IS 普通じゃない男子高校生   作:中二ばっか

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うーん。なんか原作織斑と同じように他人に助けられている気がする・・・

あと一夏が弱体しているような気も・・・

こんないろいろと批判を呼ぶかもしれない小説を見て下っている方ありがとうございます。

いや、別に織斑一夏が嫌いなわけでは・・・いえ、原作織斑は嫌いですけど、二次でいろいろとテコ入れされているんでかなりかっこ良くなっている一夏がいるんですよね。

だから、そういう織斑一夏を見たい方はバックを推奨します。

それでもいい方はどうぞ下のほうにスライドを


第10話

クラス対抗戦、当日。アリーナの観客席にいる1年1組の面々。他クラスの人もアリーナを囲むように対戦表や試合が始まるのが今か今かと待っている。

人がいるだけで熱気に包まれ少し熱く、さらに人が密集したのを考えてか女子たちが香水を付けたのか、かなりの学薬品の匂いがして気持ち悪い。

 

「どの人が優勝するか賭けた?」

「やっぱ織斑君でしょ。専用機持ち出し」

「私は大穴で3組のクラス代表に賭けた」

そういった話が持ち上がっている。どうやらレートでは織斑と凰が上位らしい。

 

「さっきーはどこか賭けた~?」

「いや、賭けてはいねぇけど……もし賭けるならやっぱ凰だな」

「なんでよ?」

隣の谷本がそう聞いてくるが、理由なんて説明しなくてもわかるだろ?

 

「運転免許取りたての奴と自動車競技に出ている奴とじゃ差が出るのは当たり前だろ」

「うーん。でも白式の性能は高いでしょ?」

「車しか乗らないやつがいきなりジェット機飛ばせたらパイロットの数は多くなるだろうよ」

 

正直、白式の加速度や機動力はすごい。しかしそれだけなのである。これは織斑が素人であることを除いても、それの加速が制御しきれず戸惑ってしまう。まぁ過小評価かもしれないが白式を乗りこなせることができるならかなりの順位に食い入ることができるだろう。

さらに『雪片』の能力で相手のシールドエネルギーを大きく削る。

 

おそらく戦法としては、相手に高速で近づく→相手の速度に戸惑っている、攪乱する→素早く一撃で仕留める、または手傷を負わせ弱体化させる。といった奇襲、電撃戦、短期決着をコンセプトに設計しているのだろう。

 

が、どう考えても素人に与える機体ではない。まぁ、訓練機から白式に移って戸惑うよりも最初から白式に乗って馴らす方がいいのかもしれないが。

 

そんなことを考えていると対戦が組まれ空中に投影パネルで表が映る。

 

第一試合 織斑一夏VS凰鈴音

 

いきなりの本命である。傘の準備を用意しておこう。

 

 

耳障りなブザーが鳴り両者がいきなり動く。

凰の機体は全体的に曲線を描いており、筋力がついているような格闘家を思わせる。浮遊している丸く棘があるアーマーは何なのかわからないが無駄な機能はついてないだろう。

 

織斑は手に持った太刀で右袈裟に切り掛かるがあっさりと瞬間的に展開された刃物で防がれる。

青竜刀のように曲線があるが、幅がデカい。まるで鯨包丁の刃の部分をデカくしてそれに取手をつけたようだ。それを片手で軽々と織斑に振るう。

太刀と鯨包丁の鍔迫り合いになり一瞬なったが、もう一つ鯨包丁を展開し右横に切り払う。

それで吹っ飛んだ織斑は何とか体勢を立て直そうとするが、浮遊していた棘付き球体がスライドし中に球体が光るのが見える。そこから何らかの力が働き何か見えない砲撃をくらった様に後ろに吹っ飛びアリーナの壁に後ろから突っ込む。

 

そこに立て続けに打ち出される何かに織斑は我武者羅に回避行動をとるしかなかった。狙いは少し外れているらしい。外れた見えない砲撃が観客席まで振動させる。

 

