(旧)【習作】ポケモン世界に来て適当に(ry   作:kuro

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第11話 予選決勝ユウトVSヒカリ

 

 

「まさかヌケニンがくるなんて」

 

 

ヌケニン。

虫・ゴーストタイプのポケモン。

入手条件はかなり特殊(そのためあまり研究が進んでいない)。

具体的にはツチニンを進化させる。

ただし、その際、手持ちが5体以下、かつモンスターボールを1つ以上保持していること(スーパーボール、ハイパーボール等モンスターボール以外のボールは不可)。

そのため、つい最近発見されたのだとか。

種族値自体はそれほど高くはない。

ただ、このポケモンは一つ、決定的に厄介な点が存在する。

 

「ヌケニンの特性『ふしぎなまもり』」

 

特性『ふしぎなまもり』

これの効果は効果抜群の技以外は当たらないというとてつもなく厄介な特性である。

下手をすると、ヌケニン1匹で詰むほどだ。

実際、キッサキシティからミオシティに向かう際に、ハクタイシティに立ち寄ったときにユウトさんがナタネさんにバトルを挑まれたのだが、そのときにユウトさんが出したポケモンがこのヌケニン。

ヌケニンは虫・ゴーストタイプなので、その特性により攻撃技は炎、飛行、岩、悪、ゴーストタイプの技しか効果がない。

そのときナタネさんのポケモンにそれらのタイプの技を使えるポケモンがいなかったので、呆気なく完封された。

そして後で理由を聞いたナタネさんは、

 

「そんなのって反則よぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

っと大絶叫していた。

その例からもわかる通り、ヌケニンははっきり言って対策をしなければその時点で詰むという非常に厄介なポケモンである(大事なことなので2度言いました)。

 

ただ、ヌケニンはHPが1しかなく、効果抜群の技を食らえばアッサリ落ちる。

また、『ふしぎなまもり』にも抜け穴はあって、攻撃技以外でダメージを受けた場合(例えば特性『さめはだ』や『ゆうばく』など/ダメージが減る状態異常(どく、もうどく、やけど)/天候変化技(すなあらし、あられ)/やどりぎのたね/まきびし、どくびし、ステルスロック/みらいよち、はめつのねがい、がまんなど)ならば、倒すことは出来る。

 

あたしのポケモンの中でヌケニンを突破できる場合は弱点を突くか、ベトベトンのどくどく、エルレイドのおにびくらいでしか倒せない。

 

「ポッチャマにステルスロックを覚えさせておけばよかったなぁ」

 

あるいはストーンエッジを使えるギャラドスを手持ちに入れておけばよかった。

まあ、泣き言を言っても仕方がない。

ヌケニンの弱点をつけるポケモンはリザードン、エルレイド(ストーンエッジ)、ベトベトン(かえんほうしゃ、だいもんじ)、ムウマージ(シャドーボール)の4体。

この中では一番のエースアタッカーのリザードンは入れたい。

おにびやでんじは、ふういんなどのトリッキーな戦法もできるベトベトンやエルレイドもできれば加えたいし、ムウマージの嫌らし戦法も捨てがたい。

ヌケニン突破が出来なくても、ジバコイルはほとんどのタイプに耐性があり、なかなか落ちず、特攻だってフーディンにやや劣る程度だが、ブイズの特殊アタッカーエーフィと同じくらいの高さを誇る。

ポッチャマは一番の相棒でここぞというときに頼りになる。

 

『さあ! もうまもなく、見せ合い時間の2分が経過しようとしています! はたして両者は6体の中からどの3体を選ぶことになるのでしょうか!?』

 

……

 

……

 

決めた!

あたしの3体を——

 

あの子たちで、勝負を挑む!!

