Word of “X”   作:◯岳◯

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21話 : 樹界へ

サマンガン海停から一時間ほど歩いた先、岩場を登った所に、そこはあった。入り口は狭く、その先は暗くてよく見えない。それほどまでに、木々が生い茂っている。そう、ここにあるような、陽の光が少ししか届いていない証拠だ。ほぼ隙間なく、万便に、木々の葉の幕で空が覆われているのだ。

 

天の恵みの象徴である太陽ではなく、生い茂る深緑達が空を支配する世界とも言えよう。

 

ゆえに、"樹界"。サマンガン樹界と、この場所は呼ばれている。

 

「思ったよりも視界が悪そうだな………準備はオッケー?」

 

入口の前で、僕達は装備を確認することにした。僕はナックルガードで、ミラは剣。アルヴィンは銃と大剣だ。そして、エリーゼは杖を持っている。僕が万が一の時の護身具と思って、プレゼントしたものだ。見たところ、エリーゼのマナの総量は多い。同年代の子供たちと比べれば、破格のものだ。

 

だから稚拙とはいえ、マナをコントロールすれば、自分の肉体を防御することもできるだろう。

マナの増幅器である杖を持っていれば、その効率も防御力も上がるはずだ。とはいっても、それに期待することはない。この杖が使われない、使われる機会がおとずれないのが最善だろう。僕が守りぬけば、それでいいのだから。そう、危機におとしいれる気など、毛頭ないのだ。

 

それでも僕とて人間である。万能の力を持っているはずもない。精霊術も使えない僕が万全を語ろうなどと、学院の誰かが聞けば一笑一言にこきおろされることうけあいだ。それに同意する気もないが、事実は事実として認識する。だから、もしもを考えて然るべきなのだ。

 

守ると宣言した人間の義務もある。誰かに対して安全を誓うのであれば、もしもの場合まで想定するのは当然のことだから。

 

それに、この樹界は視界が悪く、障害物も多いから、死角が生じやすい。歩いている途中に、見えない場所から奇襲される回数も増えるだろう。僕はマナの気配はある程度は読めるが、それでも全ての気配を読み取ることなどできない。

 

(それに――――また、怪物が現れるかもしれないしなぁ)

 

それは、瀑布であった大型の魔物ではない。ミラの社の前で遭遇した、正体も不明の化物。ケタ違いの力量を持ち、それでいて人をいきなり襲う習性は、まさしく物語か何かでててくる怪物だ。

 

僕はあれの恐怖を知ってから、周囲の気配を頻繁に探るようになった。集中していれば気づくことができるはず、と。そうだ。"あれ"に奇襲されるなど、考えたくもない。"あれ"に比べれば、そこいらの魔物など塵芥のようなもの。

 

(そう、たとえば目の前にいる魔物なんか―――――ん?)

 

じっと正面に居る、狼系の魔物を見る。さきほどから、気配は感じていた。こちらの姿を察していたことは間違いない。だけど、数秒発ってもいっこうに襲ってくる気配を感じないのはおかしい。目はこちらを向いているし、こちらを視認していないということは有り得ないのに。狼型の魔物は、そのままじっとこちらをひと通り観察した後、森の奥へと消えていった。それはミラ達にも見えていたようで、おかしいなと首をかしげている。

 

「ふむ、あのような魔物は見たことがないが」

 

「こっちもだ。でも、もしかしたら…………いや、断定はできないか」

 

アルヴィンは何かを知っているようだが、勘違いだと首を横に振っている。知っていることがあれば教えてもらいたいんだけど。

 

「不確定な情報だからな、余計な雑音になりかねない」

 

間違った先入観は、逆効果になりかねない。そのあたりを言っているのだろう。それは、確かにそうかもしれない。妙な情報に踊らされ、勘違いした対応をするわけにはいかないのである。

 

「でも、なんだろう。もしかして警告かな。これ以上、こっちには来るなって」

 

「そうかもな。でも、行くしかないんだろ?」

 

