まあ再開するのでどうぞ見てください。
試召システムのテストが終わって数日が経ち、明久は商店街で玲と買い物をしていた。
「これで今必用な物は揃ったね。」
「ええ。そういえばアキ君、さっきレジでくじ引きの券を貰ったのですが引きますか?」
「うん、そうしよっか。」
明久と玲はクジの列に並ぶ。先頭の人が一等を当てたが喜んでいない。何故なら―――
「おめでとうございます!一等の鉄パイプ40万円分商品券!」
何故鉄パイプが一等なのだろうと誰もが思った。ちなみに四等は温泉旅館宿泊券、五等は海の幸詰め合わせ、六等は商品券などそちらのほうが嬉しいものである。さっきから一等~三等の鉄パイプしいリーズばかりしか出ていないからには余程鉄パイプがたくさん集まっていると考えていい。
そして明久の番となった。明久は十回くじを引くがその内5回は鉄パイプ(返品しました)、三回はティッシュという結果であった。
そして九回目はというと・・・
「五等の海の幸詰め合わせです!」
(よかった、また鉄パイプじゃなくて。)
明久は心の中で安心した。ちなみに十回目は商品券でした。
海の幸とティッシュと商品券を貰った明久と玲は家に帰ろうとした時、買い物袋を持った姫路と会った。
「あれ、姫路さん?」
「あっ!明久君に玲さん。買い物ですか?」
「ええ。今丁度終わったところです。」
姫路の問いに玲が答える。
「姫路さんもですか?」
「はい。両親が外国にいるご親友の結婚式に行っているため今は一人ですけど。」
その話を聞いて玲は何かをひらめいた。
「でしたら姫路さん、一緒に夕食はいかがですか?」
「えっ!」
「姉さん、いくらなんでもいきなりそれは姫路さんが困「い、いえ!ぜひお願いします!」ていいんだ。」
姫路は玲の誘いを喜んで受けた。
「でもこの量は多いかな?」
手にした買い物を見ても明らかに多い。そんな時姫路がひらめいた。
「だったら美波ちゃんや翔子ちゃんたちも呼びませんか?」
「それはいいですね。アキ君。」
「はいはい。」
明久は携帯電話を取り出し皆にメールを送った。
『(・・・・)お邪魔しま~す。』
明久が連絡を入れてから約三十分が経った頃に雄二達が明久の家に来た。
「みんな、いらっしゃい。」
明久が玄関で出迎える。雄二とムッツリーニ、秀吉が明久の耳下まで顔を近づけ小声で話し始める。
「おい明久、姫路の料理の腕は大丈夫なんだろうな?」
「・・・・もうあんな思いはこりごり。」
「同感じゃ。」
「大丈夫だよ。驟雨一回料理講座をしているんだから。」
お忘れの人もいるかと思われますがあの日以来姫路と明久は料理教室を行っています。ちなみに玲も習っているとか習っていないとか。
「あら皆さん、いらっしゃい。どうぞ中に入ってください。」
玲に促され一同家に入る。
「さてアキ君、夕食は何にしますか?」
「う~ん・・・」
明久は考えた。この大人数、12人となるとあまり手の請った物は作れない。となると解決策は・・・・・
「鍋にしよっか。」
「そうですね。これだけの大人数だと手のこんだものにするとなれば相当時間が掛かってしまいますし。」
「それじゃあ皆、水炊きでいい?」
明久の言葉にいいどう賛成した。
準備は明久が進めた。手馴れた手付きで明久は着々と準備を進める。
「明久君、何度見ても早いですね。」
「ウチも料理しているけど自信無くしちゃうわ。」
「同感ね。」
姫路の言葉に美波と優子は共感する。
「でも吉井君っていい旦那さんになるって思わない?」
工藤の言葉に姫路達は反応する。
『だ、旦那さん/////』
三人は顔を赤くする。
