仮面ライダー電王LYRICAL   作:(MINA)

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それでは予告通りに投稿します。




第三話 「電王と魔導師と使い魔と」

 

 

夏が近付く夜、風は殆ど吹かない、それなのにフェイト・テスタロッサは全身で強風を感じた。

それは相棒のアルフも一緒だろう。

その証拠にアルフの表情は先程の余裕を持ったものとは違い、険しいものになっている。

自分達が感じたそれは正確には風ではない。

これから自分が戦うことになる謎の人物が放ったオーラのような物だとフェイトは分析した。

思わず片目を閉じ、身構える---防御の姿勢を取ってしまう程の凄まじさだ。

(この人、強い!)

フェイトは本能でそれを感じた。

謎の人物を自らが持っている情報で分析するために凝視する。

まず、全体から魔力を感じないので、魔導師ではないと判断できる。

バリアジャケットのような衣装は恐らく、攻撃力や防御力といった戦闘で必要とされる能力を引き上げるものだろうと考えることが可能だ。

だが、ひとつだけわからないことがある。

変身前と変身後の人格だ。

少なくとも変身前の青年の印象は派手なことを好まないと受け取れた。

だが、変身した後は派手好きで目立ちたがりという印象が感じられた。

変身しただけで人格が変わる?

フェイトが今まで培った知識にはなかった事象だ。

相手の分析を終え、自分の今に至るまでの行動を省みる。

銀色のベルトが現れるまではよかった。

だが、「変身!!」と叫ぶ前に攻撃する機会はあったので、しておけばよかったかもと今更になって思った。

やろうと思えば出来た。目の前にいる人物は自分とは何の関わりのない人間だから。

この人とはここでジュエルシードを奪ってしまえばそれだけで終わるのだから。

やろうと思えば出来たはずなのに!

フェイトは自らの行いを省みてから毒づいた。

しかし、すぐに気持ちを切り替える。

「貴方は、誰ですか?」

フェイトは目付きを鋭くし、バルディッシュを構えてから歌舞伎のようなポーズを取っている謎の人物に尋ねた。

謎の人物はポーズを崩す。

「あん?オマエ、俺のこと知らねぇのかよ!?」

『知らないから聞いてるんだよ。きっと』

謎の人物の中から先程の青年の声がした。

フェイトとアルフは内心驚いたが、ここで相手のペースに巻き込まれるわけにはいかないので、表情を変えないように努める。

「ああ、そっか。こっちの世界じゃこれが初めてだもんな」

(初めて?こっちの世界?)

謎の人物はそれをごく当たり前のように言っているが、フェイトには聞きなれないものだ。

(もしかしてこの人、時空管理局の人?)

フェイトがそんな推理を展開すると、アルフには警戒を緩めないように念話で指示する。

アルフは首を縦に振る。

謎の人物はフェイトとアルフを交互に見てから高らかに、叫んだ。

「いいかオマエら?一度しか言わねぇからよぉーく聞いとけよ。俺は電王だ!よぉーく憶えとけ!」

謎の人物---電王は右腕を軽く回してから、両腰に携行している黒い物体に手を触れ出した。

(この人が管理局の人だろうが関係ない。わたしはいや、わたし達はジュエルシードを手に入れるだけ・・・・・・)

フェイトとアルフは電王が何をするかよりも、自分が何をすべきかということに意識を切り換えた。

 

