球技大会終了後、明久は秀吉と姫路に話し掛ける。
「秀吉、ちょっといいいかな?」
「何じゃ明久よ?」
「実はさ、学園長に交渉してあることを頼んだんだ。」
「あること?」
「これなんだけどね。」
そう言うと明久は一枚の用紙を取り出した。用紙には『没収物返却用紙』と書かれていた。
「秀吉は特に没収された物は無いんでしょ?」
「うむ。そうじゃ。」
「じゃあ優子さんにこれ渡して。」
「しかしこれは優勝したクラスが書けるものではないかの?」
「そこの点に関しては大丈夫だよ。裏に『この人に権利を渡します』って本人名義で書いたらその人に権利を渡すことが可能だから。」
「成程のう・・・・わかったのじゃ。」
秀吉はそう言うと優子の下へと走り出した。
「さて、僕も向かいますか。」
そう言うと明久はある人の下へ走り出した。
屋上で一人、夕日を眺めながらたそがれている生徒の姿があった。霧島翔子である。
「・・・・・」
彼女はただ黙り眺めていると屋上の扉が開く音がした。彼女は扉の方を振り向くとそこには明久の姿があった。
「ここにいたんだ霧島さん。探したよ。」
「吉井・・・・」
「はいこれ。」
明久は用紙を手渡す。
「これって・・・」
霧島は用紙の裏を見ると『二年Fクラス吉井明久はこの人に権利を渡します』と書かれていた。
「つまりそういうこと。」
「吉井・・・」
霧島は明久に抱きつく。
「ありがとう。」
「・・・・・・・・」
明久は噴くと「どういたしまして。」と言った。霧島は明久から離れると教室に戻った。
明久にタロウは話し掛ける。
「ところで明久、今更なのだが先生が生徒に直接没収物を返してくれるのか?」
「あ・・・・・・」
その時Fクラスの絶望の声が聞こえてきた。
「ま、こうなるよね。」
明久はそう呟いた。
ある日の夜、明久は異常なまでに疲れていた。
「あれ?なんでこんなに疲れているんだろ・・・・眠いから・・・・寝よ・・・」
明久はそのままベットに就寝した。
翌日の朝、明久は体を起こす。
「あれ?なんだかいろんなものがおきいよう。ん?」
自分の身体の異変に明久は気付いた。幼い声にひらがなな言葉。明久は急いで鏡で自分の姿を確認しようとするがドアノブに手が届かず、ジャンプしてやっと開ける事が出来た。明久は洗面台に向かうが明らかに鏡よりも自分の背が低くジャンプをしても登ることもできない。
そんな時明久にタロウが話し掛ける。
「おーい明久、どうした・・・・あ、明久なのか?」
「うんそうだよ。ぼく、よしいあきいさだよ。」
「・・・・・この姿でもか?」
タロウはウルトラ念力で明久を浮かせ鏡に明久の姿を映した。そこには五歳くらいの子供の姿、幼い吉井明久の姿が映っていた。
「えぇえええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!」
明久の住んでいるマンションに幼い子供の驚く声が響いた。
数時間後、明久は雄二達を呼んでどうしてこうなったか相談しようとしたが・・・・
「明久君!今度はこの浴衣を!」
「待って!ここはチャイナドレスよ!」
「いやいや、ロリータ服でしょ!」
「・・・・ネコミミ体操服。ブルマで。」
『それだ!』
姫路、美波、優子、ムッツリーニたちによる着せ替えショーが行われていた。ちなみに明久は抵抗しようにも押さないため力が出せず着せ替えさせられています。
「明久君も大変ですね。」
「そうじゃのう。」
「少し同情します。」
「・・・雄二、これを持って。」
「待て翔子!なんで婚姻届と朱印を俺に握らせようとする!」
「坂本君と代表は夫婦漫才だねー。でも吉井君は別の意味で漫才しているけど。」
「アレを漫才と言うのか?」
明久の状況に友也、佐藤、秀吉は同情し霧島と雄二は相変わらず、そして工藤はその光景を見て楽しんでいるがタロウがツッコミを入れる。
「でもなんで吉井君が幼児化しちゃったんだろ?」
「それに関して大体心当たりがある。」
工藤の疑問に答えたのは雄二であった。雄二は携帯電話と取り出して電話を掛ける。
「もしもし、ババアか?」
『失礼な口をするね、このクソジャリ。』
「そんなんはどうだっていいんだよ。それよりまた明久のシステムをいじったのか?」
『なんでそう思うんだい?』
「明久の奴が幼児化しちまったんだよ。」
『なっ!・・・・ちょっと試験段階のシステムでこんなミスが起こるもんなんだね。』
学園長は心当たりがあった。
「で、どんなシステムだ?」
『簡単に言うと召喚獣を通して本音を暴露するシステムでね。召喚獣を子供の様な無邪気に、そして素直にする設定だったんだけどまさか観察処分だとこんなにも違うんだね。』
「そんなことよりこれは一体どうやったら解けるんだ?」
『大丈夫。今日中にシステムをカットしとくからおそらく明日には戻るだろうさね。』
「わかった。明久に伝えとくわ。」
『ああ。ところで野次馬の五月蝿い声は・・・・・』
「何もなかった。ただそれだけだ。」
『・・・・大変だね吉井も。』
そう言って学園長は電話を切った。
「お~い、お前ら。ババアのシステムテストのおかげで明久がそうなったようだ。」
「ゆうじ、このすがたはいつまでなの?」
ネコミミナース服姿の明久が雄二に尋ねる。
「明日には戻っているからしばらくそのまんまだ。」
雄二がそう言うと明久を三人が掴む。
「じゃあ明久君。」
「それまで私達と。」
「着替えショーをしよっか。」
「ひ、ひにゃああああああああああああ~~~~~~~~~~~~!!!!!!」
明久は夕方まで着替えさせられ、風呂には三人に強制連行、寝るときの三人に添い寝させられた。朝元の姿に戻ったときに最初に放った言葉が『もう婿にいけない。』と呟いた。
明久に幸あれ!