これを機にキャラソートをやってみた結果
1位瑞鳳
1位響
1位榛名
1位大鳳
1位金剛
1位瑞鶴
1位電
という結果になりました。
まぁ、好きな艦娘ってなかなか選べないよね。
じゃあ皆と結婚だ、って話
「祥鳳さん、向こうの様子はどうですか?」
「ええ、南方棲鬼の方は艤装落ち……中破というところでしょうか。泊地棲鬼は大破、駆逐棲鬼については小破未満です」
「そうですか……どっちが勝っても関係ないので、早く終わってくれませんかねー」
イリス率いる艦隊は棲艦島を目前にして足止めを食らっていた。
言うまでもなく南方棲鬼とアイリたちの戦闘が行われている
この障壁は内部を覗き見ることや盗み聞きすることも妨げず、内部からの逃走・離脱も自由なのだが、外から入り込むことだけはできないようになっている。
遠征として別働隊を配していた場合のみ、例外として中に向かって援護射撃などを行うことが許されている。
そんな都合もあって、イリスはこの戦闘が終わった後で勝者に対して追い討ちをかけることを狙っていた。
このまま戦闘が進めば、どちらの鬼が勝利したところで最終的に自分が笑う。
それを理解しているはずのイリスは、不思議なことに不機嫌そうに見えた。
「あれ……大破しているはずの泊地棲鬼が前に……?」
ふと、上空に観測機を飛ばして戦闘を覗き見ていた祥鳳が首をかしげる。
このままでは泊地棲鬼が沈んでしまうということを、あの駆逐棲鬼が理解していない訳がない。
そして、先日出会った二人の深海棲艦はお互いに、相手を平気で切り捨てるような性格には見えなかった。
一度とはいえ実際に面識のある祥鳳だからこそ、余計に不審に感じた。
しかし、彼女が敬愛する提督はというと――
「へえ……まぁ、あれが私と金剛だったら、私も同じことをするでしょうね」
と、不機嫌はどこへやら感心したように言い、“切り捨てる”とイリスに言われたはずの金剛は――
「提督ぅ、愛してるネー!」
嬉しそうにイリスに抱きついていた。
普段の様子から嫌がるかと思われたイリスだが、その顔は何か別のことを考えているように眉を寄せている。
まさか、この後に控える勝利が決まっている戦闘のことを心配している訳でもあるまいし、と祥鳳は再び首をひねった。
その横をすり抜けるように滑り出てきた榛名が、いまだイリスに絡み付く金剛を剥がしつつイリスに声をかけた。
「提督、もしあれが姉さんではなく、提督と榛名だったらどうしますか?」
「んー。逃げますね」
「そうですか……榛名、残念です」
このやり取りに対して、やはり理解が出来ない様子の祥鳳。
もし自分と提督があの状況に陥ったら、と予想をしてみるが、基本方針はやはり逃げることを選択するだろうし、祥鳳もそれに対して残念に思わない。
提督であるイリスを逃がすために祥鳳が囮になるということをイリスが許さないことも分かっているし、金剛と榛名は特に戦闘好きというわけでもない。
「?? ……???」
自分の考えに間違いが見つからず、ますます混乱する祥鳳に対して答えを教えたのは後続のヴェールヌイだった。
「信頼、だよ」
「え?」
その短い呟きに対して思わず聞き返した祥鳳に対してヴェールヌイがもう一度繰り返す。
「司令官はね、
その声は少し悔しそうであり、誇らしげでもあった。
■□■
「そう、そうよ。戦うために造られた
例え沈むことが分かっていても、それでも一隻でも多く敵艦を沈めるべきだと南方棲鬼の少女が嗤った。
それに対しての答えは無い。
立つのが精いっぱいのハクには答える余裕などなかったし、アイリもそんなハクの気が下手な会話で逸らされないように口を噤んだ。
もう、アイリにできることは無い。
ハクは己が意識の全てを南方棲鬼の一挙手一投足に集中させている。どんな動きにも後れを取らないよう、その頭の中では幾通りもの
そこに、アイリからの援護射撃というハクの予想の中に存在しない要素が入り込んでしまったら、その誤差をハクが埋める前に沈められてしまうかもしれない。
仮にアイリができることがあるとすれば、それはハクが沈まないということを信じるだけだった。
(数値上だけのデータを見れば、ハクが沈むのは当り前ですが……それでも活路はここにしかないんです)
逃げだしたら、きっと見逃してもらえる。
しかし、その後、自分とハクはどうすればいいのか。
――否、自分はどうすればいいのか――
もしアイリ達が逃げ出したら棲艦島はきっと奪われる。
