バカとギンガと召喚獣   作:ザルバ

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召喚獣と未来の子供

 明久の幼児化事件から一週間が経ち、休日のFクラス。明久たちは学園町に呼び出されていた。

「なんで俺たち呼び出されたんだろうな?」

「どうでもいいよ・・・・・。どうせまた変な実験に付き合わせられるんだから・・・・・。」

 明久はやさぐれていた。理由は言うまでも無い。

「でもまた幼児化の実験なら嬉しいですね。」

「そうね。ウチも写真のコレクションを増やしたいと思ったところよ。」

「だよね!」

 姫路、美波、優子はノリノリであった。ちなみに、明久の幼児化女装写真名むっつり紹介に大きな貢献と希望者たちの生きる水となった。

「明久君・・・」

「お主も大変じゃのう・・・」

 友也と秀吉は同情する。

 そんな時学園長が教室に入ってきた。

「待たせてすまないね。」

「何の用だよババア。」

「相変わらず口が悪いクソガキだね。ところで吉井は・・・・・・言うまでも無いね。すまなかったよ吉井。でも安心しな。今回はあんたの体に何かが起こるってことは無いよ。これは二人一組で行うもんだからね。」

 それを聞くと明久の目に光が戻った。

「具体的には何をするのだ?」

「吉井、誰でもいいから一緒に召喚獣を召喚しな。」

「じゃあ秀吉と。」

 明久は近くにいる秀吉と召喚獣を召喚する。

「「試獣召喚。」」

 するとかわいい子供の姿の召喚獣が現れた。明久のような幼い顔立ちに秀吉の髪型が掛け合わさった姿である。

「なんだか僕と秀吉の子どのように見えるね。」

「そうじゃのう。生物学上有り得ないが・・・・」

「だよね。」

「おや、気付いたかい?今回のシステムは二人一組で行うシステムでね。二人の特徴を取って召喚する、いわば二人で作った子供のようなもんさね。」

「つまり擬似的な子作りと言うわけだな。」

 タロウが分かりやすく解説する。すると女子一同の目の色が変わる。

「・・・雄二、一緒に召喚しよう。」

「ことわぎゃあああああああ!フェイスクロー!」

「・・・試獣召喚。」

 霧島が雄二の顔をわしづかみしながら召喚獣を召喚する。すると雄二と霧島の特徴を持った子供が現れた。

「かわいいね。でもなんか雄二の顔っぽくないよ。」

「・・・そんなこと無い。小学生の頃の雄二はこんなんだった。」

 そう言って霧島は一枚の写真を生徒手帳から取り出した。そこには小学生時代の雄二が映っていた。今とは全く違ってかわいげのある姿である。

「ギャップあるね。」

「翔子!早く捨てろそんな物!」

「・・・いや、これは私の宝物。」

 二人の漫才をしていると雄二の子供が雄二に構ってもらうと歩み寄る。

「おとうさん、高い高いして!」

「知らん。それに俺はお前のお父さんじゃない。」

「おとうさん!」

「ふん。」

 雄二は鼻を鳴らし無視をする。

「ううぅ・・・・おとうさん・・・・」

 子供は涙目になると雄二は溜息を吐きながら子供を抱える。

「少しだけだぞ。」

 雄二はそう言うと子供に高い高いをする。すると子供は喜ぶので雄二はもっと高い高いをする。その光景を一同が見ているとも知らず。

「・・・・はっ!」

 雄二は視線に気付き我に帰り子供を抱えたまま顔を紅くする。皆ニヤニヤしんながら雄二を見る。やっぱり子供に甘い親であった

「雄二はいい父親になるね。ねえ霧島さん、もし名前をつけるとしたらなんて名前にする?」

「・・・しょうゆ。」

「いや霧島さん、それ調味料。」

「・・・じゃあ、こしょう。」

『だからそれも調味料だって!』

 一同ツッコミを霧島に入れる。

「さて明久君、私達もしましょうか。」

「待って姫路さん、なんでそうなるのかな?」

「明久君と子供を作りたいからです!」

「語弊が生まれるから止めようね!そういうの!」

 明久と姫路のやり取りを見ていると美波と優子も乗り出した。

「ウチもアキとの子供作ってみたいわね。」

「私も。」

「美波!優子さん!なんかおかしな話をしているのは僕の聞き間違いかな!?」

「気のせいよアキ。」

「そうよ。おかしいい話なんて一つもしていないわ。」

「違った!おかしいのは三人の話していることだった!」

 姫路達は連携して明久に触れ自分たちの子供を召喚しようとするが明久はそれを教室の中で必死に避けていた。

「い、一条寺君!」

「なんでしょうか、佐藤さん?」

「い、一緒に召喚獣を召喚してもらっても構いませんか?」

「別に構いません。少し面白いですし。」

 友也は佐藤の手を握ると佐藤と同時に召喚獣を召喚する。

「「試獣召喚。」」

 二人が召喚獣を召喚すると髪型は友也、性別は女性の眼鏡を掛けた子供が現れた。

「始めまして、お父さん。お母さん。」

 表情を変えずに友也と佐藤にご丁寧にお辞儀をする。

「なんとも丁寧な挨拶ですね。」

「そ、そうだね////」

 佐藤は自分たちの子供の方が気になっていた。

(い、一条寺君と結婚したらこんな子が・・・・・・・わ、私は何を考えているの!)

