そして使い魔の話やってなかった。おのれライザーめ!
お前が面倒な性格していなければ!
使い魔の事はヴァーリたんと一緒に書いておきます。
(さて、ティアマットどうするかな……)
俺はアーシアにあるものを渡してから旧校舎を小猫ちゃんと共に出る。……うまく発動てくれるといいが……。
しかし相変わらずの再現度だ。今は体育館の近くなんだが……実はこれは本物でしたーって言われても信じるわ俺。……あれ、なんかデジャヴ。
「イッセー先輩、敵は既に……」
「分かってる」
『Boost!』
倍加を開始する。……久し振りのマトモな実戦だ。堕天使は弱すぎて話にならなかった……いや、油断して腹に風穴空けられた俺が言えた口じゃないけども。
『Boost!』
体育館に入ると、警告のような声が聞こえる。
「お前達止まれ、お前達は完全にほーいされている!」
「「いるー!」」
恐らくミラって子とチェーンソー双子の声だな。兵士三人、って訳か。
俺たちは人数が少ない。だから、
四人――指揮者1、兵士3、ってか?
彼女達が出てくる。……さて、俺の決め技が決まってくれると助かるが……なにせ17年振りだ。
「解体しまーす!」
双子が持っているチェーンソーが始動し、轟音と共に咆哮を上げる。本来ならば木材の切断に使われるであろうその凶刃は、チェーンの回転音と、本体のエンジン音を纏わせ俺の肉体めがけて向かってくる――――なんて冷静に状況分析してる場合じゃねぇ!
「ほっ!」
俺は慌てずバックステップで回避する!
「あーたれー」
「バラバラーバラバラー♪」
無邪気な笑顔を浮かべながらチェーンソーを振り回すロリ双子。チェーンソーという武器は、威力はかなりある。当たればひとたまりもなく、当然肉はズタズタに引き裂かれ、深手を追うことになるだろう。だが……
「あたらねーよ!」
『Boost!』
三回目の倍加だ。よし!
「いくぜ、おい!」
『Explosion!!』
三倍倍加の威力だ。食らえ!
「ドラゴン……ショット!」
「そんな直線的な砲撃など!」
するりと射線上から身をかわす三人。
俺はその魔力砲撃を……無理矢理曲げる!
「曲がれぇぇ!」
幸か不幸か、彼女達は全員右に避けていた。ほら、避けるときは散開しないと……
「きゃぁっ!?」
「「きゃー!?」」
当たるだろ……当然。
彼女達は魔力で防御したのか、ボロボロでフラフラしているとはいえ、立っている……だが、戦えそうもない。
……ふぅ。
『Reset』
倍加が解かれて疲労感を感じる。……ドライグ、禁手の準備だけはしておいてくれ。
『…………分かった。今の相棒だともって50秒だ。倍加した分だけ秒が減っていくし、勿論体力や魔力が少なくても駄目だ。注意して使えよ。もし最大倍加を使うなら――――6回までの倍加で止めるぞ。それ以上は、無代償で禁じ手を使うのには危険すぎる』
分かった……。もしもの時は、また左腕をくれてやるよ。
『……そうならないことを、願うがな』
気にすんなって相棒。リアスや朱乃さんに指をしゃぶって貰うとかむしろごほうびだから。
『相棒……引くぞ、それは』
さて、小猫ちゃんの方は……?
『おい、話をそらすな』
お、チャイナ服娘……仮に中国としよう。中国を殴り飛ばしてる。
そして、その子は体育館の壁に当たり、ふらふらしている。
『無視するな!』
分かった、分かったってば、あんまし大声出すな。
『ぁ……ぅ……す、すまん』
ん。いいよ。
おっと、リアスから連絡だ。
『小猫にイッセー、作戦通り頼むわよ!』
「はい! いくよ小猫ちゃん!」
「……イッセー先輩に言われなくとも」
そして、俺たちは彼女達に背を向け…………
全力で走った。
「えっ、ここは大事な所なのに、にげるの?」
狼狽えるミラちゃん。悪いね、ここは……
落雷の音と共に轟音が響き渡る。雷鳴特有の唸るような音をたてながら、体育館を焼いた。
さながら、光の柱が立っているように見える。
「
朱乃さんの声。上空で雷を落としたんだ。
そう、作戦とはこの事だったんだよ!
『朱乃の今の威力の一撃は連続では使えないわ。魔力が回復次第、私達もそちらに向かうわ。運動場へ向かいなさい!』
「はい、部長!」
「了解」
俺たちは急いで運動場の方へ……あ、
……そろそろ、かな。
ドライグ、アレの準備だ。
『了解だ。存分に奮え』
おう。
「早くいきましょう」
「おう!」
そして、俺たちは行く。……魔力が集まっている?
不味い!
「うおお、守れッ!
『Shield Bit!!!!』
俺の背中に翼が現れ、そこの緑色のクリスタルのような翼膜が輝く!
そして、その煌めきは小猫ちゃんを直ぐ様包み……
爆発音。
「
爆破により土煙が舞い上がり、小猫ちゃんの姿が見えない。ダメだったか!? ……いや。
煙が晴れると、そこには緑色の薄い結晶体がたくさんあり、小猫ちゃんの盾となるようにドーム状に展開されている。
「なっ!?」
「新技……『
シールドビットは半自立行動を行い、俺の意思にあわせて対象を最適な形で守る、というものだ。ドライグ曰く、最適防御の調整に苦労したとか。ドライグありがとう! 所謂
「……油断してました、ありがとうございます」
申し訳なさそうに言う小猫ちゃん。俺は彼女の頭を撫でる。
「気にするなって、仲間だろ?」
「……はい!」
うむ、やはり小猫ちゃんには元気が似合う。
「くっ、何をぬけぬけと……っ!?」
再び俺達に狙いを定めたユーベルーナに、雷が走る。恐らくは牽制だろう。
「朱乃さん!」
「うふふ、女王は私に任せてください。二人は運動場へ」
「……ッ、おねがいします!」
俺と小猫ちゃんは運動場の方向へと向く。シールドビットは小猫ちゃんの護衛のように小猫ちゃんのまわりをふわふわと浮いている。
そして、轟音を後に走り出した。
ゲームは既に
――――兵藤一誠、禁手残り秒数40秒。