バカとギンガと召喚獣   作:ザルバ

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リベンジ Aクラス戦 その二

 明久と友也が退いた後も双方押されず時間は経ち昼休みとなった。前線からの話しで久保が防衛力としての役割が強く五人が補習室送りになった。

「そうじゃったのか。久保がそこまでの強さとは。」

「あの突破力は尋常じゃねぇ・・・・」

「・・・・まるで猛戦士。」

 明久たちはお弁当を一緒に食べるため机をくっつけてつつ、先ほどまでの試召戦争の久保の話をしていた。

「久保君は確か腕輪能力が光線だったよね?分散すれば避けられる可能性だったあるしいっぺんにやられる可能性は低いはずだけど・・・・・・・」

「聞いたところによると一ヶ所に固まっていたそうですよ。」

 友也のその言葉を聞いて明久は頭を抱えた。

「あれほど一ヶ所に固まったら僕のスパークドール様な相手には餌食になるといったのに・・・・・・・・・」

「しっかりしろー、明久。」

「こういう学習能力がないのはいつものことじゃ。」

「いつもじゃダメでしょ。」

 呆れている雄二と英世に明久はツッコミを入れる。ツッコミを入れた明久は自分で造ったお弁当のおかずを口に入れる。そんな姿を姫路はじっと見ていた。

「姫路さん、食べる?」

 明久はそう言うと箸を逆さにして卵焼きを掴む。

「い、いえ!美味しそうに食べているのでその///////」

 姫路は顔を赤くする。

 そんな時コンコン、とドアを叩く音が聞こえてきた。

「失礼します。こちらにいる姫路瑞希さんという方にお会いしたいのですが。」

 明久たちに憶えの無い声が聞こえてきた。

「失礼します。」

 男子、おそらく三学年の美景男子と一緒に入ってきたのは肝試しでお世話になった小暮先輩であった。Fクラス男子全員美景男子の人に非難中傷を浴びせるが小暮先輩が来た途端、手のひらを返すように態度を変えた。

「吉井君、この前は凄かったですね。」

 小暮先輩はそういいながらスカートのすそを捲り上げる。

「小暮先輩、ここは舞踏会の場所でも追う旧貴族のお屋敷でも無いのでそんなことしなくてもいいですよ。」

 明久がそんなことを言うとこぐれ先輩は驚いた顔をする。

「まさかこの手が通じないなんて・・・・・」

 小さい声で言っているため明久には聞こえないが悔しがっているのだけはなんとなく分かる明久であった。そんな中Fクラスの生徒は鼻血を噴いて倒れているものがいた。

「・・・・・・小暮嬢、貴女がいらした方が余計に話が進まない気がするのですが。」

「あら、ごめんなさいね高城君。からかいすぎてしまったようね。吉井君には効かないみたいだけど。」

「すみません、小暮先輩に高城先輩。姫路さんを探しにきたということはどういう用件でしょうか?」

 友也が冷静に対処する。

「はい。彼女に話があるのでこちらに伺ったのですが、どうやらいらっしゃらないようですね。」

 高城の言葉に明久もあたりを見渡すが姫路の姿が見当たらなかった。

「姫路さんに話ですか?アナタたち二人が?」

「いえ、話自体は一人で十分なのです。」

「じゃあなんで?」

 明久が高城の行動に疑問を抱く。

「小暮嬢があなた一人で行動しない方がよろしいとさんざん言ってくるので・・・」

「あのー、すみません。さっきから気になってたんですけど高城先輩ってその慇懃な喋り方なれて無い気がするのですが・・・・・」

「ええ。この喋り方の方が賢く見えると小暮嬢の指示で――――」

『・・・・・・』

教室内に一瞬の静寂が訪れる。

「高城先輩、もしかして・・・・」

「違うわよ吉井君。高城君はこう見えても三年の学年主席よ。」

『三年の学年主席!?』

 小暮のその言葉に一同(明久と友也以外)驚いた。

「明久君、アレですね。悪く言ったら紙一重。」

「よく言ったら騙され上手。」

「なんだか私のことを侮辱されているのは気のせいかな?」

「「いいえ。」」

「そうですか。ならばよかったです。」

 この時一同、同じことを思った。

(この人天才で馬鹿だ。)

