(旧)【習作】ポケモン世界に来て適当に(ry   作:kuro

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外伝19 雨乞い祭り 波乱の予感?

 

 

「雨乞い祭り、ですか?」

【そうそう。なんか作物の豊穣を願って、恵みの雨を請うっていうよくある祭りの一種みたいなんだけどさ。それでその祭りの催しの一つにさ、——っていう——があるみたいでね。——】

 

 

きみも来てみないか?

 

 

最終的にユウキさんからそのようなお誘いを受けて来てみました。

どこにかって?

イッシュ地方リゾートデザート(の近く)です。

や、リゾートデザート自体、いろいろあって俺自身何度も足を運んでたりしてましたが、ここはリゾートデザートからは少し離れた、しかし、やや乾燥気味な気候のとある町です。

ちなみにタテワクタウンとかいうらしいんですけど、イッシュらしく立涌文様からの名前のようです(イッシュ地方は文様の名前から町の名前を取っています)。

この町はゲームにはありませんでしたね。

それにしても立涌とか、まさか水蒸気すら羨ましかったとでもいうのか?

まあその辺は置いといて。

 

「お久しぶりです、ユウキさん」

 

待ち合わせ場所のポケモンセンターでお目当ての人物を見かけたので、声をかけると、

 

「ん? きみは?」

 

ひょっ?

ユウキさん、オレのこと知って——ああ、そういえば!

 

「(ひさしぶりね、ユウキ。ユウトはメタモンで変装してるのよ)」

「え? ラルトスのテレパシー? ってことは!?」

 

頭の上に乗っかってアイス食べているラルトスのテレパシーによってわかってくれたようでした。

 

「お久しぶりです、ユウキさん」

「あ、ああ、ひさしぶり。にしても話には聞いていたけどまるっきり別人だな。確かにこれなら衆人にはバレないな」

 

ユウキさんはまだ見たことなかったんですね、これ。

実は以前メタモンを使った変装が出来ることを知り、いろいろ研究してました。

いくつか問題もありましたが、無事に実用化でき、プライベート時分で町などの人がいるようなところでは大いに役立ってます。

 

「ところで、ラルトスのそれってヒウンアイスか?」

「(そうよ。クッキー&チップス)」

「好物なんでここ来る前にわざわざヒウンシティに立ち寄って買いましたよ。いやー、一番狙い目の火曜日の夕方じゃないから買うのに苦労しましたよ」

 

とりあえず、ユウキさんに連れられて町を歩くオレたち。

ちなみにこの人、オダマキ博士の息子さんで父と同じように、フィールドワークを得意とする(というよりフィールドワークばっかしてる)研究者として有名になってきました。

オーキド博士曰わく、業界では若手の中でかなりの有望株で、若手の研究者たちをアララギ博士・コウキと共に一手に牽引しているといった認識だそうです。

 

「そういえばハルカさんはどうしたんですか?」

 

確かフィールドワーク兼観光兼デート(というより婚前旅行という気がしないでもないけど)で二人でイッシュ地方各地を回っているとか、以前連絡があった気が……?

 

「ああ。ハルカはアレだ。ライモンシティだ」

 

ライモンシティというと、イッシュ地方一の娯楽都市として有名で、カミツレさんのライモンジム・巨大観覧車が著名な遊園地・様々なスポーツが行われるビッグスタジアムにリトルコート・“現実では”『厳選』などという言葉の名のもとに個体値が良くない、性格が狙っていたものとは違った、狙っていた性別ではないなどといったポケモンは容赦なくその辺に捨ててきた不届きで非常識な廃人が集う、“サブウェイクオリティ”全開のバトルサブウェイがあるギアステーションなどの様々な施設があるが……ああ、なるほど。

 

「ポケモンミュージカルですか」

「そう。ハルカのヤツ、アレにハマっちゃってね」

 

ポケモンミュージカルとはイッシュ独自のもので、自分のポケモンを着飾り、ミュージカルで演技をさせるという施設。

 

「しかも、これが大ウケでさ、ミュージカルのオーナーもしばらくずっと出演してほしいって熱望しててさ」

「さすが。“ホウエンの舞姫”という異名は伊達ではないですね」

「それでハルカはハルカでノリノリだから一発OKしちゃうし」

「(ハルカのポケモンならコンテストにも慣れてるからそういうところでもしっかり応用効いちゃいそうだものね)」

「そういうこと。だから諦めて置いてきた。ま、暫くすれば、戻ってくると思うから好きにさせてるよ」

 

(束縛はしないのはもとより、ハルカさんを信頼しきってるわけか)

(アツアツってことよね)

(わかってるとは思うが、伝えるなよ?)

