(旧)【習作】ポケモン世界に来て適当に(ry   作:kuro

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時間軸的には本編3話と4話の間、またヒカリのときわたりシリーズ後となります。また構成は第4世代仕様となっております(第5世代は主に外伝13以降となります)。


外伝15 ユウト ときわたり

 

ときわたり。

それは左から右へ一方通行である時の流れの中を、それにとらわれることなく、自由に行き来できる特殊能力。

ときわたり、漢字に置き換えると“時渡り”。

それが表すはすなわち、タイムスリップ。

そんなとんでもないことを行えるポケモンがいた。

その名をセレビィという。

ただ、中には相当特殊なセレビィもいたりするのだった。

 

 

 

 

「で、セレビィ」

「ビィー」

「オレたちは今度こそ元の世界に帰れたんだろうな?」

「ビビィービィビィ」

「(大丈夫大丈夫。今度は間違いないって。でも、このセリフ何回聞いたかしらね。一回や二回じゃないわよ)」

 

期待半分不安半分を抱きつつも、やれやれとため息をついた音がオレ以外の他の三人からも漏れてくるのが聞こえます。

なぜ三人かというと、ユクシーの目を見て記憶を失ったJを、その責任としてオレたちが引き取ることにしたためであり、今現在は彼女もこの旅に同行しているからです(ちなみに日常生活を送るには不自由はないが、自分の名前すらも覚えていない状態であり、あの世界で犯罪者としての生を送るより、やり直しの人生をさせてみたかったというエゴみたいなものです)。

 

で、さて。

いったいどんな状況になっているのかというと、既にお察しの通り、さっきまでオレたちは元の世界への帰還を果たしてはいませんでした。

なんですか。

オレたちは流浪の旅人だったとかなんかですか。

あてどなく時空を流離

さまよ

うとかマジ勘弁してほしいかったんですけどね。

 

「ああ! ここって!」

 

まあ落ち込んでても始まらないので、状況の把握をしようと辺りを窺っていたときに大声で発せられたヒカリちゃんの声。

 

「ここあたしん家!」

 

うん?

ヒカリちゃんの家?

ってことは——

 

「シンオウ地方フタバタウンってことかしら」

 

ということになるでしょうね。

 

「どなた?」

 

そのヒカリちゃんの家からかわいらしいピンクのチェック柄のエプロンを纏った一人の女性が出てきました。

ヒカリちゃんの大声を聞いて外の様子を窺いに来たのでしょう。

あの特徴的な髪型はカンッペキにヒカリちゃんのママさんですね。

ゲームやアニメで見覚えがあります。

まあ何にせよ、やっと現代に——

 

「えええ!! な、なんで!?」

 

……うん、だいたい把握したよ。

 

「ヒ、ヒカリが二人ぃぃーー!?」

 

またか!?

またこのパターンなのか!?

 

「(セレビィ、何か遺言は?)」

 

あ、ラルトスとうとうキレた?

口調というか雰囲気がヤバいよ?

あ、サイコキネシスで拘束された。

 

「ビィ、ビィビィ!」

 

助けを呼ぶ声かな?

ごめん、オレにはなんのことかサッパリわからんなぁ。

 

「(ウフ、覚悟はいい?)」

「ビィ! ビィビィビィ!」

 

後ろで何かやってるけど、オレたちは一切関知しない。

 

「ビィ! ビィビィビィビィーーーーー!」

 

 

マジで一回反省しろよ

 

 

 

 

いつぞやのごとく事情説明。

本来であればオレたちに縁ある人たちに接触しなかったら、そのまま黙って立ち去るということをしてきたが、それが崩れてしまった場合は説明を行うことにしている。

序でにこの世界のこと・時間についても情報を提供してもらっているので、簡易的な等価交換が成り立っている。

それによってわかった情報をまとめると、ここは以前訪れた(Jを連れてきた)アニメ世界とはまた違ったアニメ世界らしい。

サトシたちはオレたちとエイチ湖では遭遇していない上、アニメならばサトシのシンオウリーグの成績はベスト4だったのが、ここでは準優勝と一つ勝ち進んで順位を上げている上、ヒカリもグランドフェスティバルで優勝を飾っていた。