 と、その時姫路が戻ってきた。

「すみません、自販機の方が混んでてて・・・・・・・・・て、なにがったんですかこの教室!」

 鼻血まみれの教室に姫路は驚きを隠せず声を上げた。

「ご機嫌麗しゅう姫路瑞希嬢。学園長のお話で少々伝え忘れたことがありますので、こうして教室に伺いました。」

「た、高城先輩!そうしてここにいるんですか!?」

「失礼致しました。こうして伺うのがご迷惑でしたでしょうか?」

「あ、あの、その・・・・・・」

「姫路さんはアポ無しでの訪問に驚いたんだよね?」

 明久が姫路にフォローを入れる。

「え?あ、はい。」

「そうでしたか。では今度こちらに来る際には前もって言って置きます。」

 その時昼食終了のチャイムが鳴った。

「あ、早く食べないと。そういうわけで高城先輩、今日はここまでで。」

「分かりました。では姫路瑞希嬢、またの機会に。」

「失礼します。」

 高城先輩と小暮先輩は教室を後にした。

 

 午後となり明久は前線で久保と戦っていた。

「さすが吉井君だね。こうも攻撃を受け止められたら削ろうにも削れないよ。」

「それはお互い様だよ。」

「二年Aクラス 久保利光 VS 二年Fクラス 吉井明久

 生物      433点           3122点 」

 久保の召喚獣に対し明久はザムシャーで太刀打ちしているのだが一向に点数を削れてはいなかった。久保の召喚獣は両手に大きな鎌を装備している悪魔をモチーフにした召喚獣であるが前回と違い柄の部分に鎖が付けられ繋がっている。鎖を使って刀を取り上げようとしたりするので明久も苦戦していた。

(ライブアウトした再度ウルトライブしてたら殺られる。なら!)

「少し大雑把に行くよ。」

 久保の召喚獣はザムシャーと距離を取り腕輪の能力を発動させ明久に光線を放とうとする。その隙を見計らった明久は自身が持っている腕輪の能力を発動させた。

「召喚獣複製(コピー)!」

 明久の召喚獣は自動的にライブアウトし似たいに分かれると明久は二体のスパークドールを投げ渡した。そして明久の召喚獣はギンガスパークにライブサインを読み込ませる。

〈ウルトライブ!ベムスター!〉

〈ウルトライブ!ガンQ!〉

 召喚獣はベムスターとガンQにウルトライブした。ベムスターが前に出て腹の口で光弾を吸収するとガンQが大きい目から光弾をお返しする。久保の召喚獣はその場から跳んで回避する。

