三年生との試召戦争が終わると二年生正とは喜びを分かち合っていた。明久はその光景を屋上から見ていた。
「ようやく終わったね、タロウ。」
「ああ。コレで我々にかけられた呪いも解けるはずだ。明久、改めて礼を言う。ありがとう。」
「僕はただ自分がしたい事をしただけだよ。それにタロウと出会わなかったら僕は今ここに立っていないからね。」
明久はタロウに笑顔でそう語り掛けた。その時ギンガスパークが光りだし、明久とタロウを包んだ。明久は眩しさのあまり目を瞑ってしまう。明久が再び目を開けるとそこは白い空間であり、人間代の大きさのタロウとギンガの姿があった。
「これは一体・・・・!?」
「私が作り出したものだ。」
タロウの疑問にギンガが答えた。
「私が君たち二人に話をしたくてこの空間を作り出した。明久、ありがとう。」
「ギンガ・・・・・・うん。ねえギンガ、一つだけ聞いていいかな?」
「なんだ?」
「ダークルギエルは呪いを掛け、ギンガは解放する。二人が同じような存在じゃないかって僕は思ったんだ。」
「そこまで気付かれていたか。その通りだ。私とルギエルは元々同じ存在であった。私は変化しつつも受け継がれることを信じたがルギエルはそれが出来なかった。それが私とルギエルの分かれ道だったのだ。」
「つまり君は・・・・」
「そうだタロウ。私は未来のウルトラマンだ。君たちの時間からしてみればそう遠くない未来で会う存在だ。」
「やはりか・・・・・。」
タロウは納得した。
「ねえギンガ、呪いは本当に解けるの?」
「ああ。ダークルギエルが消えたことにより呪いは解ける。」
「そっか。よかった。」
そんな時タロウが明久に話し掛ける。
「明久、実は私達はこの戦いが終わったら君に渡そうと思っているものがある。」
「なに?」
「私達の分身だ?」
「分身?」
明久はタロウの言っている言葉の意味がわからなかった。
「私達の持っている力で私達と同じ姿のスパークドールズを君に渡そうと思う。」
「な、なんで!?」
「君はこの学園で今後試召戦争を行うことがあるだろう。君に我々の力を授けたいと思う。君ならば間違った道に使わないだろうと思う。」
「私も同意権だ。明久、君とは一年ちょっとの付き合いだが君の事はよく分かっているつもりだ。」
「ギンガ・・・・・タロウ・・・・・・うん。ありがとう。」
「明久、私の頼みを聞いてもらえるか?」
「なに、ギンガ?」
「私のギンガスパークを貰ってほしい。」
明久はその言葉に驚いた。
「私にとってこれは今や必用ではない。君が持つべきだ。それと先ほどの話だが他のスパークドールズたちも同じ思いだ。」
「ちょ、ちょっと待って!まず前者の話しについてはよくわかんない。後者はもっとわかんないよ!」
「そうだな。まず前者の方だが私は君に未来を託そうと思っている。君がこの先来るこんなんに私達の力を使ってもらいたい。後者はスパークドールズたちにとって君は特別な存在だ。君は道具としてではなく、仲間として彼らを扱ってくれた。ルギエルとの違いはそこだ。」
「・・・・・」
明久は何も言わずただ聞いていた。
「明久、コレだけは覚えておいてくれ。未来は変えることが出来る。いい方にも悪い方にも。それを決めるのは君たちだ。」
「私からも一言、というよりこれは昔A兄さんが子供たちに言ったことなのだがな。優しさを失わないでくれ。例えその思いが何千何万回裏切られようとも。」
「うん。」
明久の目の前で徐々にギンガとタロウが光の粒となり消えていた。
「明久、人生を謳歌しろ。そしてまた会う時が来たら共に宇宙を旅をしよう。」
「明久、元気でな。」
