私が殺した彼女の話   作:猫毛布

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簪ちゃんは可愛い。


40.未蕾開花

 男の子の目の前に、一人の少女がいた。幼い少女だ。

 紫銀の髪を背の中程まで伸ばし、笑顔の愛らしい、美少女。そんな美少女は似合わぬ刃物を手馴れた様に掴んでいた。

 ニヒリとした笑みを男の子へと向けて、そして背を向けた。

 それは男の子を守る様に。ソレは男の子を守護する様に。

 

 男の子と少女の前には蜘蛛がいた。

 背中に携えられた八本の脚。蜘蛛は少女を笑う事もなく、邪魔だと言わんばかりに鋭く尖ったその先を少女へと向けた。

 邪魔だ、と蜘蛛は言う。

 少女はそんな言葉にケラケラ笑って見せる。

 邪魔なのはお前だ、と少女は言った。加えて、コレは私の獲物だ。そう言い放った。

 蜘蛛は鋭い目つきを余計に鋭くし、少女へと脚を伸ばした。

 一本目、ナイフにより弾かれる。

 二本目、空いていた左手で反らされる。

 三本目、少女の腹部を貫く。

 四本目、少女の腹部を貫く。

 五本目、少女の腹部を貫く。

 六本目、少女の腹部を貫く。

 七本目、少女の腹部を貫く。

 八本目、少女の腹部を貫く。

 

 少女は串刺しにされながらも両足でしっかりと立ち、後ろにいる男の子を守った。

 串刺した脚の先には赤黒い塊が付着している。

 男の子はこの映像を自身の視界へと焼き付けてしまった。

 身を呈して自分を守ってくれたヒーローを、少年は瞳と心に深く刻んだ。

 

 

 

 

 

◆◇

 

「――か……一夏!」

「ん……ああ、鈴か」

 

 一夏はようやく意識を覚醒させた。

 目の前にはあの紫銀の少女ではなく、セカンド幼馴染である凰鈴音が心配そうな顔で一夏の顔を覗いていた。

 一夏は周りを見渡して、ここが花月荘である事を判断した。どうやって帰ってきたのか、どうして戻ってきたのか、少し前の記憶が靄がかっている。

 少しずつ、ゆっくりと、その靄が消えていき、一夏は息を飲み込んで、近くにいた鈴音の肩を掴んだ。

 

「鈴! ルアナ、ルアナはどうした!?」

「おち、落ち着いて、一夏。痛いよ」

「ルアナは!?」

「あーもう! 落ち着け!」

「ふがっ」

 

 鈴音の掌打が綺麗に一夏の顎を捉えた。カチ上げられた顔、同時に衝撃が加わって鈴音の肩を掴んでいた手は解かれた。

 一夏は後ろへと倒れ込んで、鈴音を睨む。

 

「何するんだよ!」

「アンタが落ち着かないからでしょうが!」

「だってルアナが……ルアナがあんな事になってるんだぞ!?」

「……落ち着きなさい。一夏。アナタが焦った所で意味はないわ」

「ッ――!」

 

 一夏は鈴音を睨んだ。一夏も分かってはいるのだ。分かってはいるけれど、それでもルアナの近くへと、ルアナの所に行きたい。

 

「私だって……待機命令さえ無ければ、一緒に行ってたわよ」

「待……機…」

 

 そう、待機命令である。まだ彼らの戦いは終わっていない。【銀の福音】は未だに落ちていない。

 鈴音は驚いた。唖然とした呆然としてしまった。

 先ほどまで焦っていた一夏の顔が、戻っているのだ。いつもの様に柔らかい顔つきで、真剣な顔をしている。

 

(いち)……」

「ごめん、鈴。心配かけた」

「戻ったなら、いいわよ」

「うん、大丈夫。問題はない」

 

 先ほどまでの焦燥も、とりあえず後送りにする事が出来たのか、一夏は先ほどの表情など嘘の様にケロリとしていた。

 だからこそ、鈴音は可笑しいとも思った。けれどもソレを追求して一夏の状態が崩れる事は望むことではなかった。

 

