IS 普通じゃない男子高校生   作:中二ばっか

12 / 41
新年あけましておめでとうございます。

拙く、しかも修正しまくると思いまずがどうかよろしくお願いします


第12話

『龍砲』の衝撃に何度さらされたことか。

見えない攻撃、砲身がよく見えず射線すらよく分からないというのがこれほどやりづらいとは思わなかった。

しかし、距離の減衰が激しいらしく至近距離対応で、アリーナぎりぎりまで来ればさほど脅威ではなかった。

口を狭めて息を吐くのと同じらしく、口元に近いほど強いが10cmも離れてしまえばそよ風が吹いているに過ぎない。

 

なので、できるだけ距離を取るように戦っていたのだがそこは代表候補性、次々と放たれる銃弾を掻い潜りながら避け、距離を詰める。

 

「せい!」

声とともに放たれる鯨包丁の刃を大きくして取手をつけたような金属板が両端に付いた連結状態の『双天月牙』を投げられる。

 

高速回転しながら飛ぶ刃物から逃げるように一気に急上昇するが追尾してくる。何とか振り切ろうとさらに加速するが衝撃砲を叩きこまれ足が止まったところを、『双天月牙』に襲撃されるが身を反らすように何とか避ける。

まるで耳のそばに雀蜂が通ったようで嫌な汗が流れた。

さらに軌道変更する装置を積んでいるらしく通り過ぎた後俺の背後を強襲してくるのがハイパーセンサーを通して分かる。さらに、最大の攻撃で仕留めるらしく衝撃砲を構えていた。眼前の虎に後門の狼だ。

 

このままでは挟撃されと終わりだと直感的に脳が警告を出し、急いでスモーク弾呼び出しを甲龍の手前までに投げつける。

スモーク弾から勢いよく吹き出す煙が視界を防ぐ。それによって俺の居場所が掴み辛くなり後ろから来る回転刃が外れた。

煙を吹き飛ばすように最大威力の衝撃砲が放たれ、嵐がいきなり吹き荒れたような強風で掻き消される。

しかし、煙を吸い込んでしまったらしく煙の色が龍砲の砲身に入ってしまい、射線が見える。

 

これならば砲身がどこに向いているかが分かるため、射線に入らないように掻い潜りながら急いで近づきマルチランチャーのチェーンソーを回転させ唸り声を上げさせながら切りかかる。

すぐに手に戻っていた連結した刃で対応しようと切りかかるが一度手を止め、思いきり空振りしたところに左手で殴る。

 

そして、飛ばされたところに新たにマルチランチャーの銃身下に取り付けられたアンカーワイヤーを射出して凰の左腕にくっ付き放電される。

腕の装甲から電撃が流れ内部の部品をショートさせる。のだが、動きが鈍くなっただけで引っ張られている。まるで子供と大人が綱引きをして引き寄せたところを強大な刃で叩きつけようとしているらしい。

 

引き寄せられる流れに乗るようにして、加速をつけながら肩でぶつかる。計算よりも速かったらしく叩きつける前に間合いに入った。

横隣りで密着するような形になり、そこに爆砕ナイフを展開し差し込もうとするが刃を手放して、手首を抑えナイフの進行を止められた。パワー型とバランス側ではこちらが不利だ。しかし離れようと思っても手首を掴まれた様で離せられない。

不味いと思った。その膠着状態になったところで、もう片方の手から『崩山』から体勢を崩すように放たれ身を強張らせてしまった。その一瞬の隙をついて距離を取り、しかし離れすぎず『龍砲』の攻撃に晒され地面に叩きつけられ試合終了。

 

 

六月、頭の日曜日。

アリーナで今日も向上心豊かな生徒たちがISに乗って訓練をしていた。

 

「……なんで修理が改良されて戻ってくるのやら」

模擬戦が終わって何十分かった後、そんなことをぼやいてしまう。

前の所属不明機襲撃の際。マルチランチャーのチェーンソーの部分が破壊されたので修理を整備課にお願いしたのだが、何故か改良されて戻ってきた。

コの字のようにチェーンソーを固定する部分があり、これで結合部の脆さを補い鍔迫り合いにも対応できるようにしている。さらに固定部分が開くことでチェーンソーが飛び出すギミックは健在。さらに、チェーンソーの側面部分に機雷が入っているらしい。

これだけでも十分なのに、さっき使ったアンカーワイヤー(どちらかと吸着式でくっ付けるタイプ)が追加されている。

その武器を慣らしておこうとアリーナで投影された的に向かって振り回したり、射撃していたのだが凰がやってきて、実践のほうがいいといわれて前記の模擬戦闘をしていたのだ。