ソード電王が自らを名乗り終えると、いつものクセともいうべきの右腕を軽く振り回す仕種をした。

その後、両腰に携行している黒い物体に手をつけ始める。

黒い物体---オーラアーマーの一種でデンメタルという金属で構成された電王専用の武器、デンガッシャーだ。

左腰に携行しているデンガッシャーのパーツをホルスターから抜き取る。

抜き取ると同時に、デンガッシャーはガチャンコンともカシャンコンとも聞こえるような音を鳴らし出す。

抜き取った二つを横連結させ、前方に放り投げた。

右腰に携行しているデンガッシャ―ホルスターから抜き取って左右に持つ。

後は、先程投げたデンガッシャーに上下に連結させれば完成となる。

だが、それを相手が見過ごすわけがない。

アルフは間合いをじりじりと詰め寄ってくる。

今の状態を隙だらけと見越し、こちらが妙な行動を取れば仕掛けるための準備といったところだろう。

フェイトは先程の位置から動いていない。しかし、鋭くこちらを見据えている。

隙あらば狙う、といった目論見かもしれない。

相手の出方を大まかに理解したにいる良太郎は深層意識の中から相棒に言おうとする。

『モモタロス』

「わーってる!」

モモタロスは相棒が何を言おうとしているのかは理解しているのですぐに返事で返す。

ソード電王はもう一度フェイトとアルフを一瞥する。

戦う順番を決めてから、先程放り投げたデンガッシャーのパーツまで、残りのパーツを握った右手を前に突き出すというような体勢で駆け出す。

釣られるようにアルフも追いかけるが、その距離は縮まらず、開くだけだった。

宙に浮いているデンガッシャーと右手に握っているデンガッシャーのパーツは距離にして数センチ離れている所で、磁石のように吸い寄せられるように連結される。

そして、左手に持っている残りのパーツを上部に縦連結させることで完了した。

デンガッシャー先端からオーラで構成された剣---オーラソードが出現すると同時に、デンガッシャーそのものが今までの『玩具』ではなく、『武器』としての大きさになっていく。

