私が殺した彼女の話   作:猫毛布

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はじめましょー、はじめましょー

2014/02/02
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2014/02/06
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2015/04/28
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21.教導戦線

 シャルル・デュノアがシャルロット・デュノアであることが判明して数日。

 もちろん、その事実がわかっている人間は一夏とルアナだけなので騒ぎにすらならず、平々凡々な日常が繰り返される。

 強いてあげるならば、シャルルが相変わらず一夏の傍に居て、クラスの中で薄い本が配布された程度である。当事者二人は知ることはない。知ってはいけない。

 

「ねえ、ルアナ。お願いがあるんだけど」

「……」

 

 廊下を歩いているルアナは鈴音にその足を止められた。

 振り返ったルアナは思いっきり眉間に皺を寄せて、「頼み、聞きません」と言葉にこそ出してはいないが言いたげだった。

 ルアナの扱いを知っている鈴音は肩を竦めてポケットを漁る。

 取り出したるは魔法の飴。舐めれば甘い。まるで魔法だ。

 

「そんなに嫌な顔しないでよ。飴ならあるわ」

「聞くだけなら聞く」

 

 言葉こそはぶっきらぼうだが、顔は笑顔で両手を差し出したルアナはしっかりと普通の飴を受け取った。彼女に話を聞かせる事のできる魔法のような効果の普通の飴。魔法の飴である。

 

「ちょっと訓練に付き合ってほしいの」

「月末トーナメント?」

「そう。どうしても優勝したくてね」

「……一夏と付き合えるから」

「……まあ、そーとも言うんだけど」

 

 持ち前のツーサイドアップテールの髪先をクリクリと指で弄り、ルアナの真っ直ぐな視線から少し赤い顔を背けた鈴音。

 そんな鈴音に対して苦笑してしまったルアナ。

 

「どうして私が?」

「ルアナって何かと目がいいし。誰かと訓練してる所を見てリアルタイムで悪い箇所を教えてほしいのよ」

「……IS戦闘はよく分からない」

「それでもよ。私はもっと強くならないといけない。そう、一夏と付き合うために!」

 

 この意気込みが本人の目の前で言えたならば、あの唐変木も……いや、勘違いするのか。

 とシミジミ思いつつ、ルアナは手を差し出す。その手を見て鈴音は同じ手を出し握手をする。

 そうすればルアナは苦い顔をして、口を開く。

 

「違う」

「終わったら秘蔵のお菓子をあげるわよ」

「さぁ行こう!」

「うわー……」

 

 相変わらずなルアナに対してちゃんと扱いを心得ている鈴音。周りにはルアナを手玉にとっている鈴音に対して感嘆を漏らしてしまっている女生徒たち。

 ルアナの噂はクラスから外に出て尾ひれと背びれが付いて広がっている。悪鬼羅刹……というよりは餓鬼をより厄介にしたモノに近いがソレを手玉にとっている鈴音は彼女らにとって救世主に近しい。

 

 

 

 

 

 

「あら、バーネットさん?」

「ごきげんうるわしゅー、メシマズさん」

「え、ええ……」

 

 ヒクリと片口角を歪めたセシリア。テメェのお陰で元気もなにもねぇよ、とはこのお嬢様決して口には出さない。実に紳士的である。淑女だが。

 ともあれ、いつもの調子であるルアナから視線をズラして、その横にいる鈴音へと向ける。

 

「あら、鈴音さんも訓練ですか」

「ええ、セシリアもそうでしょう?」

「ええ、勿論」

 

 そうすべては月末トーナメントを勝ち抜くために。そして優勝するために。更には一夏の隣に居座るために。

 どうして鈴音は一夏と付き合いが長いのに気づかないのだろうか。恋は盲目である。彼女は目隠しをしているのだ。もしくは「一夏フィルター(恋愛)」が目と耳と心に補正を掛けているのだ。誰かデバフを。

 

「それで……どうしてバーネットさんが?」

「お菓子がもらえるから」

「ルアナは目がいいし、それに代表候補もなにも関係なくズバズバ指摘してくれるでしょ?」

「関係なくズバズバ言ってくるのは知ってますけれど……指摘できる程バーネットさんに技量と知識があって?」

「……ルアナ、【ブルー・ティアーズ】の弱点は?」

「操縦士」

「……」

「機体性能だけでいいわよ……」

「それなら、遠距離に特化しすぎてる点。インターセプターと名付けられた小型ブレードも弱点の一つ。操縦者にとっての選択肢を増やしすぎ。どうせ遠距離にしか向いてない操縦者を乗せるのだから、アレが触れれる距離に詰められた時点で同力量の相手では無意味。それならいっそアレを捨てて他の武装を積むべき。中近距離でばら蒔けるアサルトライフル、サブマシンガン……こっちの扱いの方が向いてる。距離を離すにしても、牽制にしてもソッチの方がいい」