そこで凰は手に持っていた鯨包丁の持ち手を連結させデュアルソードになったそれを投擲する。扇風機のように回り織斑に向かって進んでいく。それを回避したところでまた見えない砲弾に撃たれたらしい。

誰だって目に見えないものより目に見えるものに意識が行くのは当然だ。織斑は飛んでくる刃物に目が行ってしまい見えない砲台に気が回らなかったのだろう。そこを襲われた。

さらに衝撃で固まっていたところを後ろからブーメランの様に返ってきた鯨包丁に強襲される。

 

織斑は戸惑い、凰は冷静で目が座っている。試合は一方的な展開になった。

 

 

 

「見えない砲撃?」

「恐らく空間兵器だろうねー。空間自体に圧力をかけてそこに砲身を生み出しそこに溜まった衝撃を打ち出すんだよ。で、簡単に言うとドラ○もんの空気砲」

のほほんの解説に俺たちは耳を向けているが、他にも周りの面々が聞いているらしく感心したように「ほほぉ」と唸った。

 

「のほほんって意外と頭よかったんだね」

「普段が普段だからすっかり騙されていたわよ」

そんなことをクラスの面々に言われ、むーと唸るのほほんがほっぺを膨らませたハムスターの様だ。

 

その時、何か隕石でも落ちたかのような衝撃と音が響き、アリーナーを震撼させる。

 

観客席にいた人たちはそれに戦慄しアリーナの中心部から出している爆炎に目が行く。その中から現れたのは黒い全身に装甲を纏った人型の機械。何個も不規則に並んでいる複眼はまるで昆虫の目を思わせる。

 

そいつの腕が凰に向けられ高熱の放射線が放たれる。が、その熱線に凰が当たるようなことなく次々と放たれる。その回避したところにアリーナの壁があり、熱線にあたったところが焼け溶けるように朱色に染まる。

 

「なにあれ!?」

「と、とりあえず逃げよう!」

と突然の試合の介入者の脅威に気づいたように遮断シールドが下りてきて辺りが暗くなる、恐怖と暗さでパニックを起こして大多数の生徒が出口に急ぐが扉は壁となったようにうんともすんとも言わない。

 

「ちょ、ちょっとみんな落ちついて、キャッ」

その時立ち上がっていた谷本が突き飛ばされ慌てて支える。

「大丈夫か?」

「あ、うん」

「言ってもそんな声じゃ聞こえないだろうな。もっと大きな声じゃないと」

「そうなの?」

「何時もの怒鳴り声くらいならいいかもな?」

「いつも怒鳴ってるわけじゃないわよ!?」

そのくらいの声が出せないのだろうか? しかしそれでもこちらに振り向く人は少数でほとんどの人が出口に向いている。

 

「で、いつまで癒子の体触ってんの?」

「さっきーって痴漢癖でもあるの?」

そんなことを相川・のほほんが言ってくる。今俺が腰に手を回して、お姫様抱っこ状態一歩手前にいることに気づいたように飛び上がってこちらを睨みつけてくる。

「……乙女の体を無断で触るなんて最低ね」

「いや、倒れそうになったのを支えただけなんだけど?」

なんでそんな事で非難されなきゃいかんのだ?

 

「で、どうしよっかー。」

のほほんが出口に殺到している人々がいる方向を見た。

「俺のISに単分子カッターがあるからそれで扉のロックを壊せると思うんだが」

「問題はそこまでどう行くかね」

あの人込みでは例え入ったところで揉みくちゃにされ時間がかかるだろう。

 

「放送でもかけられたらいいんだけどなぁ~」と相川が言うがそもそもなんで放送が流れないのか気になる。

 

その時、ISの通信チャンネルが入り頭のハイパーセンサーを部分展開される。そこに表示された画面には織斑先生と山田先生が入っている。

 

『崎森、観客席の方はどうなっている』

「人が出口に殺到しています。出口ぶっ壊したいんですけど人の波でそこまで行けないんで放送で退くように言ってくれませんか?」

『わかった。だが、放送は流せない』

「何でですか?」

『音であいつを刺激したくない。あちらの目的が生徒なのか、政府の人間なのか、ISなのかもわからない。アリーナの放送はアリーナと観客席の放送が一緒になってしまうからな。刺激して観客席の方に攻撃が来るなんて事態は避けたい』

相手がわからない。何せ所属不明、形態からの機体の判別も不能。ならば何かしらの目的があってアリーナに突っ込んだのだろうか?

