アニメ二期見てからずっとやりたかったネタでもあるがぁぁ!
あのディオドラのクソヤローが球根して数日。あ? 球根じゃなくて求婚? そうとも言うな。
なんかアザゼル先生とヴァーリちゃんが模擬戦してます。なんでも、ヴァーリが手合わせを求めたんだと。
「流石の腕前だな! 強者の素養がある! イッセーの嫁に来ないか!」
「……っ、そうやって油断させる気でしょ!?」
「そうでもあるがぁぁ!」
アザゼル先生、俺の嫁を勝手に決めないでくださいよ。
アザゼル先生は余裕は無さそうに真剣に戦っている。流石のヴァーリもアザゼル先生にはまだ届かないらしい。アザゼル先生曰く「もう少しで抜かれる」らしいけど。
光の槍を投げ、いなし、かわし、まじり、ぶつかる。
決してヴァーリに触れられぬようにと逃げつつも遠距離で攻撃をしている。
アザゼル先生は光の刀の二刀流で接近戦を、中~遠距離は槍の投合でやっている。
ヴァーリもアザゼル先生も互角以上に渡り合っているようにみえるんだけどなぁ。
「踏み込みがまだまだ甘いぞヴァーリっ! ヤエェェェェッ!」
それは直心影流でしょう、アザゼル先生……。
―♂♂♂―
「あ、イッセーくん。アイスティーしかなかったんだけど……いいかな?」
と、ヴァーリがアイスティーを持ってきた。
ここはヴァーリと夕麻ちゃんのシェアハウス……というかここで同居しているそうだ。俺の家から分速10mで歩いて五分ほどの場所にある。二人暮らしで急に三人ほど来客が来て泊まっても問題ない程度の広さのある家だ。ちなみに二階建て。
「別にかまわないよ」
「そう。ごめんね、折角遊びに来てくれたのにこんなのしかなくて」
と、ヴァーリは茶菓子として、アップルパイを二つ出してきた。仄かに林檎と砂糖の上品な甘い香りがしていて、表面はシロップを固めたものを塗ってあるのか艶がでていて光を反射している。……まぁ様式美というやつだろう。
フォークで刺すと、パイ生地がさくっという軽い音をパイ出す。一口分にフォークで切り、口にいれると強い甘味と林檎の爽やかさが舌を楽しませる。その甘味が残っているうちにストレートのアイスティーを飲むと、濃いめに出してあったのかほんのりと苦味があり、それが口の中に残っている甘味と程好くマッチして美味しい。味わいからしてダージリンだろう。
何故俺がこうしてヴァーリと夕麻ちゃんの家でお茶を楽しんでいるかというと、まぁ特に理由はない。ヴァーリに誘われたから、くらいだな。
目の前のヴァーリを見る。机の上には綺麗なテーブルクロスが敷いてあり、その上に氷と紅茶の入ったガラス製のピッチャーがおいてある。
アップルパイは一切れずつ互いの皿に乗っていて、角砂糖は小さな壺のような入れ物に入っているようだ。
……こうして改めてみるとヴァーリって可愛いよなぁ。
独特な色合いの銀髪。くりりとした金の眼。顔のパーツも理想的な配置だ。唇はリップを塗ってあるのか光に反射している。それでなくともしっとりとしていそうだ。
家事も出来て、可愛くて、甲斐性があって。
うーむ……こんないい娘中々いないよなぁ。……どうして、俺なんかに好意を寄せてくれるんだろうか。最も、見ぬふりをして甘んじている俺も俺だけど。
「……ねぇ、イッセーくん」
「ん?」
ヴァーリは口を開こうか開くまいかと悩むように口を少し開閉させたあと。
「……ううん、なんでもない」
取り繕うようにそう言った。
俺にだって言えないことがあるように、ヴァーリにも言えないことがあるのだろう。
……ふと、思った。もし――もし、だぞ?
もしもヴァーリが俺と同じ命運を辿っているとしたら……?
……いや、考えすぎか。そもそもヴァーリがそういう運命をたどり女の子になったとしても“こういう性格”にはならないだろう。なる理由がわからん。
回りに人はいっぱいいるのに、心はどこか孤独。
……俺にはどうしようもないのかもしれない。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
――ああ、またダメだった。
私はイッセーくんに本当の事を話すつもりだった。私には前世の記憶があって、元男で……でも。打ち明けようとすると肩がふるえる。「嫌われたりしたらどうしよう」「気味悪がられたらどうしよう」そんな思考がぐるぐると回り口をつぐませる。
イッセーくんを見る。精悍な男らしい顔立ち。筋肉質な体。何処か愁いを帯びた大人の表情。全部好きだ。
元男であったあの頃を思うと笑えてすらくる。
――恋って、愛って、こんなに暖かいんだ、って思うようになった。あの頃なら考えもしなかった事だ。ただ闇雲に戦いに逃げていた日々。
イッセーくんが私を見ると時々悲痛というか、えも言われぬような顔をする。
その表情を見ると、イッセーくんが何処か遠い場所にいるような気がして。
つい、思ってしまう。
――あなたは、そこにいますか?