「しかしこうもリアルに召喚獣がお化けに化けるね。」
「そうだね。ところで島田さんは大丈夫?」
「・・・・・・・半分現実逃避をしているよ。」
「それは重症だね。」
久保と清水、明久と美波は並んで歩いているが美波は明久の腕に抱きついていた。清水は美波を支えてあげる。流石に明久だけにもたれかかっていると体制を崩すため。
「お姉様、大丈夫ですか?」
「Ja, weil es ist,...... Größe Takeo..., Gleichgültigkeit(うん・・・・・大丈夫・・・・・平気だから)。」
「大丈夫じゃないですね。」
美波はパニクるとドイツ語を話す。そこを理解している明久は戦闘不能と理解していた。
「この状態に拍車が掛かると美波は気絶すると思うのは気のせいかな?」
「間違って無いと思うよ、吉井君。」
久保も理解していた。
「でもこのままだとお姉様が気を失うどころか川を渡ってしまいます。」
「その川はどの川かな?」
「渡ってはいけない川です。」
久保の問いに清水は答えた。二組が曲がり角を曲がった瞬間たくさんの手が壁から突き出ていた。それを見た瞬間美波は白目になり、気絶をした。
「・・・・・一旦本陣に引き返すね。ルール上、交代する事は問題ないから。」
「そうだね。早く島田さんを寝かせてあげて。」
「うん。」
明久は美波に布を被せるとそのままお姫様抱っこ、二年A組に戻る。久保と清水はそのまま三年B組のチェックポイントに向かった。
「あれ、もう来たんだ。」
「意外に早いね。」
「無駄話はいらないね。」
「さっさと片付けましょう。」
『試獣召喚!』
「現代文
二年A組 久保利光 VS 三年生 男
436点 255点
二年D組 清水美春 三年生 男
144点 331点」
久保と清水の召喚獣は迷い神。それに対し三年生はオルトロスとグリフィンであった。二人の三年生は攻撃しようにも二人の威圧的何かに圧倒され攻撃できず、そのまま瞬殺された。
「あっという間に終わったな。」
雄二はモニターで二人の戦いを見て思った事を口にした途端に明久が美波をお姫様抱っこで抱えながら戻ってきた。
「雄二ただいま。」
「おー、帰ったか明久。」
「どう?状況は。」
「勝ったぞ。次は最終チェックポインとの三年A組だ。」
「最後に何かどんでん返しが来そうだね。」
「おいおい明久、それは無いだろ。」
雄二は最終チェックポインとの三年A組には夏川と常村がいた
「三年A組 夏川勇作 & 常村俊平
物理 412点 408点 」
『なにぃいいいいいいいいい!』
「おー。」
「以外ですね。て、よくよく考えてみたらAクラスでしたね。」
驚く二年生一同に対し明久と友也は感心していた。
「勝てる見込みはありますかね?」
「どうだろう。経験が豊富な三年生が有利だね。Fクラスと違って他のクラスは経験が少ないから。」
明久の予想通りに二人は見事に敗れた。明久は美波を見るが気を失っている。
「明久、少しいいか?」
「どうしたのタロウ?」
「実はあの二人からわずかながら闇の波動を感じた。」
「それって・・・・・・!」
「ああ。行けるか?」
「もちろん。」
明久はスパークドールを二つ手に取る。
「姫路さん、雄二、霧島さん。行ける。」
「ああ。てかもう行くしかないだろ。俺たちだけなんだし。」
「・・・・雄二の言う通り。」
「行きましょうか、明久君。」
四人は互いのペアを組み常夏コンビの方に向かった。
「こ、恐いです明久君・・・・」
「あの~、姫路さん。くっつきすぎなんですけど・・・・・・・・もう少し離れてくれませんか?」
「・・・・雄二、私も恐い。」
「おい翔子、お前はこういうのは慣れているだろ。冗談は程々に何でもありません!俺は何も言ってません!」
姫路は明久の腕に抱きつき、霧島は雄二に釘バットを見せ付け脅す。
「さて、とうとう着いたが・・・・・気をつけろよ。」
雄二ペアと明久ペアは三年A組の前に着いた。
「なんだか嫌な予感がする。けど入らないとね。」
「だな。」
