「今日はBクラスに勝つために秀吉にこれを着てもらう。」
翌日の朝のショートホームルームで雄二は教卓に立ち女子の制服を持って言った。
「坂本君、一ついいですか?」
「なんだ一条寺?」
「どうして女子の制服を持っているんですか?」
うん、そこは僕も思った。普通に考えたら雄二にそっちの服装になる趣味があるんじゃないかと思うよね。
「もしかして坂本君はそっちの趣味があるんですか?僕には理解できません。」
「チゲェ!これは知り合いの女子に借してもらってんだ!」
「なるほど、知り合いの女子という名の男子から借りてきたんですね。」
「んなわけあるか!」
「冗談です。」
「お前がそう言うと冗談に聞こえないんだよ!」
「雄二、さっさと話を進めてよ。」
明久がそう言うと雄二は咳払いをして話を元に戻す。
「いいか、これを秀吉に着てもらい木下優子になりっきってもらうんだ。」
「秀吉は男の子なのに?」
「そうですよ、坂本君。」
「お、お主ら・・・・・」
秀吉は立ちあがると明久と友也の元へ歩み寄り二人の片方の肩を掴む。
「お主らだけじゃ!わしを男と認めてくれるのは!」
秀吉は瞳に涙を溜めていた。
「結構苦労しているんだね・・・・・・・・」
「同情します・・・・・・・・」
「あ~・・・・話に戻ってもいいか?」
雄二が話しに入ってくる。
「つまり秀吉に木下優子のフリをしてもらってCクラスとAクラスに試召戦争を起こしてもらうって計画だ。」
「でも雄二、そうなると一つ問題があるんだけど・・・・・いいかな?」
「なんだ明久?」
「そうなると学園での木下さんの台詞が必要になるよ。」
「むっ!確かにそうだな。一条寺、頼めるか?」
「僕より明久君の方がいいと思いますよ。明久君、今の状況を少し整理して台詞を作りましょう。」
「うん。」
二人は一つの卓袱台に一枚のルーズリーフと鉛筆と消しゴムを手に台詞を考えた。
数分後、秀吉は女子用の制服に着替え、明久と友也は台詞を考えた。
「はい、秀吉。」
「すまないのじゃ。」
秀吉は台詞を黙読する。
「本当にこれで上手くいくのか?」
「うん。秀吉が知っているのは家での木下さんの姿でしょ。それを学園でやったら木下さんにひどい目にあうと思うよ。」
「う、うむ。そうじゃな・・・・・」
秀吉は歯切れ悪い返事をした。やっぱり人って表裏があるんだね。
そして秀吉は木下優子の声に声を変え、Cクラスの前に来た。念のため明久と友也も着いてきた。
「では行ってくるのじゃ。」
「頑張ってください、秀吉君。」
「ファイト!」
秀吉はCクラスの扉を勢いよく開ける。
『貴方達、いくらなんでも卑怯じゃない?』
『な、なによ急に!』
『とぼけるつもり?昨日の手口を見せてもらったけど恥ずかしくないの?仮にも貴方達Fクラスよりも頭がいいんでしょ?それをあんな方法で潰すなんて・・・・・・・卑怯以外何を言ったらいいってわけ?』
『うっ・・・・・・』
『言い返せないんじゃない!そんな卑怯なことするくらいなら正々堂々戦いなさいよ!』
秀吉はそう言うと扉を勢い良く締め隠れる。
「お疲れ、秀吉。」
「うむ、さすがに今の言葉を吐いたのはちと度胸が必要だったぞい。」
『キィ~~~~~~~!あんなこと言われてただ済むと思うんじゃないわよ!FクラスよりAクラスを潰すわよ!』
Cクラスの小山さんの声が外でも良く聞こえてくる。
「秀吉、一応木下さんにもメールでのこと伝えておいたほうがいいよ。保険として。」
「す、すまないのじゃ。」
開始時刻となりFクラスとBクラスの廊下での攻防戦が繰り広げられていた。前線を友也が切り開いていく。
「Jan Stardust!」
Bクラスの召喚獣が3体ほど消滅した。
「今です、姫路さん。」
「は、はい!」
朝からなんだか元気が無かった姫路が智也の指示でBクラスの教室に入ろうとしたときであった。姫路が突然止まった。明久はBクラスの中を覗いてみるとそこには机の上に腕組みをしピンクの手紙を持っている根元の姿があった。
その瞬間、明久の脳裏にあの手紙の記憶が蘇える。
Dクラスの三人がダークガルベロスにダークライブする前にFクラスの教室で姫路が誰かに宛てて書いている手紙であった。明久はその手紙の一文を見て姫路にこう言った。
『その人に思いが届くといいね。』
明久がそう言うと姫路は顔を紅くしながら返事をした。
そうか、そういうことか。
明久は拳を爪が食い込み血が出るまで握った。
「姫路さん。」
「よ、吉井君!」
「体調が悪いんでしょ?ここは少し僕に任せてくれないかな?」
「え?」
「友也!」
明久は友也を呼ぶ。
「少しの間姫路さんを見ていてもらえないかな?僕は少し雄二所に行って来るから。」