白い空間が解けるとそこにギンガとタロウの姿は無く、ウルトラ戦士のスパークドールズと怪獣・宇宙人のスパークドールズ、そしてストリウムブレスとギンガスパークだけがあった。明久は空を見てこう言った。
「皆、さようなら。」
その言葉は空に消え、そよ風が吹いた。
三年生校舎の非常階段にはムッツリーニと工藤しかいなかった。
「ね、ねえムッツリーニ君。」
「・・・・なんだ?」
「あ、あのさ!その・・・」
工藤は顔を赤くしながら指をもじもじさせ言葉を詰まらせていた。ムッツリーニはそのことを察し口を開いた。
「・・・あの時の言葉は嘘じゃない。工藤愛子、俺はお前のことが好きだがお前は嫌いか?」
「そ、そんなわけないよ!僕だってムッツリーニ君のことが好きだよ!・・・・・・・・あっ!」
工藤は無意識に自分が言ってしまったことに更に顔を赤くする。そんな時バレルがムッツリーニに話し掛ける。
「・・・康太。」
「・・・バレル、お前・・・・」
ムッツリーニはバレルが光っているのが見えた。
「・・・どうやら別れのようだ。お前と過ごした時間は楽しかったぞ。」
「・・・俺もだ。」
「・・・まあ、最後のアレは俺も驚いたがな。」
「・・・嘘を言え。」
「・・・さあ、どうかな?」
バレルははぐらかした。
「・・・お前に俺の力の一部を渡す。」
バレルはそう言うとムッツリーニの手に自分と同じ姿のスパークドールを渡した。
「・・・感謝する。」
「・・・気にするな。最後に一つだけ言わせて貰う。」
「・・・なんだ?」
「・・・二人の時間を愛しめ。」
バレルはそう言うと空に上がった。ムッツリーニはバレルのスパークドールを握り締めたまま工藤に問う。
「・・・工藤、いや愛子。」
「ナ、なに?」
「・・・付き合ってくれ。」
「っ~~~~~~~!順番逆でしょ!」
愛子はそう言うとムッツリーニにキスをした。ムッツリーニはいつもどおり鼻血を流した。
二年Aクラスで雄二と翔子はソファーに座っていた。
「ふー、終わった終わった。」
「・・・雄二、お疲れ。」
「おう。」
「・・・ねえ雄二、今度デートして。」
「おう。だがその前にやることがある。」
「・・・なに?」
「翔子、俺と付き合ってくれ。」
「・・・・・・」
その言葉を聞き翔子は涙を流した。雄二は玉ってハンカチを取り出し翔子の涙を拭いた。
「・・・ありがと。」
「気にすんな。それとこれは心配させた侘びだ。」
「・・・何を―――」
翔子はそこから先の言葉が続かなかった。雄二がその口を自分の口で塞いでいた。雄二は口を離した。
「コレで侘びだ。不満か?」
「・・・ううん、侘び以上。嬉しい。」
「おーおー、お二人さん。お熱いねー。」
マグナがワザトらしく声を上げる。二人がマグナを見るとマグナの身体は光っていた。
「マグナ、お前・・・・」
「どうやらお別れのようだな。お前にコレをやるよ。」
マグナはそう言うと自分の分身のスパークドールを渡した。
「マグナ、ありがとうな。お前がいたから俺は明久の力になれた。」
「俺のおかげじゃねぇよ。俺はただお前に力を貸した。あいつの力になれたのはおまえ自身の意思だ。頑張れよ。後女を泣かせると色々メンドクサイからもうすんなよ。じゃあな。」
マグナはそう言い残すとその場から姿を消した。
三年生校舎一階廊下では智也と佐藤が喜びを分かち合っていた。
「やりましたね、明久君。」
「ええ。」
佐藤の言葉に友也は相槌を打つ。
「ところでさっき明久君が側を通り過ぎたときに何か聞こえた気がしたのですがなんだか分かりますか?」
「さ、さあ・・・・(言えない。姫路さんのことを好きだって言ってたなんて。)」
「まあ大方告白かなんかでしょうけど。」
(分かってたの!?)