「じゃあ、千冬姉のところに行くか」

「え、」

「次の作戦を聞かないと……次はちゃんとやるさ……もう誰にも手出しをさせない。俺が、全部守るんだ」

 

 そう呟いて、一夏はしっかりと立ち上がり、鈴音の横を通り抜ける。

 まるで全ての責任を背負い込んだ彼を、終ぞ鈴音は止める事が出来なかった。

 

 

 

 

 

◇◆

 

 小さな一室。ソコは入室禁止とえらく達筆な文字で書かれた紙が襖に貼られていた。

 その襖に凭れる様に、水色の髪をした少女が膝を抱えて座り込んでいた。

 

 

 偶然知ってしまった事実。ルアナ・バーネットが落とされたという事実を知った更識簪。

 簪はこういう噂、情報の類に置いて偶然という事をあまり信用していない。ソレは更識としての教育の賜物であり、同時に人の話の真偽を見分ける為のモノでもあった。

 そんな更識である簪は、この偶然知った情報を偶然とは思っていない。真偽は既にわかっていた事だけれど、この情報はオカシかったのである。

 偶然にもクラスに広まっていた情報。ルアナとは違うクラスであるのに、情報が伝わったという事は既に他のクラスにも伝わっているだろう。

 

 そして誰しもが口を揃えて言うのだ。

「彼女はISだから大丈夫」

 だと。

 

 簪は人間が恐ろしく怖くなってしまった。

 自身の友人をISだと判断した瞬間に噂では生死を彷徨っている程の怪我を簡単に片付けてしまった。

 同時にこの情報の違和感に達した。誰かが意図的に流しているのではないだろうか? と。

 そもそも、ルアナが行っていた作戦は軍事機密に触れる作戦だ。それであるのに、落とされた情報は即座に広まった。

 考えすぎなのかも知れない。そう簪はその思考を停止させる。

 

 シャルロットへと通信を開き、急いでルアナの元へと向かったけれどそこには既に入室禁止と書かれた紙と、襖を閉めていた織斑千冬、篠ノ之束がいた。

 

「更識か……どうした」

「その、ルアナが……」

 

 と言葉を出したところで千冬の眉間に一層深いシワが刻みつけられた。

 その顔を見て「ひぅ」と声を出してしまった簪は何も悪くない。

 

「……書いてある通り、入室は禁止だ」

「でも」

「ちーちゃん、ちーちゃん、別に入ってもいいんじゃない?」

「ほ、本当ですか!」

「ダメだ。あいつの状態から言っても、お前の安全も考えて、入らない方がいい」

「えー、ちーちゃんもケチだなぁ。別に一人ぐらい分解されたって問題ないよー」

「問題しか無い。お前は少し黙っていろ」

「はーい、束さんは黙ってまーす」

 

 口を尖らせた天才は千冬の横でニヘラと笑っている。千冬は溜め息を吐きだし、簪の横を通り抜ける。

 

「更識、ルアナが目を覚ましたら、報告しろ」

「は、はい」

「別に入ってもいいんだよー?」

「決して入るな。襖も開けるな」

「ちーちゃんちーちゃん。ソレは人の好奇心を誘っているのかなぁ?」

「……入るなよ」

 

 束の頭を掴んだ千冬はそのまま立ち去り、ようやく場面が現在へと移動する。

 

 三角座りで襖に背を向けている簪。

 頭の中には包帯に巻かれたルアナ、怪我をしているルアナが浮かんでは消えていく。

 確かめたい、確かめてはいけない。

 織斑千冬の言い方からして、きっと自分が想像しているよりも状態が悪いルアナがここには眠っているのだろう。

 だからこそ、心配で、気になって仕方がない。

 ちらりと視線を動かせば、『入室禁止』の張り紙。コレを剥がせば……いやいや、根本的解決にはなっていないぞ簪さん。

 

 ちょっとだけなら……。

 

 してはいけない事だと分かってはいる。わかっているけれど、ルアナが心配だ。

 いいや、これは心配という気持ちを利用した好奇心なのかもしれない。けれど、心配という気持ちは嘘ではない。

 何も出来ない。そんな事は知っている。けれども、それでも。

 

「……よし」

 

