「おうイッセー知ってるか?」
「何がだ」
「このクラスに転校生が来るってよ」
翌日。松田のそういう話を聞いている。
「転校生が? ふぅーん……どんな娘かな?」
と、取り敢えず答えておいた。
朝のショートホームルーム。
「えー、今日は転校生が二人来たのでみんな仲良くしてやってくれ」
……ん? 二人ぃ?
がらり、と戸を開けて入ってきたのは、見覚えのある二人だった。
男と女だ。女の方は栗毛、男の方は白髪。
女の方は首に小さな十字架をさげている。男の方は気だるげだ。
「今日からこのクラスの一員になります、紫藤イリナです! 今日からよろしくお願いします!」
「あー、俺はフリード・ゼルセンだ。まァよろしく頼むわ」
そう、フリードとイリナだった。
なんだもう一人ってフリードか………
……って、フリードだとぉぉぉぉぉぉおおおおお!?
―○○○―
「イッセーくンってば驚き過ぎだねェ」
「イリナならともかく、お前が来る方が予想外だっつーの」
昼休み。俺はフリードと話していた。
……そういやぁ、“この”フリードは“あの”フリードとは違うんだっけか。
「お前がなんでここに?」
「総督殿曰く『信じられる手駒は近くにいた方がいい』だそうだァ。もしかしたら一斉粛清が行われるかもなァ……」
「粛清……」
平然と闇の業界の話をする俺ら。回りにひとがいないのは幸いだ。……まぁフリードの見た目がアレだから近寄りがたいんだろう。
白髪灼が……げふんげふん、白髪赤眼だからな。
「しかしまぁ、なんだ。お前とこうして学校なんかに来るなんて日が来るとは思っても見なかった」
「あァ……俺もだ。アレだ、そういう『事象』が満たされたからじゃねェのか?」
「『事象』、ねぇ……」
事象を重ねたものが結果だとすれば……
「……なんだか見えない誰かに操られてるみたいだな」
「解るぜェ。予定調和“すぎる”ンだよ。お前らの行動やらなんやらを記録したものを見てみたがよォ、やっぱり不自然過ぎやしねェか? お前があのねーちゃんに殺られてから……。シスターの事、例の婚姻の話、コカビエルの襲来、三大勢力会議……それだけじゃねェ、お前が幼少のときにイリナと白龍皇に出会ったのもそうだし、シトリーとのもそうだァ。……物事が上手く纏まりすぎてンだよなァ」
「……確かにな」
「誰が裏から糸引いてんのかねェ……」
「それこそ、“神”かもな」
「
「……違うな、多分。例えるなら……」
――
―☆☆☆―
「部長は二人が来ることを知っていたのですか?」
「イリナの事は知っていたけど、フリードに関してはアザゼルに直前に知らされたわ。まさか前日の夜に言われるなんて思わないでしょうに」
と、嘆息するリアス。
で、当のアザゼル先生はというと。
「いでででで! 極ってる、極ってるから!」
「……総督がきちんと連絡をしないからでしょうに 」
「ちょ、腕はそんな方向に曲がらな――!?」
「心配ありません、峰打ちです」
「ちょ、体技に峰なんてな――」
「……堕ちろっ!」
「ごふっ……!」
夕麻ちゃんがリバース・ロメロスペシャルをアザゼル先生に極めてました。
……どうしたらリバースロメロスペシャルが出来るんだろうか。
俺は取り敢えず夕麻ちゃんをスルーしてフリードへと話を振ることにした。
「ところで、フリードの戦闘スタイルって?」
「片手剣か二刀流だな。基本ソロだなァ。お前は?」
「俺は基本的に徒手空拳か腕から剣を生やした変則二刀流と、普通の一刀流、中距離以降なら魔力、ってとこか。神器を使えば譲渡や守護が出来るから、サポートも可能だ」
「ふゥン、なるほどォ。まァ、共闘する可能性もあるわけだ、知っといて損はねェな」
「まぁな」
ふ、と視線を教会三人組の方へ眼を向けると。
「ふぅん、本当に天使なんだな。翼も実体がある」
「もふもふです!」
「うにゃー、やめてー、堕ちるー」
翼を白黒と忙しなく点滅させるイリナと、その翼をもふもふしているアーシアとゼノヴィアだった。
なにしてんだよあんたら。
思わずあきれて肩を竦めてしまう俺だった。
「……あれ、僕は?」
木場ホモ斗君は関係ないのです。