サトシに関しては理不尽な伝説厨が出てきたわけでもなく、結構な僅差だったらしい。

そして時間的にはサトシ・ヒカリ・タケシのシンオウ地方の旅が、シンオウリーグを終えて、このフタバタウンに帰ってきたときということ。

で、オレたちにとっては目的の世界ではないので、すぐにこの世界を後にしたいのだが、セレビィはそう何度も連続してときわたりを使うことは出来ない。

どこぞで休息を取る必要があった。

 

「なら、ここにしばらく泊まっていきなさいよ」

「そうそう! それにもっと聞きたいわ、その時渡りの話!」

 

とこちらの世界のヒカリ親子の鶴の一声によってオレたちは数日ヒカリの家にお邪魔することになった。

 

 

 

 

明くる日

 

「これよりカントー地方マサラタウン出身サトシとホウエン地方ハジツゲタウン出身ユウトのバトルを始めます!」

 

ヒカリの家の前の拓けた広場の一角でオレとこの世界のサトシが向かい合っていた。

というのも昨日、シロナさんが「彼は私より全然強い」と零してしまい、サトシはおろか、タケシやヒカリ親子すら興味津々で、此方が折れたという格好だ。

「最強と謳われるチャンピオンマスターをしてこう言ってのけた相手に興味を持つのはムリからぬこと」とかシロナさんに言われたけど、こうなる種を蒔いたシロナさんが言うのはおかしいと思う。

まあそれはさておき、そんな訳で見物人はヒカリちゃん、J、セレビィ、こちらの世界のヒカリ親子、タケシで審判はシロナさんが務める。

 

「ルールの確認をします! 使用ポケモンは6体のシングルフルバトル! 道具の使用、及び所持は禁止とします!」

 

ゲームでストーリーを進める際の6on6のトレーナー戦みたいな感じです。

ゲームの野生トレーナーなら道具は使いませんし。

尤も攻撃技でごり押しなんてこともするつもりはサラサラありませんが。

 

「では始め!」

 

いつもとは違う凛々しい声で始まりの合図が告げられた。

 

「オーダイル、君に決めた!」

 

サトシは昨日のうちにメンバーを入れ替えて今日に臨んだ模様。

つか、アレですか?

あのオーダイルはジョウト編のワニノコが進化したヤツ?

うん、ホントにオレの知ってるアニメ本編と違う。

まあそれはさておき。

 

「ニドクイン、キミに決めた!」

「あ、オレと同じ言い方」

 

セリフが被ってることについて当の本人はそんな認識なようです。

正直世界が違うので、「パクんな!」って言われてもシカトしますが。

 

「水タイプと地面タイプならこっちの方が相性がいい! 一気にいくぜ!」

「さて、どうかな」

 

攻撃技で一気に攻めてきそうなのでとりあえず出鼻を挫くということで、

 

「ニドクイン、おだてるだ」

 

するとニドクインは手をパチパチと叩いてオーダイルを褒めまくる。

 

「オーダイル、アクアジェット! って、お、オーダイル?」

 

するとオーダイルの様子がおかしくなり、

 

「ちょっ! オーダイル、何やってんだよ! 正気に戻れ!」

 

混乱して自分で自分を殴ったりしています。

ちなみにおだてるは相手の特攻を1段階上げてしまうが、相手を混乱させるという技です。

さて、この子は特性は“とうそうしん”という『性別が同じ相手に対しては攻撃・特攻が1.25倍になる代わりに、異なる場合は0.75倍になる。ただし、性別のないポケモンの場合は効果がない』というやや珍しい特性。

しんちょう(特防↑特攻↓)という性格もあり、ハピナスを主体とした♀キラーな物理アタッカーに育てていたんですが、サトシのポケモンはたしか♂主体のはず。

ここは攻撃力が下がるので、サポート型戦法でいってみましょうかね。

 

「ニドクイン、今のうちにどくびしとステルスロックをばら撒け!」

 

この混乱している隙がもったいないので、ここでステルスロック、それからどくびしを撒きます。

ステロは1度でいいですがどくびしは最低2回は撒きたいですね。

 

