早朝、明久は日課を終えいつもどおり朝食を取っていた。
「おはよう、明久。」
「おはよう、タロウ。他の皆は?」
「実は昨日ウルトラ念力でカレーを作った際に疲れてしまってな。」
「あはは・・・・」
明久は苦笑いする。
(そ、そこまでしてもらってたんだ。)
「ところで今日はBクラスと戦うのだな?」
「うん。雄二の考えを少し予想してみたんだけどDクラスに勝ったからってAクラスに勝てるとは限らないでしょ?」
「そうだな。」
「でもAクラスに近いBクラスに戦いを挑めばAクラスも勝てるって思える気がしない?」
「うむ、確かにそうだな。」
「でも少し問題が・・・・・・」
「なんなんだ?」
明久が歯切れ悪そうに話していることにタロウは疑問を抱く。
「代表が根本君なんだ。」
「根元・・・・・もしやあの!」
「そう、根元恭二。卑怯なことをすることで有名なね。彼は自分の保身のためならどんな卑怯なこともいとはないつもりだよ。」
「そうなると少し敵の数を減らした方がいいな。彼を守るために何人もの生徒が立ちはだかるだろう。」
「うん、気をつけるよ。あっ!ところで昨日気付いたんだけど――――」
時間は過ぎ場所は変わって文月学園Fクラスの昼休み。本日のBクラス戦に向けBクラス及びFクラスで回復試験が行われた。Fクラスの大半の生徒は頭をいつも以上に使いすぎて心なしか頭から湯気を出している。ちなみに今回の宣戦布告の使者は僕と友也。少し相手を押さえつける形で恨みを最小限に買わないように気を使いそのまま帰った。
「明久君、お昼は何処で取るつもりですか?」
「そうだね・・・・今日は屋上にしようかな?」
明久と友也が話していると雄二達が入ってきた。
「おっ!なんだお前ら屋上で飯を食うつもりか?」
「そうだけど・・・・・雄二たちも?」
「今日は気持ちよさそうじゃからワシ達も一緒に食べようかの。」
「・・・・・・一緒にいいか?」
「いいよ。友也もいいでしょ?」
「別に構いません。それに大勢で食べるとおいしいそうですし。」
姫路と瑞希話しに加わってきた。
「なになに?アンタ達屋上で食事するの?」
「そうだけど・・・・・・美波も姫路さんのどう?」
「いいわよ。ね、瑞希。」
「はい。一緒にお食事させてください。」
こうして一緒に食事を取ることになった。
雄二は少し遅れるといって明久達は先に屋上で食事を取っていた。
「あれ?アキのその弁当どうしたの?」
「ああこれ?自分で作ったんだよ。」
「「嘘ね(ですね)。」」
姫路と美波がいきなり否定した。
「ちょ、ちょっと二人ともそんなこと言うってひどくない!?」
「だってアキが料理得意って・・・・・」
「少し考えられませんね。」
「確かに明久君の見た目では創造出来ないでしょうが結構料理はおいしいいですよ。」
友也がアシストする。
「・・・そういう姫路も弁当か?」
「は、はい。今日は少し頑張って作ってきました。」
姫路は弁当箱を開ける。見るからにおいしそうなおかずが見える。その弁当をムッツリーニがつまみ食いする。
「あっ!ムッツリーニ!」
「つまみ食いとは行儀が悪いぞ。」
バタッ!
『!!』
突如ムッツリーニが倒れたことに皆は驚く。しかしムッツリーニは立ち上がり親指を立てるが足はガクガク震えていた。そしてまた倒れた。
「・・・・・姫路さん、このお弁当って味見した?」
「い、いえ・・・・その・・・・・味見すると太ってしまうので・・・・・・」
「姫路さん、少しこれ食べてみて。」
「は、はい。」
友也に言われ姫路は箸を使いおかずを一つ食べる。しばらくして姫路は倒れる。
「み、瑞希!」
美波は姫路に駆け寄り身体を揺らす。しばらくして姫路は置き手を口で押さえた。友也は何も言わず紙袋を渡す。姫路は気を使い人目のつかないところでリバースする。その後で口の中をうがいし明久達の元に戻ってきた。
「大丈夫、姫路さん?」
「は、はい・・・・すこし大丈夫じゃないです明久君。」
「姫路さん、調味料に何を入れたの?」
友也が姫路に問う。
「えっと・・・・・塩気が足りなかったので塩酸を・・・・・・」
「塩気が足りないなら塩を入れればいいです。察するに料理を作った経験が少なかったのでしょう。明久君に少しずつでいいですから教えてもらえば上達していくお思います。後、塩酸は身体に毒です。」
「す、すみません。」
「あとで土屋君には謝っておきましょう。さあ、気を取り直して食事にしましょう。明久君は姫路さんにご飯を分けてあげてください。」
「う、うん。友也、少し怒ってない?」
「気のせいです。」
・・・・・・・・こういう友也って一番恐いんだよね。
その後明久の料理を食べて姫路や瑞希が自信喪失したのは言うまでも無い。