バカとギンガと召喚獣   作:ザルバ

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同居と雨の中でランニングと・・・・

 明久と姫路が一緒に暮らすようになったが特にこれと言って変わったことは無い。明久から何かをすることも無く、姫路からも何かすることも無く、ただ日常を過ごす日々が続いた。唯一変わったとすれば姫路が明久に料理を教わる機会が多くなったことである。だがその姿は夫婦の様に見える。

 そんな生活が続いたある日、Cクラス代表の小山から試召戦争の申し出があった。理由を雄二が問うと本人は・・・・

「健全な学生生活を送りたいため。」

 との一点張りである。明久たちも小山の言葉に疑問を抱いたが試召戦争のルール上断れないため受けることになった。予定日は明日となりFクラスの生徒は今猛勉強を行っている。

 その日の明久の家では・・・・

「西村先生はここ問題を応用を使って出してくるだろうね。」

「どんな応用を使いますかね?」

「多分・・・・」

 普通に勉強をしています。これと言って焦ることはなく二学期から習った内容と一学期によく出題された内容を復習していた。ここで皆さんに言っておこう。二学期の内容をいきなりテストにしようとしても範囲が狭い。なら足りない分はどうするか?答えは単純明確である。一学期にテストに出した問題をいくつか引っ張り出す。そうでもしないと小テスト同然であるからだ。

 勉強をしている最中、ふと明久は手を止めた。

「どうかしましたか、明久君?」

「うん・・・・・・・なんかこうやって勉強しているのが今だと信じられないなって思ってさ。」

「と、言いますと?」

「僕があの日西村先生に祠の掃除を観察処分として頼まれなかったら、もしタロウたちと出会わなかったら今の僕じゃなくて馬鹿のまんまの僕だったって思ってさ。」

 明久は指で頬をかきながら言う。

「・・・・・・確かに今と違ってたかもしれまんけど・・・・・」

「けど?」

「明久君は明久君だと私は思いますよ。一生懸命で優しいくて、かっこいい明久君ですよ。」

 姫路は笑顔で明久に言った。その瞬間明久の顔が赤くなる。

「ひ、姫路さん・・・・・・ちょっと外走ってくる。」

「ええ!今雨ですよ!」

「は、走ってくるね!」

 明久はそう言うと外を走りに行った。その光景を見ていたグレンファイヤーとミラーナイトは後のこう言った。

「あのお嬢ちゃんは明久とは別の意味で才能あるぜ。」

「彼女に惚れてしまう男性がいてもおかしくありません。」

 

 しばらくして明久が帰ってくると一緒にずぶぬれの葉月連れて来た。

「お帰りなさい明久君。あれ?どうして葉月ちゃんも一緒なんですか?」

「さっき走ってたら公園で雨宿りしているところ見つけてね。暗いし夜も遅くなるから一人にさせたら危ないと思って連れて来たんだ。」

「そうだったんですか。では風邪を引いてしまう前に風呂に入ってください。」

「うん。葉月ちゃん、先に入っていいよ。」

「あれ?お兄ちゃんは一緒に入らないのですか?」

 風呂に入ることを促す明久に葉月を疑問を持つ。

「え~と・・・・・あ、姫路さん!一緒に入ってあげて!」

「え!わ、わかりました。葉月ちゃん、一緒に入りましょ。」

「はいです!」

 葉月は姫路と手を繋いで一緒に風呂に向かった。

「さて、僕はタオルで拭いておこ。」

 そう言うと明久の元に玲がタオルを持って来て明久は玄関で髪を拭いた。

 

 明久が風呂から上がると姫路がソファーに座っていた。

「姫路さん?」

「しー。」

 姫路は明久の方に顔を向け口元に人差し指を立てた。明久は姫路を膝の方を覗き込むと姫路の膝枕で寝ている葉月の姿があった。

「寝ちゃってるね。」

「ええ。お風呂から上がったらすぐに寝ちゃいました。」

「あらあら、かわいい寝顔ですね。」

 三人は葉月の寝顔を見るなり微笑んだ。そんな時、明久の携帯に電話が掛かってきた。明久は連絡主を確認すると美波からであることが分かった。

「もしもし美波、どうしたの?」

『あのねアキ、そっちに葉月行ってない?』

「葉月ちゃんなら今僕の家で寝てるよ。公園で雨宿りしてたところを見かけたから僕の家に。」

『そうなんだ。今からウチが迎えに行こうか?』

「危ないよ。こんな夜遅くに女の子が出歩いたら。美波の家まで僕が葉月ちゃんを送るから。」

『う、うん。ありがとう//////』

 明久は美波の電話を終えると姫路に話し掛ける。

「そういうことだから僕が送ってくね。」

「分かりました。気をつけてくださいね。」

「もしものときはタロウに助けてもらうよ。」

「任された。」

 明久は葉月を背負い、タロウと一緒に美波の家に向かった。

 