「ね?」

「……なんといいますか……そこまで言われますの?」

「言う。言えって言われたし。お菓子貰えるし」

 

 どうしてそこで報酬の話を持ってくるのだ。どれほど大事なのだ。まあ、死ぬ程大事な訳だが。

 ガックシと肩を落としたセシリア。ルアナの言った言葉の一から十まで全て正しいとは言わないけれど、思い当たる点は幾つかあった。

 

「けれど、インターセプターを無くすとして、銃も撃てない距離に寄られたらどうしたらいいんですの?」

「自分で考えたら? 料理は自分なりの味を出すのに」

「…………確か、私の部屋にクッキーが」

「この前の戦いを見たけれど、ビット兵器で敵を撃てばいい。ミサイルはダメ。アレは攻めの一手に使うべき。対遠距離の近接型は敵の手段を奪ってようやく安心する。光学兵器の射程外、サブマシンガンの射程外、敵の攻撃手段を削って、攻撃を繰り出す。故に、ビット兵器が有効」

「なるほど……ビットを意識外に出して相手に撃てば」

「文字通り、全射程(オールレンジ)攻撃。それにその攻撃をするだけで相手は警戒する。ビットを潰そうとするから、動きもわかりやすい」

 

 淡々と戦術を述べていくルアナ。セシリアも納得したように頷く。

 決して思いつかなかった戦術ではない。けれど、自身を危険に晒す事と装備欄に存在する不慣れなインターセプターが思考を邪魔した。

 

「と、これが基本戦術」

「基本にしては随分と奇策なような気もしますわ……」

「それでもビット兵器持ちなら、一度は考える事。ビット兵器相手にする敵も一緒」

「一理ありますわ…………それで、応用せんじゅ」

「基礎も出来ない奴は落ちて後悔しろ」

 

 ビシィッとセシリアが固まった。それはスグに解け、思考を一新する。

 彼女の言うことも尤もである。そもそも自分の訓練を見直せば先に進む事だけを考えた訓練であり、近付かれた時、つまり危険時の判断はおざなりだったのかもしれない。

 

「バーネットさん、ありがとうございます」

「ん、クッキーを楽しみにしている」

 

 威張るルアナとそれに頭を下げるセシリア。この数分で奇妙な関係が出来上がってしまった。

 鈴音に至ってはルアナの言葉をしっかりと頭に刻んで目の前の相手の対抗策を幾つか考える。思考することは自由である。

 

「ルアナを連れてきた意味、分かったでしょ?」

「ええ……それはもう存分に」

「お菓子いっぱい……これで二日は耐えれる」

 

 本当に彼女の原動力はお菓子なのか。いいや、お腹に入るもの全てである。

 そんな目を輝かせるルアナを見て、先ほどとの違いに思わずため息を吐きだした二人。

 大きく溜め息を吐いた二人を見ることもなくルアナはやはり目を輝かせた。

 

「さて。じゃあ、訓練をしますか」

「あら、鈴音さんはどこでやるのかしら?」

「ココに決まってるじゃない」

「面倒だから一緒にすれば?」

「……そうですわね。中華娘の相手をするのも時間の無駄ですわ」

「あら、言ってくれるわね。喧嘩なら買うわよ?」

「喧嘩だなんて、野蛮極まりませんわ」

 

 と二人して適当な理由を自分たちで勝手に作成して、両者ISを装着する。

 中近距離、安定性を求めた【甲龍】。

 遠距離とビットによる全射程攻撃の実験機【ブルー・ティアーズ】。

 そんな二人を見てルアナはふむ、と唸る。

―意外に面倒かも知れない

 そう思考しながらも、ルアナの顔には笑みが貼り付けられている。口角のつり上がった、今にもクヒッと嗤いが溢れそうな、そんな笑顔。

 

「おい」

 

 けれどもそんな嗤いはたった一人のたった一言で収められる。

 銀色の髪を風に流した少女。黒いISを纏ったその少女はいつにもまして仏頂面で立っていた。

 その声に反応したのはルアナだけではない。ISを装着し、今にも戦闘を始めそうであったセシリアと鈴音も反応した。

 

「私と戦え」

「嫌よ、こっちはそんな暇ないの」

「右に同じく。尤も、暇があっても戦う気はありませんわ」

「ハッ、怖じ気づいたのか?

