IS 普通じゃない男子高校生   作:中二ばっか

29 / 41
第29話

 開発部から渡されたマルチランチャーは銃床の部分にメテオールプレートが繋がれ、先端に備え付けられた接続部品にブレーデッドバイケインが碇のようにして付けられていた。

 即位換装プログラムの向上が目的で備え付けられた大鎌。

 アキラに申し訳ないと思う。だが、今からこの装備を外すのも仕事から逃げているようで、せめて最後まで関わっていきたい。

 アキラになんて言われるか分からないが。

「……それの調子はどうなのかな?」

「正直、使いづらい」

 午後の四十院の試作品のテストまでに、アリーナの投影された的に新しく改良されたマルチランチャーで試験射撃をしていた。

 そして、使ったところ今までとは余りにも違う。

 なにせ今まで腕に固定されていて反動を軽減していたのが無くなり、普通のライフル銃とは違い肩に銃床を当て反動を消すことが出来ない。

 脇にメテオールプレートを挟むようにして反動を軽減しているが、かなり難しい。

 空中に投影された的に当たりはするのだが狙った部位には結構な頻度で外れている。

「これで精密射撃をしようとは思わねぇけど、もう少し反動をどうにかしたいからな」

 その為に開発部の機材を少し借りて調整している。

 重心バランスの変化を手元に近づけさせるように設定しているが、そうなると銃床部分に当たるブレーデッドバイケインが使いづらくなってくる。

 射撃ができる近接武装にするか、近接戦が出来る射撃装備にするか悩んでいる。

「もういっそのこと即座に外して使うか……?」

「……そっか。……こっちで改造した物理シールドも試してみてどうだった?」

「デュノアののように変な仕掛けがないだけましだ。少し盾の面積が大きくて近接戦には不向きになりそうと思う以外は問題ねぇ」

 今日の四十院の技術者がラファールストレイドを改造するために多方向推進翼は外しており、それに付属する物理シールドも外されている。

 少し防御力が不安なため腕に盾を持てるように何かないか探したところ、雪原が声を掛けてきてくれて付けたのがこれだ。

 物理シールドにL字の接続部がついておりそこに腕を置く形で装着する。デュノアのラファール・リヴァイブ カスタムⅡのような盾殺しが現れるようなギミックはないが、そのまま腕に携帯させて置いてもいいし、持ち手も付けて握るって防御態勢を取りやすくもできる。

「手伝ってくれてありがとうな」

「……ううん。……誰でも簡単にできることだから。……今度は盾を課題に作成してみようかな……」

「雪原は開発部なんだっけ?」

「……うん。……設計図を書いては書き直してだけど」

 前に研究部で部品を作っていた時、設計図の見取り図が物凄く細かいことを思い出した。アレを一から作るとなると何人の技術者が事細かに思考し、頭の中のイメージを形にし、部品の配置を調整し、集中して組み上げていくか。少しの部品がずれただけで組み直し、問題が出たらまた直す。なんて根気がいる作業だろう。

「大変そうだな」

「……だけど、こっちの方が私には向いているよ」

 いつものように戸惑いがちな目は活気があり、本当に遣り甲斐があるようだ。

 

 

 

 マルチランチャーを少しいじくった後、四十院がいる第6アリーナのピッドまでくる。

 この第6アリーナではレース用に改良を施されている。通常アリーナの倍以上に広く設定され、空中で的代わりに使っている投影スクリーンでカーブやコースを自由にでき、地上では玩具の鉄道レールのように連結部を変えることでコースを変え、壁やトンネルなどを作り出せる。

 しかし今は何もなく、レース場というよりはものすごく大きなアリーナとしか見えない。

「試作装備の試験を受けてくださりありがとうございます」

「あの、同級生にそこまでかしこまらなくてもいいんじゃ?」

「そこは公私混同せずにとお考えください」

 あくまで仕事関係を崩さない四十院の後ろには、四十院の会社の研究員と整備者が今日取り付ける独立飛行機構と推進器の最終確認をしていた。

 独立飛行機構の特徴として最新の小型戦闘機よりもはるかに小さいサイズになっている。それに加え機首に当たる部分がない。代わりに機首に当たる部分に接続アームがありISの背中に付けることで機動力向上するらしい。また、エンジンが2つ内蔵されているようで垂直尾翼の様にせり出ている。主翼、戦闘機のような推力偏向《ベクタード》ノズルが4つ。それらによる揚力や推進力で飛ぶらしい。