 佐藤は更に顔を紅くする。

「大丈夫ですか?」

 友也は佐藤の顔を覗き込む。顔の距離は近く、息が掛かるのが感覚で分かる。

「だ、大丈夫。だよっ!」

 佐藤は手を振りながら表現する。すると二人の子供が呟く。

「・・・・・お父さんは鈍感。」

「っ!?」

「どういう意味でしょう?」

「さ、さあね/////」

 その光景を見ていた工藤はムッツリーニに絡んでくる。

「ねえねえムッツリーニ君、僕らも召喚しようよ。」

「・・・断る。」

「そんなこと言わないで・・・さっ!」

 工藤はムッツリーニに抱き付く。ムッツリーニは鼻血を吹く。

「試獣召喚☆」

 工藤が召喚獣を召喚するとムッツリーニそっくりの召喚獣が現れた。

「あ、あっちも召喚獣を召喚したね。

「本当です。でも土屋君そっくりです。」

「外見が土屋で中身が工藤?」

「でもそれを一周回って頭が良かったりして?」

「ははは、それは無いよ。」

 明久たちは格闘を繰り広げながら話していると二人の子供が孔子の漢文を言い始めた。

『ほんとに頭良くなってる!』

 かと思ったら結局エロこそが自分の陣念であると悟ったことを言うと―――

『やっぱりエロなの!』

 とツッコミを入れた。

 そんな時Fクラスに誰かが入ってきた。

「すみませーん。ここに宗一さんはいますか?」

 いきなり入って来た人にみんなの視線が集まる。穏やかな雰囲気があり。豊かな胸を持ち髪の毛を後頭部で一つに纏めている女性であった。その女性に明久は見覚えがあり、声をかける。

「秋笑(あきえ)さん!どうしてここに?」

「宗一さんにお弁当を渡そうと思って。」

 微笑みながら答える秋笑さんに普通に応対する明久に雄二が話し掛ける。

「おい明久、その人は誰なんだ?」

「ああ、この人は・・・・」

 明久が皆に説明しようとした途端に西村先生が入ってきた。

「お前ら!騒がしいぞ・・・・・・て、何故秋笑がいる!」

「あら、宗一さんの方から来てくれたのね。」

 西村先生は秋笑さんを見て驚いた。

「お前なんでここに!」

「宗一さんがお弁当を忘れたからですよ。」

「す、すまないな。」

 西村先生は秋笑に頭を下げる。

「あの鉄人が頭を下げてるぞ・・・・」

「以外じゃのう・・・」

「・・・・一体誰?」

「あれ?皆知らないの?」

 明久は驚いていた。そんな明久に友也が補正をかける。

「明久君、僕らは秋笑さんと面識はありますが他の皆は面識がありません。」

「あ、すっかり忘れてた。でも僕が紹介するより秋絵さんか西村先生が紹介した方がいいね。」

「そうね。じゃあ自己紹介しますね。どうも西村秋笑です。季節の秋に笑顔の笑と書いて秋笑と言います。どうぞよろしくお願いします。」

 秋笑さんがご丁寧にお辞儀をすると皆もつられてお辞儀をする。すると雄二があることに気付いた。

「ん?今西村って苗字じゃなかったか?」

「ええ。宗一さんの妻ですよ、私。」

『・・・・・・・・・・えええ!?』

 雄二達はその言葉を聞いて驚いた。

「あら?宗一さん結婚していること生徒さんたちに言わなかったの?」

「う、うむ・・・・・恥ずかしいのでな。」

「そう言うところは変わって無いですね。ふふふ。」

 微笑む秋笑に西村先生は恥ずかしくなる。

「あ~、吉井、このことは・・・・」

「分かってます。内緒にでしょ。」

「すまんな。このことを話すとどうもあいつらにからかわれそうでな。」

「むしろ血涙すると思いますよ。」

 明久たちと別れ西村先生は秋笑と教室を後にした。

『そういえばさっきのあの小さい子供も生徒ですか?』

『いや、あれは召喚獣だ。だが俺の知っているのではなかったぞ。』

『でしたらそう言う設定なのでしょうかね?』

『そ、そうかもな。』

『宗一さん。』

『な、なんだ?』

『そろそろ子供が欲しいですね。』

『ばっ/////そ、そういうのは・・・・・・・・・帰ってからだ。』

『はい。』

 遠くから聞こえてくる声に一同顔が紅くなる。

「さ、こんくらいでもういいさね。」

 学園長はそう言うと試召フィールドを閉じる。

「学園長!どうして止めちゃうんですか!」

「そうです!まだやって欲しいです!」

「お願いします!」

 姫路達三人は続けてもらおうとお願いしする。

「アンタ達ねえ、こういう時だからこそ言っておくけど子供ってのは遺伝子情報以外にも生活環境によって変わってくもんなんだよ。先も未来が分かってしまうってもんさね。」

 その言葉を聞いた瞬間女子一同の顔が紅くなる。

「もしかして/////」

「アキ/////」

「そういうこと・・・・・考えていたの/////」

「う、うん////////////」

 明久も顔が紅くなった。

 これにて学園長が起こした試召システムのテストは終わった。

 


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