えんぜるびっつ。   作:ぽらり

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 購買でお菓子買って、どこで食べる? って話になって、どこでもいい! とか言われて、結局迷ったあげくに追加で二人分お菓子買って移動を開始した。目指すは屋上。岩沢さんの邪魔してやんよ! じょうだんですお。

 

「先輩! 見て見てー!」

 

 コーラガムをこれでもかって位に膨らませたユイにゃんが現れた!

 

「でゅくしっ」

 

 関根ちゃんの攻撃! ガムが破裂した!

 

「でもユイにゃん地味にすごい。俺、そんなに大きく膨らませない」

 

 顔にガム貼り付けてなんかむーむー言ってるユイにゃん。褒められて嬉しいのか、袖まで引っ張ってきた。そんなに強く引っ張んないでもたまには褒めてあげまするですよ。ところでそれ前見えてんの? まぁ、いいか。

 

「関根ちゃんも風船ガム膨らませる?」

 

「できるよー。ちっちゃい頃よくやってた」

 

「さすが関根ちゃん。そして入江ちゃん。できる?」

 

「実はできなかったり……」

 

 そんな気がした。だからこそ。

 

「れっつちゃれんじ」

 

「えっ」

 

 せっかくなので。

 

「ガム買ってないよぅ」

 

「こんなこともあろうかと!」

 

 五個くらい買っておきました。さすが俺。

 

「一個まるまるだと入江ちゃんには大きいかもだから関根ちゃんと半分こしてね」

 

「あ、うん、ありがとー」

 

 俺も一個食べよう。だがしかし、邪魔されました。一体なんだってんだい。

 

「むー! むー!」

 

「どしたのユイにゃん。テンション高め? 鬱陶しいね」

 

「むー! むー! むー!」

 

「うん、何言ってるかわかんない超わかんない」

 

「むーぁっ! 取れたー!」

 

「口元だけね。安っぽいペプシマンみたい」

 

「シュワー! じゃねんだよテメー! 可愛い後輩が苦しんでんだぞコラー!」

 

「ユイにゃん炭酸好き? 実は俺ちょっと苦手だったり」

 

「きーいーてーよー!」

 

 パンク少女 feat.顔面ガムに首をがっくんがっくんされた。軽くホラーです。早くガムとりなはれや。

 

 

「で、入江ちゃんが苦戦中、と」

 

 いつまでも劣化ペプシさんは連れて歩きたくなかったので、関根ちゃんが近くの女子トイレへ連行中。さすがに俺は着いて行けないし、付き添い二人もいらんでしょーってことで入江ちゃんと風船ガムの特訓中。俺は見てるだけだけども。

 

「でひない……」

 

「なんだろ、こう、口の中でガムを丸めて」

 

「む」

 

「歯でガムを支えながらベロをぐーっと突き出して」

 

「むー」

 

「で、ベロを抜きながら、空気を入れる感じ」

 

「むー、むー」

 

「違う違う。膨らますのはガムであってほっぺたじゃないです。気持ちはわかるけども。あと、あんまり力み過ぎるとガムだけスポーンと口から飛び出すようなアクシデントがって、ああ、遅かった」

 

 粗相ですね、わかります。涙目になってたのでよしよしして慰めてました。ティッシュもあげておきました。ドンマイ女の子。強く生きて。

 

 

 

「あ、やっぱり二人ともいた」

 

 あたしのいないうちにみゆきちを泣かしたとかで関根ちゃんに軽く睨まれてたけども、不可抗力ですと説明をしながら屋上まで来ました。予想通り、屋上には二人の女生徒の姿が。言わずもがな、岩沢さんとひさ子ちゃんである。

 

「お? なんだまた集合かよ」

 

 確かにその通りだね。さっきのメンツがまた揃いました。話聞いてなかった組再集結。

 

「まぁ、丁度良いか。さっきの球技大会の話あっただろ? 高松に聞いておいたぞ」

 

「あったっけ? 関根ちゃん」

 

「え、わかんない。ユイは知ってる?」

 

「わかりません! 入江先輩なら何か知ってるかもです!」

 

 早くも面倒臭そうな顔したひさ子ちゃんと一緒に入江ちゃんを見ると、何やらほっぺた膨らませてむーむー仰ってました。そうですね。ガムですね。もしかしてさっきのが悔しかったのだろうか。後で関根ちゃんに聞いておいてもらおうと思います。

 で、むーむー言ってる入江ちゃんを関根ちゃんが引っ張ってきて、ひさ子ちゃんの近くに座った。それに便乗する形でユイにゃんと俺が近くに座って、実はギター弾いてて喋らなかっただけであまり存在感の無かった岩沢さんも加えて輪になって座る。

 

「お菓子パーティーの開始を宣言する」

 

「いーやっほーぅっ!」

 

「ユイにゃん食べるぜー! 超食べるぜー!」

 

 関根ちゃんとユイにゃんのテンションがうなぎ登りでまじパねぇ。ひさ子ちゃんもなんだかんだで楽しそうにお菓子吟味して、女子っぽさを発揮中。岩沢さんは相変わらずギター弾いてるけども、何も言わないってことはここで騒いでも良いってことなんだと思う。そして、入江ちゃんはまだむーむー言ってる。そろそろぺってしてきなさい。

 

「あー、そうだ。さっきの話だけど、球技大会は参加するらしいぞ。ゲリラで」

 

 言いながらひさ子ちゃんは岩沢さんの口にポッキーを一本差し出した。面白そう、と関根ちゃんがひさ子ちゃんに便乗。岩沢さんの口にはポッキーが二本。

 

「全員参加だとよ。で、一般生徒より低い成績残したチームには罰ゲーム」

 

 ユイにゃんが恐る恐る岩沢さんの口元にポッキーをチラつかせる。ぱくりんちょ。岩沢さんがユイにゃんの手からポッキー掻っ攫って行った。ひさ子ちゃんから一本ポッキーもらってやっとこさ落ち着いてきた入江ちゃんに渡す。よくわかってなかったみたいだけど、ユイにゃん見たらゆっくり頷いた。

 

「罰ゲームって何すんの?」

 

「さぁ? 死より恐ろしいらしいぞ」

 

 ひさ子ちゃんがまた岩沢さんにポッキーを。ユイにゃんと入江ちゃんも同時に攻めて岩沢さんの口にはポッキーが三本。

 

「チームは自由に組んでいいってさ。まぁ、あたしはもう高松のとこ入っちまったけど」

 

「あれま、早いね」

 

「負けたくねーしなー」

 

 ポッキーの箱をひさ子ちゃんから渡される。どうしろと。と思ったら岩沢さんが口開けて待機してました。10本くらい突っ込んどいたけども、ものともしませんでした。女子ってすごいね。

 

 

「何してんのお前ら……」

 

 チームどうしよっかー、とか。だるいねー、とか話しながら適度に岩沢さんにお菓子あげてたらキジとイヌとサルを連れた、じゃなくて、音無くんと椎名さんと野田くんを連れた青太郎が来た。違った。日向くんが来た。あれ、青太郎でも間違ってない気がした。不思議だね。

 

「お菓子パーティー」

 

「餌付けの間違いだろ?」

 

 そんなつもりはなかった、と後のガルデモメンバーは語るとか語らないとか。まぁ、どっちでもいいね。

 

 


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