(旧)【習作】ポケモン世界に来て適当に(ry   作:kuro

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第12話 予選決勝ユウトVSヒカリ

 

 

予選リーグBブロック決勝戦

ユウトVSヒカリ

 

ユウト手持ち:グレイシア(ダメージ+マヒ)、クラブ(瀕死寸前の大ダメージ)、残り1体

ヒカリ手持ち:エルレイド(無傷)、ベトベトン(瀕死)、残り1体

 

 

 

 

『ベトベトン、ダウゥゥゥン! ヒカリ選手はこれで残りのポケモンは2体になりました! 一方、ユウト選手は3体が残っています! しかし、クラブはかなりのダメージを負っている上にグレイシアはマヒ状態です! 一方ヒカリ選手は2体に減りましたが、どちらもまだまだ十分にバトルは行える様子! 数ではユウト選手の方が上でも、ポケモンの状態ではヒカリ選手の方が上! これはどちらに勝利の女神がほほ笑むのか、まだまだわかりません! そういえばチャンピオンマスターダイゴさん、バトンタッチという技はいったい?』

『ああ、バトンタッチですが、ただのポケモンの交代ではありません。かげぶんしんやみがわり、こうそくいどうなどの状態変化はポケモンを交代すれば、その場で消滅するのですが、バトンタッチはそれらをそのまま引き継ぐことが出来るんです。今の場合だと、のろいとバリアーで上がった防御と攻撃をグレイシアからクラブに引き継いだんですね』

『な、なるほど……』

『ただ、ヒカリ選手も狙いは良かった。引き継いだ防御と攻撃ですが、クラブはこれらがもともと高いんですね。しかし、クラブは特防が低いため、特殊技には弱い。だから、ヒカリ選手は物理技ではなく、特殊技で攻め立て、物理アタッカーとしてのクラブの役割を潰そうとした。尤も、クラブを倒しきれなかったのは非常に残念なのですが』

『はぁ……』

 

私は思った。

観客を含め、ほとんどがダイゴの説明を完璧には理解しきれていないことでしょう、と。

ただ、今ここで行われているバトルは今までの、ただ技をぶつけ合ってポケモンのレベル差で勝敗が決まるなんていうポケモンバトルとは、明らかに隔絶したモノであるということは、きっと理解しているハズだ。

 

「これで、この地方のバトルも変わるかしらね」

「大丈夫ですよ、シロナさん。カントーでもユートの言葉と一緒に浸透してきてますから」

「ジョウトでもな」

「ホウエンだってダイゴを始め、リーグの方でいろいろやっているらしいので、これからだと思いますよ」

 

なるほど。

各地方でもそういうことになっているなら、きっと……!

 

「ホント、彼には楽しみがつきないわね」

 

私は、今バトルをしている2人を見下ろした。

 

 

 

 

今のはマジで危なかった。

いや、ポケモンバトルっていうのは、計算だけじゃなくて、“運”っていう要素も掛かってくるんだよね。

ヌケニンがウインディに勝っちゃったり、コイキングがクロバットやカブトプスを葬り去ったこともあるわけだし。

でも——

 

「戻れ、クラブ!」

 

これだからおもしろい!

 

『ユウト選手、ここでクラブを戻します! ポケモンの交代です! はたして次のポケモンは双方どのようなポケモンが出てくるのでしょうか!?』

 

「グレイシア、キミに決めた!」

「エルレイド、もう一度行って!」

 

『なんと! 最初のポケモン同士の対決になりました! しかし、グレイシアはマヒ状態! おまけに氷タイプのグレイシアは格闘タイプのエルレイドに相性が良くありません! グレイシア、絶体絶命のピンチ! 逆にエルレイドは絶好のチャンスです!』

 

「エルレイド、グレイシアを退場させるわよ! かわらわり!」

「グレイシア、あと1回だけ頑張ってくれ! ねがいごとだ!」

「げっ、マズイ! エルレイド、絶対にねがいごとを発動させちゃダメよ! なんとしてもねがいごとを決められる前にグレイシアを落としなさい!」

 

ねがいごとを指示したことでおそらくオレの次のポケモンがなにを出すかわかったことだろう。

 

「頑張れ、グレイシア!」

 

尤も、こちらも結構危ない。

マヒは25%の確率で行動が出来ない。

そこに当たってしまうと……。

 

「シアー!」

 

よっしゃあぁぁぁっ、ねがいごと発動!

 

「エルレイッ!」

 

そこにエルレイドのかわらわりが決まる。

今度こそ倒れ伏すグレイシア。

 

「グレイシア、戦闘不能! エルレイドの勝ち!」

 

『決まったァァ! エルレイドのかわらわり! 効果は抜群だァ! そしてグレイシア、ついにダウン! これで双方、残りのポケモンは2体! しかし、ユウト選手のクラブは残りの体力が厳しい! これはユウト選手、苦しくなってきたか!?』

『いや、そんなことはありません。まだ、お互い完全な互角だ』

 

 

——えっ?

