(旧)【習作】ポケモン世界に来て適当に(ry   作:kuro

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第4話

 

久々ですね、皆さん。

オレです、ユウトです。

 

現在はミオシティにいます。

 

や、あれから時間が経ちました。

図鑑も順調に集まってきましたよ。

それからバッチの数は7つで、残すはナギサジムのみとなりました。

ちなみにヒカリちゃんとは今も同じ旅路です。

 

で、そのヒカリちゃんですが。

 

ふぅ。

才能って怖いね。

いや、順調といった言葉では表せないほどに軽快にジムをクリアしていってます。

既にバッチの数がオレといっしょという。

破竹の勢いとは当にこういうことを言うのでしょう。

今のところ負けるのは、オレやときどき来るシロナさんぐらいですね。

それから驚いたのが、この前シロナさんがシンオウ四天王の一角を担うキクノさんを連れてきたんですよね。

当然勝負したらヒカリちゃんのボロ負けでした。

ヒカリちゃんはキクノさんが四天王だということを知らないようで(キクノさん自身も四天王という肩書きは公以外では使わないため)、あくまで、シロナさんの知り合いの普通のトレーナーに負けたものと思っています。

シロナさんは『あまりに勝ち過ぎて勘違いして歪んでしまっても困る』ということをコッソリ教えてもらいました。

や、オレもそれは考えていたことではあるのですが、シンオウには初めて来たため、そういった知り合いがいなかったので、正直助かりました。

 

それからシンオウ地方の危機についてですが、順調(?)にギンガ団イベントが進行中です。

カンナギタウンではギンガ団のアカギに出会いましたし、ちょくちょくギンガ団下っ端や国際警察のハンサムさんとも遭遇したりしました。

ゲームの展開とは些か変わったところがあるようです。

その一例として、このミオシティにはいないはずのハンサムさんと遭遇したことでしょうか。

その彼と現在半ば協力関係を結んでいたりします。

情報の交換として、ギンガ団の狙いがシンオウ地方の3つの湖に眠るユクシー・アグノム・エムリットという3匹のポケモンらしいということを教えてくれました。

それからテンガン山に異様に執着しているということも調べあげたようです。

正直ゲームだと、「なにこのマヌケ」と思っていたんですが、実際は素晴らしく優秀さんでしたね。

 

と、そんな折、シンオウ地方全体を揺るがすような凄まじい地震のような揺れを感じました。

これはゲームのミオ図書館イベントのアレですね。

オレたちは早速、行動に移ることにしました。

とりあえず、ヒカリちゃんとハンサムさんには、一足先にシンジ湖に飛んで貰いました。

さて、ここでライブキャスター、出番です。

 

「シロナさん、シロナさん、応答してください」

 

【あーあー、こちらショッカー、本日は晴天なり。まいうー】

 

いや、誰だよ、アンタ……。

 

もう完璧シロナさんのキャラ崩壊してきてますよ。

といっても実際にはオレが教えたんですけど、今はかなり場違いです。

 

「シロナさん、真面目にやってください。緊急事態です」

 

そう前置きした後、今までの経緯+シンオウ地方の伝説のポケモンであるディアルガとパルキアによるシンオウ時空伝説とその再現のためにギンガ団が動き出した、いや、そのための最終段階に既に入ったということを簡潔に伝えました。

ちなみにギラティナに関しては神話から削除されているらしく、その形跡が残っていなかったため、あえて伏せています。

 

「既にヒカリちゃんとハンサムさんにはシンジ湖の方に飛んでもらっています」

【そう。なら、ユウト君はリッシ湖に飛びなさい。そこからエイチ湖に行くよりは時間はかからないはずよ。私はちょうどカンナギに戻っていたからエイチ湖に向かうわ】

 

ということで、空を飛ぶでリッシ湖に向かっています。

もし、本当にシンオウ時空伝説の再現が成されてしまえば、世界崩壊にも繋がりかねない上、ギンガ団上層部たちのポケモンにケーシィ系列のポケモンが追加されていたり、ハクタイやトバリ以外にもアジトが存在していたり、空中要塞のようなものの所有も確認され、ゲームの展開とは剥離し始めていたので、現在オレのポケモンは信頼とともに、最強の強さを誇る超ガチパ編成です。