意味が分からない。まるで負けそうになった白式の試合を滅茶苦茶にすることで助けたような気もする。

それならなぜアリーナに突っ込んだのか説明がつく。が、そんな事をして誰が得をするというのだろう? まだ、手傷を負った白式と織斑を奪取しようとした方が説明はつくか。

 

『ともかく、相手を刺激せずに生徒を避難させるのを優先してくれ。3年はアリーナの遮断シールドの解除で忙しく人員を回せない。ピッド内の扉を壊す方が速いからそちらの方をやっている奴もいるがな』

「扉壊すだけの簡単なお仕事ですよね?」

『だぶんな。無礼者の放火がそちらに行く前に生徒を避難させとけ』

 

そう言わせてもきつい。人の壁であそこまでたどり着けというのは至難である。

普通に行ったところで弾き出されるか、揉みくちゃにされ時間がかかるかだろう。

 

「大声なんて上げようもんなら真っ先に銃口がこっちに来るな」

「静かにしないといけないわね」

なかなか案が出ず行き詰ってしまう。

出口前ではロックを外そうと手で壊そうとしているようだが、そんな事で壊れるほど柔ではない。

 

「IS持ってるなら飛んでいけばいいんじゃない?」

そんな事を相川が言う。つまり生徒の頭上を通って出口まで進めと言っているのだろう。だが狭いところでISを動かすというのは結構難しい。制御を誤れば壁に突っ込む。それで下にいる人が潰れてしまったら目も当てられない。それにスラスターを静音まで近づけなければならない。さらに排気される熱を生徒に気をつけないといけない。

 

「やれると思うか?」

自身と3人に問う。少なくとも前に精密移動のシュミレーターをした時はスラスター向きを間違え機雷に向かってドカンであった。(空中に散布された機雷陣の中をマップに表示されたルートを通って進むといった訓練だ)

その様子を谷本はもちろん、のほほんも相川も動画配信されているのを見たため知っている。

昨日部屋で聞いたとき谷本は気まずそうな顔をして目をそらし、今日相川にそのことを話したら知っていたらしく走っている途中で思い出し笑いした。なんでも再生数2万を超えていたとか。そんなことはどうでいいか。

 

そんなことがあったため俺は確率的に低いと思う。

「まぁ、崎森は本番に強いタイプだから大丈夫……と思う……だぶん」

むしろ不安になった相川の意見。

 

「他に案もないしね~」

何時ものようにゆったりとした答えを出すのほほん。俺にその心のゆとりを別けてくれ。

 

「こういう時にこそあんたの眠っている力が発揮されるのよ!」

まさか俺にそんな力が!? と一瞬思ったが所詮弱小のためそんなわけないと首を振ってしまった。

 

まぁ、賛成多数? によってISストレイドを展開する。それと同時に単分子カッター『ブレイドランナー』を手に持つ。

そしてできるだけ音が出ないようスラスターの出力を小にしてノロノロと上を飛ぶ。ギリギリ天井に擦り減らない距離を維持しつつ出口まで行く。

 

今にもバランスを崩しそうで焦るなと心に言い続けているのに呼吸が荒くなり、汗が出てくる感覚がわかる。

 

そして出口まで来た時、ゆっくりと降下し生徒たちを掻き分ける。ブレイドランナーに電力を回しドアのロック部分に刃を当てる。その音に意図を察した生徒たちが離れるのを確認し、単分子カッターの刃を回す。

攻撃が爆音の様に鳴っているのが聞こえるのでそれに紛れるようにギリリ嫌な金属音と火花をあげる。近くにいた生徒はその音に耳を塞ぐほどだ。

 

ロック部分を切りきった時に扉に指を差し込み開き戸にタックルするように押す。曲げるようにして扉が開いた。

 