明久の言葉に雄二は相槌を打つ。四人はA組に入る。中は迷路となっており、薄暗い中では進みづらくなっている。四人は不安になりながらも進んでいると突然照明が消えた。
「なんだ!」
「恐いです明久君!」
「お前ら落ち着け。声を大きくするな。」
「・・・・相手の思う壺。」
一同が焦る最中ガタゴトと音がした。しばらくして照明が付くと明久の隣には姫路ではなく雄二がいた。
「雄二、どういう事?」
「きっとあいつらが企てたんだろ。」
「本音は?」
「翔子の奴に解放されたくてな。」
「あ、霧島さんだ。」
「明久ガード!」
雄二は明久を盾代わりにするが明久の目の前にも雄二の周りにも霧島の姿はいない。
「分りやすい嘘に騙されるんだね。」
「おい明久、わざとだろお前。」
明久は呆れながら先に雄二と共に進む。二人が迷路の経路を進んでいると壁越しに声が聞こえてくる。
「おい、お前らかよ。」
「残念だぜ。」
常夏コンビは姫路・霧島ペアが来たことにがっかりしていた。
「あいつらホント学園の屑だよな。」
「だな。俺たちあいつらのせいで進学出来ないぜ。」
二人は明久と雄二を侮辱する。その言葉に姫路が涙を流しながら怒鳴った。
「なんでそんな酷い事言うんですか!あの二人は頑張っています!その二人を馬鹿にするなんて・・・・・許せません!」
「うっせんだよバカ!つーか今ので失格になったんじゃね?」
「だよなー。あーあ、これだからバカは困るんだよ。」
「・・・・姫路、こんな奴ら相手にしなくていい。もう行こう。」
「・・・・・・・はい。」
姫路と霧島はその場から離れてゆく音が明久と雄二に聞こえる。
「おい明久。」
「分ってるよ雄二。」
『あいつらをコテンパンにぶっ飛ばす!』
「ふふふ、さーてあいつ等を利用して吉井明久を、ウルトラマンギンガを倒すわ。働きなさい、私の駒達★」
ナックル星人グレイは闇の中で微笑んでいた。
二人は常夏コンビの前に姿を表した。
「来たか、お前ら。」
「待ちくたびれたぜ。」
「別に待ってもらわなくていいぜ。」
「むしろ永遠と僕らの記憶とこの学校の歴史から消えてください。」
常夏コンビに対し雄二と明久は容赦なく痛烈な言葉を放つ。
「テンメ吉井!」
「落ち着け常村。ここで大声出したらあいつらの思う壺だ。」
「そ、そうだな。こんなバカを相手にするんじゃないな。」
「とっくの昔に相手にしている人が言う言葉じゃないな、変態先輩。」
『ヴォオイ!オメェ!絶対ブッ殺ス!』
「その言葉、そのまま返すぜ。」
「こっちから潰します。」
『試獣召喚!』
「物理 二年F組 吉井明久&坂本雄二 VS 三年A組 常村勇作&常村俊平
666点 354点 421点 408点 」
「おい明久、お前あの世に電話でもしたいのか?」
「雄二、後で霧島さんに電話してあげるね。」
「すまなかった!だからそれだけは勘弁してくれ!」
雄二は明久に思いっきり頭を下げた。
「おいそこのバカコンビ。今から面白いもの見せてやるよ。」
「見てな。」
夏川がそう言った途端に試獣フィールドが展開され、二人はダミーダークスパークとスパークドールを手にしていた。
〈ダークライブ!イーヴィルティガ!〉
〈ダークライブ!ダークメフィスト!〉
夏川はイーヴィルティガ、常村はダークメフィストにダークライブした。
「おい明久、アレあるか?」
「あるよ。」
明久は雄二にギンガライトスパークを渡し、ウルトラマンティガのスパークドールを渡す。明久はギンガスパークとウルトラマンネクサスのスパークドールを手に取りウルトライブする。
〈ウルトライブ!ウルトラマンネクサス!〉
〈ウルトライブ!ウルトラマンティガ!〉
明久はウルトラマンネクサス、雄二はウルトラマンティガにウルトライブした。
『ヂュア!』
「シュア!」
「チャア!」
ダークメフィストはネクサスと、イーヴィルティガはティガとぶつかった。メフィストはメフィストクローを展開しネクサスに振りかざすがネクサスは前傾姿勢を取り回避、右アッパースイングを喰らわせる。ダークメフィストは後ろに倒れかけるところをネクサスはダークメフィストの顔面に左パンチを叩き込み地面に叩きつける。