「当然だね」

 

旅に障害はつきもの。それを乗り越えてこそ、次の目的地へとたどりつけるのだ。いつもの旅と変わらない。僕はミラとアルヴィン、そして少し怯えているエリーゼに頷くと、警戒をしながら森の中へと入っていった。

 

 

 

 

 

戦い方は、環境に応じて変えるべきだ。広い場所と、狭い場所。草原と森の中では、同じ戦術は取れないから。

 

「はっ!」

 

呼気と共に、右手と左手を連続で突き出した。いつものように弧を描くのではない、直線的な打突が魔物の腹部に突き刺さる。草原であれば周囲の魔物を巻き込むように、また遠心力によって威力を出すためにと、回し蹴りや巻き込みの裏拳で薙ぎ払うように攻撃していただろう。

 

だが、この樹海ではその戦術は使えない。円運動を行えるような、広いスペースなどできないからだ。回転中に木々に引っかかる可能性も高く、また近くにいる味方をも巻き込みかねない。そうなれば大惨事である。落ち着いて、直突きや前蹴りといった直線的な打撃で一体一体、確実に仕留めていくのが最適だと言えよう。だが、戦場は常に一長一短。狭い場所、こうした樹界でこそ、有効になる戦術が存在する。

 

「ジュード、団体さんで来たぞ!」

 

「ああ、下がって、ミラ!」

 

 

例えば、そう。狭い通路の前で、敵が固まっている時などに、使える技がある。技の原理は簡単だ。おおまかに分類すれば魔神拳と似ている。

 

まずは体内にあるマナを両手に練りあげる。そして、一歩前へと踏み込むのだ。目前には敵意をもつ魔物。その鼻っ柱をにらみつつ、脳裏に勇猛な獅子を描き。

 

そして、極大の呼気と共に――――叫ぶのだ。

 

「獅子戦吼!」

 

言葉は形に、マナは獅子の塊に。何者をも吹き飛ばす獅子に模られたマナの砲弾が、魔物の集団を蹴散らす。直撃を受けた魔物は、ひとたまりもないだろう。そして、狭い場所での利点が生まれるのはここからである。

 

いつもならば、一体だけに効果がある技だが、敵が密集していて、またこうして狭い場所でこそ得られる付加効果がある。狭いがゆえ、吹き飛ばされた魔物に他の魔物が巻き込まれる。そして間接的にだがダメージを与えられるのだ。また、木々にぶつかったりしてダメージを受ける運の悪い魔物も。もっと悪ければ、地盤の割れ目へと落ちて行くやつもいる。共通しているのは、いつも以上に、そして一度に多くの魔物に痛打を与えることができること。

 

全身に与えられた衝撃は、魔物でさえも意識を奪われ。

 

そして、人はそれを好機と呼ぶ。

 

「よし、もらったぜ!」

 

「ああ、止めだ!」

 

倒れて動きが鈍くなった魔物が、ミラとアルヴィンの追い打ちによって次々に倒されていく。普通に対峙していれば一分はかかっているだろう魔物だろうが、ものの十数秒で片付けることができた。ここで戦っていくうちに、組みあがったパターン戦術の一つだ。

基本戦術は、正面に向けての一対一だが、固まって押し寄せてくれば僕の出番となる。獅子戦吼で一蹴、のちに追撃する。後ろから敵がせまっている場合はまた別だ。

 

正面をミラとアルヴィンに任せ、僕は背後へと回りこみ、はさみうちを防ぐ。後ろに控えているエリーゼを守るという意味もあるのだが。こうして、役割を決めて、混乱を防ぎ、余計な時間をできるだけ減らしていくのが最善である。馬鹿正直かつ最も単純な戦術である正面突破は余計なことを考えなくてすむ戦い方だが、反面体力の消耗が激しい。

 

