな。おそらくは、『攻撃は最大の防御』とばかりに攻めて攻めて攻めまくるスタイルを変えてまで、きみはさっきのバトルで、なんの他人からの助言なしに自力で、ふるいたてるという変化技を使った。つまり、頭も柔らかく、その気になれば自分自身で臨機応変な対処も可能と。ポケモンバトルは想定外のことが起こることなんかはザラだ。そのときにいかに対処して見せるのか」

 

——そんなダイヤの原石みたいなきみを見かけたら将来が楽しみじゃない?

 

うん。

そこまで言われるとちょっと気恥ずかしいけど、嬉しいじゃないか。

 

こんなつえぇヤツがこんなオイラにここまで目を掛けてくれるなんて。

 

「なぁ」

「ん?」

 

これだけはキメといてやる——!

 

「ゼッテェ、アンタのいるその高みまで上り詰めてやる。首を洗って待っていやがれ」

 

「ああ。楽しみにしているさ」

 

 

 

ちなみに試合は

 

『プルリル、なんとかドレディアのはなびらのまいを避けようと必死でしたが、ついに直撃! これは耐え切れません! ダウンです! プルリル、戦闘不能! これにより、ホウエン地方ハジツゲタウン出身ユウト選手の2回戦進出が決定!』

 

彼は順当勝ち上がった。

 

 

 


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