そして、振り向いてからデンガッシャーソードモードを左手に持ち換えてから指し棒のように向けて標的二人に宣言した。

「さーて、これも別世界(こっち)に来てから初めてだから言っておくぜ。いいか?俺に前振りはねぇ。最初から最後までクライマックスだからな!!」

言い終えると同時にデンガッシャーソードモードを左手から右手に持ち換えてから構えて、自分を追いかけていたアルフに向かって駆け出した。

「行くぜ!行くぜ!行くぜぇ!」

勢いよく袈裟斬りを仕掛ける。

「甘いよっ!!」

アルフは咄嗟に左に避ける。

「オメェがな」

しかし、ソード電王はそれを予期していたのかすぐさまアルフの位置を確認すると、左に体重をかけて左肘で腹部を狙った。

「な、何だ……て」

運良く鳩尾に当たったらしく、アルフは完全に動きを停止した。

その場で前のめりになって倒れていく。

生身の人間の肘打ちなら多分倒れないだろう。

しかし、プラット電王に変身した時点で身体能力は生身の人間よりも高くなっている。

更に、モモタロスが憑依したソード電王なら尚、向上している。

いくら彼女が強くても、数分は痛みが全身を支配しているだろう。

ソード電王は残りの標的を見据える。

「残りはオメェ一人だぜ。コイツは死んでねぇしとっとと帰んな」

ソード電王はアルフを指差しながら、フェイトに警告する。

電王が相手の命を奪うのは原則として、二種類しかない。

イマジンと『時間』を悪用しようとしている仮面ライダーだけだ。

言ってしまえば、どんなに悪党でも電王は人間を殺害したりしないのだ。

今、敵対しているのはイマジンでも仮面ライダーでもない。

人間だ。どんなに強かろうと人間なら殺そうとは思っていない。

「・・・・・・それは、出来ません」

フェイトはバルディッシュを構えてソード電王に向かっていく。

足を使って間合いを詰めるのではなく、弾丸が射出されるような勢いで。

「ったく、しょうがねぇな」

ソード電王は、やれやれという仕種を取ってからバルディッシュの鎌をデンガッシャーのオーラソードで受け止める。

「へっ。ガキのクセに結構やるじゃねぇか。でもな!」

いつもならイマジンの腹に蹴りを入れて間合いを強引に作ってから、自分から間合いを詰めて乱撃を繰り出すという手口を使うことが出来ない。

バルディッシュの胴に蹴りを入れて、フェイトごと後方に下げる。

「ぐっ」

一撃が重いのかフェイトはそんな声をあげながら後方に吹っ飛んだ。

しかし、倒れることなく、バック宙をして態勢を整えた。

「こいつ・・・・・・」

ソード電王はフェイトの後方への吹っ飛び方が気に入らなかった。

今の蹴りであそこまで飛ぶ筈がないことは蹴った本人がわかっている。

フェイトはこちらの蹴りにあわせて自ら飛んだのだということを。

ダメージ軽減というより恐らく自分の攻撃の一手(ターン)のためだろう。

フェイトはバルディッシュを構えている。

しかし、その構えは今まで見てきた構えとは異なっていた。

全体から醸し出す雰囲気から何か奥の手(ひっさつわざ)のように思えた。

「バルディッシュ!」

『アークセイバー』

バルディッシュがそう電子音で言い放つと、フェイトはバルディッシュをフルスイングした。

三日月形の刃がくるくると回転しながらもソード電王を狙って、向かっていく。

「!!」

そして、直撃した。

ソード電王がいた場所を中心に爆煙が起こる。

「やった?」

「いんや、まだ倒せてねぇよ」

爆煙を掻き分けながらソード電王が出てきた。

しかも無傷で。

「そ、そんな。アークセイバー(今の)は確実に貴方を捕らえたはず・・・・・・・」

「ああ、確かにな。でも、俺はこの通りピンピンしてるぜ」

確かにアークセイバーは直撃コースでソード電王をとらえていた。

しかし、直撃寸前でデンガッシャーソードモードを上段に構えて、アークセイバーを真っ二つに両断したのだ。

あの爆煙はいわば直撃によって起こった爆発ではなく、アークセイバーを両断した際に生じたものだ。

「そっちが取っておき取っておき(ひっさつわざ)なら、こっちも取っておき(ひっさつわざ)だぜ!」

ソード電王はデンガッシャーを左手に持ち換えており、右手には変身の際に使用したパスが握られていた。

パスをデンオウベルトのターミナルバックルにセタッチする。

『フルチャージ』

と電子音声が響き、ターミナルバックルからデンガッシャーにフリーエネルギーが伝導されていく。

フリーエネルギーはやがてオーラソードにまで伝わり、後はソード電王の使用意思を待つだけの状態となった。

「見せてやるぜ。俺の必殺技パート2!!」

そう言うと、オーラソードからデンガッシャーから離れる。

離れたオーラソードはデンガッシャーでコントロールできる。

まず右斜めからフェイトに向かって飛んでいく。

フェイトに当たるスレスレの距離だ。

次にデンガッシャーを左に薙ぐ。

オーラソードもそれに従って地面をえぐりながら移動していく。これもまたスレスレの距離だ。

最後にデンガッシャーを上段から下段に振り下ろす。地面は穿たれた。

もちろん、これもスレスレだ。

一通り終えると、オーラソードはデンガッシャーに吸い寄せられるように戻っていく。

「・・・・・・・次は外さねぇぞ」

ソード電王が凄む。

フェイトはそれでもバルディッシュをサイズモードにして戦うつもりだ。

先程と同じように足で駆けるのではなく、空を翔けるようにして間合いを詰めてくる。

「この、バカ野郎がぁ!!」

フェイトとの距離がゼロになった時にソード電王は左手刀で軽くフェイトに喰らわせ、意識を奪った。

 

 

二人の少女との戦闘はソード電王が勝利し、姿は電王から野上良太郎に戻っていた。

先程の戦闘の疲労感からか、動こうという気概がもてなかった。

それに、気を失っている二人の少女をこのままにしておくわけにはいかないので、とりあえず目が覚めるまでここに留まることにしたのだ。

「この人達もこれを狙ってるんだ……」

上着の胸ポケットからジュエルシードを取り出す。

綺麗な石という印象しかもてない。

これが自分達の『時間』そして世界を滅ぼすとはとても思えなかった。

ジュエルシードを握りしめて胸ポケットにしまいこむ。

ケータロスが鳴った。

音声ボリュームを下げておけばよかったと、後悔しながらも良太郎はすぐさまコールボタンを押す。

『もしもし、良太郎。僕だよ』

一人称が『僕』と言った時点で、相手がモモタロスとキンタロスではない事だけはわかった。

『僕』を使ってどこかインテリじみた声の持ち主は一人しかいなかった。

「ウラタロス?」

『正解』

「どうしたの?かけてくるなんて珍しいね」

『ん?いやさっきの戦闘の後はどうなってるのか気になってね』

「僕を襲った二人はまだ気を失ったままだよ」

『良太郎、センパイってもしかして女の子相手に手加減ナシで戦ったの?』

良太郎は首を横に振りながら答える。

「ううん、モモタロスはちゃんと手加減してたよ。それでも相手は闘い慣れしてたけどね」

気を失っている二人を凝視する。

『ふうん、闘い慣れしている二人の女の子、か。とにかくさ。早く翠屋においでよ。ここは綺麗所がたくさんいるし、ね。って痛いよセンパイ。これナンパの企みじゃないから!!』