 

「2分が経過しました! それでは両選手、ポケモンをボールに戻してバトルに出す3体を選んでください! それ以外のポケモンは使用できませんので、係の者に預けてください! ……よろしいですか!? それではこれより、予選リーグBブロック決勝戦を始めます! 両選手、ボールを構えて!」

 

『それでは試合、開始ィィィィ!!』

 

 

 

 

「あたしの最初のポケモン! いっけぇ、エルレイド!」

「一番手はグレイシア! キミに決めた!」

 

『両者、1体目のポケモンが出揃いました! ヒカリ選手はエルレイド、ユウト選手はグレイシアです!』

 

ゲームだったならあのパーティーを見てグレイシアは入れない。

なにせ苦手なタイプがポッチャマ、リザードン、エルレイド、ジバコイルと4体もいるからだ。

そして今、ヒカリちゃんの1体目はエルレイド。

相性は不利。

だが、このパーティー、この3体だと、グレイシアしかこの役割は遂行できない。

 

「グレイシア、バックステップで思いっきり下がれ!」

「エルレイド、逃がさないで! 一気にいくわよ! インファイト!」

「バリアーだ!」

 

フィールドの思いっきり後方(トレーナー付近)まで下がったグレイシア。

エルレイドとの距離が開いていたため、バリアーを張った後でもまだ若干の距離がある。

 

「ついでだ、グレイシア! のろい!」

 

そしてのろいが発動と同時に、エルレイドがグレイシアの懐に入り込む。

 

『エルレイドのインファイトがグレイシアに決まったァァァ! これは効果は抜群だァァ!』

 

インファイトによって吹き飛ばされるも、グレイシアはクルッと体勢を立て直し、まだまだやれる様子を見せる。

 

『こ、これは!? グレイシア、格闘タイプの大技インファイトを効果抜群ながらも耐えきりました! すごい! すごいグレイシアだ!』

 

なにせグレイシアはイーブイ系統の進化形。

イーブイ進化形は種族値の中に130、110という高い数値を必ず持つ。

グレイシアはその中で特攻種族値が130ということで注目されるが、実は防御種族値が110という、ブラッキーと同じ防御種族値を持つ。

耐久面では特防が130のブラッキーの方が使い勝手はいいため、ゲームではグレイシアはアタッカーの側面が高い。

ただ、この世界はゲームのようにはいかず、かつ、ブラッキーはすでに育てていたため、このシンオウに来て育て上げたという限定条件下でブイズのどれかを出そうかと思ったとき、グレイシアかリーフィアのどちらかが残った。

リーフィアは防御130と高く、素早さは95とそこそこ高いのですが、草タイプなため弱点が多く、特防が紙なので(リーフィアは65、グレイシアは95)、特攻がそんなに高くないベトベトンのだいもんじですら落ちかねないと思い、グレイシアをチョイスしました(ベトベトンのだいもんじならおそらく耐えられる)。

 

インファイトは物理技なため、その種族値+バリアーとのろいでグレイシアの防御が2.5倍に上がったおかげで、たとえ弱点であっても現状はまだグレイシアは戦えるといった状況です。

 

「グレイシア、でんこうせっかで距離を取れ!」

「バリアーにのろいを積まれたんじゃ、いくらタイプ一致抜群でも落とせなかったみたいね! なら、エルレイド、でんじは!」

「あくび!」

 

そうして、エルレイドにあくび、グレイシアにでんじはがヒットする。

 

『エルレイドのでんじはが決まり、グレイシアはマヒ状態になりましたァァ! グレイシアはピンチです! 一方、エルレイドはチャンスです! この機に一方的に攻め上げればグレイシアを下すことは可能でしょう!』

 

「んなわけないでしょうが! 戻って、エルレイド!」

「グレイシア、バトンタッチ!」

 

『おや、両選手ここでポケモンの交代のようです! ユウト選手の方はまだわかりますが、ヒカリ選手の方はいったいどういうことなのでしょう!? 解説のホウエンチャンピオンマスターダイゴさん、よろしくお願いします!』

 

そういや、ダイゴはなぜか解説席に座るらしいですね。

公人としての肩書を使ってるということは仕事ですか?