「残念ながら、やっすい挑発に乗る程バカでもないのよ」

「挑発ならそこにいるバーネットさんに学びなさいな。そのテンプレートのような言葉は出せなくなりますわ」

 

 両者、肩を竦めて余裕の顔。ルアナはセシリアの言葉に片眉をピクリと動かした。

 対してラウラ・ボーデヴィッヒは怒りを表す訳でもなく、ただルアナを見て、そして鼻で笑った。

 

「――男に媚びる売女に何も学ぶことなどない」

 

 そう言い切った。

 途端、ラウラのISにアラートが響く。

 

「その言葉、取り消しなさい」

 

 両端に刃の付いた青龍刀をラウラに向けていた鈴音の言葉。

 顔にはいつかの一夏(馬鹿)が絶壁発言をした時よりも濃い怒りを表している。売女という発言も気に食わなかったが、何よりソレがルアナに対しての言葉である事が鈴音の琴線に触れた。

 

「随分と過ぎる口ですわね」

 

 同じくして、セシリアも大型の光学兵器をラウラへと向けていた。

 こちらはただ単純に売女という言葉に反応した。顔には怒りも何もなく、ただ冷静に、侮蔑の視線をラウラへと向けている。

 

 そして言われているルアナは、ラウラへと視線を向けている。ただそれだけ。何も言わなければ、特に表情に変わりなどない。

 怒りも無ければ、侮蔑もない。感謝も、愉悦も、感激も、悲しみも、すべてを廃して、表情らしい表情は読み取れない。

 

 ともあれ、ラウラは目的を達成する。

 

「なんだ、本人には自覚があるのだろう?」

「……やめなさい」

「言い返さない事が何よりの証拠だ。ならば言葉に出来るだろう?」

「……やめなさい」

「ほら、言ってみろ『私は、織斑一夏如きに媚びる――』」

「やめろって言ってんでしょ!!」

 

 怒りを言葉に出し、その気持ちをバーニアに灯した鈴音がラウラへと攻撃を繰り出す。

 僅かな距離を急加速即攻撃という不意を突いたモノ。それは容易く防がれる。

 黒い刀剣により防がれた双天牙月。怒りを噛み締めている鈴音と淡々とソレを処理するラウラ。

 そのラウラは双天牙月を大きく弾き、空へと飛び上がる。

 ラウラの居た場所に太い光のラインが奔る。

 

「鈴音さん、少しは冷静になってくださいまし!」

「五月蝿い! 友達を……親友を馬鹿にされて黙ってられないわよ!」

 

 鈴音はそう叫び、ラウラを追って空へと上がる。

 対してセシリアはソレに溜め息を吐きだした。

 

「……まったく、あんな挑発になんか乗って……」

 

 そう言葉には出したものの、セシリアとて心の中では何かがフツフツと湧き上がっている。

 易い挑発だ。そんなモノに乗る気はない。

 けれども、それを許してはいけない自分がいる。現にスターライトmkⅡは既にラウラへと照準を合わせている。

 

「友人を馬鹿にされて、怒っているのはアナタだけではなくてよ……」

 

 セシリアはちらりとルアナを見る。

 空を見上げて鈴音とラウラの攻防を見ていたルアナはその視線に気づいたのか、セシリアの方へと顔を向ける。

 

―弱い者に差し出すのは剣ではなく手であるべき

 

 そう淡々と述べられた彼女の言葉を思い出す。それは高貴なる者の義務(ノブレス・オブリージュ)

 

「まったく、ホント、こんな挑発に乗るなんて……私もまだまだですわ」

 

 そう呟いたセシリアは戦う鈴音の援護に回る為に空へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 戦う三人を観察しながらルアナはふむ、と声を漏らす。

 対しているラウラ・ボーデヴィッヒは曲がりなりにも軍人である。恐らく二人よりもISの搭乗時間も訓練時間も濃度も比較にならないだろう。

 博打性の少ない、それこそ【白式】の様に一撃必殺や逆転の手の無いであろう二人のISではラウラの纏う【シュヴァルツェア・レーゲン】に落とされるだろう。性能も搭乗者も対等とは言えないのだ。