尤も、オーキド研究所の守りもありますので(貴重なポケモンや珍しいポケモンがたくさんいます)、自重はしていますが。

 

「見えた! ボーマンダ、高度を下げてくれ!」

 

たしかリッシ湖はゲームでは爆弾の影響で干上がっていましたが、現実にはそんなことは起こっていませんでした。

ただ、湖の中央部に渦のようなものが出来ていて、しかし、ただの水の渦ではなく、何やら異空間への扉のような感じがしました。

さらに、渦の中心に浮かんでいたのは——意思を司るポケモン、

 

「アグノム!」

 

ミオ図書館にあった神話の一節によると、『始まりの話』の中で最初のもの(アルセウス)により生み出された3つの命の内の1つで、傷付けると意思を消されて動くことも出来なくなるらしいです。

アグノムはまだ微妙に封印状態な感じ?のせいか、眠っている感じがしました。

まあ何はともあれ、まだギンガ団に捕まっていな——

 

「うああああああ!!」

 

いきなり体中を駆け抜けた電撃。

その後体のそこかしこから黒い煙を上げながら、よろめき、ボーマンダから真っ逆さまに湖面に発生した渦に向かって落下していってしまいました。

 

「(ユウト!!)」

「マンダァー!」

 

ラルトスもボーマンダも電撃は食らったようだが、至って無事なようでした。

2人ともオレのことを助けようとしてくれるのだが、

 

「2人とも! 後ろだ!」

 

電撃の塊がオレたちの間を遮ろうと、いくつも飛来してきました。

2人は避けようとしているが、どうやら必中技のでんげきはらしく、2人をホーミングしています。

 

「ぐあああああ!」

 

そして内一発がオレに直撃。

このままだと、オレはあの渦の中に沈んでいくでしょう。

 

あの渦は普通のモノではない。

そんな所にポケモンたちを巻き込むのはマズイ。

 

真っ暗に沈んでいく視界の中、オレはバックと腰に付けてあったモンスターボールを切り離すことになんとか成功させました。

そして——

 

「アグゥー!」

 

そんな声を遠くの方で聞いた気がしたのでした。

 

 

 

 

それは突然のことだった。

いきなりわたしたち3人が電気技を食らったのだ。

わたしやボーマンダなら耐えられるけど、生まれがちょっと変わってるだけの普通の人間であるユウトにしてみれば、たまったものではないはず。

案の定、ユウトは苦悶の声を上げながら、ボーマンダから落下してしまった。

 

「(ボーマンダ!! 追って!!)」

「(わかっている!!)」

 

ユウトはこのリッシ湖に発生している渦に向かって落下していた。

あれは普通の渦じゃない。

エスパータイプとして、そして、一ポケモンとしてアレに触れてはいけない。

そう感じていた。

 

このとき、わたしもボーマンダも焦っていた。

バトルのときなら絶対に犯さないだろう、周りに気を配るということを忘れていた。

 

「2人とも! 後ろだ!」

 

ユウトのその声で振り向くと、電気の塊のようなものがわたしたちに迫っていた。

 

「(ボーマンダ!)」

「(言われずとも!)」

 

ボーマンダはそこから急旋回して、それをかわそうとした。

ところが、それは追尾機能があるらしく、しつこくわたしたちの後を追ってきた。

さらに、その数も増えていた。

 

「(うざったい! ボーマンダ、かき消すわよ!)」

「(心得た!)」

 

そしてクルッと反転するわたしたち。

 

「(サイコキネシス!)」

「(かえんほうしゃ!)」

 

ホーミング性能付きの電気技(おそらく必中技のでんげきはでしょう)はわたしたちの技に拮抗することなく消し飛んだ。

 

「ぐあああああ!」

 

「(しまった!!)」

「(まずい!!)」

 

ユウトの悲鳴を聞いてそちらを見ると、ユウトが渦に落下する寸前だった。

 

「(ユウト!!)」

 

わたしはもういてもたってもいられず、ボーマンダの背から飛び下りた。

だけど、ユウトとの距離はかなり開いていて縮まりそうになかった。

ユウトはバックとモンスターボールを宙に放り出す。

きっと、わたしたちをアレ——異界への扉——に巻き込まないようにするつもりなんだろう。

異界などに引きずり込まれた此方に帰って来れる保証なんてないから。

 

でも!