「慌てずゆっくり出て行ってくれ。押し合うんじゃねぇぞ」

完全に開ききった時には混乱は収まったのか、一人一人焦ることなく出口に向かう。

というよりも実際は崎森が思っているよりも疲労で低い声で言ってしまい、手に持った単分子カッターが恐ろしく思えたからなのだが。

 

後方の方でハイパーセンサーが親指を立てる3人を捉えた。3人が出てくるまで待っていたかったが管制室から通信が来る。

『左回りにドアを開けて行ってくれ。できるだけ速くな』

「了解」

 

その場で親指を立ててから移動を始め次のドアを開けにいく。

 

 

 

アリーナ内では凰が積極的に不明機に対し戦闘を開始していた。

(あのビームを撃たせるわけにはいかないわね)

 

外した時に遮断シールドが赤くなったことから、連続して当たったら貫通してしまうのではないかと懸念し、接近して射撃する暇を与えないように鯨包丁『双天牙月』の二刀流で猛烈怒涛の攻撃を繰り出し相手の手で接近戦をせざるようにしている。

 

攻撃は手によって弾かれている。手には切り傷のような凹んだ跡があるが内部のフレームには達せずにいる。

 

「このぉぉおお!」

そこで衝撃砲をつかい相手の隙を作ろうとするが地面に根でも張っているかのように動かすことすらできず、不明機が腕から熱線が発射される。足を蹴り上げ射線を上に向け観客席から逸らす。

 

「鈴!」

そこに織斑が不明機の後ろから切り掛かるがもう一方の腕で裏拳を叩き込まれ吹っ飛ばされる。その裏拳が不明機が回るようにして凰を襲う。

地面に滑りながら倒れるが、すぐさまPICとスラスターを全開にして空中に飛び上がる。その時に『双天牙月』を連結し投げつける。地面でスキーでもしているかのように滑るように回避した不明機は両腕を向けビームを連射してくる。弾幕を張り相手を貼り付させないようにしているが、やられっ放しというわけではない。

衝撃砲で相手のバランスを崩すように地面に向け発射。足元が爆発しバランスを崩したところに織斑が接近する。

 

「今よ!」

「おおおおお!」

そんな雄叫びをあげながら突っ込む。間合いに入った瞬間、右横に薙ぎ払うがそれに合わせるようにしてバク転し両腕が向く。

それを阻止しようと凰が衝撃砲を不明機の腕に放ち腕がブレる事で、ビームが横に通り過ぎていく。それを機にさらに踏み込もうとするが、不明機の悪あがきのようにパンチを繰り出したものが当たり吹っ飛ばされる。

 

そこに体勢を立て直した不明機が空中でレーザーを連射してくる。

 

「一夏離脱しなさい!」

すぐさま機体を後ろに退かせレーザーのシャワーを抜ける。

そんな決定打を与えれない戦闘が続いていた。

 

そんな時に通信室から連絡が来る。

『織斑、凰。生徒たちの避難が完了した。ただちにピットに戻れ』

「了解。でも、教職員のISはどこに? そちらに誘導くらいはできます」

『今、扉を壊しピッドから出てくるはずだ。そちらに行かないように留意してく―――なんだと!?』

いきなり織斑先生が狼狽した。

「何かあったのか千冬姉!?」

『崎森の方にも所属不明機が来ただけだ。お前たちは戦闘を継続。すぐに増援が行くから持ちこたえろ』

 

その時上空からもう1機、織斑と凰が戦っているものとは別の正体不明機が下りてきた。

 

 

「これで全部ですか?」

『ああ、ご苦労だったな』

観客席のロックを壊し扉を開放し終えたとき通信が入ってきた。

「それで今度は織斑たちの援護ですか?」

『いや、そちらは3年の精鋭たちとオルコットに行かせる。お前は逃げ遅れた生徒がいないか見てきてくれ』

「了解」

そう言われセンサー感度を最大限あげてみるがとりあえずこの地域にはいなさそうである。肉眼でも確認してみるがやはりいない。

次に行こうと移動するが、上空から何か飛来してくるらしく警告が出される。

 