(そっちこそ口には出さないようにね)

 

と、それでとにかくオレたちはポケモンセンターを後にしました。

 

さっきも思いましたが、町を歩いていると普段は並んではいないんだろうって見受けられる屋台やテントが軒を連ねているし、頭上には万国旗が紐状に連なる形で幾重も掲げられています。

通りを行く人々は普段にも増して活気づいているような感を受けるし、今なんか、小さな子どもたちが綿アメを片手にヨーテリーやズルッグ、マメパトなんかといっしょに楽しそうに駆けていきました。

こんなところからも今この町がお祭りムード一色に染まっているんだということを醸し出しています。

屋台は見るだけでも楽しいもので、冷やかしながら歩いていくと(お互い彼女はいるので、男同士でも気にならないといえば気にならないが)

 

(少しは女心を理解してあげないとかわいそうでしかたないわ)

 

なんて耳に痛い言葉を聞き流していると、前方のやや開けた広場のような場所の入り口といえるべきところにあるゲートに

 

【第8回雨乞い祭り記念 ポケモン雨乞いバトル大会】

 

という垂れ幕が掲げられていました。

 

「そっ。いやはや、これはきみから初勝利をもぎ取るチャンスというべきかなと思って」

 

そう。

これがユウキさんがオレを誘った理由。

オレの知り合いは公式でも非公式でもバトルでオレから勝ちをもぎ取るために様々なところでしのぎを削り、鍛練を繰り返しているのだとか。

大袈裟すぎだろと思う気もするけど、四天王やチャンピオン、フロンティアブレーンでもまだオレに黒星を付けていない。

まあオレだって負けっぱなしはやっぱり悔しいから同じようなことをしそうな気もするけど、オレだってまだ負けるつもりはない。

『オレは彼らの一歩も二歩も先を行ってみせる』と思いながらも、ユウキさんからこの大会のルールを聞いていました。

 

「ルールは2VS2のシングルバトル、ただし、準決勝からは3VS3のシングルバトルになるけどね。道具の使用はあり、ただし、重複はなし。ポケモンの重複もなし。あとはタワーとかサブウェイルールと似たようなものだね。それからこの大会独自の環境と面白いルールがあるんだ」

 

まずはこの大会独自のバトル環境。

それは

 

 

フィールドに常に雨が降っている状態であること

 

 

なんでも町のポケモンたちが協力して雨を降らせるらしい。

そしてユウキさんの言う『面白いルール』、それは

 

 

雨を止ませた段階で、止ませた方の負けになるということ

 

 

「“雨乞い”祭りなんだから雨を止ませたら負けっていうのはまぁ理解できる」

「そうですね。にしてもこのルールはおもしろい! 要は雨パ限定ルールですかね!」

「ぼくら的にいえばそうだな。水タイプの技の威力を上げるだけじゃなく、特性や他のタイプの技、持ち物なんかをフル活用したいところだ。それからゴルダックの出場はOKをもらったよ」

 

とすると特性“ノーてんき”はいいわけだ。

まぁ、ノーてんきは天候の影響を打ち消すだけで、天候そのものを変えるものじゃないし。

レックウザ? 特性“エアロック”?

そんなのが出てくるとは到底思えませんわ。

んで広場でちょちょいと受付を済ませて、さて、明日からの大会に備えて手持ちの入れ替え兼宿泊するためにポケセンに戻ろうと思っていたら——

 

「あれ? ユウト、これ、ひょっとして……」

 

なんて言ってオレを引き止めるユウキさん。

見てみると出場者の名簿をやや難しい顔で見せてもらっています。

何をそんなに真剣にと思い、覗き込んでみました。

 

「ユウト、この名前」

 

彼の差した指先に書かれていた名前は——

 

 

「——タクト?」

 

 

 

 

正直、その名前はよくある同名の人間だと思っていましたが、どうやら違うようで。

あれは何年前だったか。

このタクトという人物、オレが初めてシンオウリーグに出場したときのあの難癖を付けてきた伝説厨なようです。

当時のバトルでは、そのバトルスタイルと性格によってお高くとまりすぎた鼻っ柱を叩き折ってやったと記憶しています。

難癖についてはシロナさんが握りつぶしましたし。

それと、あのバトルのおかげで、少なくともイッシュでは違うと見受けられますが、オレが彼とバトルする前に回っていた地方のジムリーダーや四天王、チャンピオンの間では、彼の評判は頗(すこぶ)る悪いようで。