お疲れ様です。

 

『あれはグレイシアのあくびという技のためですね。あくびは一定時間経つと必ず眠ってしまうという技です。ただ、ポケモンをボールに戻せば効果はなくなるため、ヒカリ選手は交代を行うのでしょう。眠らされてはほとんど何も出来ませんからね。おまけにエルレイドはインファイトで防御と特防が下がっていますから、ここでの交換はいい判断だと思います。ただ、グレイシアをマヒさせたということはヒカリ選手にとってはかなり大きいですが、グレイシアにバトンタッチを決められたことはかなりの痛手ですね』

『はあ。あの、バトンタッチというものはいったい……?』

 

「いっけぇ、ベトベトン!」

「クラブ、キミに決めた!」

 

『あ、それより、2体目のポケモンがフィールドに出てきましたね。バトンタッチについてはまた後ほど』

『わかりました、ありがとうございます。さて、双方、2体目のポケモン! ヒカリ選手は3回戦シンジ選手とのバトルで進化したベトベトン、一方、ユウト選手は今大会初登場のクラブです!』

 

 

 

 

2体目もヌケニンじゃなかった。

ひょっとして、ヌケニンは入っていない?

くぅ、ちょっとやられたかもしれない。

 

にしても、ちょっと、なぁ。

グレイシアにバリアーとのろいを積まれて、バトンタッチでつながれちゃった。

これはマズイ。

防御2.5倍に攻撃1.5倍のクラブ。

おまけに、キングラーに進化でもしようものなら、種族値は、攻撃はカイリキーやガブリアスと同等、防御はジバコイルやドータクンとかと同等。

はっきり言って化け物すぎる。

ただ、クラブは特防が相当低い。

いわば、紙だ。

ベトベトンのそんなに高くない特攻でも十分落とせる。

なら、

 

「ベトベトン! かみなり!」

「こうそくいどうでかわせ、クラブ!」

 

『おおっと! ベトベトンのかみなりがフィールドを襲います! しかし、クラブもこうそくいどうでかわしている! なんて器用なカニだァァ!』

 

たしかにあのカニ、じゃなかった、クラブは器用ね。

さすが、ユウトさんが育ててるだけはある。

かみなりはもともと命中率がそんなに高いわけじゃないから、当たらないのも仕方がない。

ただね。

 

『クラブ、かみなりを避けている最中にベトベトンがクラブに接近! クラブ、ピンチだ!』

 

「今よ、ベトベトン、10万ボルト!」

「クラブ、こらえる!」

 

うそ!?

こらえる!?

これじゃあ、HPをギリギリまで削れてもクラブを倒しきることなんかできない!

マズイ!!

 

『ああっと! クラブ、不運! ベトベトンの10万ボルトに加え、降り注いでいたかみなりの1つがクラブを直撃ィィ! 効果は抜群だァァ! これはクラブ、耐えきれずにダウンかァ!?』

 

んなわけないでしょ!?

こらえるなんてやられたら、次に来るのは——!

攻撃種族値105で攻撃1.5倍HP1でのじたばたなんて食らったら——!!

 

「クラブ、じたばた!」

「コキコキ!」

 

『あ、クラブのじたばたがヒットしましたね。クラブは相当の大ダメージを受けていたはずですから、このじたばたの威力は相当なものでしょう』

 

じたばたはHPが低いほど相手に大ダメージを与える技。

HP1でのじたばたの威力は200。

だから、

 

「ベトベトン、戦闘不能! クラブの勝ち!」

 

になるわよね。

 

「はぁ、お疲れ様、ベトベトン」

 

ふぅ、と深く息を吐きつつ、あたしはベトベトンをボールに戻す。

 

「ベトベトン、ありがとね。今はゆっくり休んで」

 

『ベトベトン、ダウゥゥゥン! ヒカリ選手はこれで残りのポケモンは2体になりました! 一方、ユウト選手は3体が残っています! はたしてこの先、このバトルはどのような展開を迎えていくのかァァ!?』

 

 

 

 

予選リーグBブロック決勝戦

ユウトVSヒカリ

 

ユウト手持ち:グレイシア(ダメージ+マヒ)、クラブ(ダウン寸前の大ダメージ)、残り1体

ヒカリ手持ち:エルレイド(無傷)、ベトベトン(ダウン)、残り1体

 

 

 




なんて強いカニだ。カニかわいいよカニ。
ちなみに、「こらえろ!」というのは指示、「こらえる」というのは技です。指示の方は「かわせ、ピカチュウ!」のごとく、当たり前のように浸透していますが、技の方は知られていません。

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