「よし! おかえしだ! オーダイル、たきのぼり!」

 

混乱が解けたオーダイルがたきのぼりで迫ってくる。

 

「あまえるだ、ニドクイン」

 

2体の間には距離があり、迫ってくる間にあまえるがヒット。

その後、ニドクインがたきのぼりを食らう。

オーダイルは元々攻撃が高い上にタイプ一致のたきのぼりでニドクインには効果抜群なのだが、それでもあまえるの効果は大きく、少しよろめく程度でニドクインは持ち堪えた。

元々ニドクインは耐久がそこそこ高いというのもはたらいたと思う。

 

「ニドクイン、どくびしは十分に撒いたな?」

 

その質問にやや甲高い嘶きでニドクインは応えてくれた。

 

「うん、いい返事。戻れ、ニドクイン!」

 

今回オレの手持ちの中にはラティ兄妹がいるが、なるべくなら使わないような方向でいきたい。

伝説のポケモンはそれ自体が非常に強力で、下手をすれば戦法もクソもなくなる可能性を秘めているからです。

なので実質オレは手持ち4体でサトシの6体を撃破しなくてはならない。

ニドクインは器用でほぼ何でもできるから、こんな序盤で失うには正直惜しい。

だからニドクインはここは一旦引かせたわけです。

代わりは——

 

「オレの2体目! ラルトス、キミに決めた!」

「(了解よ!)」

 

 

 

 

「あのニドクイン、弱点技をもらっているのに全然効いてない!?」

「いや、僅かだが効いてる。あまえるが効いているということだろう。それにステルスロックか。これがいったいどうバトルに響いてくるか」

「ステルスロックってたしかポケモンを出すと少しダメージを受けるっていうヤツだっけ?」

「ヒカリ、あなたも旅をしてサトシ君たちのバトルを見てきたはずなんだからそれぐらい覚えなさい。ステルスロックは使われるとポケモンを交換する度に、出したポケモンはダメージを受けるって技よ」

「そしてフルバトルの場合、ポケモンの交換が頻繁におこり得る場合がある。その場合はサトシの方が不利になる。おまけにどくびしの存在だ。どくびしは使われると、相手はポケモンを交換する度に、出したポケモンが毒状態になるっていう厄介な技だ。この序盤でこれだけのプレッシャーをかけてくるとはシロナさんが言うだけのことはある」

「そうねえ。それにステルスロックと合わさると出ただけでタイプ相性にも依存するけど結構なダメージを食うわね」

「尤も、飛行タイプと特性“ふゆう”のポケモンは効果を受けないし、サトシがベトベトンやフシギダネみたいな毒タイプのポケモンを出せば効果がなくなる。それにこうそくスピンを使えばステルスロックも含めて全部吹き飛ばせる。サトシがどんなポケモンを手持ちに入れてるのか分からないが、アイツは突拍子もないが案外巧い手を考えつく天才だ。それに期待してみよう」

 

こちらの世界組の面々が今のバトルについての討論を行っている。

この世界のママもやっぱり凄腕のトップコーディネーターらしく、この世界のあたしより知識量も豊富だ。

 

「でもステルスロックは1回だけだったけど、なんでどくびしは何回も撒いていたんだろ? 1回でよくない?」

「う〜ん……」

「そうねぇ……」

 

ん?

どくびしの細かい効果までは知らない?

 

「どくびしは2回以上撒き散らすと交換で出てきた相手を猛毒状態にするのですよ」

 

って幾分ハスキーなお声のJさんが答えてくれちゃったけど、アレ、なんでJさんがそんなこと知ってるの?

