(旧)【習作】ポケモン世界に来て適当に(ry   作:kuro

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第13話 予選決勝ユウトVSヒカリ

 

 

予選リーグBブロック決勝戦

ユウトVSヒカリ

 

ユウト手持ち:グレイシア(ダウン)、クラブ→キングラー(やけど+ダウン寸前の大ダメージ)、残り1体

ヒカリ手持ち:エルレイド(ダウン)、ベトベトン(ダウン)、残り1体

 

 

 

 

『予選リーグBブロック決勝戦もいよいよ佳境に入ってきました! ホウエン地方ハジツゲタウン出身ユウト選手とシンオウ地方フタバタウン出身ヒカリ選手という今大会までまったく知られていなかった選手同士のバトル! しかし! しかしィ! 大波乱が予想されていた今大会! 私は思います、【なぜ、この戦いがシンオウ一を決定する決勝戦ではないのか】、とッ! 皆さん、これはまだ予選、予選なんですよ!! 私はここまで心揺さぶられ、熱くなるほどの、手に汗握るほどのバトルを知りません! そして、これほどの高度な戦略が練られたポケモンバトルというものを知りません! 私は今まさに、時代が動き出しているような、いえ、新たな時代の到来に立ちあえた、そんな感動と喜びで打ち震えています!』

 

「あたしの最後のポケモン! いっけぇ、リザードン!」

 

『おっと。すみません、実況を続けましょう! ヒカリ選手最後のポケモンはリザードンです! 2回戦はその圧倒的強さでも相手選手のポケモンを3体下して3回戦進出を決めました! そのリザードンに今の満身創痍のキングラーではたとえ相性有利でも厳しいといったところか!?』

 

たしかに。

もうキングラーはあまり戦えない。

だったら、

 

「キングラー、にらみつけろ!」

「ゴキゴキ!」

 

次につなげるような戦い方をするのみ!

 

「リザードン、ほのおのうずで閉じ込めなさい!」

「キングラー、なみのり!」

 

だが、キングラーは元々の特攻が低いため、フィールドに発生させたなみのりは微々たるもので、それをリザードンのほのおのうずがアッサリ飲み込み、そしてほのおのうずにキングラーが閉じ込められて——

 

「ゴ、ゴキ……ゴキ……」

 

うずが消えた後は——

 

「キングラー、戦闘不能! リザードンの勝ち!」

 

となる。

尤も、エルレイドのかみなりパンチにやけどのダメージでもはや攻撃はほぼできず、今のほのおのうずを避けるのも難しかった。

だけど、

 

「戻れ、キングラー!」

 

本当に、本当によく頑張ってくれた!

ありがとう。

実質、ベトベトンとエルレイドの2体を退場に導いたもんだからね。

 

「本当によく頑張ってくれたな、キングラー。今はゆっくり休んでいてくれ」

 

フィールドはなみのりの影響で豪雨の中での土のグラウンドのような様相を呈している。

 

さて、オレの最後のポケモン、

それは——

 

——コイツだ!!

 

 

 

 

『さあ! いよいよ決勝戦も大詰め! ユウト選手も残りのポケモンは1体のみとなりました! はたしてユウト選手最後のポケモンはいかに!?』

 

正直2体目がクラブだったことでヌケニンは入ってないと思った。

あたしはユウトさんのジム戦は2回しか見ていないけど、見せ合いの中で見かけた6体の中では、ゴウカザル、この子が間違いなくあの人のエースだった。

そしてヌケニンを入れないなら、かつ、この土壇場。

ユウトさんならきっと——

 

「デンリュウ、キミに決めた!」

 

いっ!?

ここでデンリュウ!?

まっず。

デンリュウじゃリザードンは相性的に厳しい。

デンリュウの体力が減ってるなら、何とかなると思うけど、残念ながら、そんなことはない。

おまけにリザードンはにらみつけるで防御が下がったみたいだし。

 

『ユウト選手、最後は電気タイプのポケモン、デンリュウです! 相性はリザードンは飛行タイプを持つため、相性は不利! ヒカリ選手ここからどう攻めていくのか!?』

 

これは——

 

負けたかも——

 

「ヒカリちゃん!」

 

ユウトさんの張り上げた声が耳に届いて反射的に顔をあげる。

 

「オレは何度も言ったはずだ、『バトルが始まるのは、モンスターボールを投げたときからではなく、トレーナー同士が目を合わせた瞬間からだ』と! ならば、見せ合いの段階でヒカリちゃんとオレの駆け引きはとうに始まっていた。ヒカリちゃん、キミはオレのヌケニンにばかり視線がいっていた」

 

 

!!

