Fクラスはギリギリまで粘る生徒が大半を占めていた。
「ここはお姉さんの・・・・」
「いやお姉さんを連想させんな。おっぱいを・・・」
「いやいやそこは・・・・」
まったくもってダメな集団である。
「あいつらはエロのことしか頭にないバカだな。」
「そうじゃのう。」
「・・・・同感。明久に勉強を教えてもらったおかげで普通に出来る。」
雄二たちは普通に勉強していた。そんな時姫路がFクラスに入ってくる。
「おはようございます。」
『(・・・・)おはよう(なのじゃ)。』
姫路の姿を見て美波が気づいた。
「あれ瑞希、アキは?」
「それが・・・・・・風邪を引いて休んでしまっているんです。」
『風邪!』
その言葉に雄二たちは驚いた。
「クソこんな時に・・・・・これで戦力が三割減った。」
「そんなに減ったの!」
雄二の言葉に美波が驚く。
「いや、四割だったか?前のテスとの点数だから正確じゃないから保障は出来ないからな。大胆そんな感じだ。今ここで言っておくが明久がこのクラスの全体の四割、一条寺が一.五割、そして姫路を含む俺たちで四割、後はあのバカ共だ。」
「改めて聞くが明久はすごいのう。」
「まあアイツはあの頃バカだったからな。空っぽの頭に入ったんだろ。」
「ウルトラ念力!」
「ギャアアアアア!」
久々のウルトラ念力を喰らう雄二。懲りないのだろうか。
「雄二、人間は人によって知識が乏しい者もいるが人間はけして馬鹿ではない。その力のベクトルの方向性が極端に偏っているだけなのだ。」
「イテテ・・・・・・だからって思いっきりやら無くてもいいだろ。」
「口で分からないものには行動で示せとよく言うではないか。だから私もウルトラ念力で・・・・」
「いやおかしいだろ!」
「ん?ならウルトラテレポートでスカイダイビングが嬉しかったのか?」
「もっとイヤだわ!」
相変わらずの漫才をしながらも時間は過ぎていっていた。
一歩その頃屋上ではCクラス代表の小山が親指の爪をくわえながら策を考えていた。
「姫路さんは何とか潰す方法があるわ。でも問題は吉井よ!アイツさえ何とかできれば勝機はあるわ。でもどうしたら・・・・」
「あ~ら、お・こ・ま・りの様ね~☆」
「ん?」
小山は後ろから聞こえていた声の方を振り向くとそこにはナックル星人グレイの姿があった。
「ギャァッ!オネエお化け!」
「んもう!失礼しちゃうわ!確かにオネエだけどお化けじゃないわ。宇宙人よ。それよりアナタ、さっき吉井を倒した言っていってたわよね。だったら力を与えましょうか?」
「嫌よ!あんたなんかの力なんて要らないわ!」
「嘘ね。」
グレイはそう言うと小山の周りを歩き始めながら喋る。
「あなたはアナタより愚かなクラスに負けるのがダイッキライなはず。でも吉井明久がいるから負ける可能性は高い。でもそんなの自分のプライドが許さない。なら・・・・・悪魔の力でもすがってみたらどう?」
「う・・・・・・・・いいわ。でもその力、副作用はないのでしょうね?」
「ええ。さあ、手を出して。」
「ふふ。」
グレイから渡されたダミーダークスパークを小山は手に取る。その瞬間小山の瞳が赤く光った。
二時間ほど時間が立った明久の部屋では今頃現実に戻ってきた明久の姿があった。
「はっ!今まで僕は何を!」
「おいおい。YouはさっきまでGirlのキスでず~と、放心状態だったじゃないかYO。」
「ん?」
明久は声の主の方を向くとその人物はバルキー星人であった。
「お前は!」
「おいおい心配すんな。大体、お前が倒してくれたおかげでこっちはこの姿のまんまなんだぜ。」
「その通りイカ。」
隣にいたイカルス星人も相槌を打つ。
「でも正直大切にしてもらっているのには感謝するイカ。」
「ま、俺もそうは思うぜ。」
明久は元敵からの感謝の言葉に複雑な思いを抱いた。
「そんなことよりお前、早各学校に行かなくていイカ?」
「あっ!」
明久は急いで支度をする。
「全く、アイツはFoolだな。」
「ほんとイカ。」
二人は呆れていた。
明久は大急ぎで準備を終えると家に鍵を掛け、文月学園に向かい走り出す。
(多分大丈夫なんだろうけどナックル星人がこの試召戦争に何か仕掛けてくるかもしれないから恐いんだよね。)
そんなことを思いながら明久は服月学園の校門に辿り着く。
「さてと、職員室に行って書かないと。」
明久はまっすぐ職員室に向かう。職員室に入って遅刻証明書に寝坊と明久は書くと西村先生に渡す。
「しかしお前が遅刻とは珍しいな。」
「まあ遅くまで勉強しすぎたので。」
「見え見えの嘘とはお前らしくないな。まあいい、早く行って来い。」
「はい。あ、聞いてもいいですか?」
「なんだ?」
「戦況は今どうなっているんですか?」
「まだどっちも戦死者はいないと言ったところだ。さっさと行って助けたらどうだ?」
「そうします。失礼します。」
明久はそう言うと職員室を後にし、雄二たちに合流しようと廊下を歩く。すると近くも曲がり角付近から声が聞こえてきた。
「戦況はどうなっているの、小山さん?」
「はい小暮先輩、五分五分の戦況です。」
「そう。」
「しかしよろしかったのですか?こんな時間にこんなところに来て?」
「今の三年生は自習時間が多くて暇なの。気分転換だと思って来たのよ。」
明久が廊下の角で聞き耳を立てていた。するとCクラスの生徒が明久に気付く。
