「……本当に、これでよいのか?」
「……あぁ」
目の前の爺さんは心配するような顔で、再度俺に問うてくる。
「何でもいいとは入ったが、もっと……あるじゃろ? 王の財宝とか無限の剣製とか、一方通行とかGERとか、無難な所で無限の魔力とか天才化、無限に成長とか―――――」
「いらん……それに、俺はその手の事は、一部のゲームの事をを少し知っているくらいで、余り知らないからな」
「しかしじゃな……いくらなんでも」
クドイ爺さんだな……。
「本人が良いと言っている。それだけで充分だろ?」
「だがな―――」
ちっ、しつこい……。
「あんたがどれだけ生きてきたか知らないがな、あんたには分からない事だってあるだろう? そう言う事だ」
「……わかった……その、お主の願い通りにしよう」
「……あぁ」
これでいい……俺はずっと、ずっとこうなりたかった、こうで在りたかった―――今、それが叶うのか……
「では、良き第二の人生を……青年よ」
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side神の老人
不思議な青年じゃった。
この世界に生きとし生けるもの、その半分は冥界へと送られる。しかし、そのモノの生き様や死因によっては記憶や技能を保持したまま第二の生へと移ってもらう事もある。
それ自体は稀なことではないが、半分ほどは年老いて死ぬ者も多く、すぐにでも冥界へ送ってくれという者がほとんどだ。しかし、若くして……夢を持ったまま死ぬ者もいる。そう言う者達は皆、自身の夢を体に詰めて第二の世界へと進む。
今回の青年も、そんな若者の一人だった……しかし……
「あのような考えを持つとは……あの者は前世で一体何を思っていたのだ? ……何を、感じたのだ?」
あの青年の考え自体は珍しいものではないだろう。しかし、この第二の所為を受ける場では初めての事だった。
「あの青年の眼……アレは邪なものではなかった……ただそうなる事を、願っていた目じゃったな……」
第二の生を受けており立つ世界で邪な考えを持つに至ってしまうかもしれないが、少なくともこの場でソレは感じなかった。
「青年よ……ソレはお主が望んだ事であり、しかし、コレは同時に望まぬ事やもしれん……どうか、ねじ曲がってくれるなよ」
わしが与えたそれは、神としての我儘に過ぎんかもしれんが……な……
sideout
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side???
ここは……森の中か? そうか、転生したのか、俺は。
――――ちょっと待て。何故だ、俺の望んだようにはなっていない? 何時も通り……どうなっている――――いや、叶えてくれたみたいだな、“願い”を。
俺が望んでいた物よりも、ずっと強力かもしれないが……望んだ物には変わりない。第二の生を送らせてもらうぞ……爺さん。
―――――この、『ハンニバル侵喰種』の体でな。