普段ジムリーダーはバッチの獲得数に応じて挑戦者とのバトルに使用するポケモンを変えているみたいなのですが、彼に対してだけは問答無用で“超”という漢字が幾つも付くほどのガチパーティでバトルをするそうです。

そのときはやはり伝説を使っていたそうで、新人やタイプ相性が頗る悪いジムはともかく、老練のジムリーダーならその対戦成績はまあ推して知るべしだったとか。

それもあの直後ぐらいの話で、オレ自身、これでもいろいろ各地を旅して回っていましたが、終ぞ、それから噂を聴きませんでした。

あれから果たしてどうなっているのやら、気になるところ。

 

「はい! お預かりしたポケモンはみんな元気になりましたよ」

「タブンネー」

 

「タクトというトレーナーのことですか? そうですねぇ、彼かなりの数の伝説のポケモンを持っていると聞いたことがあります。実際、預かったポケモンは皆“伝説のポケモン”と呼ばれるポケモンでしたから。明日の大会もきっとその伝説のポケモンが出てくるのではないですか?」

「タブンネー」

 

この町のポケモンセンターのジョーイさんもそんなことを言っていました。

……タブンネにはツッコまないからな!

 

 

 

…………ん?

そういえばオレって——

 

 

 

——レックウザ? 特性“エアロック”?——

 

——そんなのが出てくるとは到底思えませんわ——

 

 

 

 

ねぇ、これふらぐ?

フラグなの?

旗立てちゃったの、ねぇ?

 

答えてよ、ラルえもん!

 

 

「(今たこ焼きと焼きそば食べるのに忙しいから後にして)」

 

 

 

おい

 

 

おい

 

 

 

 

 

 

 

オッス!

オイラ、アッシュ。

シッポウシティ出身の新人トレーナー。

ポケモンマスターになる夢を目指して旅に出てる。

 

「ダゲキッ」

 

コイツはオイラの相棒のダゲキ。

オイラの父ちゃんがオイラにポケモンを貸してくれて、それでシッポウシティの近くのヤグルマの森っていうとこで初めてゲットしたポケモンなんだ。

今旅に出て2ヶ月ぐらい経ったけど、超順調。

なんでかっつーとこの2ヶ月でサンヨウジム、シッポウジム、ヒウンジムと3つのジムを制覇してジムバッチを手に入れたんだ。

んで、次のジムがライモンシティに向かう途中、リゾートデザートに一番近くの街のタテワクタウンに寄ったんだ。

そしたら何か『雨が降ってる条件下でのポケモンバトル』とかなんかオモシロそうなバトル大会があってよ、モチ、ソッコー参加決定。

雨が降ってようが、正直オイラには関係ないね。

絶対優勝してやるもんねー!

 

 

 

『さあ! 今回でいよいよこの大会も今回で8回目を数えるに至りました! では、今年も始めてまいりましょう! タテワクタウン雨乞い祭り記念、第8回雨乞いバトル大会!』

 

 

 

オイラの試合は第3試合目だから、今やってるバトルの次の次。

控え室で待機してる最中、チラッと覗いてみたんだけど、雨が降ってるせいか、水タイプが多い。

その次に水タイプに相性で有利な草タイプ、電気タイプを見かける。

他のタイプももちろんいるけどこの3タイプが一番多い。

ま、尤もオイラにはカンケーないけどね。

気合いと根性で攻めて攻めて攻めまくるのみよ!

 

「なっ! ダゲキ!」

「ダゲキッ!」

 

 

『では次のバトルに参ります! シッポウシティ出身アッシュ選手とこれは珍しい、ホウエン地方ミシロタウン出身ユウキ選手です! では両選手、入場してください!』

 

 

よっしゃ!

まずは一勝して1回戦突破だぜ!

 

 

 

 




アッシュはアニメ英語版?のサートシ君の名前ですが、サートシ君とは一切関係ありません。名前だけ借りた完全なる一発キャラ(の予定)です(性格は初期のサートシ君そのまんまですが)。ゲーム中でそこそこレベルの高い短パン小僧当たりでも当て嵌めてください。ただ、まさかのタクト再登場フラグ(正直YO☆SO☆GA☆I)も立ったことですので、再登場は……ないと思うんだけどなぁ。
アッシュ、一つ忠告しておくよ。
どこぞのサートシ君並みにバリバリのフルアタで攻めていくことだけがポケモンではないのだよ。

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