「……総督」
「これは賭けだ。……本当ならアイツらをゲームになんか参加すらさせたくないんだが……」
「……私は、私達はどうすればいいんですか?」
「天野。お前はヴァーリと、信の置ける実力者達でこのリストに書かれている連中を拘束しろ。出来るだけ速く、だ。ほれ。このリストに書かれた二十七名、だ」
「……これは?」
「禍の団と繋がってる証拠が上がった連中がリストアップされた書類だ。なるべく一斉に頼むぜ。獅子身中の虫……虫退治はなるべくこまめにしないとな……いつか食い破られてしまう」
「……了解」
「Deus ex machina……か。禍の団め、何を考えている……?」
―≧ワ≦―
「ぐっ、くそぉ……!」
『こちら夕麻、現時点での捕獲状況を教えて』
『チームA、現時点で六名捕獲しました』
『チームB、現時点で六名捕獲』
『ヴァーリ、現時点で五名捕獲』
『……こちらも五人目を捕獲した。あと五名だ、各自抜かるなよ』
『『『ラジャー!』』』
私達は次の獲物へと向かう。
……この私の信用の置ける部下達は、以前私が鞭打って育てていた子達だ。わずか数年で上級堕天使レベルまで達していたときは驚いた。しかも揃いも揃って『踏んでください夕麻様』だった……泣くよ? 泣いてもいいよね?
まぁ、裏切りの心配もない。無論洗ってやったが全員白だった。
早速第二研究室へ押し入り、対象人物を捕縛。
「違うんだ、私はただ脅されて!」
「ハイハイ、弁明はコキュートスで聞きますよ」
「うわぁぁあ!」
……あと、四名か。よし、気を引き締めて――
『チームA、一名捕獲』
『こちらヴァーリ、一名捕獲』
『チームB、偶然居合わせたリスト該当者二名を捕獲しました』
……あら、もう終わり?
『夕麻から各員へ。ミッションクリア、よ。各自解散!』
『『『ラジャー!』』』
通信機器の電源を落とす。ぶぅん、という重い電子音と共にそれは光を失う。
イッセーくん……大丈夫かな? ううん、大丈夫。
彼なら大丈夫。絶対大丈夫だ。
彼はあそこにいる。絶対に、いなくなったりしないし、させない。
「……よし!」
私はぐっ、と伸びをすると、『あざぜるそーとくのおへや☆』と書かれた看板をぶち折ってからグリゴリ研究施設にある自室へと戻ることにした。
すみっこに『製作:偉大なる総督、つまり俺』って書いてあったし、問題ないよね。
……も、問題ないよね?
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「直前インタビュー?」
そんな疑問の声で俺たちの部活は始まった。
「ええ、なんでも神々が見に来る一戦だからって、冥界も張り切ってるわ。オファーが入ってきてるのは……」
と、話が進んでいく。一度聞いた話を一字一句違わず聞かされるのは少々苦しいな。
『暇だな……しりとりしよう』
《うわ、しりとりとか幼稚ですね》
ねじ。
『じゃかしい、いいじゃないか!』
《かもしれませんが、ただのしりとりでは面白味がないですよ》
妖怪。
『いいだろ普通で』
《でもただの暇潰しにしかなりませんよ》
洋画。
『我慢しろ、それくらい』
《嫌です》
『イッセー、もう少し空気読め!』
《面倒くさくなりました、やめましょう》
うん。
「……ということだから、各自意気込みなんかを考えておきなさい」
『はいっ!』
お、話終わったか……。
しかし、意気込み、か。
『ディオドラをボコボコにしたいです! 死ね糞野郎!』
……じゃあ、駄目だよなぁ。うーん……
『ちちりゅーてー!』
脳裏に、子供たちの声が思い浮かんだ。
一瞬、刹那。
俺は……英雄になる。
すっ、と心のなかにその言葉は落ちた。
ハーレム王、それもいい。魅力的だ。でも……今の俺にはそんな勇気もなければ、そんな事を言えるような立ち居地にもいない。なら……。
俺は、冥界の英雄になってやるさ。悪魔でドラゴンだけと……聖剣使いなら、別に英雄だって構わないだろう。
それに……今後、もっと大変な事が起きる。
悪神ロキ、オーフィス、グレートレッド、九重ちゃん、サマエル、英雄派……。たぶん、その後だって。
なら、俺はさ。未来を切り開くひとつの剣になるのも、悪くない。
その前にあの
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「所詮は
「ぐ、白夜などに、化物にこの俺が負けるなど……」
「
「そのトップが悪魔だと、異形達だとしてもかァ!」
「……
「ッ!?」
「以前、グレモリー嬢から聞いたよ。最も、ある幕末の剣士からの又聞きだけどね」
「そん、な……嘘、だろ?」
「さあ、な。先にいなくなった初代に聴け。さよならだ」
「ぁ、ぁぁあ、ああ、あああああああああああっ!!」
「さようはら、夜巳。