 エンジンの上にCIWS《近接防御火器システム》が2つ。

 胴体部分に機関砲が2門。

 さらに上部の中央にISの足に付けるような接地面が備え付けられている。資料で見た時にはその上に乗り空中での足場を作り、射撃時の反動を軽減、精密作業の安定向上をするらしい。

「これが独立飛行機構、『始祖鳥』……」

「はい。そしてその隣にあるのが電気推進の『紫電』です」

 そうして催促する四十院の斜め後ろにかなり大型の推進器が見える。

 噴射方向を自由に変えられる接続アームに繋がれた電気推進器は計4つ。左右の横腰、肩に付ける予定になっている。

 資料では各個に小型のジェネレーターを搭載しており、ISからは独立して使えるよう設計されている。EOSに付けるためにはISのエネルギーに頼らなく稼働できるようにしているのだろう。

「では早速、接続した後試験をしてもらいます。ISを展開してください」

 そう言われて多方向推進翼が取り外されたラファール・ストレイドが俺に装着される。

 そして、背中に独立飛行機構『始祖鳥』が接続される。そしてその後から肩、横腰に『紫電』を付けていく。

 その間に、技術者の面々から簡単なレクチャーをされた。

「いいか。この飛行機構の推進力に驚くなよ。そして、強靭な筋肉があればそんなことにはならない!」

「電気推進器はジェットエンジンやロケットエンジンとは違いすぐにON・OFFが可能になっている。一瞬でトップスピードになるから覚悟しておけ。まぁ、鍛えられた肉体ならば大丈夫だろう」

「電気推進器は使うたびにジェネレーターから配給された電力を使う。だからコンデンサー内の電力量には注意しておけ。そして4つもあるからそれぞれに気を配れるように、慣れる為にも体は鍛えておけ」

 鍛えられた肉体で、重機を使わずに作業をしている整備者が渋い声でレクチャーしてくれる。その3人はまるでプロレスラーのみたいに強靭な筋肉で、着ているツナギははち切れんばかりに盛り上がっている。

 後、全員から体を鍛えろと言ったことを言われるのだが、これでも最近は更識先輩の稽古や朝の走り込みで体力はついてきた方だと思うのだが、彼らにとってはまだまだらしい。

 そうして、各装備の接続が終わった時には、ラファール・リヴァイブとは思えないほどにシルエットが変わったラファール・ストレイドがそこにあった。

 背中から機械の羽根が生え、多段式ロケットのように推進口があるそれは、今にも火を噴かせ飛んで行きそうだ。

「では、始祖鳥の試運転から参ります」

 そう告げられ、研究員は計測機器やモニター画面に、さっきの筋肉式整備者はいきなり腕立て伏せをしていた。

 思わず彼らの行動に戸惑ってしまった。

「あの……腕立て伏せしている彼らは」

「大丈夫です。彼らの次の仕事は部品の交換や整備などです。整備は性能を確かめてからになりますから」

「体力大丈夫ですか?」

「「「問題ない!」

「だそうです」

 俺たちの会話は聞こえていたらしく、まったく疲れていない声でそう返してくる。持てなくないとはいえ、それ相応の重さがある装備を重機を使わずに作業して汗すらかいていない。

 例えるなら車のタイヤ交換のために使うジャッキを腕の力だけでやっているようなものだ。物凄いと思うと同時に、今接続された装備がばらけないか心配になる。

「彼らの腕は私が保証します」

「……わかりました」

 取りあえずピッドの発射位置に移動する。

 

「では試験を開始します。始祖鳥を起動します」

『電力供給問題なし』

『エンジン始動』

『接続問題なし』

『拒絶反応見られず』

『各システムオールグリーン』

『AI≪飛鳥《アスカ》≫起動します』

≪『始祖鳥』起動≫

『起動確認』

『発信してください』

「了解」

 カタパルトが動き出し、ピッドの射出口から機体が放り出される。

 独立飛行機構『始祖鳥』のノズルが火を噴き、推力が今まで使っていたラファールの多方向推進翼の比ではない。

 最初の試験は自由飛行。それでも圧倒的な速度が恐怖心を募らせる。瞬時加速でなくともそれに近い速度でぐんぐんと壁に近づいているのだ。推力偏向ノズルの方向を下に向かせ機体を上昇させる。

