運命ってやつは、何時だって残酷だ。
失ったモノを取り返すには、なにかを失わなきゃいけない。
何かを得たとき、お前は確実に何かを失っている。
「なぜ、何故イッセーに彼女がぁぁああ!」
こう叫ぶのは元浜だ。うるせぇエロメガネ。
松田はというと、夕麻ちゃんの目を覗き込んで、こういいはなった。
「なぁ、弱味とか握られてんのか?」
「そ、そんなことないよっ!」
咄嗟に否定する彼女。そのかわりに俺の命を握り潰してるんですね、分かります。
で、当の俺はというと、新技を編み出してたりする。これは男のロマンだぜ。なんてったってアレだからな。
夕麻ちゃんとのデートの約束をあいつらの目の前ですることでストレスを発散しておこう。
「夕麻ちゃん、今度の休みデートしてもらってもいい?」
「ふぇ? うん、いーよ」
突然の言葉に、慌てたように返す彼女。あの時は向こうから誘ってきたからな。
「「ちくしょぉぉお! 死ね、イッセー!」」
血涙を流しながら殴りかかってくる変態二人。
……比べちゃなんだけど、サイラオーグさんの拳の方が速いや。あー、あたっちまうなー、避けねーと。
俺はしゃがむ。それだけでよかった。
突如標的を失った彼等の拳は空を切り、そのままバランスを崩して転けた。
「「あでっ!」」
ついでに頭もぶつけていた。……まぁ、大丈夫だろ。なんだかんだ言ってこいつら丈夫だし。
「あっ、もう帰らなきゃ、じゃーね、イッセーくん♪」
あざといなコイツは……。取り合えず、俺も返事をしておくか。
「じゃーな、夕麻ちゃん!」
「「うっ、うううっ……」」
咽び泣いていたこいつらの事後処理、俺がやるのかよ……
『ふぁぁ……おはょ……』
おそようだなドライグ。もう昼過ぎだぞ。
『うん……』
どうした? ドライグ。なんか夢見心地でさぁ。愉しそうだな。
『うぅん、なんでもないのー……むにゃ』
むにゅむにゅと目を擦るドライグが目に浮かぶぜ……
『……ハッ!? お、おはようイッセー』
おう、おはよう。寝惚けてたぞ。珍しいな、お前が寝惚けたまま出てくるなんて。
『……何か変なこと言ってなかったか?』
いいや? 特に変なことは言ってないが……?
『い、いや、それならいいんだ』
まぁーいーか。……っとと、さっさと支度しねーとなぁ……色々と、な。
ー○●○ー
『オキナイト、オシオキヨ。オシタオサナイト、バラバラヨ』
目覚まし時計の音声に目を冷ます。今日はヤンデレビ○チか……。
今日は……ああ、デートの約束をした日か。
約束のじかんまで……ふむ、7時間か。
ちなみに今は午前5時である。……おおっ! こんなところにエロ本が! ……駄目だ、いくら読んでも息子は反応しない。まぁ、殺されるかも知れないって時に反応するわけないか。……リアス達だったら……いやいや、いかんいかん。リアス達で自家発電とかバチが当たるな、うん。……息子は正直だけど。……ヴァーリはどのくらいの成長をしたのだろうか……? おっぱいがでっかいヴァーリ………………………………駄目だ、想像できん! 出来るのはちっぱいで安産型ヒップの背が低いヴァーリ。尻肉がぷりぷりで堪らないのだろうなぁ。俺は乳の方が好きだけどな。リアスや朱乃さんのおっきいおっぱい。ゼノヴィアとイリナのおおきめなおっぱい。アーシアの美しいおっぱい。小猫ちゃん、レイヴェルのちっぱい。あーっ、おっぱい……。
……やべ、こんなことやってたらもうこんな時間じゃねーか!
ヤバイヤバイ! デート集合一時間前に着けないかも!
「いってきまーす!」
「気を付けるのよー!」
「おう!」
俺は……やぱり、死んでしまうのだろうか?
……分からないな、やっぱり。
運命は、残酷に時を刻む。戻れない刻、戻らないトキ。
蜘蛛の巣張った錆びた歯車。
キシキシ軋んで音鳴らす。
堕天使はなに思う?
赤い龍はなに想う?
……そのオモイに、まだ名前はない。