すぐさま後ろに跳び、距離をとる。と同時に地面に何かが降り立つ。

それはアリーナに墜落した機体とは全体的にシルエットが違っていた。あちらは大柄で2mもありそうな腕が特徴的で、言ってしまえば筋肉質な手長猿だった。

こちらはスラリとした体格の人に手や足が刃物化していた。

顔にあたる部分はサイクロプスみたいに1つ目なのだがバイザー部分が大きく全体のバランスが取れていない。

さらに背中には飛翔翼みたいな鋭い剣と2本の四角い筒がある。

共通点は全体が装甲で覆われているところだろうか。

 

そして、その機体がこちらに向かって背中の砲台でビームを斉射しながら突っ込んでくる。

盾と散弾銃『ケル・ティック』を展開しビームを弾きながら横に跳ぶ。

どうやらあのビームは連射型らしく、あちらの機体のように威力はないがサブマシンガンの連射力の弾幕で圧倒される。それを追撃するように不明機も追ってくるが接近した時に散弾銃を放つ。至近距離での散弾銃はかなりの脅威があるのだが、まるで構わないという風に突っ込んでくる。

銃弾がもろに当たり体勢が崩されたはずなのにそれでも突っ込んでくる。そのことに驚いてしまい一瞬反応が遅れるが盾で受け止めようとする。盾に手の剣が深く食い込み、タックルの様に突っ込んできたので衝撃が体を襲う。

 

「かっは」

その急加速によって細身とは思えないほどの衝撃力となり壁に吹っ飛ばされる。ISの保護機能が働き胃液や血を吐かずに済むが、保護機能がなかったら骨が粉々になっていただろう。

全身の打撲のヒリヒリとした痛みに耐え、すぐさま体勢を立て直し散弾銃を放つが相手に最小限の動きで交わされ前進してくる。

X状に切り掛かかってきたそれを半壊同然の盾を外し投げつけ、盾を切り裂いたところに散弾銃を見舞ってやるが、勢いが止まっただけで装甲を貫けていない。

が、ストックを切るまで連射し、相手が戸惑うようにして後ろに下がる。

 

弾が切れたところで投げ捨てマルチランチャーを展開する。ジェル弾をばら撒き相手を拘束していく。

このジェル弾は付着爆弾と同じく空気に触れることで硬化し、相手の関節に当てると動けなくなったり、硬化するため重くなったりする。

それに続けてチェーンソーを回し切り掛かる。当たりはしたが装甲を貫けず火花を散らせるだけであった。

 

「どんだけ固いんだよ!? てめぇはヘイスト掛けたス○ウか!?」

チェーンソーでは無理かと思い、左手でチェーンソーで削って消耗した部分を狙い爆砕ナイフを展開し右肩の関節部に入るようにして突き刺す。

 

離脱して数秒後爆発。爆煙の中から不明機が歩き出すが右腕がもげかけており、あれではもう使い物にならないだろう。

ジェルは爆発によってほとんど剥がしてしまった。

 

そして一瞬にして距離を詰めてくる不明機。左手にアサルトライフル『FA-MAS-TA』を展開し、マルチランチャーを付着爆弾に切り替え退き打ちを始める。

 

その弾幕をジグザグに軌道しながら回転しながら回避する。かなりの鋭角軌道で右に行くかと思えば左に行ってしまい狙いがつけづらい。更に速度の方ではあちらが速く、相手の間合いに入ってしまった。

マルチランチャーのチェーンソーで左手の刃物を受け流そうとするがこちらが負け押されてしまいチェーンソーの部分が壊れ体勢が崩させる。そこに蹴りが放たれる。

あの刃物がついたような蹴りで切り裂かれ、絶対防御がなかったら太ももから肩まで一直線に切り裂かれていただろう。

 

そして、吹っ飛ばされてアサルトライフルを落としたところにさっきから使っていなかったビーム方がこちらを捉える。どうやらチャージもできるらしく、強烈な熱線が放たれ俺を殺しに来た。

 

(ふざけるな。こんなところで死ぬって?)