「ゴメンねアキ、タロウ。」

「気にしなくていいよ美波。」

「そうだぞ。こういう事をするのは当たり前だ。」

 美波の家で明久たちは会話をする。

「そういやさ、アキ。さっき電話で夜に女の子が一人で出るのは危ないって言ってたでしょ?」

「うん。」

「それって・・・・・・ウチの子と心配してくれているの?」

「当たり前じゃないか。なんでそんなこと聞くの?」

「ううん!な、なんでもない////」

 美波は顔を赤らめ、両手を振りながら誤魔化す。

(まったく明久は、こういうところに才能があるものだな。)

 タロウは少し呆れた。毎回の事ながら建築士である明久。どこぞのハンターのキングオブ唐変木といい勝負である。

「じゃあ葉月ちゃんを帰すね。」

「うん。」

 美波は明久から葉月を受け取る。

「アキ、明日の試召戦争勝とうね。」

「うん。それじゃ!」

 明久は美波に手を振って自宅へと帰った。

 

 明久が家に帰ると姫路が出迎えてくれていた。

「お帰りなさい、明久君。タロウさん。」

「「ただいま。」」

 明久は玄関に上がろうとした瞬間目の前の風景が斜めに見えた。

(あれ?なんで斜めに・・・・)

 明久は意識を失い、前に倒れてしまいそうになる。

「明久君!」

 姫路は慌てて明久の体を支えた。

「明久君!大丈夫ですか?」

 姫路は明久のおでこに手を当てると熱があった。

「風邪引いているじゃないですか!玲さん!」

「どうしましたか姫路さん?て・・・・・アキ君どうかしたのですか?」

「えっと・・・・・熱があってそれで・・・・・」

 姫路はしどろもどろに説明しようとするが上手く言葉が出ない。玲は姫路と明久の様子を見て察する。

「大体の事情は分かりました。アキ君をベットに運びましょう。」

 玲と姫路は明久を寝室のベットまで運び、寝かせた。

「明久君大丈夫でしょうか?」

「大丈夫でしょう。この子は身体がそんなに軟ではありませんから。おそらく今までの家老に加え雨の中走ってましたから。まあ自業自得といえば自業自得でしょう。」

「でも・・・・・」

「まあ、アキ君は今日尾まで少し頑張りすぎなところがありましたからね。全く。」

 玲は明久の額を指で突っつく。

「でも、そこがアキ君のいいところなんですけどね。」

 玲はそう言うと部屋を出て行った。

 

 翌朝、明久が目覚めると昨日あったことを整理した。

(えーと、確か昨日葉月ちゃんを美波の家に帰してそんでそのまま家に帰って・・・・・・そこから先が無いや。)

 その時明久の部屋に姫路が入ってきた。

「おはようございます明久君。」

「おはよう姫路さん。」

「ちょっと失礼しますね。」

 姫路はそう言うと明久のおでこに自身のおでこを当てた。明久はいきなりのことに驚き動けずにいた。

「熱は下がったみたいですね。よかった。」

 姫路は明久のおでこから離れ安心する。

「熱?」

「はい。昨日雨の中走ったから風邪を引いたんですよ。」

「そうだったんだ。じゃあ僕も学校に行く準備を「ダメです!」ええっ!」

「病み上がりなんですからちゃんと休養を取ってもらわないと。」

「で、でも・・・」

 引き下がらない明久に姫路はあることを思いついた。姫路は明久に顔を近づけ、そして・・・・

――――チュッ

「え・・・・・・・・」

 明久は目の前で起こったことに呆然とした。

「ね、寝てて下さいね///////」

 そう言うと姫路は明久の部屋を後にした。明久はしばらくそのままの状態であった。後にこの光景を見た人たちは後にこう言った。

「彼女の行動は大胆であるが勇気があった。」

「心を奪う手段を彼女は持っている。」

「ある意味敵に回したくないガールだゼ。」

 


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