バカとギンガと召喚獣   作:ザルバ

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二年生VS三年生と怪力の蛾

 一週間後の文月学園、二年生VS三年生大戦日当日。二年生の生徒たちはこれまでに無いほど真剣な顔でいた。各々の慣れ親しんだクラスで括弧に作戦の説明が代表から告げられる。

「さて、今回は混同班だ。知っての通りFクラスには成績は伸びていないが技量が伸びた連中が多い。それを考慮して俺たちも戦力は分散する。それと大事な事だが作戦は俺の提案は今受け入れられない。」

「雄二、理由を説明してくれない?」

「簡単に言うと根元の元彼女の小山のじゃなく俺に振り向いている。それを根に持ってた根本がいるため作戦の向上の為俺の意見は無視された。」

「要約すると根本君一人のために雄二が犠牲になったってこと?」

「まあそういうことだな。」

 その言葉を聞くと明久と友也は頭が痛くなった。

「まあ気にすんな。どうにかなるかっら。大まかに作戦説明するとこっちは旧校舎で奴さんたちは新校舎だ。どちらとも四階に本営がある。ひとまず四階を目指す戦法だ。」

「そんなのでいいのかの?それに四階の渡り廊下で上位クラスが先頭いて他のクラスが介入する暇無く戦争が終結しそうな気がするのじゃが。」

 秀吉が見取り図を見ながら言うと雄二が補足説明をする。

「安心しろ。そういう状況にならないように渡り廊下は規制線が張られている。」

「なるほどのう。」

 秀吉は納得すると今度は友也が質問する。

「坂本君、この戦争で本陣から代表は前戦に出られないんですよね。」

「まあな。だが今はそんなことどうでもいい。集合場所は校庭だ。さっき言った班はそのメンバーと合流しろ。」

 雄二の指示に返事し皆は校庭に移動した。

 

 雄二の指示に従い明久、美波、秀吉、ムッツリーニは雄二と同じ第九班に配属され、同じ班員の元に向かった。

「お姉様!」

「美春!・・・・・あれ?」

 久々に美波に絡んできたDクラスの美春。だが抱きつこうとせず歩み寄ってきていた。

「あ、吉井明久・・・・・・お久しぶりですね。」

「う、うん・・・・・久しぶり。」

 明久にも普通に接している美波。そんな中、第三者が絡んできた。

「アキちゃん!良かった一緒の班で!」

「あ、玉野さん!」

 美春と同じDクラスの玉野が明久に絡んできた。ちなみにアキちゃんは明久が清涼祭で女装した途端ムッツリ商会から広がった影響で通称“アキちゃん”が広まった。玉野はその一人である。

「アキちゃん、これ着てくれない!このメイド服!きっと!いや絶対着たら可愛いもの!」

「あ~折角だけど丁重にお断りさせてもらうよ。今はそれどころじゃないからね。」

「む~、うん!アキちゃんがそういうのなら!」

「あ、それより玉野さんの召喚獣の武装は?」

「ん?気になるの!私の召喚獣は魔法使いみたいな召喚獣でね、武器は杖なの!」

 それを聞くと明久は考える。

「そっか・・・・・ありがとう。」

「う、うん・・・・・・どうしたの?」

「ちょっとね。美春さん。」

「なんですか?」

「美春さんの召喚獣の武装ってどんな武装?」

「中世の騎士をモチーフにしたもので大剣を武器としています。」

「双剣?」

「ええ。」

「となると遠距離方はうちの班ではいなか。僕以外。」

 明久は雄二に提案を出す。

「雄二、ちょっと考えたんだけどいいかな?」

「なんだ明久?」

「雄二は前戦に出れないでしょ。だったら僕と美波と美春さんと玉野さんが前方に出て雄二の守りをムッツリーニと秀吉に任せてもらうって案。」

「成程な。他のクラスは第二障壁として利用して最終防衛ラインはこの二人にってワケか。」

「そゆこと。いいかな?」

「問題ないな。A、B、C、D、Fはこの間の試召戦争で慣れているが他は慣れていねぇ。そういう面で考慮したら技量の高く戦力が強いヤツらを前戦に出した方が効率的だ。」

 こうして明久たちが前戦に出る形になった。

 ちなみに友也は佐藤さんと同じ班である。

『――これより、文月学園第二学年・第三学年対抗試召戦争を行います。』

 丁度話し合いがおわった途端に校舎や各グラウンドに設置している大型スピーカーからアナウンスが流れてくる。

「いよいよだね。」

「ああ。待ちくたびれた!」

『各自ルールを守り、学生らしい行動を心がけて下さい。それでは―――始め!』

『『『試獣召喚!』』』

「二年Fクラス 吉井明久 VS 三年Dクラス生徒×3

        2551点    平均204点  

国語      島田美波    三年Eクラス生徒×5人

        67点     平均110点

二年Dクラス 清水美春    三年Cクラス生徒×4人

       211点     平均155点 

       玉野美紀

       177点                 」

「これで行く!」

明久は召喚獣にスパークドールを渡す。召喚獣はスパークドールのライブサインをギンガスパークに読み込ませる。

〈ウルトライブ!ドラゴリー!〉

 明久の召喚獣はドラゴリーにウルトライブする。

「なんだあれ?」

「牙あるよね。」

「獣?」

「にしちゃ皮膚変じゃないか?」

「あ、ちなみにこれベースは蛾です。。」

「「「いやぁああああああ!」」」

 それを聞いた三年生の女子は悲鳴を上げる。

「美春さん、フォローよろしく!」

「わかりました!」

 ドラゴリーは召喚獣に接近するとそのまま召喚獣の顔面を片手で掴む。ドラゴリーの握力に召喚獣の顔が前詠芸術のような形になるとドラゴリーは召喚獣を投げ捨て清水の召喚獣が止めを刺した。