 

 

たっ、たしかに。

別にバトルにおいてパーティーにヌケニンを入れていたからといって、63(ロクサン)で出すとは限らない。

 

「もちろん、ヌケニンは対策を施さなければ詰んでしまう。しかし、そればかりに目がいってしまえば本末転倒になってしまう」

 

ぐっ!

たしかに。

しょ、正直、リザードンは確定だったけど、残りの2枠はベトベトン、ジバコイル、ポッチャマ、エルレイドで争っていた。

ただ、ジバコイル・ポッチャマともにヌケニンの弱点を突く技を覚えていなかった上、ポッチャマはステルスロックもなかったので外していたのだ。

これは、完全にあたしの読み違い。

いや。

読み負けと言っていい。

くやしい

ここまできて

こんな——

こんな結果じゃあ——

 

「だが、バトルは相性だけで決まるものではない。それはキミのリザードンを見れば十分に分かるはずだ」

 

リザードンがこちらを見る。

 

 

オレに任せろ!

 

 

そう言ってくれている気がする。

そうあの子の瞳の強さが伝わってくる。

 

「あ、こ、こら!」

 

ん?

試合が始まる前にモンスターボールを預けた係の人?

 

「ポッチャマー!」

 

ポッチャマがボールから勝手に出てきた。

って、ちょっ!

 

「ポッチャマ!? なに勝手に出てきてるのよ!」

「ポチャ、ポチャポーチャポチャ!」

「えっ?」

 

なんか目つきがビミョーに険しい?

 

「マージ! マージマーージ!」

「ジBRRRRRR!」

 

ムウマージにジバコイルまで出てきた。

やっぱり、若干目つきが険しいような?

 

(みんな、ヒカリ、あなたを励ましているのよ)

 

えっ!?

この声って!?

 

(ラルトス?)

(そうよ。で、みんなヒカリにしっかりしろって言ってるのよ)

「グウオワオォォ!」

 

そのときリザードンが大きく哮り立った。

 

(リザードンもそう言ってるわ。だいたい、あなたはポケモントレーナーでしょ? 自分のポケモンたちがまだ勝負をあきらめてないのに、あなたがそんなんでどうするのよ?)」

 

あたしはリザードンを見た。

 

コクン

 

リザードンはあたしをみて頷いてくれる。

 

ああ、今までもそうだった。

挫けそうなときもいつもこの子たちがいてくれた。

辛いことがあってもいつもこの子たちはあたしの傍から片時も離れなかった。

離れようとはしなかった。

あたしがみんなのことを大好きなように、この子たちもあたしのことを大好きでいてくれる。

 

『あたしはポケモンたちが好き。あたしのポケモンたちが大好き。だから、旅を続けることが出来てる。つらいことがあっても乗り越えることが出来てる。それは、みんながいてくれるから、みんながこんなあたしといてくれるから。この感情は間違いなんかじゃない!』

 

心を否定されたギンガ団のアカギにも言った言葉。

今こそそれを実行しないでどうする!?

大好きだからこそ、彼らを信じないでどうするんだ!?

 

 

——あたしもそれに頷き返した。

 

「よおし、いくわよ、リザードン! 相性どうのこうの言う前に! あたしたちの気合いと根性ってもんを見せてやろうじゃない!」

 

 

 

 

「リザードン、飛び上がってねっぷう! フィールドを覆い尽くして、デンリュウの逃げ場所をなくしなさい!」

 

デンリュウが出てきた瞬間、ヒカリちゃんは負けを直感したみたいな感じで諦めの気持ちが入り交ざっていたように思えた。

けどオレは『バトルを途中で諦める』なんてことは教えた覚えはない。

勝負は何が起こるか分からない。

たとえ、どれだけ戦略を立ててバトルを計算しつくそうと、バトルには必ず運という要素が混ざり合ってくる。

 

感動したのが、現実世界のとある動画サイトで見たヌケニンVSウインディ、それからコイキング・ニドキング・キングドラVSクロバット・ルンパッパ・カブトプスの試合。

まず、ヌケニンVSウインディ。

虫タイプVS炎タイプ。

ウインディはオーバーヒートを持っていて、ヌケニンは一撃でもそれを食らえば負けるという状況。

しかし、勝負はヌケニンが勝った。

ウインディは混乱していて、自滅ダメージがあったとはいえ、命中率90%のオーバーヒートが立て続けに外れ、その間に、ヌケニンが自滅ダメージとシザークロスでウインディを破ったのだ。

 