 

どうにかしようとするがもう遅い。しかし、走馬灯のように時間が遅くなったような感覚が走る。

 

(ちくしょう)

 

例え初回の瞬間反射現象が発動したところで当たるところまで来たその時、目の前が何かに防がれる。

 

「へ?」

思わす間抜けな声をだし、呆然とするが改めて視界に入ってきた機体を見てみると見覚えがあった。

 

打鉄改修強化型にある草摺りのように重ねられた装甲、そして、3mを超えようかという両刃の大剣『HW-3 ユナイトソード』それを盾にして熱線を弾いたらしく大剣に少し赤みがかかっている。

 

「間にあったようだね? よくも後輩をいじめてくれたね? 痛めつけてあげるよ?」

操縦者は桜城先輩であった。

 

そして、新しく現れた敵に対して不明機が切り掛かってくるがそれを邪魔するように砲弾が放たれる。

そちらに目を向けるといつも見かける直径2mの砲台にレールがついているレールガンを携えた改修強化され足や腰にスラスター、肩にサイドブーストが付け加えられたらファールに栗木先輩が乗っていた。

 

その時通信が入り挑発するような口調で先輩方が俺に言う。

「あんな片腕なし私たちでどうにかなるわ。あなたはどうするのよ?」

「かなり消耗してるし後退する? 誰も攻めはしないよ?」

 

そんな発言してくる先輩にムカついた。あれの腕を奪ったのは俺だ。何もできないガキのままでいてたまるか。それに途中から来た人に獲物をとられるのは癪だ。お前らこそ後からきて何笑っていあがる。

そんな思いが交じり合って呆然としダメだと絶望していた俺の心に灯が燈る。

 

「ふざけんな。後から来て主役取られて堪るかってんだ」

俺の言葉にさらに笑みを深める先輩方。それにつられ俺も笑みを浮かべる。

それはまださっきの死の怖さから立ち直れていなさそうだが、無理に笑って引き攣ってはいるが、荒々しく、獰猛で、野蛮、優雅さや上品さ、美しさなんて無縁の笑みを浮かべ宣言する。

 

「土足で踏み込んだんだ。文句はねぇよな!?」なんとなくやられ役のセリフに似ている。

「塵芥と成り果てろ?」その台詞、大口径レーザー砲とか金色になりそう。

「目標を狙い撃つわ!」緑色でその台詞は死んで妹とかが敵討ちとかしそうだ。

3対1による第二ラウンドが始まる。

 

 

同じくアリーナ内では織斑、凰、オルコットと不明機による戦闘が行われていた。

 

「こっちだ!」

決定打になる織斑の攻撃が当たらないため、オルコットの『ブルーティアーズ』を一斉射撃してもらい隙を作ったところを狙うが、独楽ように回転し弾かれる。が織斑が囮で本命は別いあった。織斑の陰に隠れるようにして投擲された『双天牙月』が回転を終えたところに当たり大きくバランスを崩す。

 

そこにオルコットがミサイルとレーザーを一斉発射し爆炎に包まれる。その爆炎が晴れた後、目の前に凰が『甲龍』で正拳突きを行う体制でいた。

 

実はこの『甲龍』の腕にも空間圧兵器の『崩拳』が搭載されている。が威力が弱い。主に近距離の牽制や体制を崩すために使われる。

しかし、さっきの『龍砲』が効かなかったことを見ると効果があるか疑問に思う人もいるかもしれない。

 

が、浮いている棘がついた球体『龍砲』もそこにある空間を圧縮するものなのだからもう一つの側面も持っている。

 

まず拳の先から砲身を作り出すために空間が圧縮され装甲も圧縮されヒビが入る。

それに続いて装甲内部が圧縮され潰れるのだ。

 

この空間圧兵器を接触時に展開されると装甲・内部フレームが圧縮され潰れる。

一応、保護機能が働いて血管や内臓は取り留められるのだが、心臓を圧縮し続けた場合心肺停止に陥ることは免れないだろう。そして、保護機能が最低限ではあるが血液の巡回をするため死には至らない。