「おい!吉井がいるぞ!」
「くそっ!見つかった!」
明久が見つかったことは小山と小暮の耳に入った。
「仕方ない!Cクラス代表の小山さんに試召戦争を仕掛ける!試獣召喚!」
「くっ!試獣召喚!」
「俺たちもやるぞ!」
『試獣召喚!』
「二年Fクラス 吉井明久 VS 二年Cクラス代表 小山友香
世界史 1482点 309点
二年Cクラス生徒×5
平均201点 」
「初っ端から飛ばして終わらせる!」
召喚獣のギンガスパークのクローが開くとウルトラマンギンガのスパークドールが現れ召喚獣はそれを掴むとライブサインをギンガスパークに読み込ませる。
〈ウルトラーイブ!ウルトラマンギンガ!〉
銀河が召喚獣を包み、召喚獣はウルトラマンギンガに変身する。
「ショウラッ!」
「出た!ウルトラマンギンガ!」
「あの召喚獣にはなぞが多いが一斉に掛かれば問題ない!」
「かかれ!」
ギンガに向かい五体の召喚獣が一斉に掛かってくる。ギンガは身体の水晶体を紫に輝かせると額の前で両腕をクロスさせ、必殺技を放つ。
「ギンガスラッシュ!」
ギンガから放たれる光刃が召喚獣に当たると同時に爆発する。前方にいた三体には直撃し消滅しているが残り二体残っていた。
「もういっちょ!」
ギンガは二体の召喚獣に接近しながら身体の水晶体を白く輝かせ両腕をクロスすると右腕に光の剣を形成させ、すれ違い様に斬る。
「ギンガセイバー!」
二体の召喚獣は消滅するが銀河にも多少のダメージはあった。
「二年Fクラス 吉井明久
世界史 1387点 」
「少し喰らったけど小山さんだけだよ。」
「あら、私まだ負けるとは思って無いわ。だってこれがあるもの。」
小山はダミーダークスパーク手にしていた。小山は召喚獣にダミーダークスパークとスパークドールを渡すと召喚獣はダークダミースパークにスパークドールのライブサインを読み込ませる。
〈ダークライブ!ハイパーゼットン!〉
小山の召喚獣はハイパーゼットンにダークライブする。
(おい明久。)
(ゼロ?)
(気をつけろ。アイツは半端ないほど強い。油断した瞬間、終わりだ。)
(OK。)
ギンガはハイパーゼットンに向け構える。
「ふふふ、な~んか気分がとてもいいわ~。」
小山がそう言った瞬間ハイパーゼットンは突如目の前から姿を消した。
「っ!」
一瞬焦る明久。だがそれも束の間、ゼットンはギンガの後ろに回り右のハサミを大きく振るう。ギンガは左に弾き飛ばされた。
「ぐっ!」
召喚獣の痛みが明久にフィードバックされる。
「こんの!」
ギンガは反撃しようと右パンチを繰り出すがゼットンは一瞬にしてその場から消えギンガの顔面に蹴るを喰らわせる。
「ぐぁっ!」
銀河が倒れると同時に明久も倒れる。
(つ、強い・・・・っ!それになんだか操られているんじゃなくてまるで意のままに操っているかのようだ。もしかして小山さんの欲望と・・・・!)
「考えている暇はあるのかしら?」
ハイパーゼットンはギンガに向け一兆度の火球を連射する。
「くっ!」
ギンガは急上昇して回避をするがギンガの頭上にハイパーゼットンは既に位置していた。ハイパーゼットンはギンガに両腕のハサミを振り下ろす。
「がぁっ!」
ギンガは地面に叩きつけられる。明久は片膝を付いてしまった。
「終わりよ!」
ハイパーゼットンはギンガに向け真上から一兆度の火球を容赦なく放つ。一兆度の火球によってギンガが位置していたところには火と煙が充満した。
「ははは!これで私の勝利は一歩近づいたわ!」
小山は慢心して隙を見せた瞬間を明久は見逃さなかった。
「ギンガクロスシュート!」
明久の言葉に気付いた小山はハイパーゼットンを移動させた。しかしハイパーゼットンにギンガクロスシュートが少し掠った。
「くっ!さっきので死んだんじゃなかったの!」
「生憎バリアーがあるんでね。」
ギンガが一兆度の火球の雨に晒される寸前に咄嗟にバリアーを貼り何とか攻撃を防いだ。がしかし、明久の点数はこれまでに無いほど減っていた。
「二年Fクラス 吉井明久
世界史 112点 」
(このまま戦ったら勝てる見込みは無い。かと言って戦力を増やしたとしても点数がその人数分配分されるから一撃でも喰らったら消滅する。どうしたら・・・・)
明久が策を考えているときに教師があることに気付いた。
「し、試召戦争を中止します!」
「どうしてですか先生!」
「小山さんの召喚獣が燃やした床が原因です。」
『え?』
ギンガが立っている位置は一兆度の火球で火事になっていた。
「うわヤッベ!」
「誰か水!水!」
「消火器!消火器!」
Cクラスの生徒が慌てている隙に明久はその場から姿を消した。この場合教師が注視を宣言したため敵前逃亡にはならない。
明久はその場からすぐに去ろうと廊下を進むが先ほどのダメージによって脚がもたついていた。
「参ったな。どうしたら・・・」
明久が何も無いところで転びそうになった瞬間であった。誰かが明久を支えた。
「大丈夫、明久君?」
支えたのは優子であった。
「優子さん・・・・・ちょっとそっちのクラスに匿ってもらってもいいかな?」
「え?ええ・・・・・・・なんだか疲れてるみたいだけど・・・・・」
「ちょっとね。」
明久は疲れているにもかかわらず笑で答えた。優子は明久を支えながら二年Aクラスまで明久を運んだ。