IS 普通じゃない男子高校生   作:中二ばっか

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皆様 次の話はボーデヴィッヒ・篠ノ之VS章登・癒子だと思いましたか?


第24話

 

 観戦席はかなりの人でにぎわっていた。

 他のアリーナでも競技が行われているため、生徒の数、政府、企業の方々は分裂し、それぞれに観察者が分散している。

 俺達が見ていたモニターは自分たちの試合のあった第一アリーナ。

 理由はすぐに試合が開始されるから。

 対戦はセシリア・オルコット、鏡ナギVS相川清香、鷹月静音の組み合わせだ。

 オルコットはブルーティアーズを着込んでおり、鏡ナギは打鉄の手に十字の槍『ドラゴンフライ』を持っている。

 相手の相川はラファールにサブマシンガンを両手に2丁と言うガンスタイル。鷹月静音は打鉄撃鉄だが、癒子とは違い両刃の大剣ユナイトソードを両手で構えている。

「どっちも前衛後衛に分かれてんのか」

「でも、方向性は大きく違うみたい。サブマシンガンは射程に優れていないから、支援と言うより足止めになると思うけど」

 

 そんな事を言っているうちに試合が開始される。

 

 オルコットが威嚇、牽制、先制攻撃をビットで相手に向けて撃つ。

 相手2人が回避、防御行動を取っているうちに鏡ナギが十字槍を鷹月に突き刺す。

 恐らく近接戦に不利なオルコットの足止めであろう。

 一方、鏡ナギと鷹月は突き出された矛先に反応し、大剣で迎撃する。

槍と大剣がぶつかる。十字槍の柄が軋み折れるかと思われたが、その前に横に向かって引き戻しながら、重質量の大剣の攻撃を逸らす。

 そして、引き戻した矛先を鷹月に向かって突く。それを何とか浮遊している物理シールドで受け流しつつ反撃。ユナイトソードをスコップみたいに突き刺し地面を抉るようにして、土を相手にぶつける様にして目つぶしする。

 大量の土が鏡ナギの視界を奪い、大剣の軌道が分からなくなる。このまま居たら餌食になるのは確実。

 後退しようとしたところに、相川の支援、サブマシンガンの弾雨が降り注ぎ一瞬挙動が遅れる。その隙を逃さず振られるユナイトソード。

 だが、その攻撃を阻害するもの。ブルーティアーズのビットの高熱を持った閃光が土を焼き、死角からの攻撃をする。

 なにも、相手が見えないのはこちらだけではない。

 その閃光に怯んで一瞬攻撃か、防御か迷った。そうしている内に光速の熱線は打鉄撃鉄の装甲を焼く。だが、その損傷は微々たるもの。

 打鉄撃鉄は元々防御力を重視に改良した打鉄だ。その打鉄も高い防御力を誇っている。さらに、土でレーザーの威力が減衰してしまったのも要因になっているのだろう。

 そしてこちらが攻撃するはずが逆に攻撃されに驚かされた。それで一瞬行動が遅れてしまう。

 すぐさま遅れを取り戻そうと、ユナイトソードで巻き上げた土ごと後ろにいるはずの鏡ナギを叩き斬る。

 だが、一足遅く、大剣の刃先にかすった程度に終わる。

 それでもシールドエネルギーを削らされ、すぐに削られた分を取り戻そうと十字槍を突き出し、引き金を絞る。

 ドラゴンフライには下方に備え付けられるアタッチメントがあり、そこには短身散弾銃は弾丸が装填されている。

 限界まで近づいた砲口は相手に唸る。

 

 2対2ではこちらが不利だと判断し、オルコットの意識をこちらに向けるために両手のサブマシンガンで攻撃を繰り返す。

 流石に弾幕が厚い。これでは支援に入ることが出来ないので、オルコットは相川を早々に倒そうとする。

 2丁のサブマシンガンの弾雨による牽制射撃と距離を取り続けレーザーの精密射撃は、確実にオルコットが押しているように思えた。

 確かに高熱のレーザーが相手の装甲を熱して赤くし、シールドエネルギーを奪っている。

 だが、現実には流れ弾が多すぎて後ろへ、後ろへと追い詰められている。

 ここでさらに相川は多方向推進翼に付いている物理シールドの裏側からミサイルが48発発射される。

 自身に到達する前にビットを展開。ミサイルを撃ち落とすことで回避率を上げる。  レーザーの熱で加熱され、火薬が引火し爆発するミサイル。

 それでも撃ち落とせなかったのを、出来るだけ自身に引き寄せてから一気に反対側に進むことで、ミサイルの誘導を振り切って回避する。

 そこにサブマシンガンの弾雨に強襲される。

 装甲が火花を散らし、シールドエネルギーが削られていく。

「くっ」

 アリーナの移動制限ギリギリを飛んでいたため、これ以上の後退が出来なかった。だが、このままサブマシンガンの餌食になるわけにもいかず、ビットで反撃する。

 別方向からの攻撃に挙動が一瞬遅れ、装甲が焼かれる。

 このままではまずいと相川はスモーク弾を取出しアリーナ上空で展開する。

 これはあの時、崎森との模擬選をマネしての戦術。この中では、レーザーの威力は減衰し、相手に一気に近づくことが出来る。

「これで!」

 相川は終わりと思ったが、黄色い雲を抜けたところで見たのは、ブルーティアーズに唯一搭載されている接近武器。インターセプターを展開していたオルコットであった。

「二度も同じ手は食らいませんことよ!」

 ガスバーナーのように青白い高熱の光を出す柄を握り、相川に向かって突き出す。本来のオルコットの戦い方ではなく、近接戦は苦手でそんなに速くはない。

 だが、視界が開いた場所にいきなり突き出されたのだ。相手は狙撃主体で近接戦闘はしてこないだろうと思っていたばっかりに動揺してしまった。

 故に素人のオルコットの突きを喰らってしまう。

 高熱で焼き斬るインターセプターは剣と言うよりは、照射時間が長いレーザーガンに近い。例え短剣サイズの持ち手であっても、その長さはなにかしらの障害物まで続く刀身である。

