えんぜるびっつ。   作:ぽらり

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 校舎内を関根ちゃんと散策。遊佐ちゃんからの指示のおかげで鬼とは遭遇せずに済んでます。ナイスオペレーティング。オペレーティング? まぁ、どうでもいいや。

 

「出合え出合えー!」

 

「出合っちゃダメです」

 

「うぃ」

 

 どこで見つけたのか30cm定規を振り回す関根ちゃん。危ないからポイしなさい。

 

「しかしアレだねー。ハイテク鬼ごっこだから全っ然捕まる気しないねー」

 

 まぁ、確かに。鬼ごっこの割に逃げてる感じが全然ないのです。しかしながら。

 

「勝負はラスト一時間だってさ。指示無しのリアル鬼ごっこ」

 

「マジでか。みんな名字バラバラだよ。困ったね」

 

「困ったね。結婚する?」

 

「まあ! なっつんったら、いけないひとッ!」

 

「俺の人生半分あげる(キリッ」

 

「等価交換ですね。ごめんなさい」

 

 フられちったお。

 

「でも結婚かー。あたし考えたことなかったなー」

 

「そもそもこの世界でできるのかな?」

 

「本人達の意思があれば問題ない(キリッ」

 

「やだイケメン」

 

「でも、実際のところ、できなくはないんじゃないかなー。真似事みたいになっちゃうかもだけど」

 

「なるほど。たぶんこの世界ならずっと一緒にいられるし、好きな人がいる人なら誰かしらやりそうだね」

 

 大山さんロストです。

 

「なっつんは?」

 

「とくにいないです」

 

「つまんないー。恋バナしようよー。なっつんなっつんなっつんー」

 

 袖引っ張んないでほしいれす。

 

「ほんと好きだね」

 

「好きです。好物です。大好物です。あたしにとっての必須栄養素なのです」

 

「難儀な体質をお持ちのようで」

 

「だからなっつんから摂取します。ゆりっぺ先輩とかどう? ねぇねぇ?」

 

「仲村さんは先輩とか、お姉さん的な感じがする」

 

 生前は長女らしいし。きっとあの人は生粋のお姉さん体質かと。

 

「あ、すでにポジション決まっちゃってる感じだ。これはきっかけないと脈無しだね。ゆりっぺ先輩残念!」

 

 きっと残念ではないかと。

 

「椎名さんとかは? こう、クールビューティーだし、忠義って言うか、尽くしてくれると思うから実は隠れた優良物件だと思うよ」

 

「実はあんまり話したことなかったりします。エンカウント率が低いんだよね」

 

「なるほどなるほどー。これからに期待、と。椎名さんまだチャンスあるよ! 頑張って!」

 

 べつにがんばらないでいいです。

 

「じゃあ、ユイは? 結構仲良いよね」

 

「ユイにゃんめんどい」

 

「だよね。知ってた」

 

 なら聞くなし。

 

「見てる感じだと、世話の焼ける妹的なポジションのイメージかなー」

 

「わりとどうでもいい」

 

「あ、親友ルートの可能性もあるかも。まだ脈は薄い、と」

 

 どちらかと言うと悪友やもですお。でも妹はない。

 

「次は、みゆきち。前聞いたけどはぐらかしたもんねー。ふっふっふっ、あたし覚えてるよー」

 

「入江ちゃんか。かわいいよね。ハムスター的な感じ」

 

「わかる! 超わかる! 一生懸命に何かやってるとこをちょっと遠くから見てたいよね!」

 

「ん、何か近いかも。そんな感じ」

 

「しかしこれはアレだね。雛の巣立ちを見守る親鳥的な心情だね。つまり脈無し。実は関根さんちょっと安心したよ!」

 

 さいですか。よかったですね。

 

「さぁ、お次はあたしの見たてでは見事3位の座を射止めましたこの人! 殺人ギタリストことひさ子先輩! どうだ!」

 

 どうと聞かれても。

 

「ひさ子ちゃんはFカップ。異論は認めない」

 

「なぜだろう。答えになってないのに不思議と納得してしまったあたしがいる」

 

「それもこれも全部Fカップのせい」

 

「ぐぬぬ、おのれFカップ。羨ましい......!」

 

 あたしだって、あたしだって……。やっぱ女の子的に羨ましいんだ。男の子にはわからない悩みなのです。ごめんね。うぃ。

 

「さぁ気を取り直して大本命! 岩沢先輩と遊佐さん! 一位タイ! どうだなっつん! 参ったか!」

 

 参りませんお。

 

「二人とも良いお友達です」

 

「はい、ダウト。友達にしたってよく一緒にいるじゃん遊んでるじゃん話してるじゃん。あたし見てるもん知ってるもん。もんもんもーん」

 

「うん、関根ちゃんもだね」

 

「いやそんなこと……あれ? あるね。最近良く遊んでるね」

 

 しかも入江ちゃん抜きです。

 

「ダ、ダメだよなっつん! あたしにはみゆきちと言うマイスウィートエンジェルがっ!」

 

「スイーツ(笑)」

 

「それ違う」

 

「ですよね」

 

 そんなことを言いながら曲がり角を曲がったらごく最近に見かけたことある人とばったりご対面。この人は確か生徒会の書記さん。要するに鬼さんですね。やばば。

 

「あ、お前ら逃がさ」

 

「誰だよテメーは。いきなり現れて好き勝手言ってんじゃねーぞ」

 

「レイチェル乙。いいから逃げるよ関根ちゃん」

 

 いきなり暴言とは。でも女の子がそんなこと言っちゃいけません。そして関根ちゃんは俺の言葉に対して首を横に振った。

 

「ここはあたしに任せて! なっつん逃げて! 超逃げて! あたしを囮にハイパー逃げるんだー!」

 

 関根ちゃんが鬼さんの前でわーわー騒いで時間稼ぎ。なるほど、そう言うことでしたか。

 

「はやくしてっ! 間にあわなくなってもしらんぞーっ!」

 

「べジータ乙」

 

「あ、触った! この人今あたしの身体触った! お嫁に行けなくなったらどうしてくれるんだー! ハラスメントコード発動しちゃうもんねー!」

 

 お嫁に行く気があったのか。あと、これはゲームであって遊びでもありますよ。

 

「関根ちゃん……」

 

「なっつん、あたしね、この鬼ごっこが終わったら……みゆきちと結婚するんだ」

 

「二次会には呼んでね」

 

「なっつんはちゃんと披露宴から参加させる予定です」

 

「楽しみにしてるお」

 

 じゃあそう言うことで。お言葉に甘えて自らフラグを立てた関根ちゃんに鬼さんをお任せして逃げます。

 

「もしもし遊佐ちゃん。道案内よろです」

 

 ルート案内を開始します、とのお返事が。れっつナビタイム!

 

「鬼さんと会っちゃった。どうして教えてくれなかったのでしょうか?」

 

「何度も口頭でお伝えしました。遊佐です」

 

「え? いつ?」

 

「イケメンがどうとか言っていたあたりです」

 

 あらま。

 

「お話に夢中で聞こえてませんでした。ごめんね」

 

「関根さんロストです」

 

「ですよね」

 

 これからは遊佐ちゃんの指示をちゃんと聞こうと思います。あ、大山くんも捕まってたんだね。全く気が付かなかった。なんかごめんね。

 

 

 

犠牲者:野田、高松、藤巻、入江、TK、大山、関根

 

戦線チーム残り8人

 

 


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