首魁であるハクはわからないが、他の深海棲艦達はきっとトップが南方棲鬼に変わったところで今までと同じ生活を続けるだろう。
もしハクが追放されたとしても、彼女自身はそのことを気にせず今まで通りマイペースに過ごすことも予想できる。
しかし、アイリはそうも行かない。
ハクについて行くことは海で生活する術を持たないため不可能であり、そうなると提督としてどこかの鎮守府に着任する以外ないのだが――
(今更、
アイリの中には艦娘に対しての敵対意識というものは無いが、同様に深海棲艦に対してもそういうものが存在しない。
そして、なぜか彼女はより人間らしい艦娘よりも無分別で本能的な深海棲艦に対して愛着を感じていた。
それこそ、艦娘は敵に回せるが、深海棲艦とは戦えないという程に。
(それに、艦娘はよほど酷い提督じゃない限りは沈みませんし)
大破進撃、と呼ばれる無謀なことを艦娘に要求する提督の艦隊に相対しない限りは艦娘を沈めてしまうかもしれない、という罪悪感にも似た恐れを抱く必要は無い。
一方で、もし深海棲艦と戦うことになれば、出会ってしまえば沈めざるを得ない。そういった事情もアイリの心境に影響していた。
だから、アイリにとって南方棲鬼に勝つという以外の選択をすることはできず、その為にハクを前線に立たせるということは不可避だった。
「ハク……頑張って下さいね?」
ハクの集中を乱さないようにと、口の中で囁いた言葉だったがハクはそれに頷きを返した。
そして、二人の鬼の睨みあいが終わりを迎える。
――ハクによる突進という、アイリでさえ予想しなかったことをきっかけに。
「一撃当てれば沈められる……なんて鬼の貴女相手にそんな油断しないわよ?」
「っく……!」
身を伏せての突進による接近から蛇蠍のような突き上げ。
その一連はハクが瀕死であることを全く感じさせることのない流麗な動きだったが、南方棲鬼は顎をほんの少し引くだけで回避した。
その、意表を突くような攻撃と最小限の回避の結果、ハクに致命的な隙が生まれる。
伸ばされた右腕の下、そのむき出しの腋に南方棲鬼の拳が繰り出された。
「それは、ミえてた」
「っ……!?」
ハクによって海面スレスレから放たれたアッパーカット。それは勢いを殺さないままに飛び膝蹴りへと姿を変えた。
いきなり目の前に現れたハクの膝に、少女が慌てて拳を引き、大きく仰け反る。
決定打にもなりうる攻撃は惜しくも不発に終わったものの、当のハクに落胆は無い。
敵に警戒させることができたことだけでも今の攻防に意味はあった。
何をするか分からない、とさえ思わせてしまえば相手も慎重になり膠着状態が望める。動き続けるだけの体力がないハクにできる時間稼ぎの手段がこれだった。
今のハクにとって一番避けたいのは、南方棲鬼が早く勝負をつけようと絶え間ない攻撃を仕掛けてくること。
そして幸運にも、後ろにアイリがいることも少女の警戒心を煽り、結果的に過剰なまでに南方棲鬼は負け得る要素に対して敏感になっていた。
南方棲鬼自身、本当は自分の方が不利だという自覚があるからこそ下手に動けない。
(でも、私の勝利条件はハクと私が無事に棲艦島に帰ること……)
南方棲鬼にとっての敗北条件はそのまま彼女が沈むこと。
仮に彼女がハクを沈めたところで、その後待っているのは軽い損傷しかないアイリとの戦いなのだ。
万全な状態であれば後れをとることなどないだろうが、このハクとの一騎打ちで消耗すれば負けるのは自分だと、南方棲鬼は理解していた。
アイリ達が追い詰められているのは唯一、ハクが沈むかもしれないという一点のみ。アイリ達の内心など知る由もない南方棲鬼にとって、それは喜べる要素にはならなかった。
そして、その南方棲鬼の不安を後押しするように、ハクが再び無謀にも突撃する。まるで、戦闘に勝てるのならば自らの身など冥府に差し出してもいいと、それこそ戦時中の帝国軍のように。
それが幾度となく繰り返され、そのたびに南方棲鬼は段々と動きを鈍くさせていく。
ハクがダメージを与えられているということではない。
数度にわたる攻防はしかし、お互いになんのダメージも残していない。
南方棲鬼自身は凌ぎ切ったと考えているかもしれないが、そもそもハクは反撃を食らわないことを念頭に置いて“攻めているフリ”をしているだけだった。
攻撃を当てることを考えず、反撃にだけ気を配っているハクと、そのハクの動き全てに注意している南方棲鬼では精神的な疲労が違う。