しかし、試合中にそんな事をしても結局気絶する前に移動して効果が発揮される前に逃れることができる。拘束されていない場合だが。

 

さらに、接触しなければならないため使いどころが難しい。

しかし、連携で大きく隙を作れたなら……撃ちこむ機会がある。

 

左手でひびを作ったところに右正拳を撃ちこみ風穴が開く。

しかしそれでも不明機は止まらずに殴りかかってくる。

後ろに退いて空間が歪むほどの空間砲身を作っていた『龍砲』で吹き飛ばす。かなりの消耗している不明機はトラックに跳ねられた様に宙を舞う。

 

そして、門は開いた。

「これで決めますわ!」

胸に開いた風穴を狙って放たれる一筋の光線。それは風穴を通り、内部で荒々しいまでの熱をケーブルや部品に浸透させ焼き尽くしながら愚直なまでに真っ直ぐ突き進む。

 

体勢が上向きだったため脳天まで光線が突き進みセンサーを焼き尽くす。

 

それが終わった時、地面に打ち付けられた人形は鉄屑と化した。

 

「なんとか終わったな」

「んな訳ないでしょ。さっさと崎森の援護に行かなきゃ行けないのよ」

「そちらでしたら3年の先輩方が行きましたわ」

その時管制室から通信が入る。

「そっちの方はもう終わっている。お前らが終わらすよりもずっと前にな」

 

 

 

「はいこれ? 接近武器で打鉄用だけど?」

そういって腰についている鞘から抜き出して、手渡される刀『霞一文字』

振動刃によって切断力が強化された刀。前に研究室で見た『菊一文字』の振動装置を小型化し打鉄の通常刀と重心バランスがあまり変わらないように改良されている。

削り切る単分子カッターとはまた違った兵器。

 

マルチランチャーを左手に持ち替え、右手で『霞一文字』を持つ。

 

使用許諾を終えたと同時に桜木先輩が突貫。それに合わせるように栗木先輩から援護射撃で不明機の動きが制限される。

俺は桜木先輩の陰に隠れるように接近していく。

 

そして、ユナイトソードには振る速度を速めたり、太刀筋を変化させる小型の推進器があり間合いに入った瞬間に風が起きたように起動し、太刀筋が右横の薙ぎ払いが途中で変化し右切り上げに変化する。おかげで不明機は足で蹴り上げようとしたが空振りしてしまし、頭に当たって体制がもろに崩されたところにレールガンが強襲する。

 

体勢を立て直そうとしている横から俺が面を打つ様に唐竹という真っ直ぐ振り下ろす太刀筋を使う。左肩に当たったが食い込んだだけでまだフレームを断絶できていない。

 

引き抜こうとして勢い余って地面に転んでしまう。そこに好機という風に足を突き刺してくるが、後ろからユナイトソードの推進加速をした豪撃に合う。

 

まるでバットで野球ボールにフルスイングしたように吹っ飛び、周りに金属音がへし曲がる音を盛大にまき散らす。

 

相手からはもう、右腕や腹部などからスパークを出しているがまだ諦めない様に左手をつき立ち上がろうとしている。

俺は立ち上がって切りかかろうとしたのだが、どこかで小石にでも足に引っ掛けたのか。転びそうになった所を何とか立て直そうと一回転する。そこで不明機の胴体と踏みつけて拘束してしまう。

 

これはチャンスだ。

刀を何回も何回も虫の標本を作る様に刺しつづける。ついでとばかりにマルチランチャーのワイヤーネットで足に発射し巻きつけておく。

その時俺はいい笑顔をしていたらしい。目がやたらと見下すように下に向けられ、犬歯がむき出しそうなほど口の端を上げていた。

 

桜木先輩と栗木先輩が向かって来て自分たちも仲間に入れろよと語りかけているように思えたのでその場から離れる。

離れた直後、ユナイトソードが断罪を下すギロチンのように首に振られる。しかし、硬いというか意地汚いというか首の半分までしか埋まっておらず、食い込んでしまったため引き抜こうと持ち上げるが、不明機も一緒に持ちあがってしまう。