 

 

「まぁ、全く扱えていないってわけでもないからそのまま使えばいいんじゃない?」

そう凰がアドバイスを受ける。しかし、改修前から扱いづらいのがさらに加速した感じだ。今までキーボードを両手で打っていたのを片手で打って、次に数字配列を付け加えた様な感じだ

凰は甲龍の機体チェックを行い終えたらしく、投影パネルを閉じる。

こちらはマルチランチャーの操作法を頭に叩き込むためにまだ投影パネルを閉じていない。

ここでも代表候補生と一般人のスッペク差が。

ちなみに俺はもう機体チェックを済ませた後は栗木先輩とのほほんに任せてしまった。

ISコアの余剰エネルギーをIS電池に効率的に移すにはどういう方法があるか、俺にはマルチランチャーの切り替えをAIを使い最適化した方がいいのではないのかなど議論を広げている。

 

「シミュレーターじゃ、機雷をばら撒いた中に自分がいて自爆してたからね」

癒子がそんなことを暴露する。

あれはターゲットガン撃とうと操作したらボタン間違えて機雷を展開したんだ。

これでも最初よりは失敗が減ったんだ。5回に1回くらいは……。

 

「そんなこと言うなら自分で使ってみてくれよ」

「ふっふっふ、私の力を見せてやろうじゃない」

そう言ったのでマルチランチャーを渡し、使用許可を出す。

 

 

「はいはい、電池にエネルギー回すのを中断したからいけるわ」

まるで、遊び盛りな子供をあやすかのように栗木先輩が言う。

「がんばってねぇ~」

何時ものように遅くのんびりとした声で言うのほほん。

展開しているISからコードが外されエネルギーは満タンではないがある程度回復しているらしく戦闘行動には問題ない。

 

そして、打鉄に乗った癒子は上昇し、俺もシールドエネルギーがどのくらい回復しているのを確認してから飛び上がる。

 

 

そして、始まる模擬戦闘。

散弾銃を手に持ち、癒子に向かって放つ。それを斜め後ろに下がる様にして回避行動をする。

そこからいきなりの急加速。瞬時加速《イグニッションブースト》を使い急接近。突風を巻き起こしながら突き進む癒子に対して俺は横に飛び出すようにして避けようとするが、まるで直線的に曲がるように少し、角度が変わる。

しかし、瞬時加速中に曲がるような事をすれば圧力、空気抵抗の関係で最悪骨が折れるのだが、癒子はこの時浮遊している盾を使い空気の流れを変えることで多少の加速中の進行方向変更をしていた。

 

それで近づいた打鉄は体当たりするようにぶつかりラファール・ストレイドを跳ね飛ばす。まるで車がぶつかって来た様な衝撃を受け、踏ん張るような体制で留めようとするがチェーンソーを袈裟切りで切りかかってきた。

急いで盾で受け止めるが不安定な体制で受け止めたのが悪かったらしく、押し負けている。

 

押し切ってしまおうと癒子が力を籠めスラスターを吹かし押し返せない。火花を上げる盾が金属音の悲鳴を上げ始めるが、これだけ近くにいるので迷わず手に持っている散弾銃を放つ。

 

暴力的な銃声を上げる散弾は至近距離にいた癒子に集中的に当たり大きくシールドエネルギーを削る。

それを真正面に食らったためか後ろに体勢を崩したところを追撃し連射する。

その時、チェーンソーの側面が開き機雷群をまき散らす。

 

1cmの四角い爆薬が無数にばら撒かれた直後。機雷群を作り、小爆発を連続して発生させ俺の視界と動きを封じさせる。迂闊に撃つと誘爆してしまうため機雷群の中から急いで飛び出る。

 

そこを狙ったかのように付着爆弾で狙いを定め撃ってくるが回避行動をとりその場で側転するように避ける。散弾を放ち牽制したところで今度はZの字を描くようにジグザグに直角移動をしながら迫る。

その時、単分子カッターを展開、刃を回転させ突き刺す。

しかし、浮遊している盾で阻まれ急いで回り込むように動くが、身が隠れた時に盾を外して出てきたところを盾ごと撃つ気らしく、マルチランチャーの他にIS電池を使った打鉄でも量子化できるアサルトライフル『FA‐MAS‐TA』を構えていた。

 

そして放たれる大量の弾丸。雨あられと降り注がれる弾丸を防ぐためにまだ一つ残っている盾で防ごうとするが、付着爆弾の衝撃で盾を吹っ飛ばされ、そのまま身体にもくらって試合が終了した。

 

 