わたしたちはあなたとはぐれるくらいなら!

どこにだってついて行く!

地の果てだろうが、異なる世界だろうが!

わたしは!

わたしたちは!

あなたと共にありたいから!!

 

だけど——

ユウトは渦に飲み込まれ——

 

「(待って!)」

 

いつの間にか目覚めていたアグノムがユウトにくっ付き——

 

2人の気配が忽然と消え失せた。

 

わたしは構わず、後を追おうとしたけど、

 

「(待つのだ、ラルトス!)」

 

その口にくわえられ、落下が止められた。

 

 

 

 

ユウトのバックとモンスターボールを回収したボーマンダはわたしを背に乗せ、岸に向かい飛んでいた。

 

「(どうして、どうして止めたのよ、ボーマンダ!!)」

「(それが一番いいと思ったからだ)」

「(一番いいですって? ユウトを見捨てるのが一番良かったとでも言うの!?)」

「(ラルトス、口の聞き方に注意しろ。幾ら、お前が主のポケモンの最古参で我らのリーダーであろうと言っていいことと悪いことがある)」

「(でもねぇ!!)」

「(でもも何もあるか! 普段のお前を取り戻せ! いつもの冷静なお前がなぜ気がつかない!)」

「(……どういうこと?)」

「(いいか。このシンオウ地方の神と呼ばれし伝説の二大ポケモン、それは何だ?)」

「(ディアルガとパルキア)」

「(ならば、その2匹はそれぞれ何の神だ?)」

「(たしか、時間と空間……ハッ、そうか!)」

「(そういうことだ。そちらに会う方があのまま突っ込むより建設的じゃないか?)」

「(そうね。じゃあ、まずは——)」

「(ああ。あそこの岸辺でまだアグノムを探しているクソッタレなギンガ団の小僧どもに聞こうではないか)」

「「((パルキアとアカギの居場所を!))」」

 

 

 

 

「(さてと、これからどうする?)」

 

ギンガ団のサターンとかいうやつをはじめ、下っ端全員を拷問にかけたわたしたち(モンスターボールから出したラティ妹やゲンガーのサイコキネシスで全身を捻りちぎる一歩手前まで持って行ったり、ギャラドスやヘラクロスで物理的に痛めつけたり。ちなみにでんげきはを放ったのはそこで瀕死になっているスカタンクの仕業だったみたい)。

 

そうして粗方聞き出したいこともなくなったときに、発せられたボーマンダの言葉だった。

 

「(そうね。じゃあ三手に分かれましょう。まず、わたしとラティアスでシンジ湖に行ってヒカリたちに事情を説明するわ)」

「(ハイなの、お姉さま)」

「(ボーマンダとゲンガーはエイチ湖に向かって。そのとき、あのギンガ団幹部とユウトのカバンを持って行けば、勘のいいシロナのことだからある程度はわかるはず。詳しいことはライブキャスターを通してヒカリに説明してもらうわ)」

「(うむ)」

「(わかりました)」

「(ギャラドスとヘラクロスはここでコイツラの監視をお願い。ハンサムあたりに言えば、きっとここに人間を回してくれるはずよ。それまでね)」

「(おう!)」

「(了解しやしたぜ、アネキ!)」

「(情報の共有が終わった後、テンガン山のカンナギ側で合流しましょう。じゃあ、散開!)」

 

そうしてわたしはラティアスの背に乗り、リッシ湖を後にした。

 

 

「(……ありがとね)」

 

わたしはさっきの醜態と彼のことを思い出し、そっとその言葉を口にした。

 

「(どうかしたの、お姉さま?)」

「(何でもないわ。さ、シンジ湖に急ぎましょう)」

 

聞こえてなどいないと思うけど。

 

 

「(フッ、素直に受け取っておこう)」

「(どうかしたのかしら、ボーマンダ?)」

「(いや、何でもない)」

 

お前とは主と同じく一番付き合いは長いんだ。

わかるさ。

 

 

≪お互いがお互い、離れた空で相手が思った心を感じ取っていたのだった ≫

 

 

 


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