先の分からないこの樹界の中でそんなことを続けていれば、いずれバテた挙句に魔物に囲まれ、やられてしまいかねない。環境に適した戦術は、戦いの労力を和らげてくれる。傭兵にとっての、基本的能力というか、必須能力でもある。特にこうした僻地、足の怪我や体力が尽きるこ事と、死が等号で結ばれる土地では重要になる能力になるのだ。

 

アルヴィンと僕の提案、そしてミラの意見も加わって出来上がった陣形。

それを組んだまま戦い、樹界を突き進んでいく。幸いにして、以前に来た時と、魔物の種類は変わっていない。以前はでかい樹というか、大きい植物のような外見の魔物に手こずっていたのだが。

 

それでも、今は物の数ではない。と、噂をすれば陰というか。その魔物が、正面からやってきた。

 

「また来たか………ジュード、私の余剰マナは溜まっているぞ!」

 

戦い方が様になってきたというか、熟練の域に達しつつあるミラ。

 

「耐久力が高くてめんどくさいし、頼むぜお二人さん!」

 

何だかんだいって要領のいいアルヴィン。今も、銃で牽制してくれている。

 

「ああ――――横薙ぎの大ぶりの一撃の後、懐に!」

 

そして、僕である。この3人であれば、むしろこうして単独でこられた方が楽なのだ。

 

(ミラの成長率は、若干おかしい部分があるけど)

 

嫉妬じみたものをこぼしつつ、敵の攻撃を見切り、ミラへとリンクで語りかける。

ミラが頷き、敵の大ぶりの一撃の後、一緒に敵のふところへと飛び込んだ。

 

「行くぞ!」

 

「ああ!」

 

拳打と剣戟の牽制が突き刺さる。そこから連撃だ。僕の左手にマナが、ミラの剣には風の塊が。

生まれ、その2つの力は、リリアルオーブの能力によって合わさっていく。

 

風の精霊とマナが融合され、十字の風刃と形を変えて、突風のように飛翔する――――!

 

「「絶風刃!!」」

 

極大のマナ2つに、この程度の魔物が抵抗できるはずがない。

草の魔物は巨大な風の十字斬に切り裂かれ、やがて自然の中へと散っていった。

 

 

 

 

 

「あー、そろそろ休憩しようか」

 

「そうだな」

 

まだ樹界の中だが、休める場所をみつけたのでひとまず休憩することにした。

無理は禁物だ。それに、エリーゼの方も疲れが溜まっているだろうし。

 

「って、わりと平気そうだね、エリーゼ」

 

「私は…………その、戦ってない、から」

 

「それでも大したものだと思うぞ。弱音も吐かない」

 

「そうそう。弱々しい言葉を吐いたら、怖いおねーさんに置いていかれるもんなー?」

 

「むー、アルヴィン君!? ミラ君はそんなことしないもんねー」

 

「まあ、流石にここに置いていくのはな。見殺しにしかならないだろう。アルヴィンなら置いていくが」

 

「やれやれ。都会派の俺には似合わない場所だから、そうとも言えないんだけどな」

 

「いや、お洒落かもしれんけど、都会派はそんな大剣振り回せないからね。でも、僕のようなひ弱な医学生なら………」

 

「吹雪く雪山の奥地からでも生還しそうな奴が何を言っている。お前なら大丈夫だろう。ふむ、こういうのを信頼というのか?」

 

「間違ってないけどね………でも納得できないというか」

 

「ボクもー。あんなでかい魔物を殴り飛ばすジュード君なら、大丈夫だと思うなー」

 

「医学生か………え、それってギャグのつもりか? つーかお前みたいなのが百人規模でいてたまるか。中隊規模であの"獅子戦吼"とかいう技を使われたら、たまったもんじゃねーぞ」

 

「えっと、私も………ジュードは、頼りになるって………思います」

 

「信頼が痛いなぁ!?」

 

なにこの敵だらけ。分が悪いので、話を変えることにした。昨日に海停で、宿の前の船着場で起きた事件と、海停の入り口で聞いた珍しい話についてだ。事件の方は、表面だけ。内容は、女性が何者かに殺害されたということ。詳しい事情を知っているのは僕とアルヴィンだけで、女性二人に教えるような内容でもないから、表面で流していたが。