「・・・・雄二もいい旦那さんになる?」
「待て翔子、どういったらそういう結論に至るんだ?」
「・・・・料理が出来るから。」
「今時の男は大抵料理が出来るだろ。」
「・・・・小学生から料理しているのは普通?」
霧島は疑問を持った。
「確かに小学生から料理をしているとなると普通では無いですね。」
「確かにのう。」
「・・・・どんな家庭だ?」
友也、秀吉、ムッツリーニの順に口を開いた。
「・・・・だから雄二、結婚して。」
「おーい翔子、流れに乗って俺をその気にさせよーとしているつもりだろーが俺はそーはいかねーぞ。」
「・・・・惜しい。」
「何処も惜しくねえよ。」
「確かに。」
雄二の言葉に佐藤も共感する。
そんな夫婦漫才を一同見ながら時間が過ぎてゆく。
「明久の周りには人が集まるな。」
「ええ。彼には何処か人を引き付ける才能がありますね、タロウ兄さん。」
タロウの言葉にメビウスが共感する。他のウルトラ兄弟も明久を見て思った。
明久のおかげで今時分たちはおかげで自我を持っている。裏表が無い明久はどういうわけかスパークドールからも好かれている。彼はスパークドールを道具ではなく仲間として見ている。それが好かれる要員なのかもしれない。
「みんなー、出来たよー。」
『はーい。』
明久が作った水炊きがテーブルに置かれる。一同テーブルの周りに座り手をあわせる。
『いただきます。』
一同一斉に鍋に箸を伸ばし、食べる。
「んおっ!」
「美味いのう。」
「・・・・さすが明久。」
それぞれ明久の料理を褒める。
「そんなこと無いよ。ただ材料が良かっただけだよ。」
その材料を見極める目が子供の頃から養われたのが家族と姫路以外知らない。
「こうしていると戦いを忘れてしまうな。」
「ああ、そうだな。」
ウルトラ兄弟もその光景を見て時が過ぎて行った。
時間が経ち明久たちはリビングでくつろぎながらテレビを見ているとニュース速報が流れた。
「へぇ~。空港会社の社員がストライキして飛行機が全面停止か~。」
「このご時世だからなのかもな。」
明久が興味を持ち、雄二がもっともなことを言っていると姫路の携帯電話に着信が入る。
「ちょっと失礼しますね。」
姫路は廊下の方に行くと電話に出た。廊下の方から一時驚く声が聞こえてきたと思ったらすぐに明久達のほうに戻ってきた。
「どうしたの、瑞希?」
「実は両親がさっきのニュースのストに巻き込まれて足止めを喰らっているそうです。」
『えっ!』
姫路の言葉に一同驚く。
「今日の夜変える予定でしたんですよね?」
「ええ。」
玲の問いに姫路は答える。
「でしたら女の子が一人家にいるのは危険です。なのでうちに泊まりませんか?」
「「えっ!」」
玲の言葉に美波と優子が反応する。
「な、なんでそうなるんですか!」
「そ、それなら女子と一緒の方がいいのでは!だ、男子と一緒は!」
「男子ではなくアキ君と一緒のところがアフタ李とも問題なのでは?」
「「うっ!」」
玲に図星を突かれた二人は思わず声を出してしまう。
「ここでしたら並大抵の泥棒には襲われませんしウルトラ戦士の皆さんがいますから大丈夫です。防弾防音対策の壁に窓もありますから女の子が止まっても安心です。なにより・・・・」
玲が明久の方を向く。
「今のアキ君がそんなことをする人に見えますか?」
『全然。』
明久と玲以外の皆が口を揃えて言った。
(なんか今失礼な事言われた気がする。)
明久は心の中でそう思った。
「でしたら大丈夫ですよね?」
「「ええ・・・・・・ん?」」
美味いこと丸め込まれた二人。この後霧島が雄二の家に勝手にお泊りしたのはまた別の話しである。