このまま、この状態が続けばあるいは。
しかし、そうアイリが考えたのも束の間、疲労がピークに達した南方棲鬼の少女はその表情を見る物に寒気を感じさせるような微笑みへとかえた。
「もう、考えるのも面倒ね……後のことは後で考えて、いまは貴女を叩きつぶすことにするわ」
焦りが募った南方棲鬼の選択は、不幸にもアイリ達を追い詰める最善の手となる。
つまり、南方棲鬼から攻めるというもの。
こうなってしまえば、ハクはひたすら避け続けるしかない。
精神的優位がどちらであろうとも、ハクが一撃も受けてはならないという前提条件は変わらないのだから。
「ハクっ……!」
「だいじょうぶ」
それでも、焦るアイリとは対照的にハクの声は落ち着いていた。
繰り出される拳や足をギリギリで捌き続け、たまに反撃を繰り出す。
そのハクが反撃をし、少しの隙ができるたびにアイリは息を飲み込むのだが、頭の冷静な部分ではその反撃があるからこそ南方棲鬼も攻めきれずにいるということが判ってしまい、アイリにはハクの危険な行為をやめさせたいと思うことさえ許されない。
アイリが何かをハクに要請したら、それが原因でハクが沈む。
根拠も何もないアイリの予感だが、自分が余計な手出しをしたらハクが沈むという確信があった。
だから、アイリは見守ることしかできない。
そして、自分が無意識にいつでも砲撃をできるように準備していたことなど、その瞬間まで気付かなかった。
「あ」
その呟きは誰のものだったか分からないまま風に消えた。
変わらない戦況に焦れた南方棲鬼による力任せの大振りの攻撃。
それをハクは当然のように回避し、がら空きになった南方棲鬼の弱点――折れた肋骨へと拳を繰り出す。
この一連の流れが南方棲鬼による罠だと分かったのは外から見ていたアイリだけだろう。
それも、ハクに対してだけではなく、アイリ自身に対しても仕掛けられた二重の罠だということに。
南方棲鬼はまさしく肉を切らせて骨を断つために、ハクの一撃を堪える準備をしている。そのハクの全力の攻撃の後に出来上がる大きな隙をついて叩きつぶすために。
こうなればアイリが南方棲鬼の腕を撃って、攻撃を逸らさせるしかない。そして南方棲鬼はそれがいとも簡単に行えるような、おあつらえの位置にいた。
(詰んだ……!)
アイリが砲を放てば南方棲鬼の身体がずれ、ハクの一撃は外れるか、外れなくてもダメージの見込めない所に当たる。
そうなれば南方棲鬼は大きな負傷の無いままにハクを次の一撃で沈め、アイリに向かってくるだろう。
そして、アイリが砲を放たなくても、南方棲鬼に与えられるダメージが増えるだけでハクが沈む可能性が高いことは変わらない。
逡巡しているアイリに南方棲鬼の意地の悪い微笑みが目に入った。
(
どちらを選んだところでハクが沈めばアイリは自分の選択に後悔する。
もし、違う選択をしていればハクは沈んでいなかったかもしれない、と。
そして南方棲鬼はそんな精神状況でなんとかできるような甘い相手ではない。
真綿で首を絞められるように、ゆっくりと絶望に取り囲まれるなか、アイリはハクの言葉を思い出した。
――だいじょうぶ――
だから信じて、と。
それなら自分はこのまま最後まで何もしないで見続けなければならない。
自分が手出しをすることで、ハクの動きを大きく阻害してしまうかもしれない。
そもそもハクが南方棲鬼の予想以上の力で攻撃することができれば南方棲鬼が攻撃に転じることもできなくなる。しかしアイリが手出しをすればその可能性は潰える。
全てを可能性として考えた時、よりハクが生き残る可能性が高いのは自分が何もしないことだ。
そこまで考えて――
――そこまで考えたのに――
「あ」
呟きはアイリのものだった。
その砲塔から砲弾が飛び出し、南方棲鬼の腕を弾く。
弾かれたのは南方棲鬼の腕のみに留まらず、その身体も外部からの力によって大きく動いた。
当然ハクが狙っていた脇腹、肋骨の位置もずれ、ハクの拳の先には南方棲鬼の肩。
――南方棲鬼は嗤っていた。
極限状態にある時、人間は引き金に指が触れてさえいれば、そのままそれを引き絞る。
ただそれだけの話。
どれだけハクを信じていても。
どれだけ頭では理解していても。
ハクの生死を左右する局面で何もしないという決断をアイリの心の弱さは許さなかった。
全く趣の違う二つの話を書き進めるってなかなか難しい
日刊見たらなんか下の方にいたよ
はずかしいね。
ありがとう