まるで、首を吊り苦しみにあがいてもがき苦しんでいる奴か、リンチ状態にあって最後に一発貰ういじめられっ子であった。

 

そこに、レールガンが最大チャージで放たれた衝撃でユナイトソードが引き抜かれる。

 

もう最後の悪あがきという風に俺の方にビームを連射し、背中の滑翔翼の刃に当てようと突っ込んでくるが、もうその姿勢制御を失いつつあるようで見切るのは簡単であった。

 

回るように上に移動すると同時に、頭のひびの入ったバイザー内部のカメラ部分に突き刺す。だが、着地に失敗し地面に付くとき右倒しになってしまった。

 

正体不明機はそれで打ち止めらしく、ついに沈黙した。

 

「死ぬかと思った」

「あら? 結構いい顔してたじゃない。まるで俺が魔王だと言わんばかりに」

「最後の着地で減点ものだよ?」

 

最後の最後でなんで俺の心にダメージ来るんだろうか?

 

 

 

薄暗い室内の中に表示される複数の投影モニター。

それを操作しているのは山田先生だったのだがその眼はいつもより険しく、何時ものおどおどしているときの困惑の目や穏やかな目をではなかった。

その後ろで織斑先生が経過報告を聞く。

 

「山田先生。織斑達が戦った所属不明ISの解析についての手掛かりは?」

「どの様にして起動していたのか不明です。オルコットさんの攻撃が中枢機関まで達していて部品もどのメーカにも登録されず類似点もないため、独自開発によるものでおそらく修復は無理かと」

「コアについては?」

「登録番号がありません。消したのか、或いは新しいためにないのか……」

「崎森達が倒した方は?」

「中枢機関が破壊されていていました。内部機関も共通点があり、おそらく独自開発したものと思われます。こちらもISコアは未登録なんです」

「そうか」

そこで後ろにいた織斑先生の顔つきが変わる。いまだ世界でISのコアを作る技術は確立されていない。作ることができる人物は世界に1人しか知られていない。

 

「織斑先生」

「わかっている。が、確たる証拠がない。IS電池を作れるようになったのだからコアも作れるようになった企業があってもおかしくはないと思うのは希望的観測過ぎるか?」

「……」

織斑千冬と篠ノ之束の関係を山田真耶は知っている。友人として庇っているのか、一個人として可能性を示しているのかは織斑千冬の顔からは読み取れなかった。

 




不明IS「散弾ではなぁ!」

   「いじめいくない」

二次まとめで新刊版に手に衝撃砲がついているみたいな記事があったので使わせてもらいました。ってか新刊でそんな描写あるのか疑問です。アマゾンの星を見る限りでは……

鈴の正拳突きは個人的に空間を圧縮するのならそれをそのまま武器にしたほうが強いんじゃねぇの? と思ったのがきっかけです。
もう一つは卓球のボールを両手で挟んで、潰すようにして押し出すことで衝撃に変える武器かとも思いましたが、そんな空気が圧縮されたものが熱を持っていない、不可視なわけがない、とどうしても思ってしまうんですよね。
衝撃砲の解説を二次まとめの考察で見たいたところ空間自体を圧縮すると観客が巻き込まれるとか。恐ろしいもん作り出したな中国。それを何で効率の悪い方に使うのやら……。

後改修されパワーアップされた機体って胸が熱くならない?

章登が襲撃された理由ですが

いっくんがあいつと同じようにバカにされるかもしれない

だったら試合に乱入者ぶち込んでそれを倒すいっくん、観客も好印象だ!

またあいつ観客を逃がしてくれていっくんの勇士が魅せられないじゃないか!

お前なんていらないんだよ!

……考えたあたりこれがベストなんじゃないのかなと……
ほんとなんで原作でゴーレム放り込んだのかわかりません。
少なくとも原作では上記ほど一方的ではなかったのですが、一様瞬間加速で切り抜けようとした直後襲撃受けてますしね。

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