≪高度上昇。初期燃料使用率3%≫

 始祖鳥に搭載されたAI≪飛鳥≫が感情がなく淡々とした声で現状の状況を随時、ピッドに居る研究員と俺に伝えているが俺の方はその報告に耳を傾けている余裕はない。

 空中を始祖鳥の推進力任せで戦闘機のように飛ばしていく。流れていく景色はかなりの速度で過ぎていく。

『紫電の使用をお願いします』

 そこに電気推進器を使う指示を受け、始祖鳥の加速に戸惑いながらも『紫電』を使用する。

 瞬間、強烈な加速Gが章登を襲う。両肩と横腰の4つの電気推進器から閃光が尾を引き強引な急加速を掛けたのだ。流れていた景色は一瞬にして飛び去っていき、吹っ飛ばされるようにして飛んでいく。ISのハイパーセンサーが無ければ景色を見ることなどできそうにない。

 その加速に恐怖を覚えながらも歯を食いしばって耐える。

 そして、モニター画面に表示されているそれぞれの蓄電量は見る見るうちに減っていく。

 それに気づかずにコンデンサーの電量は無くなり、電気推進器から光の尾は消えてしまう。

『そのまま電力が回復するまで旋回行動と蛇行飛行を続けてください』

 そして試験は続けられ、再び独立飛行機構『始祖鳥』と電気推進器『紫電』を使用して圧倒的な速度と爆発じみた加速に振り回らせた。

 

 

「うぉ」

 試験項目が全て終わり、ISから降りるとまるで足に力が入らずにもつれてしまう。

「大丈夫か?」

「あ、ありがとうございます」

 がっちりとした鍛えられた腕にふらついた体を支えられ何とか転倒せずに済んだ。そして筋肉質な整備者に近くにあるパイプ椅子に座らせられる。

「今度乗る時までにスクワットしておくんだ。そうすればこのようなことはなくなるぞ」

「あ、はい」

 そうして、筋肉質な整備者はストレイドの整備に取り掛かる。

 先程までの急な加速によるGの影響よりも、急に狂ったような数値をはじき出す推力による心理的な恐怖心の方が、章登の体をふらつかせていた。

「使用した感想はどうでしょうか?」

「……はっきし言ってどっちか1つにした方がいい。通常飛行は始祖鳥、瞬時的な加速なら紫電。どっちもすごいけど2種類同時に使うと速度が速すぎて制御できねぇ。開放的な空間だからどうにかなっているけど、閉鎖的な空間ならどこかにぶつけるだけだと思う」

 四十院が装備の感想を聞いて来たから返答したが、単にじゃじゃ馬と言うより詳しく使いづらさを述べる。

「そうですか。かなり癖の強い装備というのは分かっていましたが」

「使ったことあるのか?」

「ええ。自社で一度。私では始祖鳥の加速度だけで精一杯でしたから、その状態で紫電を使うことに怖々で使えませんでした」

 自身の体を戦闘機に取り付けて吹っ飛ばしているような所にさらにニトロをぶち込んで加速を得るようなものだ。よほどのスピード狂でもない限り願い下げだろう。章登自身も試験項目で知っていたからやるしかないと腹をくくっていたわけだ。

「整備が終わったら、また試験再開になるので一休みしてください」

「……そうさせてもらう」

 

 

 独立飛行機構『始祖鳥』と電気推進器『紫電』の試験項目を一通り済ませた後に章登は、心身ともに疲労していた。

 廊下を歩き自身の部屋に戻るのにも一苦労で、ふらつきながら歩いている。

「章登、大丈夫か?」

 後からふらついている章登に声を掛けてくるボーデヴィッヒ。

「ああ、疲れただけだ」

「これから食堂にでもと誘いに来たのだが、その様子では一刻も早く休みたいらしいな。だが栄養補助を怠るのは感心しないぞ」

「いや、食べる気力すらないんだが」

「カロリーメイトぐらいは食べておけ。私の部屋まで行けるか?」

 カロリーメイトぐらいならば大丈夫だろうとボーデヴィッヒの部屋に向かう。一刻も早く休みたいというのが本音だが確かに腹がへているのも事実。何か食べておかないと空腹で夜中目を覚まし、朝食までひもじい状態で過ごし続けなければならないだろう。