イーヴィルティガはティガに跳び蹴りを喰らわそうとするがティガは前転をして回避、イーヴィルティガの後ろから右膝蹴りを背中に喰らわせる。イーヴィルティガが前のめりになった途端にティガはイーヴィルティガの胴体を後ろから掴みそのままジャーマンスープレックスを喰らわせる。
ティガとネクサスが互いに近づく。
『そっちは?』
『意外に弱い。あいつら卑怯な手以外、まともに戦うことができんらしい。』
『でも油断しないでよ。』
『言われるまでもねぇ!』
ネクサスは前宙をし、踵落としをダークメフィストに喰らわせるがダークメフィストは腕を交差させ攻撃を防ぐ。ダークメフィストはネクサスを押し返す。ネクサスは体勢を立て直しながら着地する。そこへダークメフィストはメフィストクローを連続して突く。ネクサスはその攻撃を避けようとするがダークメフィストはネクサスの足を踏みネクサスの動きを抑え、ネクサスにダメージを喰らわせる。
「ヂュアッ!」
ダークメフィストはネクサスに左アッパーを喰らわせネクサスを倒すとネクサスの両足を掴むと振り回し、ネクサスを投げ飛ばす。ダークメフィストは体制を崩しているネクサスに跨り、メフィストクローでネクサスの首を挟むとネクサスの顔面を殴る。
イーヴィルティガはティガに掴みかかるとティガを投げ飛ばしイーヴィルビームをティガに喰らわせる。
「デュェッ!」
イーヴィルティガは連続してティガにイーヴィルビームを放つ。ティガはその攻撃を避ける暇なく喰らってゆく。
「デュェエエエエ!」
イーヴィルティガは笑いながらイーヴィるショットを放っていた。が、その時であった。突如イーヴィルティガのカラータイマーが音を立てながら点滅し始めた。
『なんだ!』
その光景に雄二はある日、タロウから聞いた言葉を思い出した。
『ウルトラマンが地球上で活動できるのは三分間だ。しかしそれは悪魔で何もしない状態の事であり、光線技を使えばエネルギーは減る。一時明久もティガにウルトライブしてバカスカと光線を使った。ウルトラマンタイプにウルトライブするときはエネルギーの使いすぎに注意するんだ。』
(そうだ!アイツはさっきから光線技ばっかり使っていた!今なら反撃が出来る!)
「チュエッ」
ティガはティガビームを二発放ち一発はイーヴィルティガ、もう一発はダークメフィストを放つ。ダークメフィストはティガショットを喰らい体勢を崩した。そこにネクサスはつけこみダークメフィストの腹部を蹴る。ダークメフィストはネクサスから離れ、倒れる。ネクサスは身体を起こし三回バク転をし、ダークメフィストから距離を取る。
ネクサスにティガは歩み寄る。
『おい明久、そっちは行けるか?』
『雄二こそ!』
ネクサスは胸に左手をかざし振り下ろす。水の波打つ音を発しながらネクサスはアンファンスからジュネッスに変わる。
「シュワ!」
「ジュワァ!」
ネクサスとダークメフィストは互いに走り出し、ぶつかり合う。ダークメフィストはネクサスの胸ぐらを掴むとネクサスは腰を落としダークファウストの体制を崩す。ネクサスは体勢を崩したダークファウストの隙を狙い一気に起き上がると足を一歩前に出し両腕を地面に向けダークファウストを巻き込むように下ろした。ダークファウストが倒れるとネクサスはダークファウストの両足を掴みそのまま足を掴み背負い投げをする。
「ギュワッ!」
ネクサスはダークファウストに休む暇を与えず足を掴み連続して背負い投げをする。
ティガはイーヴィルティガにタイマーフラッシュを使い目くらましをするとイーヴィルティガにフェイスクラッシャーを叩き込むと顎を両手で掴むと上に放り投げ右アッパーをイーヴィルティガの腹部に叩き込む。
イーヴィルティガとダークファウストは二人に投げ飛ばされ、ぶつかる。
『夏川、大丈夫か?』
『大丈夫じゃねぇ!吉井の野郎、容赦なく俺を叩きつけまくりやがった!』
『おい先輩。』
『自省の句はもう読みましたか?』
『『っ!』』