「わかりました。(これは結構怒っていますね。拳から血が出ていますよ。)」
明久はFクラスへ掛け走った。
「雄二!」
「なんだ明久?急に戻ってきて。」
「雄二に少し頼みたいことがあるんだ。」
「なんだ?」
「僕に根本君を討ち取らせてくれないかな?」
「なんだと!」
「僕はあいつを許せない。だから頼む!」
明久の真剣な眼差しを見た雄二は口元を緩める。
「いいだろう。だが失敗したら容赦しないぞ。」
「言われなくても!」
明久はFクラスを出て行った。
「ただいま!」
「お帰りなさい、明久君。どうするつもりですか?」
「僕が片をつける。手出しをしないで。」
「了解しました。」
「ま、待つのじゃ!」
明久と友也のやり取りに秀吉がツッコム。
「お主一人では危険じゃ!せめてわしも「秀吉!」っ!!」
明久は笑みを浮かべ言った。
「信じて。」
そう言って明久はBクラスの扉を勢い良く開ける。
「Fクラス吉井明久!この場にいるBクラス全員に化学で試召戦争を仕掛ける!試獣召喚!」
「Fクラス 吉井明久
化学 426点 」
『なにぃぃぃぃぃぃぃ!』
Bクラスの生徒全員が驚くのも無理はなかった。しかし、今日の明久は違う。なぜなら彼は今日、少し本気を出してこの戦いに望んだからである。
『試獣召還!』
「Bクラス生徒 12人
化学 平均153点 」
「相手は一人だ!数で押せ!」
根元の指示が飛びBクラスの生徒が攻めてくる。明久は召喚獣にスパークドールを渡す。
「ウルトライブ!ディノゾール!」
明久の召喚獣はディノゾールにウルトライブする。
「いけ!」
「な、舐めるな!」
「み、見掛け倒しだ!」
Bクラスの生徒3人ほどがディノゾールに接近する。その刹那、召喚獣3体が消滅する。
「な、なんだ!?」
「わ、わからんがサイドから接近するぞ!」
両サイドから残りの9人が攻めてくる。だがディノゾールに接近しようとした瞬間に消滅した。
「後は根本君、君だけだ!」
「くっ!試獣召喚!」
「Bクラス 根元恭二
化学 209点」
「根本君、なんで僕が怒っているかわかる?」
「な、なんでだよ?」
「一つはFクラスの教室を滅茶苦茶にしたこと。そしてもう一つは・・・・・・・人の物を奪ったことだ!僕は君を全力で叩きのめす!」
その瞬間、明久の右手の甲のライブサインと召喚獣のギンガスパーク、そして明久のギンガスパークが共鳴する。ディノゾールは自動的にライブアウトし、元の姿に戻った。
「な、なんだ・・・・・」
明久の召喚獣のギンガスパークのクローが開き、ウルトラマンンギンガのスパークドールが出てくる。
(そっか、応えてくれるんだね、ギンガ!)
明久の召喚獣はウルトラマンギンガを掴みライブサインを読み込ませる。
「ウルトラーイブ!ウルトラマンギンガ!」
その瞬間明久の召喚獣が銀河に包まれる。
「な、何なんだ一体!?」
「これは・・・・・まさか・・・・・」
「どうなってるのじゃ・・・・・」
銀河の中から現れた体中に水晶体を身に付けた赤と銀の巨人、ウルトラマンギンガが姿を表した。
「な、何段だよこれは!」
「君に教える義理は無いよ!」
ギンガは根元の召喚獣に向かい掛け走る。根元の召喚獣はギンガに剣を突こうとする。ギンガは残像を残しながら根元の召喚獣の後ろに立つ。
「なっ!!」
根元の召喚獣が後ろを振り向くとギンガは右ストレート、左裏拳、右肺キックを根元の召喚獣に喰らわせる。ギンガは根元の召喚獣を掴み宙に高く上げる。召喚獣自体に重さは無いので通常の落下速度よりもゆっくり落ちている。ギンガは地面を跳び、そして根元の召喚獣に向け飛ぶ。
「しょ、召喚獣が飛んでいるだと!」
誰もが驚いた。普通召喚獣が空を飛ぶことなど無いからである。
「く、来るな来るな来るな来るな来るな!」
根元は断末魔の叫びを発する。
「一気に燃やしてあげるよ!」
ギンガは空中で腕をクロスさせる。ギンガの水晶体が赤く発行し、ギンガが右拳で殴る体勢に入るとギンガの身体に炎が纏われ、ギンガの周りに燃える隕石が現れる。
「喰らえ!ギンガファイヤーボール!」
ギンガが右拳を突き出すとギンガの周りを飛ぶ隕石が根元の召喚獣に向け発射される。隕石は全て根元の召喚獣に命中し、根元の召喚獣は消滅した。ギンガは明久の左肩に着地する。
「Bクラス代表の根元恭二君が負けたことに試召戦争はFクラスの勝利です。」
Fクラスの皆が歓声を上げた。
昨日動画サイトで知ったんですけどGAROの新作が翌年の4月から放送されるみたいです。私自身GARO好きなんで見たいです。もしかしたら主人公の雷牙は鋼牙の息子かもしれないのかもしれませんから楽しみです。