 簪は立ち上がる。

 大きく息を吸い込んで、ゆっくりと吐き出す。

 もう一度、大きく、肺が膨らむ感覚を得ながら息を吸い込む。

 口を細くして、ゆっくりと、静かに溜め込んだ空気を吐き出していく。

 最悪の状況は想定した。それ以上の事であっても受け入れれる。私は、ルアナの親友なのだから。

 

 簪はその手を襖へと掛ける。

 達筆すぎる『入室禁止』とは裏腹に、容易く、素直に横へとズレる襖。

 その襖の間からふわりと淡い緑色の光が通り抜けた。

 

「……え?」

 

 簪は目を疑った。

 その部屋には、ルアナが眠っていた。ソレは理解出来た。けれど、そのルアナが淡く発光しているのだ。

 体から緑色の粒子をふわりと飛ばして、部屋中に撒き散らしている。ゆらゆらと粒子が飛び、風も何もなく移動して、重力に従って、床へと落ちる。

 幻想的で非現実的だ。まるで命そのものを飛ばしている様に……儚い粒子達。

 

 ルアナは人間ではない。そのことを理解するには十二分に役割を果たしている光景。

 

 だから呆気に取られ、粒子の動きを見る事が出来なかった。粒子たちはゆっくりと簪を囲んでいく。

 そんな中、一つの粒子が簪へと降る。

 簪の視界を過ぎった粒子はゆっくりと簪の腕へと落ちる。

 淡い緑色の粒子と簪の肌が触れ合う。

 

「いっ!」

 

 バチリ、とまるで静電気でも走ったかのような感触。けれども痛覚は静電気以上の痛みを伝えている。

 けれど、粒子が触れたソコに損傷など一切ない。

 

「な、何?」

 

 粒子が触れたところを手で抑えながら簪はようやく状況を確認する。

 先ほどの痛みがこの粒子が原因だとすれば、ソレに囲まれている自分は相当に危険だ。痛いのは、嫌だ。

 

 

 

 けれど、それでも。

 簪はもう踏み出してしまったのだ。自信のない自分は捨てきれないけれど、親友を捨ててしまう事は絶対に出来ない。

 簪は更に一歩踏み出す。

 自分を支えてくれて、肯定してくれて、簪だと認めてくれた友達へと。

 自分勝手で、お菓子が好きで、我侭で、優しくて、頼れて、好きな存在へと。

 

「ッ――」

 

 粒子たちが簪へと落ちてくる。

 簪は声を出す事もせずに、歯を食いしばり更に一歩踏み出した。

 もっと、近づける。更に一歩踏み出す。

 

 ようやく、ルアナの近くに到着した。けれど簪の体力は尽きかけていて、膝を畳に付けてしまう。

 ルアナの片腕が布団から出ているのを見た簪は自然とその手を両手で握った。

 頬に粒子が触れて、引き攣る様な痛みが走る。

 上手く声を出すことが出来ない。

 けれども、簪は強く手を握り、祈った。ルアナが目を覚ますことを。そしてこの手を離さないでくれる事を。

 冷たいルアナの手を温める様に、簪はしっかりと握り締めた。

 

 

 

 

 

 

 

「馬鹿ね。簪は」

「ふぇ……」

 

 しっかりと握っていた手に動きが加わる。同時に、簪の耳に声が響いた。

 深く青い瞳がしっかりと簪を映し込み、口は苦笑を浮かべている。

 

 簪の瞳に涙が蓄えられ、目の端からゆっくりと決壊していく。

 

「ルア、な」

「はい、私はここよ」

「ルアナ!」

「ッ――――!」

 

 簪に抱きつかれて思わず顔を引きつらせてしまうルアナ。当然、擬似ISと言っても彼女とて痛覚は存在している。復元したのは肌の表面だけであり、内側はかなり大変な事になっている。

 けれどもそれを口にしないようにして、ルアナは残った腕で簪の頭を撫でる。

 簪は気付いてしまったのか、腕を開放してルアナから離れる。

 

「あ、その、ごめんな、さい」

「いいのよ」

 

 ルアナはとりあえず迫っていた痛みから開放されたことに安堵する。

 

「けど……どうして」

「簪のお陰ね」

「私、の?」

「私を捨てないでくれたんでしょ?」

「あ、その……」

 

