二天龍が笑った   作:天ノ羽々斬

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サモンミドガルズオルム

「ミドガルズオルムを呼ぶ。やつならなにか知っているはずだしな」

アザゼル先生がそういっている。

今回の件ではタンニーンのおっさんも来るそうだ。やっぱりというかなんというか……。

「応えてくれるでしょうか?」

「こちらには二天龍に龍王が三、ついでにリントヴルムまでいる。龍  門(ドラゴンゲート)を使って意識だけ呼び出す」

龍門……。

ドラゴンにはそれぞれ「龍色(ドラゴンカラー)」というのがある。たとえば、ドライグなら赤、アルビオンなら白、リントヴルムなら漆黒、ヴリトラなら黒、ファーブニルなら金、といった風に。

「成る程……」

そう納得したかのように頷くのはリアスだ。

うーん、なんか最近リアスの王としての貫禄が益々磨きが掛かってるような気がする。そんな努力家な所も好きなんだけどね。

「ねーねー赤龍帝」

……黒歌か。俺にはこの人が決して悪い人には見えないが。

「えーと…………………黒歌っていったか? 後、俺は兵藤一誠だ」

「そーそー。じゃあ赤龍帝ちん」

「話聞けよ」

……小猫ちゃんの姉、か。

「私と子作りしない」

……心頭滅却、ヤンデレ夕麻ちゃん……よし。

「帰れ盛り猫」

「冷たいにゃん……」

しょんぼりと頭の猫耳を垂れさせる黒歌。……可愛いな。

「冷たくて結構。俺ははぐれに体を許せるような立場じゃないからな」

「ふぅん、ずいぶん身持ちが固いのね。ホモ?」

「ホモなんてうちの騎士だけで十分だ」

「ホモはせっかちにゃ?」

「あいつは足が速い」

「成程にゃん」

そして俺と黒歌はにやにやと木場を見る。

「……?」

冷や汗をかきながら挙動不審になっている木場。

 

「やっぱ木場くんはホモなの? ねぇねぇホモなの?」

ヴァーリの冷ややかな声が木場を責め立てていた。

 

―・_・―

 

翌日、兵藤家地下。

 

「一誠、久しいな」

「タンニーンのおっさん!」

父さん達が間違って入らないように、悪魔関連の区画は魔方陣で侵入できないようになっている。地下室もその一つだ。

そんな地下室では、すでにタンニーンのおっさんがいた。ニカッ、と笑う顔は迫力満点だ。

「ふむ、オーラが増しているな。……話には聞いていたが、本当に白龍皇が惚れているんだな」

「ええ、まぁ……」

俺は思わず苦笑する。そのヴァーリは俺の左腕にくっついてにこにこしているのだが。

『何故白龍皇と闘わない!』

おっぱいとお尻の魅力が判るまで出てくんなって言ったろ。出てくんな。どぅーゆーあんだすたん?

『……わけがわからないよ』

いいんだよそれで。

「俺だけ絶対場違いだろ……タンニーン様と二天龍だなんて……」

そうこぼすのは匙だ。うーん……

「まぁあれだ、ヴリトラの意識が起きかけてるって話だからな。要素のひとつとしていればいいだろ。そう気負うなって」

「わ、わかった」

匙の腕には呪印のようなものが浮き出ていた。ヴリトラの意識が起きかけてる証拠だ。

「そろそろ始めるぞ。お前ら陣に乗れ」

影から斬が突如飛び出てくる。

「うおっ!?」

びびる匙。まぁ当然だな。

「さっさと始めるぞ」

「わかったにゃーん」

……ホンっと嘘臭いな、こいつ。わざとか?