「ウヴァアア……エネルギー完全回復してないとはいえまた負けた。敗北記録更新だぁー。ハァ……」

「あんたって、偶にいい動きすることあるけどなんであそこで負けるのかわからないのよね」

そんなことを俺と癒子の模擬戦闘を見ていた凰が言う。

何やら俺が勝てないのは原因があるようなことを言っているので聞いてみる。

 

「なんで俺は負けてんだよ」

「そんなの弱いからでしょうが」

大雑把な説明どうもありがとう。でも、どこを直せばいいのか分からねぇんだよ。

 

「いや、どこが悪いんだよ」

「だから、感覚で分かりなさいって言ってるでしょ?」

「俺はそんな天才肌じゃねぇよ」

そんな説明で分かるのは武術の達人だけだ。お前はブルースリーか。

 

「対処の仕方がうまいんだけど詰将棋には慣れていないって感じかしら?どっかで気を抜いているって感じがするわ」

「たぶんやったと思って油断したところを切り替えされているんだと思うよ~?」

栗木先輩とのほほんが補足してくれ、意味が分かる。つまり油断大敵ってことだな。

 

「こういう風に説明してくれ」

「説明される前に自分で考えたりしなさいよ」

「してるっての! 過去のIS操縦者の対戦動画からこれは使えそうじゃねとか、この動きを練習してみようとかいろいろ考えていますっての」

「私も隣で見ていてさっきの瞬間加速て、国家代表の技が使ったのをアレンジしたんだけどね。でもやっぱあんまやらない方がいいかも。ちょっと腰が痛い」

「保健室行っとくか?」

「ISの保護機能が万能すぎて異常なしだから大丈夫だと思うわよ」

そこで、アリーナの使用時間交代が来て癒子は打鉄をピッドに戻しに行った。

俺もISを待機状態に戻し更衣室に向かっていく。

そして着替え終え、次の使用許可を得るために申込書を教員室まで取りに行く。

次借りられるのは高速機動用の第6アリーナが火曜の5時からか、第三アリーナが7時で人が余り居なくなった時である。月曜は開発部が高速機動パッケージのテストをするらしく殆どが開発部で埋められていた。

取りあえず5時から6時と7時から9時まで借りられるよう申し込んでおいた。速さになれるという意味でも高速機動は身に着けておく必要がある。

 

 

 

寮の部屋に帰って過去のモンドグロッソの映像を見る。

バレルロールで弾丸を避ける女性。

刀で銃弾を弾くという曲芸まがいの事をする人物は大体が予想付くだろう。織斑先生。

『螺旋軌道直進』《スパイラルブースト》。螺旋回転でスピンしながら直進する加速方でジャイロボールみたいなものだ。だから力強く、通った後には嵐のような渦風が起きるらしい。ぶつかった時の衝撃で相手が吹っ飛んだところに、さらに瞬間加速で距離を詰め手に付いたある杭を打ち込み終わらせる女性。

 

今度これやってみてぇな。と思える所をリプレイしもう一回再生する。

 

「うーん。さっきーの技量じゃこの技は使えないと思うよ」

「……まぁ、出来るようにはなりてぇじゃん」

使ってみたいと思うことは罪なのか。いや、自分でもいきなり使いこなせる事ができるとは思えないが、練習しておいても損はないのではないのだろうか?

 

「今の章登は基礎固めだと思うけどね。瞬間加速が制御できるようになってからの方がいいと思うわよ」

瞬間加速。ISの後部スラスター翼からエネルギーを放出、その内部に一度取り込み、圧縮して放出する。その際に得られる慣性エネルギーをして爆発的に加速する。瞬時加速の速度は使用するエネルギーに比例する。

と言わば戦闘機のアフターバーナーみたいな物だが、エネルギーの放出量を放ちすぎると加速しすぎて目標地点を通り越したり、エネルギーが足らなかったら加速は多少得られるが目標に届かなかったりとかなりエネルギー調整に手間取る。

 

前に織斑の瞬間加速を見たときは様になっていたようだったが、乱暴に扱っている感じであった。速くなればいいみたいな感じで、加速は白式と相まって追いつける機体は居ないのではないかという風だが、地上のアリーナでそんな事をすれば壁に激突。空中で相手が戦闘領域近くなら戦闘領域から離れることがある。

さらにエネルギー消費も激しいらしい。だからエネルギー放出に手を入れろと言ったのだが、今度は放出が足らず加速があまり出なかった。

 

どうやら織斑は速さを追及しているように瞬間加速を使っており、急直進して切り伏せる。それも一種の正解だと思うのだが、俺から見れば無駄が多すぎる。別に俺も無駄が完全にないわけではないのだが、放出を加減したり、故意にバランスや重心を崩して軌道を見切られないようにしているのだが、こちらの方はうまくいっていない。