 ボンッと音が鳴りそうな程顔を真っ赤にさせた簪はあうあうと漏らしながらブツブツと何かを呟いている。

 ソレに微笑みを飛ばしながらルアナは理解している。

 

―触れた手からISコアを通じてエネルギーを貰った。なんて現実的な事を言えばどうなるんだろう

 

 思わず悪戯をしたくなってしまう。ルアナ自身のコアから各ISコアへのネットワークは通じていない。

 他のISコアからルアナへと通じなければ干渉する事は出来ないのである。

 簪のISコアがルアナへと接触し、エネルギーを送り込んだ。だからこそ、ルアナは予定よりも早い目覚めを味わっているのだ。

 

「それにしても……純粋なエネルギーはやっぱり不味いわね」

「る、あな。何か?」

「いいえ、ありがとう。簪。アナタのお陰で助かったわ」

「――、ふ、ふふ、ふぇへへ……」

 

 ド直球な感謝の言葉に、親友から言われる言葉に、頼っていた存在からの感謝に思わず簪の頬は緩んでしまう。というか緩みすぎである。ここにシスコンがいたならば写真を連射モードで撮ってしまう程、緩んでいる。

 ルアナは冷静に、その簪の表情を視界へ収めてコアへと保存する。今度会長へと送っておこう、と心に決めて。

 

「さて、とと」

「危ないよ」

 

 体を起こそうとしたルアナはバランスを崩して倒れそうになる。

 それも簪の手によって助けられ、一息吐き出す。

 ルアナは意識を集中させて、この数時間で蓄えられたエネルギーを足の再生へと向ける。

 粒子が下半身へと集まり、まるで輪切りにしたソレを戻す様に、ゆっくりと足が再生していく。

 

「これで、いいわね」

「……」

「ごめんなさい、簪。急がないといけないの」

「あ、ううん。大丈、夫……だけど」

「だけど?」

「いつもの、喋り方じゃ、ない?」

「…………」

 

 思わず沈黙してしまう。今のルアナの心の中なんて想像に容易いが、少しばかり覗かせていただこう。

 

―しまったぁぁぁあああああ!

 である。それ以外に何も思いついていない。それぐらい慌てている。

 

「でも、ルアナはルアナ」

「……うん、そうね。そうだったわ」

 

 簪の肩を借りてルアナは立ち上がる。

 何を忘れていた。何を勘違いしていた。どれだけ演じようがそこは変わってないだろう。

 

「ありがとう、簪」

「……ふぇへへ」

 

 照れたように笑う簪の顔を当然の様にルアナはもう一度保存した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ルアナは作戦に加わっていない簪と別れ……と言っても無理はしない、これ以上の戦闘を今はしないという約束を交わして別れたのだが。

 ともあれ、簪と分かれて、隻腕となったルアナはその紫銀の髪を揺らしながら作戦本部である部屋の襖を開く。

 同時にルアナへと視線を向けたのは千冬と麻耶である。

 

「バ、バーネットさん! 大丈夫なんですか!?」

「私は擬似IS。怪我はスグに直せる」

「起きたか、バーネット」

「起きた、千冬。次の作戦立案は?」

「……それが、マズイ事が起きている」

「?」

「馬鹿共が先行している」

「…………別に代表候補生だけなら大丈夫な筈」

「そーだよちーちゃん。るーちゃんの言う通り、いっくんと箒ちゃんならやってくれるよ」

 

 待て、今この兎は何を言った?

 ルアナは束の方を向いた。目があったと同時に兎が嫌らしく笑った気がした。

 咄嗟にルアナは考えてしまう。

 一夏の精神状況は確実に、悪い。加えてあの篠ノ之箒の状況も確実に狂っているだろう。

 千冬もその事は知っている筈だ。

 

「束……まさか」

「んっふっふ。私は何もしてないよー。偶然ドイツの軍が【福音】を発見して、あの子達が自分の意思で向かっただけ。それだけの話だよ、ルアナ」

「くっ!」

 