それぞれが魔方陣の上にたつ。金色の魔方陣にはファーブニルの宝玉がある。

魔方陣が輝くと、徐々に立体映像が写し出されていく。

――やっぱでっけぇなぁ。おっさんを丸呑みできそうだよな。

「でけぇぇえええ!!」

匙がそう叫ぶ。うん、俺も叫んでた記憶がある。

「ミドガルズオルムはドラゴンの中でも最大サイズを誇る。ちなみに最小サイズの成体ドラゴンはそこにいるリントヴルムだ」

『ふん。どうせ俺はチビだよ』

リントヴルムは拗ねたようにそういう。

『……………………………』

「……なにも反応しないわよ?」

リアスがそう言う。

……まぁ、でっかいスリーピングなドラゴンだからな。

『………ぐごごごごごごごごんん……』

ほら、寝てる。

「起きろ!」

タンニーンのおっさんがそう怒号をいれると、大きな瞳を眠たそうに開ける。

『……二天龍にヴリトラ、リントヴルムにファーブニルとタンニーン……なんだろう、今日が世界の終末なのかい?』

「いや、違う。今回はお前に聞きたいことがあって呼んだ」

タンニーンのおっさんの言葉の途中で瞼を閉じると――

『……ぐごごごごごごごごんん……』

また寝たよ……。

「寝るなぁ! 全く、貴様といい玉龍(ウーロン)といい、怠け癖がついていてたまったもんじゃない!」

『タンニーンはいつも怒ってるなぁ……』

「いつも貴様が怒らせているのだ!!」

タンニーンのおっさんってドラゴンにしては珍しいくらい真面目だよな本当……。

『……で、なんのことぉ?』

「お前の父と兄弟の事だ」

そういえば、こいつもロキの子供だったっけ。

『ダディとワンワンのこと? ……ああ、なるほどぉ』

一人納得したかのように頷くミドガルズオルム。

『ダディは兎も角、ワンワンはやっかいだよぉ。牙は文字通り神をも殺す牙だからねぇ。まぁ、弱点はあるよぉ。グレイプニルならワンワンを捕まえておけるんじゃないかなぁ』

グレイプニルか。

女の髭、猫の足音、魚の息、岩の根、熊の健、鳥の唾液から作られたとされるものだ。

「それについては報告があった。グレイプニルが通用しなかったそうだ」

アザゼル先生の言葉に首をかしげるミドガルズオルム。

『うーん、ダディったらワンワン強化したのかなぁ。だったらダークエルフに当たってみなよぉ。ドワーフの工芸品を強化する術を知ってるはずだよぉ。位置は赤龍帝か白龍皇に送るよぉ』

「それなら白龍皇に頼む。……あんなんだが、そういうのはあっちが得意だ」

『りょーかぁい』

灰色のオーラがヴァーリの背中に当たる。

『――把握した』

アルビオンの声だ。

「んぅー……アザゼル。立体地図展開して。位置を教えるから」

「ほらよ」

ヴァーリは展開された立体地図のある場所を指差していた。

「よし。すぐに向かわせる」

『ワンワンはそれで大丈夫だと思うよぉ。ダディは……特別な弱点はないかなぁ。ミョルニルでもうちこめばなんとかなると思うよぉ』

ミドガルズオルムの言葉に考え込む先生。

「ミョルニルか。トールが大人しく貸してくれるとも思えんが……」

『ならぁ、たしかオーディンか、さっきのダークエルフがミョルニルのレプリカを持ってるはずぅ。本物に比べれば少し劣るけど、十分な威力があるよぉ』

「了解した。そっちも手配しよう」

アザゼル先生がなにかを操作し始めている。

と、ミドガルズオルムが俺達の方へ視線を向ける。

『ところで、今回の赤白は争わないのぉ?』

やつの言葉にヴァーリがこたえる。

「んぅー、だって私イッセー君大好きなんだもん……」

……眷属の数人がずるい、と思っているがとりあえず神経に悪いのでスルーする。

「まぁ、争う理由もないしな」

『……』

ん? また来たのか怨念。だからおっぱいとお尻の魅力が判るまで出てくんなって言ったろ。失せろ。

よし、帰った帰った。

『ふぅん……へぇ、面白いねぇ……ふぁぁ……』

俺は、皆に聞こえない音量でこぼす。

「……並列世界、か……」

並列世界。俺が転生……であってるのか? 便宜上転生と呼ぶことにする。

転生したときに考えたことだったな。

ミドガルズオルムはその言葉に反応してか、俺にしか聞こえないような音量で言葉を放った。

『並列世界か。君は面白いことを考えるねぇ』

……? どういうことだ?

『ふぁぁぁ……眠くなってきたからそろそろ帰るよぉ。たまにはこうやっておしゃべりするのも楽しいしねぇ。また気が向いたら呼んでねぇ……』

ミドガルズオルムはそう言うと、姿が薄れて消えてしまう。

……やっぱ、ドラゴンって変なのばっかだよな。






昨日スパ○ボやりながらふと思ったこと。

俺「あのBGM(デーレーデーレーデッデデデッ)と共に現れてISのワンサマーの経験値とフラグをいろんな意味で奪い去っていくトビカゲ=サン……」

本当に一瞬だけだけと頭のなかでその図か浮かんできて笑えた。

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