二天龍が笑った   作:天ノ羽々斬

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筆が乗らなくて遅くなってしまいました(言い訳)

番外編は例のリアスとアーシアが幼女化なのですが……ついでに数名ほど巻き込んでやりましょうか。


吸血鬼

KEEPOUT――つまり、立ち入り禁止。

そのテープが幾重にも扉に張り巡らされていてなにかを封じている。そう、それは茶色の箱を塒とする金の髪と赤の目をもち、女子の服を好んで身に纏う、血を吸う異形を封じている――つまりギャー助である。

ギャスパー・ヴラディ。半吸血鬼(ダンピール)という種族にあたる。ダンピールというよりあれはダンボールだが。対人恐怖症女装癖ハーフヴァンパイア男の娘inダンボールとか……ネタがありすぎて困るんだが。

リアス曰く、俺と木場が禁手に至ったので封印を解いてもいい、ということを昨日―つまり参観会の日に―サーゼクスさまから伝えられたという話だった。

まず、リアスと朱乃さんが入る。

『ひぇぇぇぇぇ! な、なにかようですか!?』

前も思ったが、これはひどい。

『貴方はお外に出てもいいのですよ?』

『いやぁぁぁぁぁ! 外になんて出なくていいですうううう!』

顔を見合わせた俺達は部屋の中へ。

そこにはまぁ、ギャスパーがいた。

「ふぇっ!? こ、この人達は誰ですかぁ?」

「彼らは新しい仲間よ」

「ひ、人がいっぱい……」

びびってダンボールの中に逃げ込むギャスパー。

「彼はギャスパー・ヴラディ。ハーフヴァンパイアで神器もちの規格外よ」

神器……停止世界の邪眼。視界の中にあるものを任意で止める能力。実に羨ましい限りだ。

「ひうっ」

「へぇ……で、部長。こいつなんで女装してるんです?」

俺がそう問うと、リアスはあきれたように言う。

「趣味よ」

「だ、だって、女の子の服の方が可愛いんだもん」

リアスとギャスパーの言に皆はため息をついた。

 

―○◎○―

 

「『(フォ)(ービ)(トゥン)(・バ)(ロール)(・ビ)(ュー)』、ですか。かなり凶悪な神器ですね」

「貴方や彼女の神器……赤龍帝の籠手や白龍皇の光翼も十分強力なのよ?」

「停められたら何も出来ませんって」

「ええ、そうね。でも問題は制御出来ていないところ」

「成る程……」

だからこそ今まで封印されていたんだな、と再確認する。

「うう、僕の話なんかしてほしくないのに……」

ダンボールから声がする。俺はそれにモールス信号のようにテンポよくタンタンと叩く。

「ひぅっ!? H―A―R―M―O―N―I―C―S―……?なんで調和なんですか?」

「気分だ」

「そうですかぁ……」

俺はニンニクを懐から取り出してダンボールの上にのせてみる。

「ひぃぃぃぃぃぃぃ!! ニンニクらめぇぇぇぇ!?」

ガタガタと震えるダンボール。

俺はダンボールからニンニクを退かす。

「……へたれヴァンパイア」

「うわぁぁぁん! 小猫ちゃんがいじめるううううう!」

小猫ちゃんが唯一いじれる存在だからなぁ。一年生の同級生同士、容赦しないのだろう。

「とりあえず、私が戻ってくるまでの間だけでも、イッセー、アーシア、小猫、ゼノヴィア、あなた達にギャスパーの教育をお願いするわね。私は朱乃と三すくみトップ会談の会場打ち合わせしてくるわ。それと祐斗、お兄様が貴方の禁手について詳しく知りたいらしいからついてきてちょうだい」

「はい、部長」

リアスも大変だ。

「イッセーくん、悪いけどギャスパーくんのことお願いするね」

「任せろ木場。まぁ、なんとでもなるさ」

正直、ちょっと不安だけもども……主にゼノヴィアが。

「さて、ギャスパーだったな。私が教育をしてやろう。なぁに心配ない。荒療治でいくぞ」

心配になってきたよ……

 

―○◎○―

 

「ほらほら走れ走れ。健全な精神は健全な肉体に宿る」

「は、はいいぃぃぃ!」

夕方に差し掛かった時間帯。

ゼノヴィアが何故かジャージとサングラスでチャリに乗りながら校庭でギャスパーを追っていた。ギャスパーもジャージだ。勿論、女子の。

「ほー、あれが噂の新人か。かぁいいねぇ」

「ああそうだな、だが男だ」

「そりゃ詐欺だぜ兵藤……」

「俺もそう思った。だが男だ」

俺と匙はにこやかに談笑をしている。で、小猫ちゃんはというと。

「先輩。ギャーくんはトップを狙ってるんでしょうか」

「アニメの話か」

「はい」

ギャー助の特訓のやつにどこか見覚えがあるのか時折そういった話題を振ってくる。ニンニクをぶら下げながら。

「おーおー、やってるやってる」

「おや総督殿はお早いお着きで」

俺の言葉とアザゼル先生の登場にぎょっとする皆。

「ア、アザゼルッ!?」

驚く匙を尻目に話し合う。

「いかにも。おっす赤龍帝、久しいな」

「相変わらず心臓に悪いですよ総督殿」

「お前よぉ、俺が登場してやってんのに警戒ぜろかよ」

「俺ごときはそれこそ認知される前に殺ろうと思えば殺れるでしょうに……で、なにようで? 木場なら昼間に魔王さまのとこへいったぞ」

平然と会話を続ける俺を見たゼノヴィアは我関せずとばかりにギャスパーを叱責してまたトレーニングを始めていた。

「ほら、これが会話と言うものだ。健全な肉体は健全な精神に宿る」

「アメンボうれしいあいうえおっ!」

それは発声練習だろうと心のなかでつっこむ。

「えー。俺は聖魔剣見に来たのに……まぁ、いいか」

アザゼルはそう言うと、ギャスパーの方を向いて言う。

「あー、そこの吸血鬼」

「は、はいいぃぃぃ!?」

「そこの黒いのに神器の力吸ってもらえ。そうすりゃ神器の力が弱まってある程度コントロールできるだろ」

アザゼルの無造作な言葉に狼狽えるのは匙。

「お、俺の神器にそんな力が?」

「あー……そういやぁ研究進んでなかったか。できるさ。黒い龍脈(アブソーション・ライン)はそういう使い方もある」

と、どや顔で言ったアザゼルだったが……

「あっいけね。ヤカンに火をかけっぱなしだった。じゃ俺帰るわ。お疲れ」

アザゼルは嵐のように現れ、去っていった。

「……とりあえず、やってみるか」

「ああ」

俺と匙の言葉が変に空虚に響いた。

 





やばい、ガチで書けなくなってきた。

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