 細長い剣を辺りに振り回すことで先ほどのようなミサイルの迎撃、近接戦を仕掛ける敵を尻込みさせるような武器だ。

 基本武器のリーチが大きい方が有利なのは先手が取りやすい、逆に不利なのは先手が外れた後、切り返しに重いため遅れてしまう事だろう。

 だが、レーザーを使うインターセプターには精々柄ぐらいしか重さがない。それに短剣であったら刃を立てなければならないが、刀身がレーザーなので触れただけでダメージを与える。

 なので、相川が当たったことに気づき瞬間回避行動を取って逃れようとも、手元をずらすだけで攻撃が当たる。

 相川はインターセプターの刀身の追跡を避けられず、シールドエネルギーが0になり戦闘不能となった。

 

 ドラゴンフライの下方につけられた短身散弾銃から放たれた散弾は、確かに鷹月が着ている打鉄撃鉄に当たる。

 だが、打鉄撃鉄は草摺のように多重装甲になっているため1つの装甲が壊れようとも動ける。

 そのまま反撃し、ユナイトソードが猛威の横薙ぎをする。

 トラックに引かれたように鏡ナギは宙を舞い、アリーナの壁に激突する。

 鷹月は追撃に走り、鏡ナギは復帰を急ぐ。

 振り下ろされた大剣を転がるようにして避け、立ち上がりながら距離を取る鏡ナギ。

 そして、突撃。

 なんの変哲もない、ただ速いだけの突きを繰り出す。ただし、今度は瞬時加速で爆発的に速度が乗った突きだ。

 十字槍の突きが鷹月に放たれるが、突如その突きの速度が上がる。ドラゴンフライに内蔵されたスラスターがさらに加速を生み、鷹月の胴に食い込む。

 あまりにも速い突きであったため、防ぐことが出来なかった。そしてそこから放たれる散弾は大きく、鷹月のシールドエネルギーを減らす。

 だが、鷹月もユナイトソードを分裂させ片刃になった大剣を、鏡ナギに振り下ろす。

 とっさに十字槍を手放せず、片刃の大剣に斬られる。

 そして、残った片刃の大剣を鏡ナギの打鉄の装甲に突き刺し、シールドエネルギーがゼロになり機体が停止する。

 未だ刺さった十字槍を抜き取り、相川の方へ向かおうとすると同時にオルコットと相川の決着がつく。

 

 相川を倒したオルコットはすぐに相方の鏡ナギの方に向くが勝敗は決しており、スターライトmkⅢを鷹月に向かって放つ。

 しかし、鷹月はそのレーザーを避けることはせず、浮遊している物理シールドを前面に押し出して突撃する。

 防御力に物を言わせての突撃だが、オルコットのレーザーは相川が出したスモーク弾の雲で減衰してしまい、著しく威力を落としてしまった。

 ならばミサイルを放つ。白煙を出しながら鷹月に向かっていく。両手に持ったユナイトソードの手首を回転させ、自身に到達する寸前で爆破させ最低限の損傷で済ましオルコットに襲い掛かる。

 しかし、近接戦が苦手なオルコットには若干の笑み。

「これで、邪魔な雲が晴れてくれましたわ」

 そう。先ほどのミサイルの爆風でスモーク弾の雲は爆風で流されてしまい、もはやレーザーを減衰させる効果はない。

 そして至近距離まで来た鷹月をオルコットが外すはずがない。

 だが今、鷹月は浮遊している物理シールドで上面を、ユナイトソードで前面を防御しており、正面からスターライトmkⅢを構えるオルコットには不利なのだ。

 だが、オルコットのブルーティアーズの最大の特徴はビットによる別方向からの攻撃ができると言う事。

 正面からスターライトmkⅢを構えるオルコットはフェイク。

 前に突き刺されて装甲に穴が開いた所に、ビットが下から数ミリ違わずにレーザーを放つ。

 絶対防御が発動し鷹月の打鉄撃鉄は機能停止し、セシリア・オルコット、鏡ナギの勝利で終わった。

 

 

その試合をピットのモニターで見ていた俺達は気を締め直す。

自分たちだけが努力してきたわけではない。彼女たちも同じように必死で食いついてきているのだ。

「もしかしたら私達、最初の敵がラッキーだっただけなのかも」

「否定はしねぇけど、こっちだって努力してるんだ。負ける気はねぇよ」

 そう自分に言い聞かせるようにして、モニターを見ている。

 このまま勝ち進めばオルコットたちとも戦う事になるだろう。

 でも、この日のために出来る限りの努力はしてきたのだ。だから、負けられない。

「もうほとんど1回戦は終わったかな?」

「次からは厳しくなっていくけど勝ち進む。ボーデヴィッヒたちにも勝って、次はオルコット……」

「なんか強い所ばかりと戦っているような気がするんだけど……」

「……まぁ、優勝目指すならどうせ強い奴と当たるんだから勝ち続けるしかねぇんだ」

 そう、要は勝てばいいのだと無気力な意気込みを見せ、次の試合の準備をする俺達であった。

 




というわけで他の試合でした。すいませんボーデヴィッヒ戦はまた後日。
ってか、モブ子さんたちが強くなりすぎているような気がするけど、違和感ありませんよね?

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