 山田教諭(おっぱい先生)の様にすぐに落とせる、とは言わないが、それでも時間が掛かりすぎである。

 つまり、何かしらの目的があり、ソレで撃墜時間を伸ばしている。もしくはラウラ・ボーデヴィッヒがその程度か。

 

「クヒッ……ヒヒッ、あぁ、素敵ねぇ……本当に、素敵」

 

 見上げながら思わず漏れてしまった嗤いと言葉を隠すことをルアナはしなかった。目尻が下がり、楽しそうに、愉しそうに、口角は吊り上がる。

 下唇を赤い舌で湿らせる。

 両腕を互いの二の腕を掴ませ、自分を抱え込む。

 

「あぁ、素敵。クヒッ、フフ、ヒッヒヒ……もう少し、もう少しクヒッ」

 

 そう、彼女の目的の為にはもう少し時間と準備が必要だ。

 故に、今は嗤いを抑えるしかない。まだソレを彼に気づかれてはいけない。

 息を深く吐きだしたルアナは皺になった制服を軽く伸ばして、また何も思わずに上を見上げる。もはや興味すら無い。結果の見えている勝負である。

 

「おい、どうかしたのか!?」

「……一夏?」

 

 聞こえた声にルアナは振り返る。そこには急いで来たのか息を荒げている一夏とシャルル。

 そして周りには心配そうに見守る女生徒達。

 残念、というか幸福な事にルアナの嗤い顔など誰も関心は無く、空にいる三人を見上げていたようだ。

 

 そして上空では二人を手玉にとっていたラウラが二人を地面へと叩き落とした。

 落ちてきた二人は土埃を上げて、衝撃により倒れている。

 

「鈴! セシリア!」

 

 二人に駆け寄ろうと走る一夏の前へと黒いISを纏う銀髪の少女がフワリと降り立つ。

 持っていたワイヤー付きのブレードを一夏へと向けて言葉を吐き出す。

 

「織斑一夏、私と戦え」

「前も言ったが、断る。退いてくれ」

「退かしたければ戦えばいいだろう」

「断る……」

「どうやらお前も腰抜けのようだな」

「……」

「そこにいる売女にでも腰砕けに」

 

 一夏の周りに光の粒子が溢れ、一夏の姿が消える。

 瞬間、白い鎧に包まれた一夏がその剣をラウラへと振り下ろしていた。振り下ろされた剣は容易くラウラに防がれる。

 

「どうした、その程度か?」

「…………」

 

 一夏は応えない。一夏は表情を隠す。仮面を被る様に、無表情に剣に力を込める。

 怒りなど容易く超えてしまった。一夏の中で何かが弾けた音が聞こえた。ソレ以外はもう何も聞こえなかった。ハイパーセンサーを以てしても、一夏の世界には目の前の敵がいるだけで、音も何もかも必要ではなかった。

 止められた剣を手首で引いて、そのまま手のひらを返す。下から左に切り上げを行いラウラのブレードを弾いた。

 刀の流れをそのままに上段へと構え、一夏は【零落白夜】を発動させる。白い刀が光の剣へと変化し、無情にもラウラへと振り下ろされる。

 絶対絶命であるはずのラウラはニヤリと口角を上げて、右腕をあげた。

 

「ッ!?」

「そこ!! 何をしている!?」

 

 こちらも騒ぎを聞きつけたのか織斑千冬が怒鳴った。

 その声に反応したのか一夏は振り下ろしかけた剣を刀へと戻し、荒く息を吐き出す。

 騒ぎの中心であるラウラと一夏の元へと近寄った千冬は両者を見て、そしてその先で倒れている鈴音とセシリアを見て溜め息を吐き出した。

 

「誰か、救護班を。こいつらを保健室へ」

「は、ハイ!」

「……お前ら二人は何をしていた」

「…………」

「…………」

 

 互いに何も言わない二人に改めて千冬は溜め息を吐き出す。

 

「まあいい。決着は月末のトーナメントにしろ。 以後、ISを用いた私闘は禁ずる!」

 

 そう言い残した千冬はツカツカと音を立ててアリーナから立ち去った。

 

「織斑くん……」

「…………大丈夫だ」

 

