肝試し対決の後、明久たちは明久の家で夏休みの計画を立てていた。今回の傷を埋めようと雄二が提案し一同賛成した。話し合いの結果海に行く事となりどこの海に行くか言い合いになった。
「ここはどうだ?」
「そこは前に雑誌で取り上げられたから人が多いわよ。それよりこっちは?」
「そこは最近、近くの化学工場が不法投棄した産業廃棄物で汚染処理されている海域です。まともに泳げません。」
雄二達が話していると明久の携帯電話に電話が掛かってきた。
「ちょっとゴメン。」
明久は席を外し電話に出る。
「もしもし姉さん?」
『はい。アキ君、姫路さんから聞きましたが海に行く予定のようですね。』
「うん、雄二達皆と一緒に。それがどうかしたの?」
『はい。前に海の見える貸し別荘を借りた事がありましたよね。そこに行こうと思っています。』
「ちょっとその場所教えてもらっていい?」
『ええ、構いませんよ。』
明久は場所を聞くと友也に確認を取る。
「友也、この場所大丈夫?」
「ええ。そこでしたら穴場となっていてに特に問題はありません。」
「わかった。もしもし姉さん、その場所は大丈夫だよ。」
『そうですか。では決定ですね。』
こうして明久たちは海がある貸し別荘に行くことになった。が、その時闇の支配者とは関係なく海に潜んでいる悪魔がいることに明久たちは知る由もなかった。
そして旅行日当日、明久たちは明久の住んでいるマンション前で玲を待っていた。
「ところで明久君、玲さんの免許は?」
「普通車免許だけど・・・・どうしたの?」
「法律上10人までは普通車で乗車可能ですが、それ以上になると中型自動車免許が必要です。玲さんを含め僕らは12人です。後二人をどうにかしないと。」
「それなら大丈夫だよ。僕免許持ってるし。」
そう言うと明久は自動二輪車の免許証を見せる。
「二人乗りって事か・・・・・だが誰を後ろに乗せるんだ?」
雄二がそう言った途端に瑞希、美波、優子の間で火花が散った。
「これは流石に・・・・・」
「譲れないわね・・・・・」
「公平にジャンケンで決めましょう、二人とも。」
『ジャンケンポン!相子でショッ!相子でショッ!』
三人がジャンケンをしている最中玲が車に乗ってやって来た。
「皆さん、待たせてすみません。て・・・・・・あら?」
玲はジャンケンをしている姫路達に目を向ける。
「あれは・・・・・・どういう状況ですか?」
玲の問いに友也が説明する。
「成程。ではアキ君はバイクを運転士誰かを後ろに乗せるわけですね。」
「うん。雄二は霧島さんと一緒って事で確定として。」
「おい明久、なにいぎゃあああああああ!目に!目に塩がああああああああああ!」
雄二が否定をしようとした瞬間霧島が雄二の目に塩を叩き込んだ。
「・・・・嘘はいけない。」
「霧島さん・・・・・叩きつけたら流石に痛いよ。」
「・・・・うっかりしてた。」
明久が霧島に突っ込みを入れた後、瑞希が明久に声を掛ける。
「明久君!」
「どうしたの瑞希ちゃん?」
『瑞希ちゃん?』
明久の口調に一同疑問符を浮かべる。
「よ、よろしくお願いします。」
「うん。じゃあ姉さん、僕らの荷物は乗せてもらっていい?」
「おい明久、さっき姫路の事名前で呼んでいなかったか?」
雄二の言葉に一同頷く。
「ああ、さっきの?肝試しの後で名前で呼んでって頼まれて。」
「成程。つまり二人が羨ましかったのか。」
雄二の言葉に美波と優子がビクッと反応する。
「じゃあお願いします、明久君。」
「うん!」
こうして明久と姫路はバイク、雄二達は車で海の貸し別荘に向かうことになった。その際に車内が鼻血まみれになったとはまた別の話。