 

(女の諜報員。敵方にばれて、トカゲの尻尾切りにされた、か)

 

女性であることを活用した諜報部隊。他の部族からは下衆の集団とも噂されている、とある部族の者らしい。僕の方はア・ジュールの部族にそれほど詳しくないので分からなかったが、アルヴィンは知っていた。昨日の夜遅くに、男ともめていたキャットという女性。彼女は翌日の朝方に、船着場で死体となって発見された。

 

それを見て、アルヴィンは彼女が所属しているであろう、諜報部隊の名前を呟いた。

"ガーベッジ隊"と。妙に確信を持っているようだから、恐らくは間違いないのだろう。

だけどこれだけの情報で察することができるとは。ほんとに過去に何をしていたんだろう。

で、話をして気が滅入ることは避けたいので、話題をサクッと次に移した。こんな所で疲労するような話は避けたい。もう一つの話、海停の入り口にいた、老人から聞いたお伽話のようなもの。老人は語った―――魔装獣という魔物と、魔装備と呼ばれる武器について。

 

まとめていうと簡単だ。北方のとある部族にいたトリルという者。彼は、魔物の霊力野《ゲート》に手を加えることができる、異端の能力を持っていた。研究の末、完成したのは六体の強力な魔物。

 

その魔物達は肥大化した自らの霊力野(ゲート)から、闘争本能を具現化したような武器を作り出し、己の身体の一部とした。その武器を、魔装備。それを宿す非常に強力な魔物を、魔装獣と呼ぶ。20年前の戦争、かのファイザバード会戦中に起きた大津波によって、秘術を知るトリルごと、魔装獣も押し流されてしまって。

 

トリルは死に、物騒な六体の魔物も、今はどこにいるのか分からないらしいが。

だが、決して近寄ってはならないと言われた。一度対峙すれば、死以外の結末はありえないと。

 

「それには、完全に同意するよ。あれは相手にしちゃいけないものだ」

 

「へえ、見たことがあるのか?」

 

「話を聞いた時は言わなかったけど………故郷の鉱山で一度、ね。因縁がある、と言えばあるのかな」

 

最も、向こうは直接的には何もしてこなかったけど。

 

「どんな風に、だ?」

 

「話したくない。聞いても面白くないし、長いし………こんな樹界で聞かせるような話じゃないしね」

 

つまりは、暗い話だ。己の恥部でもあるから、積極的には話したくない。

 

「それにしても、霊力野(ゲート)に手を加えるか………」

 

その秘術を教えてもらいたかった。もしかすれば、あるかも分からないけど、自分の脳の中の霊力野(ゲート)を何とかできたかもしれないのに。

 

「えっと、そういえば………」

 

「ジュード君って、精霊術を使わないんだねー。それでもめちゃくちゃ強いから、気にならなかったけどー」

 

「あー、まあ、ね」

 

苦手なんだと、苦笑しながら答える。

 

――――苦笑はできているだろうか。笑えているだろうかと、思いながら。

 

(なんで、こんな一言で動揺する)

 

エリーゼにも、ミラにも知られていない。二人からは、何も言われていない。だけど、胸の奥にもやもやが浮かんでしまう。心の中にささくれが、苛立ちがぽつぽつと滲みでてくるよう。こんな感情、二人の前で出したくはないのに。だから誤魔化すように、提案をした。

 

「そろそろ、いいか。もう出発しようか?」

 

「いや? もう少し休んだ方がいいだろうな。それ以上、無理をさせれば後々に悪影響が出てきかねない」

 

「………僕が?」

 

「あまり鈍いと思ってくれるな。あの――――社の前の怪物の一件。あの時の疲労の影響が、まだ抜けきっていないだろう。

 

隠しているようだが、戦いぶりを見ていれば何となく分かる」

 