ウラタロスがモモタロスに頭を叩かれたようだ。

『うるせぇ!!オマエ良太郎の身体借りて、なのはの姉ちゃん口説くつもりなんだろうが!!』

『あーもう、うるさいなぁ。眠れんやろが!』

『みんな!うるさぁーい!』

モモタロスが怒鳴ったせいで眠っていたはずのキンタロスとリュウタロスが起きて抗議していた。

後は、恒例の喧嘩になるなと良太郎はケータロス越しに予測していた。

『あんた達!!黙りなさい!!』

コハナの声がし、その後四人の声はしなくなった。

恐らく全員を鎮めたのだろう。

通話は切れてしまった。

その直後、ケータロスがまた鳴った。

またもボリューム下げとけばよかったと後悔しながらもコールボタンを押す。

『あ、良太郎。ハナだけど』

「ハナさん」

コハナだった。

『あのバカ達の事はわたしに任せていいから安心して。それよりも明日翠屋に来るんでしょ?』

「うん。今日はもう遅いし、今から行っても迷惑になるからね」

『そ。わかった。それじゃ明日ね良太郎。おやすみ』

「おやすみ。ハナさん」

随分とまともな会話をしたな、と思いながら通話が切れた。

ケータロスをポケットの中に納める。

「ん、ううん」

という声がしたので向いてみると金髪少女が起き上がっていた。

 

良太郎はよろよろとしながらも起き上がり、こちらに向かってこようとする金髪少女---フェイトのそばまで歩み寄る。

そして、その場で崩れ落ちようとするフェイトを抱きとめた。

「ごめんね。その、怪我はない?」

良太郎はフェイトの容態を気にする。

「だ、大丈夫です」

「そう。よかった」

良太郎が安堵の息を漏らし、笑みを浮かべる。

抱きとめていたフェイトを地面に座らせた。

良太郎もフェイトの横に座った。正直、立ちっぱなしは疲れるからだ。

フェイトは座っているとはいえ、良太郎とは身長差があるため見上げるかたちで見つめる。

「・・・・・・・あの、あなたは誰?」

「僕は良太郎。野上良太郎。君は?」

フェイトはどうしようか悩んだ。

名乗るべきかだんまりを決め込むべきかを。

しかし、相手に名乗るように促したのに自分は名乗らないというのはあまりに礼儀に欠ける。

「フェイト。フェイト・テスタロッサ」

名乗ることにした。

フェイトは相棒であるアルフが気にかかった。

前のめりになって倒れていた。

「大丈夫。すぐに目を覚ますと思うよ」

「よかった」

フェイトは良太郎の一言に安堵の息を漏らした。

もう一度良太郎を見る。

先程、戦闘で見せた荒々しさのようなものがまるでない。

もしかしたら交渉できるかもしれない。

荒々しい方が彼の素の性格ならば無理だが、こちらが素ならば可能だ。

「あ、あの・・・・・・」

「どうしたの?」

「そ、その・・・・・・」

良太郎はフェイトが何か言おうとしているのはわかるが、自分から急かすようなことを言うつもりはない。

「ジュエルシードをわたしに、その・・・・・・」

フェイトは最後の言葉を今ある勇気を振り絞って言う。

「貴方の持っているジュエルシードをわたしに下さい!」

良太郎は上着に入っているジュエルシードを取り出す。

「これを?」

フェイトは良太郎の手の平に乗っているジュエルシードを見ている。

いや、魅せられているというような表情だ。

「聞いていいかな?君はこのジュエルシードをどのくらい知っているの?」

「え?」

「僕はこの石が僕がいる『時間』や世界に大きな影響を及ぼすものだってことと、持ち主の願いが叶う石だということしか知らないんだ」

「……ごめんなさい。わたしも持ち主の願いが叶う石としか教えられていない。それと、わたし達には必要なものだということしか・・・・・・・」

フェイトからジュエルシードに関する情報はこれ以上、引き出すことは出来ないと良太郎は判断した。

「そうなんだ」

良太郎はジュエルシードをしまわない。それどころかそのままフェイトに向けたままだ。

フェイトはそんな良太郎の態度に怪訝な表情を浮かべる。

「あの、もしかして・・・・・・」

「必要なんでしょ?僕がこの世界にジュエルシード(これ)を持ってきた時点で、僕達の『時間』と世界はこの石の脅威に怯えることはなくなっているからね。僕が持っててももう意味はないんだ」