『『喰らえ!』』
「デュエッ!」
ティガは両腕を前に伸ばしながら交差させ、ゆっくりと左右に広げL字に腕を組み、ゼペリオン光線を放つ。
「フッ!シュアッ!ハアァァァ・・・・・シュアッ!」
ネクサスは両腕に握り拳を作り下で交差、ゆっくりと肘を曲げながら上に上げ、一気に腕を伸ばしL字を組みオーバークロスレイシュトロームを放つ。
「ジュエッ!」
イーヴィルティガは両腕を横に伸ばしゆっくりと前で交差させL字を組み、イーヴィルショットを放つ。
「フアッ!」
ダークメフィストはアームドメフィストを組み合わせ十字を作りダークレイシュトロームを放つ。二組の光線がぶつかり合う。
「チェエエエエエエエ!」
「シュアアアアアアア!」
「「ジュアアアアアアア!」」
ティガとネクサスの光線が徐々に押し、勝てるかと思った瞬間であった。
ピコン、ピコン、ピコン、ピコン・・・
『なにっ!』
『こんなときに!』
ネクサスとティガのカラータイマーが点滅し始めた。
『やるぞ夏川!』
『おうよ常村!』
イーヴィルティガとダークメフィストは威力を強めティガとネクサスを圧倒してゆく。
『くっそぉ・・・・・・!』
『まだ負けられない!』
イーヴィルティガとダークメフィストが勝てると過信したと時、突如イーヴィルティガ身体が薄くなってき始め、光線も弱くなってきた。弾幕が弱くなってきたところをティガのゼペリオン光線が直撃しイーヴィルティガは爆発した。常村はライブアウトした後で弾き飛ばされたかのように吹っ飛ばされた。
しかしそれと同時にティガの身体が徐々に消え始めた。
『明久!光線を撃つのを止めろ!美味しいところはお前に譲ってやる!』
雄二の言葉に明久は光線を止めると雄二は自身が盾となり明久を庇う。イーヴィルティガの光線がティガに直撃し、ネクサスの前で爆発した。雄二は爆風に飛ばされ床を滑る。
『ははは!常村がやられたのは痛いがこれで俺たちの勝ちだ!』
夏川が慢心したのも束の間、煙の中から音が聞こえてきた。
〈ウルトラーイブ!ウルトラマンギンガ!〉
煙が突如、突風により晴れウルトラマンギンガが姿を表した。
『さーて、こっからは第二ラウンドと行こうか!』
「ショウラッ!」
ギンガはイーヴィルティガに接近し低い姿勢から右エルボ、胸と顎に一発ずつ右裏拳を入れ、反転左エルボをイーヴィルティガの顔に叩き込む。イーヴィルティガが後ろに引くとギンガは跳び、右キックをイーヴィルティガに喰らわせる。
『クッソ・・・・・舐めんな!』
イーヴィルティガは猫騙しをするとギンガの頭を逆立ちで掴み、浮遊した状態で天井にギンガを叩きつける。ギンガは天井から床に仰向けに落ちる。イーヴィルティガはギンガに跨りギンガを殴ろうとするがギンガはイーヴィルティガの拳を掴み、イーヴィルティガを投げる。
「ジュエッ!」
ギンガは身体の水晶体を桃色に輝かせ両腕をイーヴィルティガに向け突き出す。
〈ギンガサンシャイン!〉
イーヴィルティガはギンガサンシャインを正面から喰らい、爆発した。
これによって二年生が勝利した。
戦後対談の後、夏川と常村は西村先生の特別補習一週間、及び町内清掃活動一週間を言い渡された。
そして戦後対談後の文月学園屋上、姫路は一人そこにいた。そんな姫路に声を掛けようと明久が近づいてきた。
「姫路さん。」
「っ!明久君。」
姫路は先程まで流していた涙を拭い明久の方を向く。
「大丈夫?」
「はい。心配をお掛けしてすみません。」
「ううん、そんなこと無いよ。それよりさっきはありがとう。」
「いえ、私は何も・・・・」
「僕らのためにあんなに怒ってくれた。それだけで嬉しいんだよ。」
「じゃあ・・・・その・・・・わがままを言わせてもらってもいいですか?」
「なに?」
「その・・・・・・美波ちゃんみたいに名前で呼んでもらっても構いませんか?」
「・・・・・・・・・名前で?」
明久は意外な事を頼み込む姫路に驚いた。
「はい。ダメ・・・・・ですか?」
「い、いや大丈夫だよ。えっと・・・・・ひ、瑞希ちゃんでいいかな?」
「はい!」