 ボーデヴィッヒの部屋に来た時、びっくとこちらを振り向いては毛布をかぶって顔を隠すアキラがこちらに声を掛けてくる。

「お、おひ、お久しぶり……」

「ああ、お久しぶり」

 ボーデヴィッヒが冷蔵庫からカロリーメイトの箱を取り出し、こちらに渡してくる。

「疲れているのならここで少し休んでいくといい。ベットがありているしな」

「ああ、そうさせてもらう」

 ボーデヴィッヒが使用しているベットに座り、布団の弾力に沈みながらカロリーメイトの封を切って口の中に入れていく。

「……し、四十院の装備の、て、テストしていたらしいけど、ど、どうして、しょ、承諾した?」

「まずは純粋に実力を認めてくれたって点とEOSの開発に貢献できるって点だな」

 拡張操作探究機《エクステンテッド・オペレーション・シーカー》、頭文字を取ってEOS。

 宇宙空間に出るのはまだ先の話になると思うが、医療介護や救助活動のパワーアシストに一部使われている。とはいえ稼働時間に難がありそれほど活躍できるというものでもなかった。それが、ドイツのシュバルツェア・レーゲンに使われている技術を流用することで目途が立ち、本格的な開発が始まっている。

「後、装備自体に興味もあったし、基本のラファールの操作にも慣れたから新しいことをしてみようとも思った」

「そ、そう……」

 こちらをじっと毛布の隙間から見ているアキラの顔は見えないが、多分こちらを利用してくるのではないかと不安がっているように思う。

「大丈夫だって。四十院も俺もアキラを利用しようとは考えていねぇよ」

「その通りだと思うぞ。個人の力を当てにしすぎるとそいつが欠けた時瓦解してしまうからな」

 ボーデヴィッヒなりのフォローが来るが、何かが絶対的におかしい。

「ま、まぁ、自分たちで開発しないと意味がないってことだろ?」

「流石は嫁。よく理解している」

 ボーデヴィッヒは未だに俺のことを嫁と言いそれが他の人に色々な印象を与えている。

「ふ、二人は……つ、付き合って、いるの?」

 毛布の中の顔は極度の緊張で強張り、赤くなっていた。だが、どうしてもアキラは気になってしまった。

 ラウラ・ボーデヴィッヒと同居人になって、初めはかなり怖かった。なんだあの眼帯は、どうしてナイフを持っていると叫びたくなったほどだ。

 だが、何日かするうちに彼女は敵意や下心を持って接してきたことなどなかった。

 『今日は学校に行かないのか?』『ずっと部屋にこもっているが病気なのか?』と心配してきた。そして、ただ行きたくないと答えた。

 彼女は厳しい軍人キャラの印象があったため、叱りつけられると思っていた。何を甘いことを言っている。軟弱者。と言われると思った。

 だが予想しなかった答えが出て来た。

『そうか。私もそういった状況に居たことがある。私の時は教官がいたから立ち直れた。お前には章登や私がいる。私は力になれるか怪しいがな』

 実はラウラは最初からISで好成績を叩き出していたわけではない。ISが出来る前の兵器で出せた結果も、ISが復旧してからは何の意味もなくなった。

 ISに乗り換え、それまでの訓練の成果は芳しくなかった。それで部隊員からは嘲笑され、嫌悪され、出来損ないと言われた。

 あの時は軍など辞めたかった。だが、試験管ベビーである自分が軍から抜けて生きていけることなど思えなかった。結局軍に居続けるしかなかった。

 そんな経験があるからこそラウラ・ボーデヴィッヒはアキラに叱りつけることなどしなかった。

 それが、自分という存在を受け入れてくれたようで安心している。

 だが、2人が一緒に居ることになんだか不安が募ってしまう。

「違う」

 章登は即座に否定する。

「で、でも……よ、嫁って」

「ボーデヴィッヒは日本の間違った認識をしているだけなんだ」

「間違ってはいない。私は章登を気に入っているからな」

 なにやら複雑な関係らしい。

 

 

 