 改めて大きく息を吸い込んで吐きだした一夏。その顔にはいつもよりも頼りない笑顔が張り付いている。

 そんな一夏を眉を下げながら見るシャルル。

 

「で、ルアナ……て、あれ?」

 

 事情を聞き出そうとルアナを探した一夏。けれどもその姿は無い。周りを見た所でルアナはいない。

 どうあれ少し大げさかもしれないが、彼女の為に戦った一夏としては少し納得がいかなった。けれどもその思いはスグに、まあルアナだから、という単純な理由で消えてしまった。

 深呼吸を溜め息に変えて一夏は倒れていた二人の見舞いに行く為に踵を返す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……何か用か?」

「ええ、用事よ。ラウラ・ボーデヴィッヒ」

 

 肩口に切り揃えられた紫銀の髪を揺らしてニタリと嗤った少女は目の前の銀髪の足を止めた。

 

「先ほどの罵倒の返礼か? 言い返さなかったお前がか?」

「いいえ、そんなツマラナイ事。どうでもいいわ。それこそ言い返す意味もなかったし」

「…………では何だ? 私闘は教官により禁止されている」

「ISの、でしょ? 生身なら文句は言われないわ」

「…………」

 

 ラウラはようやく紫銀を見て少しだけ足幅を広く取る。

 そんな様子にも紫銀の少女はケタケタと愉快そうに嗤った。

 

「違う違う。それもまたツマラナイわ」

「さっさと要件を言え」

「あら、せっかちね。まあ、どうでもいいわ」

 

 ケタケタと嗤っていた声が止まる。

 

「ねえ、ラウラ・ボーデヴィッヒ。私と組みましょう?」

「…………なぜだ?」

「何故って…………そんなの、私の目的とアナタの目的が被ってるからに決まってるじゃない」

「目的だと?」

「ええ、織斑一夏のこと、倒したいんでしょ? そして織斑千冬に認められたい」

「…………お前もソレを望んでいる、と?」

「後ろ側はどうでもいいけれど、概ねそうね」

 

 紫銀はまたケタケタと嗤い、ソレを見ている銀髪は怪訝な瞳を向けた。

 

「けれどお前は私が織斑一夏に攻撃した時に防いだハズだ」

「あら、私の獲物を横取りしようとしてたのだから、止めるに決まっているでしょう?」

「…………」

「それに月末のトーナメントはどうやらタッグ戦なのよ。生憎、オトモダチは少ないし、使える人間はいなくてね」

「それで、私か」

「ええ、それで、アナタ」

「私に得はあるのか?」

「私はアナタと一夏との戦闘を邪魔しない。彼はここでは有名人でアイドルだからきっとアナタの行動は制限されるわ。私はソレをしない」

「……足りんな」

「あら、これでも破格なのよ。前提として私が敵ではなくなるのだから」

 

 ラウラは転入初日の彼女を思い出す。自身が怒りに駆られていたとは言え一瞬で間合いに入られ、あまつさえ千冬に防がれていなければ……。

 

「わかった。お前と組んでやろう」

「ありがとう、少佐。感謝するわ」

「……お前の目的をはっきり聞こう」

「あら、私の目的なんてどうでもいいんじゃない?」

「いらん邪魔をされても手間になるだけだ」

「あらそう。ならはっきりと言っておくわ。私の目的は

 

 

 

 

 

 織斑一夏を殺すことよ」




>>ビット戦略
 ブルーティアーズなら牽制用として使う方が利便性は良さそうです。自身の選択肢を増やして相手の行動を制限する目的。
 というか、一対一を想定するとセシリアさんとシャルロットの戦闘は随分と玄人向きの華のない戦闘である方が魅力的です。
 いいや、太ももとか素晴らしい華があるんですけど、戦闘だけの話ね?

>>薄い本
 一夏×シャルルが基本。派閥としてシャルル×一夏が出回っていたりする。隠れて一夏×ルアナやルアナ×一夏を描いていた腐った人がシャルル×ルアナ本を作ったり三角関係モノを描いたりしている。
 IS学園は平和です。

>>ルアナ、覚醒
 何度も言いますが、二重人格者ではありません。彼女はずっと目的の為に頑張ってます。
 狂ってる様に見えますが、その通りなのでその印象で大丈夫です。
 頭のネジが外れてる、というよりはネジ穴を無理やり溶接されてる感じです。いやータノシーナー!!

 なんだ、いつも通りか。と私を知ってる読者様達から言われそうです。

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