 

 

今のダイゴの発言でおそらく会場の空気はこんな感じになった。

いや、なんか肌でそう感じるんですよ。

 

とりあえず、そんな空気を無視してグレイシアを戻す。

お疲れ、グレイシア。

そしてありがとう。

キミの頑張りは絶対ムダにしないよ。

 

「ねがいごと決まっちゃった」

 

ヒカリちゃんも若干気落ちしてるようで。

まあ、この後の展開がわかっているんでしょう。

ということで、

 

「出番だ、クラブ!」

 

 

 

 

『ここでユウト選手、クラブを投入です! しかし、クラブはベトベトン戦にて大ダメージを負っています!』

 

 

たしかに見た目は10万ボルトやかみなりの影響であちこちに黒いこげが見える。

けど、

 

『ん? んんん!? わ、私の見間違いでしょうか!? クラブの傷が回復していっているように見えます!』

 

ああ、始まっちゃった。

クラブの傷がどんどん回復していく

 

『いや、見間違いではありませんよ』

『しかし、チャンピオンマスターダイゴさん、クラブはねむる以外の回復技は覚えませんよ? いったいどういうことでしょうか?』

『回復技は使いました、尤も、クラブじゃなくてさっき倒れたグレイシアが、ですけどね』

『い、いったいどういう?』

『ねがいごとです。ねがいごとという技は一定時間が経つとねがいごとを使ったポケモンの半分だけの体力を回復する技なんです。グレイシアはこの技を使った直後、エルレイドに倒された。そして出てきたクラブが、ねがいごとによって回復したわけです。しかも今回はおそらくほぼ全回復に近いですね。だから、今は2VS2の完全な互角というわけなんです』

 

まさにダイゴさんの言うとおりです。

おそらくグレイシアのHPの種族値からのねがいごとなら、クラブのHPはほぼ全快まで回復するはず(クラブのHP種族値はグレイシアの半分以下。だから、グレイシアの体力の半分が回復するならば、クラブはほぼ全回復したことになる)

 

『おや、クラブの様子が……! これはまさかまさか!?』

 

クラブの身体が白く発光していってます。

そしてそれに併せて身体がだんだんと大きくなっていってます

 

ナニソレ?

このたいみんぐでですか?

 

ホンット、カンベンしてよ!

 

「ゴキゴキ」

 

『ここでユウト選手のクラブ、キングラーに進化しました!』

 

体力満タンのキングラー。

攻撃はカイリキーやガブリアスと同等、防御はジバコイルやドータクンとかと同等。

こっちは物理アタッカーでしかも物理耐久は低いのに!

 

「ええい、迷ったって仕方ない! エルレイド、おにび!」

「マッドショットで打ち消せ、キングラー!」

 

『さあ、エルレイドとキングラーのバトルが始まりました! 開始初手、エルレイドはおにび、対するキングラーはマッドショットの攻防です!』

『おそらく、ヒカリ選手はおにびでなんとしてもキングラーをやけど状態にしたいのでしょう。やけどになれば、攻撃力は半減しますし、時間が経つごとにダメージも受けていきますからね。カイリキー並の攻撃力が半減するというのは物理耐久の低いエルレイドにとっては非常に大きいですよ』

『なるほど。しかし、ユウト選手もそう易々と思い通りにはさせない、ということですか?』

『ええ』

 

くっ!

ならば、攻撃をして、その隙に状態異常を狙うしかない!

 

「エルレイド、リーフブレード!」

「キングラー、てっぺき!」

 

げっ!

そういえば、あたしの行動が今まで全部読まれてる……気がする。

 

『エルレイドのリーフブレードがキングラーに炸裂! しかし、キングラー、ほとんど効いていない!』

『てっぺき(防御2段階アップ)の影響ですね。もともと、ドータクン並の硬さを誇るキングラーの防御が約2倍になったんです。いくらエルレイドが攻撃が高い上に弱点を突いたとはいえ、あれではなかなかダメージを与えられない』

 

たしかにそうだ。

でも、キングラーの間合いに入った。

素早さはこちらの方が僅かに速い。

これならば——

 

「エルレイド、もう一度おにびよ!」

「キングラー、クラブハンマー!」

 

そしてあたしは見た。

クラブハンマーよりおにびの方が先に決まっていたことを——

キングラーが一瞬早くやけどになり、これでダメージは相当押さえられた。

後は、なんとかこのキングラーを退場させるだけ!

 

「エルレイド、かみなりパンチ、連打!」

「エルレイッ!」

「キングラー、からげんきで応戦しろ!」

「ゴキゴキ!」

 

もはや、ボクシングの打ちあいのようになり始めている。

避けて、かわして、当てて、避けて、かわして、当てて。

それの繰り返し。

 

『これはすごい! かみなりパンチとからげんきの応酬! もはやこれはキングラーとエルレイドの意地のぶつかり合いだァ!』

『エルレイドはかみなりパンチで効果抜群のダメージを与えているけど、てっぺきで防御がグーンと上がっています。一方、キングラーはからげんきで応戦していますが、からげんきは状態異常になると威力が2倍になる技で、かつ、エルレイドは先程も言ったように物理耐久は低い。なので、このままでは——』

 

「エルレイド、大きく後退!」

「逃がすな! 追え、キングラー!」

 

ダイゴさんの言うとおりあのままではエルレイドの方が先に落ちる。

というかもう落ちる寸前だ。

ならば——

 

「ふういん!」

「エッ、エルレイッ!」

 

決まった。

これでもう、エルレイドが覚えている技は使えない。

 

「エルレイド、かなしばり!」

「クラブハンマー!」

 

そしてエルレイドのかなしばりが決まると同時に、キングラーのクラブハンマーがエルレイドに突き刺さる。

 

……

 

……

 

そして——

 

 

「エルレイド、戦闘不能! キングラーの勝ち!」

 

 

 

 

予選リーグBブロック決勝戦

ユウトVSヒカリ

 

ユウト手持ち:グレイシア(ダウン)、クラブ→キングラー(やけど+ダウン寸前の大ダメージ)、残り1体

ヒカリ手持ち:エルレイド(ダウン)、ベトベトン(ダウン)、残り1体

 

 




ねがいごとは第5世代になって「ねがいごとを『受ける』ポケモンの最大HPの半分だけ回復する」から「ねがいごとを『使った』ポケモンの最大HPの半分だけ回復する」に変更されています。ちなみに書き上げてから気がつきましたので、変更はしません。
それからラストにふういんをやったのも別に書き間違いなどではありません。

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