 篠ノ之箒は電話を掛ける。一度も使ったことのない電話番号。この相手がいつの間にか勝手に登録されており、使うものかと決めていたがどうしても必要と思い掛ける。

 相手は1コールもせずにすぐさま電話に出てこちらに姦しく声を掛けてくる。

『やぁやぁ妹よ! 束さんは箒ちゃんからの電話をいつも心待ちにしていたのにずっと使ってくれないんだもん。寂しくなっておねぇちゃん泣いちゃいそう。でもね、これは焦らしプレイなんじゃないかと思ってみるとすっごくドキドキが止まらなかったんだよ。今か今かと待っているのに何時になっても掛かってこない。これってかなり高度じゃないかな。だって相手にその気が無ければ一生相手のことを思い続けることになっちゃうんだから。それで今この時に掛けてきてくれて待ったかいがあるってもんだよ。あれだね。沢山待った分だけ喜びが大きいっていうの。これだのけ幸せ感を出してくれる箒ちゃんはかなりのテクニシャンじゃないかと思って』

 通信を切る。

 あまりのマシンガントークにこちらの耳がいかれそうだ。

 いきなりこちらが切ったためかあちらから電話が掛け直してくる。

『んもう、箒ちゃんはせっかちだなぁ。で何の用かな?』

「……姉さん。私の―――」

『うふふ。分かってるよ。欲しいんだよね? 君だけのIS。ちゃーんと用意してあるから今度届けに行くよ!』

 篠ノ之箒が自分の用件を伝えようとしたらこれだ。相手は会話を先取りにして何でも分かったように先へ先へと強引にでも進ませる。

 まるで好奇心旺盛な子供が誰の忠告も聞かず、どんどん先へ進んでいくような人物。

『ところでなんで箒ちゃんはISが欲しいのかな?』

「どうせ分かっているんでしょ」

『ああ、むかつくよねぇ。いっくんが邪魔だとか言ったあいつ。なんだっけ。まぁいいや。そんな奴コテンパンにできるくらい規格外の最高性能の最新機届けに行くから! 箒ちゃんだけがいっくんの力になれるよ! 他の奴の支援なんていらないくらいなんだから。もう悩まなくていいんだよ』

「私は別に―――!」

 篠ノ之箒が何かを言う前に電話は切れた。

 再度掛け直して訂正しようと思っても、繋がらなかった。

 力が欲しいと思ったのは事実だ。あの時一夏の力になれれば学園内での一夏の評価が落ちることもなかっただろうと思う。

 しかし、なぜ今外に居る姉の篠ノ之束がVTSの暴走の時のことを知っているのか。考えても無駄だろう。この学園の監視カメラをハッキングしてこちらを覗いていても不思議ではない。

 篠ノ之束が言ったように、崎森に怒りを覚えたのも事実だ。どれだけ間違っていようとも大切な相手を傷つけたのだから。理性では分かっているのだ崎森が正しいことをしたのは。だが、それで感情が消せるわけではない。

 だが別に勝ちたいわけでも、居なくなってほしいわけでもない。

 ただ、あの時自分に力があれば一夏を止めつつ協力して解決できたのではという後悔から力が欲しいだけだ。

 

 だから、力を振るいたいわけではないと自分に言い聞かせた。




独立飛行機構『始祖鳥』はジャスティスガンダムのファトゥム―00。
電気推進器『紫電』はエールストライクの稼働する大型スラスターで機能としてブレイズ・レイブンのアジャイル・スラスタをイメージしています。しかも各個に小型ジェネレーターを積んでいるという……(汗)
でジェネレーターってどうしよう。
アークリアクター。パラジュウムリアクター。核融合炉。
どれも非核三原則に触れそうだからなぁ……。
今のところ水素吸蔵合金を使用した水素燃料電池ぐらいを考えています。空気中の水素も取り込んで電気にしているとか……空気中に含まれる水素は0.000005%。電力足りてるだろうか?

で、もう1つの問題はネーミングです。
初めての試みである独立飛行機構だから初めての鳥の名前を取って始祖鳥。
飛ぶ名前が入っているからAI名を飛鳥
電気を使った推進器であるため電気から紫電(レトロな戦闘機でそういうのなかったけ?)
安直すぎませんかね。四十院が基本的にカタカナは使わないって設定なので、それに関連して和名が基本になってしまいました。

そして、篠ノ之ですが、原作とは違い自分からISを求めたということにします。
本当に誰かを助けたいから力を得たいのか、それとも力を振るうついでに助けるだけなのか。
どっちにしろ姉のコネに頼っている時点で駄目でしょうが、正直仕方ないでしょう。ISなんてそうそう与えられるものではないんですから。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。