「一つ!」

 ドラゴリーを右から三年生の召喚獣が槍で突こうとしてくるがそれを清水の召喚獣が体験で突き刺すと後ろから美波の召喚獣が飛んできて首を斬り落とす。」

「二つ!」

美波の召喚獣を後ろから剣で襲ってくる三年生の召喚獣を玉野の召喚獣が杖で止めるとドラゴリーが三年生の召喚獣に噛み付き、そのまま喰いちぎった。

「「三つ!」」

ドラゴリーが三年生の召喚獣を両手で捕らえると捉えた召喚獣の後ろから清水の召喚獣が三年生の召喚獣を突き刺す。

「そのまんまでお願い!」

「わかりました!」

 ドラゴリーは両腕を掴むと思いっきり引き裂いた。」

「秘儀!ドラゴリー三枚おろし(物理)!」

 三枚におろされる召喚獣。地味にグロイ。

「「四つ!」」

「チェンジするからお願い!」

 明久はスパークドール陽の鞄の中からスパークドールを取り出し召喚獣に投げ渡す。ドラゴリーからライブアウトすると明久の召喚獣はドラゴリーのスパークドールを明久に投げ渡す。

〈ウルトライブ!マハゲノム!〉

 明久の召喚獣はマハゲノムにウルトライブする。

 美波と玉野の召喚獣が三年生の召喚獣に攻撃を受けていると後ろからマハゲノムが突進してくる。二人の召喚獣は左右に散会するとマハゲノムが三年生の召喚を吹っ飛ばした。

「「「五つ!」」」

 マハゲノムを倒そうと四方から攻撃してくるが三方を美波、清水、玉野の召喚獣が立ちふさがり各個に倒す。マハゲノムも怪力を用いて敵の召喚獣の武器を破壊し倒した。

『九つ!』

 次々と倒されていく三年生人はうろたえてしまう。

「な、なんだこいつら!」

「本当に二年生か!」

「てかあの観察処分の吉井明久って奴強いぞ!」

「次はこれでいくよ!」

 そんなことを気にも留めず明久は鞄の中からスパークドールを取り出すと大部アウトした召喚獣に投げ渡す。

〈ウルトライブ!ゲオザーク!〉

 明久の召喚獣はゲオザークにウルトライブする!

「美波!清水さん!玉野さんも!」

 明久は三人にスパークドールを投げ渡す。三人が受け取ると三人の召喚獣にギンガライトスパークが手に握られていた。

「やってやるわよ!」

〈ウルトライブ!ガルラ!〉

「お姉さまのサポートをします!」

〈ウルトライブ!アルギュロス!〉

「アキちゃんの頼みならやってあげるわ!」

〈ウルトライブ!レイキュバス!〉

 美波はガルラ、清水はアルギュロス、玉野はレイキュバスにウルトライブする。

 ゲオザークが地中に潜ると背びれだけを出して召喚獣の足を掬う。そこをレイキュバスが接近し右のはさみで攻撃する。レイキュバスを後ろから攻撃しようと三年生の召喚獣が接近してくるがガルラが身を挺して防ぐ。ガルラの頑丈な身体に武器が折れるとアルギュロスの右腕のキャノン方が火を吹き召喚獣を打ち抜いた。ゲオザークが地上からいきなり飛び出て召喚獣を倒していく。

 しばらくすると明久たちに敵対していた三年生の召喚獣は全て消滅し、補習室送りになっていた。明久は三人からスパークドールを回収する。

「お疲れ。後衛の部隊と交替して休めって雄二が。」

「わかったわ。にしても以外に集中力使うわね。」

「そうですね。私がお姉さまを疲れを揉み解しましょうか?」

「遠慮しとくわ。解さなくていいところも解しそうだから。」

「じゃあアキちゃん、女装して!」

「だからまだ戦争中だって。」

 そんな漫才をしながらムッツリーニたちのいる方へ合流する。

「・・・・お疲れ。」

「お疲れなのじゃ。」

「どーも。雄二、他の戦況は?」

「こっちと比べてまだそう動いてない。お前らが動きすぎて逆に心配になってくるがな。」

「大丈夫だって。冷静に対処すれば。」

「競争意識があるとそれを失くすがな。」

「あ、それもそうか。」

 明久はポンと手を叩いて納得する。そんなところに工藤が話し掛けてきた。

「あ、吉井君たちじゃん!」

「工藤さん。そっちはどう?」

「こっちはそっちほど成果無いよ。やっぱり吉井君がいないからじゃないからかな?」

「そんなこと無いよ。工藤さんたちだってすごいじゃないか。」

「明久君に言われてもね~。」

 明久の点数の時点でもはや怪物級である。そんな時清水が工藤に目を付けた。

「ほっほ~。お姉さまとは違いますがこれはまたよい身体で。」

「・・・・・へ?」

「もしやアナタもそっちの人では?」

「な、なんのことかな?君が何を言っているのか僕には―――」

「おおっ、僕っ子ですか!いいですね~。」

 そう言うと清水は工藤の身体のいたるところを触りまくる。

「いや、ちょっ!」

「いいですねいいですね!そうやって抗われるとむしろそそられてヤりたくなりますよ!」

 清水に弄られている工藤の姿を見てムッツリーニは鼻血を噴きながらうつぶせに倒れていた。

「・・・・・・先に逝く。」

「ちょ、ちょっと!助けてよムッツリーニくーん!」

 工藤の叫びが響いた。そして小さな声で工藤はこう言った。

「・・・・・・・ムッツリーニ君のバカ。」

 


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