 

「ヒカリさんやシロナさんが受けている授業をコッソリ聞いてみました。先程タケシさんとアヤコさんの説明にはその部分が欠けていたようでしたので、その点を補足してみました」

「お姉さぁぁぁん! 素晴らしい! それほどまでの深い知識、是非ともこのタ・ケ・シに手取り足取りご教じ

 

    へあ゛っっ!!」

 

タケシはどうやら年上のお姉さんに目がないようです。

今、急に豹変してJさんの手を取り、その甲に口づけを行いそうな様は、そこに騎士(ナイト)と姫(プリンセス)がいるかのような錯覚を受けたけど、彼のモンスターボールから勝手に現れたグレッグルがどくづきを彼の後ろからブッサして毒で痺れたところを引きずっていかれました。

 

 

 

 

「ラルトス。たしかキルリアやサーナイトの進化前のポケモン、エスパータイプ。……いくしかないか! オーダイル、ハイドロポンプ!」

「ひかりのかべを張った後にいたみわけだ」

 

ハイドロポンプが発射されるまでの間にひかりのかべを張る。

これはおだてるで特攻が1段階上がったこと、さらにひかりのかべは交換してもしばらくの間は留まり続けるので、後続に出すポケモンにつなぐことが目的です。

さらにハイドロポンプで受けたダメージもいたみわけで回復と。

とってもおいしいです^q^

 

「ラルトス、10万ボルトでキッチリおかえししてやれ」

「(当然よ!)」

 

とりあえず、水タイプのオーダイルは厄介なのでここで何としても退場させる。

オレのラルトスなら、いたみわけ+効果抜群10万ボルトで、

 

「オーダイル、戦闘不能!」

 

と持っていける。

 

「よし! いったん戻れ、ラルトス!」

「(え、わたしの出番これだけ?)」

 

オーダイルをダウンさせるためにラルトスに出張ってもらったようなものなので、ここは一度引かせた。

そして、

 

「出番だぞ! ボスゴドラ、キミに決めた!」

 

早くもというべきなのか4体中、既にこの序盤で3体目を繰り出した。

 

 

 

 

「6匹の中でもう3匹目を出すのね」

「相手に自分のポケモンを知らせないというのはフルバトルなら特に重要だけど、そのセオリーからは外れてるわね」

「ですが、それがすべてというわけではありません。彼がいったいどういう考えでバトルをしているのか」

 

あたしが見るに戦況はユウトさんが優勢。

現在あたしたちは時渡り中なのだからアイテムの補充やポケモンの入れ替えなどは出来ない状態だから、ユウトさんの手持ちはポケモンハンターのときのJと対したときと変わっていないため、水タイプを苦手とするポケモンが2体いる。

旅のトレーナーで、かつ、ポケモンリーグにも出場するようなトレーナーなら、パーティに同じタイプのポケモンを被らすということはしない。

とすればサトシは貴重な水タイプのポケモンを失ったことになる。

おまけに、

 

「次はコイツだ! ヘラクロス、君に決めた!」

 

投げたボールから現れたヘラクロスは

 

「ヘラクロッ!」

 

ステルスロックでダメージを受け、

 

「ああ! あのヘラクロス猛毒状態になっちゃった!」

 

ということだ。

以後出てくるポケモンは毒タイプや鋼タイプ、飛行タイプでないかぎり、どくびしで猛毒状態になり、ステロのダメージを受けることになる。

そして今出てきた1ぽんヅノポケモン、ヘラクロス。

タイプは虫・格闘タイプ。

鋼・岩タイプのボスゴドラに虫・格闘タイプのヘラクロスは格闘技ならタイプ一致弱点4倍で合わせて6倍ものダメージを期待できるけど、ボスゴドラの物理耐久は並じゃない上、時間をかけ過ぎるとヘラクロスが猛毒のダメージで落ちてしまう。

そして何よりユウトさんのボスゴドラには強力無比なアレがある。

 

『ヘラクロス 現在猛毒状態』

 

不意に聞こえた電子音声の方に振り向くとこの世界のあたしが図鑑を開いていた。

さらに

 

『覚えている技:インファイト メガホーン かわらわり つのでつく ビルドアップ ねむる ねごと——』

 

とそのポケモンが使える技まで読み上げている。

 

ていうかこの世界の図鑑ってチートすぎない?

マジでほしいわ...

 

 

 

 




アニメBWの図鑑は覚えている技がわかるようなので、実装。
う、うらやましいなんて思ってないんだからねっ!

それはさておき書き終えたものはみなバトルものばっかりなので、何かバトル以外のアイデアはありませんかね?

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