急直進の瞬間加速はできるのだが白式の様に高機動ではない上に見切りやすく反撃を食らう。そのため鋭角軌道の方を練習していたのだがどうしても曲がるときにブレやバランスを崩してしまう。

取り敢えず今の目標としては基礎固めと完全な鋭角軌道と瞬間加速の制御を練習している。

いつ習得できるかわからないが。

 

ウヴァー。と唸ってしまう。それでも戦闘記録として画面を見ている。俺もこんな風に戦えたらいいなぁ。

「上手く戦うためにはどうすればいいでしょうか?」

「特訓しかない」

癒子の発言に「ですよね~」と頷く事しかできない。ってか強くなるのにそれしか無いんだよね。地道にコツコツ努力するしかないと。

「もしくは人体実験でも受けてみるとかね~」

俺はナニカサレルヨウダ。

 

モンドグロッソの映像を見ているとき扉をノックされたため映像を一時停止する。

そして、扉を開けるとそこには山田先生が手に鍵を持ちながらこちらを見て一言。

 

「お引越しです」

「先生が?」

そう突っ込んでしまう。

 

「はわっ! そんな訳ないじゃないですか! 崎森君がお引越しです。先生をからかわないでください」

先生。さっきの言葉は主語が抜けていたのですが。

いや、まぁいい加減にいつまで寝袋なのか疑問に思っていたところなのだがようやくベットで寝れるらしい。

そこで荷物をまとめ始める。

 

「さっきー、行っちゃうの?」

そう、上目づかいで聞いてくるのほほん。その顔がまるで捨てられた子犬のようで思わずかまってあげたくなるのだが、いい加減俺もベットで寝たい。

 

「それは、何時までも年頃の男女が一つ屋根の下で寝るというのはダメですし」

そう山田先生が説明する。それで納得したのか渋々といった顔で頷くが、呻き声を出す

「うー。冷蔵庫の中のお菓子が減っちゃいそう」

「おい」

俺と別々の部屋になるのが嫌なのではなくて、俺が売店や学校近くのスーパーから買って来るお菓子を気にしているらしい。

一瞬俺に好意があるのでないかと期待した俺は落胆してしまった。

「これ食べていい?」と上目づかいで聞いてくるから思わず許可を出す(一度試しに断ると涙目になってきてしまう。それで結局あげてしまう)が、のほほんもお菓子を買い、俺のお菓子も食べても横に成長しないことに癒子が呻いていた。

どういう体質してるんだろうね?

 

そうしている間に荷物が纏まった。基本的に教科書と着替えぐらいだったので残し物もないはずだ。

「今度遊びに行くからねぇ~」

「散らかさない様にしときなさいよ」

「あいあい」

そう相槌を言い、次に俺の部屋に向かって歩いていく。

しかし、寮の1階の端まで来たのだがそこにはまるで、壁を抜き取りそこに新しく廊下が作られそこに扉があった。隣にある部屋の扉は開き戸だが、山田先生が今開こうとしているところは引き戸である。

部屋の面積は全長が5m、全高3m、幅3mの長方形である。

 

外から見ると分かっただろうコンテナハウスであった。

 

「……」

「き、今日からここが崎森君の個室ですよ」

かなりキョドっていた。やはり他の良質な部屋の方が良かっただろうか? しかし、また1年生の転入生、しかも二人も、さらに代表候補生が来る予定なためどうしても数が合わず、新しく作ることになったのだ。それがこのコンテナハウスなのだが、どう見ても寮の部屋より劣っている。

そのことに怒っているのではないかと不安になるが、崎森の顔は満足していた。

 

「個室なんですね! よっしゃ!」

そう、寮の部屋の面積より7割ほど狭く感じるが個室なのだ。

それに歓喜を覚えない者はいないだろう。今まで床で寝袋に包まり寝起きに体のあちらこちらが軋みをあげていたことに比べれば、ここはなんと極楽なことか。しかも遠慮したり、気遣う人物もいない!

 

「よ、喜んでくれて何よりです……」

その時、山田先生は小さな部屋で満足している崎森を悲しむような憐れむような目で見ていた。

 

だって未だベットが搬入されてすらいないのだから。

 

そのことに気付いた崎森は寝袋を取りに癒子の部屋に行った。

 




アフターバーナーって
かなり燃料を食らう代わりに爆発的な加速を得られる
60:1で消費した燃料が混じった酸素をもう一度取り込み加速する

でよかったのでしょうか……

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。