「吸収系!そんな隠し技まで持ってたんだね。」

「でもこれが通用する相手は限られてんだよね。」

 ベムスターとガンQの光線技を放ち久保を追い詰めると後ろから秀吉が来た。

「明久よ!」

「わかった!よろしく。」

 明久が交代すると同時にFクラスの男子が久保と戦闘を開始した。

 一方明久はムッツリーニと一緒にBクラスの教室に入った。

 作戦は明久がムッツリーニに試召戦争を仕掛けてそのドサクサに壁を壊して霧島に試召戦争を仕掛けるものである。

「試獣召喚!」

「二年Fクラス 吉井明久 VS 二年Aクラス 木下優子

 古典     2601点            503点 」

「・・・・・・・・読まれてたか。」

「ええ。代表が気付いてたの。坂本君ならこうするってね。」

 微笑む有子二明久は口元が歪んだ。

「どうしたの?」

「残念だけど僕らの勝ちだよ。」

「はい?」

 優子は明久の言っていることがわからなかった。

「もういいよ、秀吉。」

「うむ。正直ムッツリーニのカツラはちと重いのじゃ。」

 秀吉はそう言うとカツラを取った。

「秀吉!じゃあそこにいた秀吉は・・・・・・・しまった!」

「逃がさないよ。」

〈ウルトライブ!ザムリベンジャー!〉

 明久の召喚獣はザムリベンジャーにウルトライブする。

「そんなのに!」

 優子の召喚獣はザムリベンジャーに槍を突こうとするがザムリベンジャーはその前にミサイルを発射して結うこの召喚獣の足を止めると一気に距離を詰め打撃を与える。

「そんなのアリ!」

「アリだよ!」

 ザムリベンジャーが至近距離で破壊光線を放とうとした途端試召フィールドが収縮し始めた。

『・・・・・・・・・え?』

 一同驚きを隠せなかった。明久はとりあえずどうしてこうなったのか分からないため二年Aクラスに入った。明久に続き優子、秀吉、姫路も入ってきた。

「雄二!これどういう状況!」

「俺が知るか!」

 その時小暮全廃と高城先輩がAクラスに入ってきた。

「失礼します。」

「高城先輩に小暮先輩・・・・・・」

「ご機嫌麗しゅう、吉井明久君。」

 何故二年の試召戦争の最中に三年が入ってきたのか理解で気無い状況を小暮が口を開いて説明する。

「二年Aクラス、並びにFクラスの皆様。勝負の最中に申し訳ありません。実はお伝えしたいことがありましてこうしてお邪魔いたしました。」

 胸に手を当て一礼すると顔を上げ信じられないことを口にした。

「我々文月学園第三学年は第二学年に試召戦争を申し込みます。

『・・・・・・・・・・はい?』

 一応首を傾げた。そんな中明久が小暮に質問した。

「あの~、お聞きしたいんですけどこっちが勝った場合のメリットは?」

「そちらが勝った場合三学年のA、B、Cクラスの設備をそちらに明け渡します。」

「デメリットは?」

「こちらのD、E、Fクラスの設備を使ってもらいます。」

「つまりこっちが勝てば二年及び三年のA、B、Cクラスの設備が使えて負ければ使えずD、E、Fを使うって事ですか?」

「はい。」

 小暮のその言葉を聞いてFクラスの生徒は激怒する。

『ふざけんなぁぁあああああああああ!!!!!』

 FクラスだけでなくAクラスも同意見であった。

「お前ら今期になって遊んでばっかじゃねえか!!」

「そんなんなら俺たちに譲れってんだ!」

 そう言ってきたのは常夏コンビであった。

「常村君。夏川君。そう言った言動は控えて下さい。二年生飲み増様も静粛に。詳しい話は学園長にお願いします。」

 高城に促され学園長が出てきた。

「アンタ達、納得いかないのはよく分かる。でもさね、この話は前々からあったんだよ。」

「というと?」

「うちの学校は海外に姉妹校があってね、そこの学校でも学年全体で戦わせたほうがいいんじゃないかって話が合ったんだよ。」

「その前に金の賭け方の問題をどうにかしたほうがいいのでは?」

「辞めちまった(逮捕された)あいつに言ってくれ。そんであんなたちFクラスが手に入れたらまた戦争が起きんだろ?」

「あ~、どうせ長引くなら腹いっぱいって程戦わせて興味をなくすって作戦ですか。」

「まあそういうことさね。」

 明久は学園長の考えが分かった。

「だってさ雄二。」

「成程な。正直思いっきり裏山にスコップと釘バットを持って学園長を肉の塊にして埋めたいところだが・・・・・・・・・いいだろう。乗ってやる。」

「て、事です。楽しみですね、高城先輩。」

「ええ。私も二つの意味で譲れない勝負ですから。」

 高城はそういいながら姫路の方を見つめていた。それと同時にこの中からまがまがしいものも感じ取れた。

 


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