佐藤は内心驚いた。
「「友也。」」
ジャンボットとジャンナインが友也に話し掛ける。二人の身体は光っていた。
「もう時間というわけですね。」
「ああ。」
「友也、お前と過ごした時間は楽しかった。礼を言う。」
「私もナインと同じだ。それに私の弟を助け出してくれた君にはお礼がしたい。」
「だからコレを受け取ってくれ。」
ジャンボットとジャンナインは自分の分身のスパークドールを渡した。
「君と別れるのは忍びないがコレも運命だ。」
「だが、いつか友也と他の有機生命体と巡り合う時がくるかもしれない。」
「その時は一緒に話をしましょう。」
友也の言葉に二人は頷いた。
「さらばだ。」
「また会うときまで。」
そう言うと二人は消えた。
三年生校舎三階廊下で秀吉は廊下で壁に背もたれをしていた。
「やっと終わったぞい。」
「そうだな、秀吉。」
ガルムは身体を輝かせながら秀吉と話していた。
「おぬしのその身体を見る限りお別れのようじゃな。」
「まあ、そうだな。秀吉、お前にコレをやる。」
ガルムは自分の分身を秀吉に渡した。
「お前さんの演劇って奴に熱を入れていた姿は良かったぜ。」
「わしもおぬしのハンティングに対する気持ちを語る姿がかっこよかったのじゃ。また会う時が来たらその話の続きを聞かせてくれ。」
「おう。じゃあな。」
ガルムはそう言うとその場から姿を消した。
「・・・・・・分かれるときは寂しいのう。」
学園長室ではウルトラの父とウルトラの母が別れの挨拶をしていた。
「コレでお別れとは寂しくなるねぇ、ここも。」
「彼らがいれば毎日が飽きない日々ではないのか?」
「ウルトラの父、それは悪い意味でさね。」
「おっと、そうだったな。」
そんなウルトラの父の姿を見てウルトラの母は微笑んだ。
「ケンのこんな間抜けな姿を観るのは久しぶりですね。」
「マリー、それは言わないでくれ。」
二人だけの呼び名で呼び合っている姿にカヲルは微笑んだ。
「全く、お前さんたちは末永く幸せな夫婦だね。」
「そう言ってもらえると光栄だな。」
「ええ。カヲルさん、明久君にコレを渡しておいて貰えませんか?」
二人はそう言うと自分の分身のスパークドールをカヲルに渡した。
「わかったよ。これはあいつにちゃんと渡しておく。」
「ありがとう。」
「元気でね。」
二人はそう言うとその場から消えた。
「・・・・・やれやれ、話し相手がいないと寂しくなるねぇ。」
明久がギンガとタロウとの別れを終えてすぐに姫路が屋上の扉を勢いよく開けた。
「明久君!」
「瑞希ちゃ・・・うわっ!」
姫路はいきなり明久に抱きつく。明久はそのことに驚き声を上げ、尻餅を付いてしまう。姫路は抱きつきながら涙を流した。
「ありがとうございます・・・・・・・私・・・・私・・・・!」
そんな姫路の言葉を聞くと明久はそっと姫路の頭を撫でた。
「頑張ったね、姫路さん。お疲れ様。」
「・・・・・・それは私が言う言葉ですよ。」
姫路は明久の顔を正面から見つめる。そして瑞希は微笑んだ。
三年生と二年生が繰り広げた試召戦争から月日は経ち四月。明久たちは三年生となった。今回は誰も体調不良を起こしてないため何時のもメンバーは三年Aクラス入り。それまでの間に明久争奪戦が勃発したりFFF団による不順異性好意的初があったり(大抵友也と明久がエアガンで撃退した)明久が三人と付き合う形になったりなど様々なことがあった。
そんな文月学園一年生校舎の廊下で久保利光の弟・久保良光がムッツリーニの妹・土屋陽向と一緒に廊下を歩いていた。
「ねえ良光君、試召戦争っての早くやってみたいね。」
「僕はそれよりまず勉強かな。僕は兄さんを見返したいからね。」
