「呼吸を合わせる……」
銃が、独特の甲高い音を鳴り響かせる。
「外さない……」
もう一度、銃声。
兵藤家の射撃訓練場。ここでは少女――ヴァーリ・ルシファーがアロンダイトを構えて狙撃練習をしていた。
三度目の銃声。
「……ッ」
三度、鳴り響く。銃声。銃声。銃声。
何度撃っても、どんなに連続で撃ってもその穴が増えることはない。
結局、穴はひとつも増えずに訓練は終了した。
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「いてて……あんのクソガキ共、やってくれたわね」
「か、母様が、母様が拐われて……そんな」
「九重、あんたはここにいなさい」
「七海! 妾とてあやつらがお主ひとりでどうにかなるなど」
「っさいわね、いいからそこにいなさい」
「っ、しかしお主が!」
「ここに居ろと言ってるの。数日たてば悪魔や堕天使といった聖書の勢力が交渉に来るわ。それまで大人しくしてなさい。あんまり言うこと聞かないなら祇園さま呼ぶわよ」
「……わかった。七海、死ぬでないぞ」
「別に死戦に出るわけでも無し、心配は無……ん? 何かしらコレ」
「落ちているのは……勾玉かの? 何やら
「……ああ、そう言うこと。過保護ねぇあの嫁充」
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《……そろそろですか》
『ああ』
《ちょいと時期尚早な気もしますけどね》
『……しかし難儀なものだな』
《鍵。私の分は開けておきますよ》
『おう』
《……あれ、消えましたね宝玉》
『これは……前にも見た記憶があるぞ。その時は乳を揉むことで意思を引き継ぐものだったはずだ』
《おそらく乳を揉むではなく、もっと違うものだと思いますよ》
『ほう?』
《アレは今の彼……いえ、私達に足りないものを集めてくるはずです……何せ、一番不安定な、私とドライグと彼の交点から見つけ出したのですから》
『成程、
《ええ、
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「……ふぅ」
一息ついた……。
「んー、いい剣技だ」
純粋な剣技なら
剣だけならば。
あいつの本領は堅牢な防御力と多様な忍術、
手数と速さと『
「
「俺っちは棒を振り回してるのとさほど変わらねーよ。あんたのはちゃんとした剣だ」
「よく言うよ
「こりゃ手厳しい。んじゃ、手解き頼みますぜ」
「いいだろう
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「……さて、明日か」
明日、ついに修学旅行になる。
ロタンさん、斬、白夜、ガウェイン、ヴァーリ、レイ、ベルーナさん、アリシアさん、フリード……
もう、俺の知る世界ではないのかもしれない。でも、それでもいい。なにもないのならば、それでいい。けど……曹操は来る。確信めいた予感。嫌な予感だが、確信できる。なぜかはわからない。
九重は守る。八坂さんは助ける。曹操はブッ飛ばす。それでいい。未来ってのは先が分からないから“未”来。だからこそ――最善を尽くす。
あそこで曹操を、英雄派を逃すわけにはならない。俺の存続もかかってる。誰かの理不尽で涙を流すやつがいるなら、それを助けて理不尽を俺がブッ飛ばす。
「んぅ……いっせー……」
この人を、皆を護る。
己が
そのためなら、英雄でもなんでもやってやるさ。
書けなくなりつつあります。恐らくはストレスがたまりぎみだからでしょう。更新がさらに遅くなりますがアニメで九重たんを見るまでは(ry。