コイキングVSクロバット、カブトプスの試合。

攻撃の種族値はキャタピーやビードル、ヒンバスよりも劣るコイキング。

しかし、開始初手でクロバットがあまごいをしたため、コイキングの特性『すいすい』が発動。

その速くなった素早さからのとびはねるで、クロバット・ルンパッパにマヒを撒き、じたばたで最終的にコイキングがクロバット・カブトプスの2体を葬り去ったのだ。

 

ポケモンバトルでは何が起こるか分からない。

 

まさにそれはそのことを表していた。

だから、拙いながらも、喝を入れてみた。

尤も、それはラルトスや何より彼女のポケモンたちによって成功を成した。

ポケモンと人はお互いの足りないところを支え合って生きている。

この世界の縮図をそこに見た気がした。

 

っと、ねっぷうをどうにかしないとな。

 

「デンリュウ! 回転しながらほうでん!」

「リュウゥゥ!」

 

『予選リーグBブロック決勝戦! いよいよそのラストバトルが始まりました! 開始早々、リザードンはねっぷうを放ち、対するデンリュウはほうでんで対抗します! それにしてもこのリザードンはすごい! このフィールドを覆い尽くすほどのねっぷう! こんなに強力なねっぷうを使うリザードンは見たことがありません! デンリュウ、ピンチか!?』

『いや、わからない、これは』

 

そしてねっぷうがふきやんだフィールドには、

 

『な、なんと、デンリュウ! あの強力なまでのねっぷうを無傷で耐えた! い、いったい何をしたんだァ!?』

『おそらく、カウンターシールドです』

『カウンターシールド?』

 

ダイゴが何か言ってますが、まあそれですね。

アニメでサートシ君が開発し、ヒカリちゃん、そしてシンジ君すら披露したというアレです。

オレのマリルやヒカリちゃんのポッチャマのアクアジェットもカテゴリでくくればそれに属しますし、アニメではサートシ君のブイゼルがやったみたいです。

尤も、なんというか、オレが言うのもおこがましいですが、ネーミングセンスが、ねぇ。

メリッサさんが名付け親(この場合は脚本家ですか?)なんですけど、もうちょっといい名前とかなかったんですか?

もうちょっとこう、カッコよかったら、と思っているので、オレはあまりその名前は使いません。

尤も、ダイゴたちに教えたのはオレだけどね。

 

『攻撃技を攻撃技でバリアをするという、ユウト選手が編み出した戦法の名前です。具体的に言えば、技の発生時に回転を掛けることによって技の指向性に別のベクトルの力を掛けて、攻撃技で攻撃と防御を同時に行うといったところでしょうか。ログで見ましたが、ヒカリ選手が3回戦のときポッチャマでやったアクアジェットもカウンターシールドの一種です』

『そ、それはすごい! まさにすごい! まるで初めて開ける宝石箱のような、私たちに新たな世界を見せてくれている両選手! すばらしいです!  そんな対戦が繰り広げられています!』

 

ダイゴは事情知らないからオレが発祥だなんて言ってくれていますが、はっきり言って居心地が悪いです。

まあ、そこら辺のリスクは後で考えることにして、

 

「デンリュウ、フィールド全体にかみなりを落とせ!」

「リザードン、つるぎのまいもどきをしながらあなをほって地中に逃げるのよ!」

 

つるぎのまいもどきをしながらって……。

“もどき”ってなによ?

 

「グゥオワオォォ!」

 

わぁー、それなんてエロゲ?

じゃなくて、どんなチート?

なんかあのリザードン、たしかにつるぎのまいみたいなことをしながらあなをほって地中に潜っていきました。

 

「い、いつのまにあんなことができるようになったんだ?」

「この島に来てからの特訓でですよ!」

 

なるほど。

見てないところで特訓してたのね。

というかこの島に来てって、僅か1週間足らずであんなの身につけさせたんですか!?

あのリザードンはどんな天才だよ。

 

と思っている間にデンリュウのかみなりがフィールド全体に降り注ぐ。

 

『デンリュウのかみなりがフィールド全体に降り注いでいます!』

 

ひかえめならバリバリの特殊アタッカーを担ってもらおうと思いましたが、のうてんきなこの子(防御↑特防↓)だったので、苦肉の策として攻撃・特攻に極振りして二刀流戦法を起用しました。

尤も、愛情があればそれでいいんです。

つぶらな瞳とか、自分の大きさを考えないでメリープ時代のようにじゃれてくるところとかがかわいいんですよ。

 

まあそこは置いておいて。

確かに地面は電気を通さない。

だから、電気技を回避するために地中に逃げることは悪くない。

オレもそう教えたしね。

でも、今回に限ってはリザードンは地中に逃げるよりは、空高くに逃げた方が良かったかな。

 