確かにそうだ。良太郎が今、この石を持っていても何の意味もない。

「でも、わたしは・・・・・・」

「強盗まがいまでして欲しかったものなんでしょ?」

良太郎は先程のことを責める気はない。むしろ、そこまでしてジュエルシードを手に入れようとしているフェイトが不憫に思えた。

フェイトは良太郎の手の平に乗っているジュエルシードから目を離し、良太郎を見る。

「あの、本当にいいの?」

「ひとつだけ条件があるけどいい?」

良太郎は人さし指を立ててフェイトに言う。

「な、何!?」

フェイトの瞳の色に恐れの色が見えた。

(ああ、怯えちゃってる。当然といえば当然、かな)

フェイトを不安がらせないためにも良太郎は条件を告げた。

「この石を悪用しないこと。守れる?」

「え?それだけ?」

「うん」

「本当に?その・・・・・・他に要求したりしないの?」

「しないよ」

「本当に?」

「うん。それで、守れる?守れるなら渡すよ」

良太郎はフェイトに念を押すようにもう一度尋ねる。

「守る!守るよ!絶対に守る!」

フェイトの瞳には口約束では絶対に出来ない決意の焔のようなものが灯っていた。

「はい」

良太郎はフェイトにジュエルシードを渡した。

「えと、その。・・・・・・ありがとう」

フェイトは立ち上がり、良太郎に頭を下げると、バルディッシュの水晶部分にジュエルシードを取り込んだ。

「う、うーん。フェイトぉ、無事かい?」

先程まで気を失っていたアルフが覚醒し、腹部を押さえながらもフェイトと良太郎がいる所まで歩み寄る。

フェイトはアルフの身体を支えるために、彼女のそばまで駆け寄る。

「アルフ、大丈夫?」

「う、うん。まだちょっと痛いけど大丈夫さ。それよりフェイト、アイツからジュエルシードを奪えたのかい?」

フェイトは首を横に振る。

「ううん」

それが合図となったのかアルフはこちらに歩み寄ろうとしている良太郎を睨みつける。

「ア、アルフ。ダメだよ。奪うことは出来なかったけど、貰うことは出来たんだから」

「へ?フェイト、もう一回言って」

「だから、奪うことは出来なかったけど貰うことは出来たんだ」

「それって事は何かい?あの男はフェイトにジュエルシードをあげたってのかい?」

「うん」

アルフは良太郎のそばまで歩み寄った。

「ねえ、アンタ」

「な、なに?」

アルフに凄まれているのか弱気の虫が少し出ている良太郎。

「あたしらとしてはこの上なく嬉しいんだけどさ。何か企んでるんだったら今ここで、ガブリっといくよ?」

「何も企んでなんかいないよ。ただ、僕が持ってるよりも・・・・・・」

フェイトをちらりと見る。

「フェイトちゃんが持ってる方がいいと思ったから、かな」

それが良太郎の嘘偽りないことだった。

「アンタ、イイ奴!!」

とアルフは良太郎を称賛した。

この人なりの誉め方なのかな、と良太郎は受け止めた。

「あっ」

何もかもが無事に片付いたと思ったとき、良太郎は重大なことを思い出した。

今日どこで一泊過ごすか、だ。

ケータロスを開いて時刻を見る。完全な深夜だ。

オマケに戦闘の後なのかカプセルホテルなどを探す意欲はなかった。

「あの、どうしたの?」

「言っておくけど、ジュエルシードは返さないよ」

「いや、そうじゃなくて、その・・・・・・今日泊まるところどうしようかと思って、ね」

苦笑いを浮かべる良太郎。

「あの、もしもだけど、よかったら私達の家に泊まりませんか?」

フェイトが天使に見えた良太郎だった。

 

 

 

 

 




次回予告

第四話 「食べ歩きと一日の終わり」



あとがき

二日続けての投稿になります。
一つの戦闘が終わりました。
第三話は魔導師対仮面ライダーの初戦闘になります。
この頃は結構、原作に使われていたセリフをバンバン使ってましたね。
必殺技も特にひねってない状態でしたし。

それでは第四話でお会いしましょう。

第四話の投稿予定日は2013/11/22です。

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