そんなことを話していると廊下の奥から荷物を運ぶ一人の男子生徒の姿があった。
「あれ?久保君の弟で確か・・・・・良光君だっけ?」
「ん?あっ!吉井先輩!」
荷物を運んでいたのは明久であった。
「あの・・・・それは?」
「ああこれ?ちょっと西村先生から頼まれて―――」
「それじゃなくてその鞄と腕に付けている物です。」
良光が指摘したのはスパークドールが入った鞄とストリウムブレスであった。
「これ?ちょっと試召戦争で入るのもだよ。」
明久たちが話していると外野がざわつき始めた。
「おい、アレって噂の吉井先輩じゃないか?」
「えっ!あの変身する!」
「俺は怪獣をたくさん操るって聞いたぞ。」
「俺は三年生の大軍を一人で蹴散らしたって聞いた。」
他者多様の話が飛び交う。
「なんかすごい噂ですね。」
「う~ん、半分正解半分間違いなものがほとんどだけどね。あ、そっちはム・・・じゃなくて康太の妹の・・・・・」
「土屋陽向です。」
「陽向ちゃんね。文月学園に入ったんだ。」
「はい。面白そうなので入ってみようかと。」
「成程ね。あ、そうだ二人とも。入学式のときに面白いデモンストレーションがあるから楽しみにしておいてね。」
明久はそう言うと観察処分としての仕事に戻った。
『面白い・・・・・・』
『デモンストレーション?』
明久の言葉を聞いた一年生一度王は首を傾げた。
入学式の時間となり体育館には三年生と一年生が入っているのだが、どういうわけか全員両サイドに座らされていた。
「この学園ってこんな入学式なの?」
「注目されているからってこんなことする?」
「やりすぎて失敗ってパターンじゃないの?」
そんな言葉が飛び交う中雄二がスピーチを始めた。
「あー、三年Aクラス代表の坂本雄二だ。本来ここには俺じゃなく別のヤツが立っているんだが生憎そいつは面倒だからという勝手な理由でやりたがらない結果俺が立っている。無駄話をしてすまない。
今日の入学式を俺はお前立ち退き奥に残るものにしたいと思う。今までの学校の入学式と来たらどうだ?ただ校長の長い話を聞いて校歌を聞いて眠くなって終わるだけじゃつまらないだろう。そこでさっき俺が言ったバカに無茶な戦いをしてもらうことにした。おい明久、出て来い。」
「雄二、もう少しマシなスピーチしてよ。」
そういいながら明久は体育館中央に出てくると三年Fクラスの生徒が欲望のままに従うかのような目で体育館中央に現れる。
「あいつを倒せばAクラスに入れる!」
「やってやるぞ!」
欲望のままの姿に一年生生徒は引く。
「ははは・・・・西村先生。お願いします。」
「わかった。これより特別ルールによる試獣フュージョンフィールドを主任する!」
『『『試獣フュージョン!』』』
フィールドの中にいる三年Fクラスと明久は召喚獣の姿になる。
「いくよ!」
明久は懐からギンガスパークを取り出すと右手に持ち親指と人差し指でギンガスパークのクローを開きウルトラマンギンガのスパークドールを呼び出す。明久はそれを左手で掴むと鉢の字を描くように回しライブサインを読み込む。
〈ウルトラーイブ!ウルトラマンギンガ!〉
「ギンガ――――!」
明久はウルトラマンギンガにウルトライブする。
「出し惜しみ無しだよ!」
明久はストリウムブレスのレリーフを回転させる。
「今こそ、一つになる時!」
ギンガはストリウムブレスをギンガスパークに読み込ませる。
〈ウルトラマンタロウ!〉
「ギンガに力を!ギンガストリウ~ム!」
ギンガはギンガストリウムへと変身した。
「さあ、行くよ!」
ギンガストリウムは三年Fクラスに向かい走り出した。
こんなのが私なりの終わり方です。