二天龍が笑った   作:天ノ羽々斬

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久々の更新です。手が悴む季節ですね。風邪にお気を付けて……特に受験生の方は、ね。


いざ京都

例によって松田と元浜が寝始めたので俺は神器の奥深くに潜り込むことにした。

『だから、リアス嬢のおっぱいが至高だと言ってるだろ!』

行きなりそんな怒号が聞こえる。なんだ?

『アーシアちゃんのがいいにきまってるじゃない!』

こんどは女性の声だ。エルシャさんじゃ、ないな。

『いやいや、朱乃さんのあのもっちりとしたおっぱいこそが究極』

『お前ら小猫ちゃんのことDisってんの? あのちっぱいがいいんだろうが』

『まさか、ゼノヴィアの乳にときめかないとでも?』

『そりゃ確かにときめくが、我はイリナくらいが丁度いいのではないかと』

『そうか。まぁ俺はグレイフィアさん……っとと、人妻禁止だったな、すまん』

『気にするな。やはりヴァーリたんの尻こそが』

『異端者め……殺れ』

『やめろ、離せ! 俺はただおケツの素晴らしさも……グワーッ!?』

…………。俺はそっとそこを通りすぎた。

 

『────ッッ!! ッ!』

声がでなくなるくらい爆笑してるエルシャさん。

『あー、なんだ、その。結局こうなるんだな、相棒』

『言うなよ、流石の俺も悲しくなってくる』

『だろうな……かつてのお前はおっぱい星人……いや、いまも十分おっぱい星人だが、エロ大魔神がエロ魔神レベルになった気分だ』

あんまり変わってないだろ……。

『そうだ、ベルザードからの預かりもんだぞ』

『ひー、おなかいたい……あ、そうそう、ベルザードから可能性の箱を受け取ったのよ。ほらほら、早く開けなさい?』

当然俺の手に鍵が現れ、エルシャさんに促されるがままに可能性の箱を開ける。

案の定宝玉が飛び出していく……と思いきや、俺のなかに吸い込まれた。

すると、懐かしい波動を感じる。

『これは……トリアイナの媒体か?』

頭の中に使い方が流れ込んでくる。

赤龍帝の三叉成駒(イリーガル・ムーブ・トリアイナ)(キング)の許可なしに昇格(プロモーション)できる上に三つの特性に合わせた能力を宿している。

……でもこれ、トリアイナにしてはちょっと違わないか?

『……成る程な、これは今のお前のために最適化されているものだ。だから以前と感覚が違うのだろう。名前は無理に変える必要はあるまい』

成る程。それに見た感じ魔力消費が少なくなってる?

『あなたたちは強いわね。私たちだったら……耐えれるかしら』

エルシャさんはそうこぼした。……まあ、俺たちの会話を奥で聞いてたら気づくよな普通は。

俺はエルシャさんに苦笑しつつも、答える。

『耐えれてませんよ。ただ、変わっただけです』

そう、以前よりも狡猾に思慮深くなった。それが良いことなのか悪いことなのか分からない。あのころはただがむしゃらにもがいていた。でも今は、多少落ち着いて歩いている。

でも、こんどこそは。今度こそは護って見せる。リアス達を、皆を。俺一人じゃ何もできなくても、ドライグとガウェインと、三人なら、三人で無理でも、皆とならなんとかできる。やれるんだ。

 

もし……もし道を違えていたら、もしリアスと出会う運命でなかったら、俺はどうなってたんだろう。

いや、考えるまでもないな。きっと英雄派で、俺は曹操の計画に賛同しただろう。下らない、叶いっこない下策に。……だから、俺は──

 

 

「着いたー!」

京都駅に到着。うん、でかい駅だ。迷わないようにしないとな。

「まずはホテルか。ここが西改札口だから、バス停方面へ出て、右向きに動きながら……」

「にゃー、そんなことより早く伊〇丹へ寄るぜい」

「その大荷物を持ってか? 嫌だな。(オレ)は一人でいくぞ」

「酷いぜきょくやん」

白夜と斬がなにか言い合っている。美少女二人は絵になるなぁ。

似たようなくだりを桐生と松田がやっているのを尻目に、俺はアーシアら教会トリオを見る。

「えーと、まずはホテルよね?」

「ああ。その後、イッセー達と午後の自由時間だったな……何を見るかは具体的に決めてはいないが」

「迷わないようにしないとですね!」

しおりを見ながらゼノヴィアとイリナが予定を確認し、知らぬ地ではぐれぬようにと忠告するアーシア。

「な、なぜお前がここに?!」

「そんなの……俺が正義の味方だからに決まってるだろうが!」

誰かが叫んでる。なんだ? ヒーローショーでもやってんのかな。

京都ってのも案外面白いな。

なんてやりながら京都駅から出る。

「オー、京都タワーだ!」

そんな言葉を聞きながら、俺たちはホテルへと向かった。

 

 

「すげぇ豪華なベッド……駒王学園って金持ちだよな、林間学校の時もかなりだったし」

「ああ、なんでもグレモリー先輩の親御さんが経営しているらしいぜ?」

「マジか……こういう時も駒王学園の生徒でよかった、って思うよな」

まぁ俺の部屋は和室ですが。アザゼル先生がニヤニヤしながら鍵を渡してきた時点でわかった。

「イッセーの部屋は和室か……まさか資金の遣り繰りがこんなところに……」

松田はそう呟くと、そっと肩を叩いた。優しさが辛い。

と、アザゼル先生が小さく呟いてくる。

(悪く思うなよイッセー。お前だけ和室なのは要事の時に集まれる場所を作るためだ)

(あー、そういうことですか。解りました)

俺が小さく頷くと、アザゼル先生がこういい出す。

「まぁあれだ、和室で一人なら女の一人でも連れ込んでよろしくしっぽりヤってりゃいいだろ!」

「アザゼル先生、あんた教師だろ!? 不純異性交遊を止める側だろおい!」

「んー、最近耳が遠くて聞こえんな。さて、舞妓を見に行くぜ! お前らさっさと行かねぇと自由時間なくなるぞ!」

アザゼル先生はそう締め括ると電光石火でこの部屋から去っていった。

「アザゼル先生はっちゃけてるなぁ……」

ロスヴァイセさんがいないから更に、という言葉は飲み込んだ。

「午後の自由時間、予定にはないけど伏見稲荷にいかないか? 一駅で行けるみたいだし、先生に聞いたらオッケーだったしな」

伏見稲荷……九重ちゃんがいるところだよな。

「オーケー。女子組には話したのか?」

「ああ、桐生に話すように伝えてある。ただ、御剣と霧咲は食い歩きするってよ」

「へぇ、あの二人結構食うんだな」

「みたいだな。フリードは?」

「来るぞ」

フリードも来るのか、そりゃ楽しみだ。

……英雄派、来るなら来い。俺達の修学旅行を邪魔して、無事に帰れると思うなよ。


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