 ルアナの体に粒子が纏われる。けれどもその粒子は一定量集まった途端に弾けて霧散してしまう。

 力が入らなくなったのかルアナは畳に倒れて、顔だけを束へと向けた。

 蛍光灯の逆光だからか、彼女の顔が上手く見る事が出来ない。

 

「ダメだよ、ルーちゃん。量子テレポーテーションはエネルギーを使いすぎるんだから。だから戦闘中に突然()()()しちゃったんだよー」

「ッ、束ぇぇええええええええええ!!」

「うふふ、ありがとう。ルアナ・バーネット。君のお陰でいっくんはもっと強くなるよ」

「違う! そんな強さ、アイツは望んじゃいない!」

「望んでるよ。ソレに、君がそんな事を言えるのかなぁ、ルアナ・バーネット。君こそその強さの体現じゃないか」

「一夏は、私の様に成れない!」

「そうだね。君の様に理由なき殺人をしていればきっといっくんは壊れちゃうだろうね。

 

 

 でも、君が理由を作ったじゃないか。君がいっくんを助けて落ちてくれたから、いっくんは必死になれる。理由を得れた。守る為という名分を得た。だからこそ、君の様には成らないよ」

 

 もっと、特別な強さを得れるんだ。

 ニタリとまるで赤い三日月を顔に貼り付けた様に、束はルアナを見下し笑う。

 

「もう攫われる事もない、もう殺されかける事なんてない。皆を守る事の出来る強さを彼は得るよ」

「やめろ……! やめろ、束! 一夏はソレになっちゃいけないんだ!」

「ソレは君の意見だろう。ルアナ・バーネット。 正当な道を歩み、正当な強さを得ても、彼はきっと強くなる。でもね、それじゃあダメなんだよ」

 

 それだと、私がいっくんの助けにならないでしょ?

 兎は笑う。紫銀は歯を食いしばり出てくる罵声を秘めた。いいや、言う事が許されてはいないのだ。

 どうしても抗う事の出来ない命令。ルアナが【ルアナ・バーネット】である事で生じる拘束。

 

「ほら、特別に君には見せてあげよう。君が化け物と呼ぶ存在の誕生をさ」

 

 ルアナの視界が変わる。

 そこには白い光の塊があった。白い光の塊から、まるで花が開花するように赤い光が差し込んでいく。

 白い装甲に赤いラインを走らせた存在が動く。

 しっかりと敵を見据えて、存在は腕を伸ばす。赤と白の粒子が集まり、掴んだソコには意匠など凝らされていない柄が握られていた。

 その柄から極光が伸びる。以前までの溢れんばかりの極光ではない。キチンと刀の形へと変化された……あの極光を圧縮した、極光の刀が顕れる。漏れ出す粒子など無い。完成されてしまった刀。

 

 未だ開くべきではなかった蕾の開花を、ルアナはその目に焼き付けるしか出来なかった。




>>箒ちゃんは?
 え? うん、ほら、大丈夫大丈夫。問題は無い。きっと覚醒中の一夏くん辺りが上手く誘ってますよ

>>タバネさん
 もう救いようが無い状態へと突入してます。まあ、それでも彼女はまだ正常な方……だと思います。まあ、人間滅ぼそうとしてない分マシ、程度という事なんですけど。

>>圧縮極光剣
 つよい(確信
 実際、《零落白夜》は瞬時的な展開の戦術を取らなくてはいけない物です。それをずっと続けてしまっていた一夏くんにはコレが必要だと……。
 還元率、攻撃力、貫通力、なんと当社比3倍!
 一夏がずっと危惧して出力を下げていたけれど、ソレを一夏から奪う程に一夏は強い感情を白式へと伝えてしまいました。

>>【白式】の中の人は?
 中に人なんていません。ほら、やっぱり……中に人はいませんよ?って書いちゃうので無しです。

>>化け物
 強さに固執して、他の物を捨てた存在。たった一つの頂へと向かうだけしか出来ない存在。

>>ルアナと束さんの会話
 周りに聞こえてないです。つまり通信だったんです。イイネ?

>>【白式・刹血華】
 単純に考えた結果。最高速と加速度上げて、相手に接近、回避動作を与えずに《零落白夜》で切断。NT‐D! NT‐D!
 ルアナにファンネルを持たさないと……(使命感

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