「同感だな。威力は出てるが、身体のキレが戻っていないぜ?」

 

「あー………大丈夫、だって」

 

言葉につまる。実際は、大丈夫じゃないからだ。あの直後よりは、大幅に回復はしている。だけど、絶好調とも言い難いのは確かだ。特に足回りが鈍っているし、判断速度に関しても、いつもより下がっているのは否めない。よくて不調といった所だろう。周囲を警戒しすぎて疲労が溜まっているのもあるが。

 

(ここは、言うことに従った方が、いいかも)

 

胸中にそんな考えが浮かぶ。でも――――それに従うことは、できない。

 

「大丈夫だ。だから、行こう」

 

提案すると、アルヴィンとミラはため息をつきながらも、うなずいてくれた。

エリーゼとティポは、少し不安な表情になっていたが。

 

 

そうして、道中をまた進んでいく。先ほどよりも早く、そして少し乱暴な拳打で敵を蹴散らしていく。これならば問題ないだろうな。

 

そう思った時、僕は何かを踏んでしまった。直後、霧のようなものが当たりに広がっていく。

 

同時に、目と鼻に痛烈な刺激が走った。

 

「っ!?」

 

たまらず、咳き込んでしまう。

 

(これは―――ケムリダケか!)

 

ショックを与えれば、催涙性の胞子を撒き散らすキノコだ。そういえば、この樹界には多く生えていたのを思い出す。

 

「どこ………こほっ、こほっ、どこですか!?」

 

「勘弁してくれ………この煙はなんだ?」

 

「おそ、らく、ケムリダケだ………ということは、催涙性の胞子か?」

 

エリーゼもミラもアルヴィンも、そして僕も。全員が目をかばいながら歩き、何とか胞子の霧を突破する。だけど、眼や鼻に入った胞子はすぐに消えてくれない。一度入ってしまうと、しばらくは涙が止まらないと、図鑑で見たことがある。その効果は間違いがなく、涙は数分してようやく止まってくれた。魔物の奇襲がなかったのが不幸中の幸いだっただろう。もし視界が奪われている間に、魔物に襲い掛かられていればどうなっていたことか。やられはしないだろうが、エリーゼが怪我をしていたかもしれない。それは、かなり―――いや非常にぞっとする光景である。

 

「しかし、ジュード。もっと足元に注意して歩くべきだぞ」

 

「………ごめん」

 

謝る。ほんとう、ミラの言うとおりだ。何があるのか分からないし、根が地上に露出している場所なのに、足元の注意がおろそかになっていた。結果が、ケムリダケを踏んでしまった。

 

「謝らなくてもいい。だが、二度目は勘弁してくれよ?」

 

「ああ。戦闘中にあの煙は………魔物にも効果があるだろうが、こっちの視界が奪われるのは、かなりまずいしな」

 

「分かった。でも、僕は大丈夫だから」

 

こんな所で休んでなどいられない。休憩できる場所まで戻るのも一苦労だし、なにより早く汚名を返上しなければならない。だから僕は大丈夫だと主張して、突き進むことを提案した。

 

今度は足元に注意して、キノコを踏まないように、慎重に。

 

やがて、樹界の出口に差し掛かった。もうすぐ、この暗い樹界を抜けられるのだ。だけど、最後の障害物が、出口の前に立ちふさがっていた。出口を抜けようとしたその瞬間、突然周囲から気配が現れた。樹界の入り口でみかけたおかしな魔物、そしてその同種が数匹、こちらを取り囲むようにして出てきたのだ。

 

「こいつら…………っ!」

 

周囲を警戒する間もわずか。直後に現れたのは、巨大な敵そのものだった。ハ・ミルの出口で見かけた、手練の巨漢。

 

「あんたは………!」

 

「おっきいおじさん!」

 

 

そこには、ジャオがいた。

 

 

まるで、僕達を待ち構えていたかのように、ゆっくりとこちらに向けて歩き出してきた。

 

 


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