「デンリュウ! 続いてでんじふゆう!」

 

すると、デンリュウがラルトスがサイコキネシスを使うかの如く、フワフワと浮きあがる。

これでデンリュウに地面技は届かない。

 

「今よ、リザードン!」

「かわせ、デンリュウ!」

そして地中から飛び出してきたリザードン。

お、これは……ラッキーだ。

 

「リザードン、かえんほうしゃ!」

「グ、グオワ……!」

 

しかし、リザードンはかえんほうしゃを放つことはなかった。

そしてブルブルと全身が痙攣したようになっている。

 

『あーっと、リザードン! マヒで痺れていてかえんほうしゃを放てません! しかし、いったいいつのまにリザードンはマヒになったのでしょう!?』

『さっきのかみなりの影響かな。しかし、リザードンは地面に潜っていたから、電気技を食らうはずがない』

 

ダイゴの指摘は惜しいところを突いている。

だけど、状況が違えば、その結果も変わってくる。

 

「!! しまった!? さっきのなみのり!?」

 

おっ、ヒカリちゃんは気づいたみたいだ。

そう。

さっきのリザードンのねっぷうで少しは乾いたけど、もともとは地面は

 

キングラーのなみのりでぬかるんでたんだよ?

 

『そうか! キングラーのなみのりでフィールドがぬかるんでいたからかみなりが地中にいたリザードンにも届いたんだ!』

 

イエス、ザッツライト。

そういうことです。

 

「ちなみにフィールドは若干でも電気を帯びてるから、でんじふゆうの効果は普段より長く続く。地面技は効果はない」

 

これこそ、ゲームにはない仕様です。

まあ、イワークに、スプリンクラー付きとはいえ、10万ボルトが通るとかいうワケわからん世界ですからね。

 

「リザードンはマヒしてもはやスピードはお前以下だ! 一気に攻め立てるぞ、デンリュウ! はかいこうせん!」

「がんばって、リザードン! フレアドライブでデンリュウに突っ込むのよ!」

 

リザードンはフレアドライブ特有の青っぽいエネルギーに包まれる。

一方デンリュウがその口にはかいこうせんのエネルギーを充填する。

 

「はかいこうせん、発射!!」

「フレアドライブ、GO!!」

 

そしてはかいこうせんとフレアドライブ。

それはどちらも同じ超スピードで、両者の中間付近でぶつかり合う。

 

「くっ……!」

「が、がんばって……リザードン……!」

 

その激しいエネルギーのぶつかり合いによって、このフィールドは正直立っているのも辛いほどの衝撃が体を襲う。

 

『ふ、フレアドライブとはかいこうせん……! す、凄まじいまでのぶつかり合いです、おわっと! すみません、私の大事なものが飛んで行きそうだったもので!』

 

余波はフィールドだけでなく、この会場全体にまで影響が及んでいるそうです。

 

「り、リザードン! は、はかいこうせんの軌道からズレなさい!」

 

ま、マズイ!

 

「デンリュウ、パワージェムで撃墜しろ!」

「もう、おそいです! リザードン、全力で突っ込めぇ!!」

「グゥオワオォォ!」

 

『決まったァァ! 炎タイプの大技、リザードンのフレアドライブがデンリュウを直撃ィィ!』

 

「リュウゥゥ!」

 

だが、吹っ飛ばされながらも、デンリュウはパワージェムを飛ばすことに成功していた。

 

『ああっと、しかし! デンリュウもリザードンに吹き飛ばされながらもパワージェムで反撃! 効果は抜群だァァ!』

 

「デンリュウ、頑張れぇぇぇ!!」

 

そしてなんとかデンリュウがスタジアムの壁に激突する前に着地し、踏み止まった。

リザードンの方は、はかいこうせんのダメージに、フレアドライブの反動、パワージェムの効果抜群ダメージ(リザードンには4倍弱点)でまだ立ち直れていない!

 

「デンリュウ、ラストだ! かみなりパンチ!!」

「リザードン、がんばって!! からげんきよ!!」

 

デンリュウがリザードンに向かっていく。

しかし、もどきとはいえつるぎのまい込み(おそらく1段階アップ=1.5倍)のフレアドライブは強烈だったようで、リザードンに向かうスピードは常のものと比べ、格段に劣っている。

その間にリザードンは立ち直りからげんきの体勢になって突っ込んできた。

 

 

「「いっけぇぇぇぇぇぇぇっっ!!」」

 

 

スタジアム内に2人の願いすらこもる言葉が駆け巡った。

 

 

 

 

 




おかしいな。なんか努力値云々からはもはやかけ離れた話になってしまった。なんでだ?

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