「もうすぐあの映像が映るな。」
「女子の皆は目を瞑って耳を押さえるんだ!」
明久の言葉に女子一同従う。
ムッツリーニと工藤が夏川のいる場所まで来た途端夏川が証明に照らされた。しかし夏川の目の前には女装した自身の姿があった。夏川は思わず吐いてしまった。
「テメェ!なんてモノ見せやがる!思わず吐いちまったじゃねぇか!」
「・・・・吐いたのは恥ではない。それは人として当然のことだ。」
「くそっ!想像を絶する気持ち悪さに自分でも驚くぜ。どうりで着付けをやった奴たちがかたくなに鏡を見せてくれないわけだ・・・・」
ショックを受けている夏川を工藤がデジカメで撮る。
「ムッツリーニ君、この先輩面白いね。来世でなら知り合いになってあげてもいいかなって思っちゃうよ。」
「ちょっと待てお前!俺の現在全否定じゃねぇか!?ていうか生まれ変わりも知り合い止まりかよ!」
「あ、ごめんなさい。あまり悪気はなかったんですゲロ先輩。」
工藤は平然と痛烈な事を言う。
「純粋な悪意しか見られねぇよ!てか何撮ってんだ!」
「・・・・海外のホモサイトにupする。」
「じょ、冗談じゃねぇ!覚えてろぉお!」
夏川は全力ダッシュでその場を去る。心なしか三年生の方から悲鳴が聞こえてきた。
「・・・・普段の愛子はあんな事言わない。」
「結構二人ともいいコンビだね。」
「ええ、夫婦ですね。」
「友也、野球じゃないから。」
「一条寺は表現が凄いと言うかなんと言うか・・・・」
雄二はどう突っ込んだらいいか分らなくなっていた。
そうこうしているうちに二人は代にチェックポインとの二年Cクラスにたどり着いた。
『試獣召喚!』
「保健体育
二年Fクラス 土屋康太 VS 三年生 女子
423点 255点
二年Aクラス 工藤愛子 三年生 女子
397点 230点 」
ムッツリーニと工藤の召喚獣が三年生の召喚獣を圧倒した。工藤の召喚獣はのっぺらぼう。工藤の召喚獣が戦闘の際に全裸になり敵を撃退、戦闘が終わると高速で服を着た。その際にムッツリーニの召喚獣は狼男に変態、召喚獣を倒し元に戻った。
工藤の召喚獣を見たムッツリーニは出血、止血、輸血を行った。
「・・・・次に進もう。」
「そうだね。」
ムッツリーニと工藤は次の第三チェックポイント三年Bクラスに向かう。
「ねえムッツリーニ君、あの妖怪が何か分かる?」
「・・・・ふたくち女。」
「じゃああっちは?」
「・・・・がしゃどくろ。」
はたから見ればデートのように見えなくも無い。
「なんだかデートみたいです。」
「そうね。でもお化けは恐い・・・・」
映像を見ている姫路と美波は羨ましそうな目をする反面お化けに恐怖していた。
そんな時であった。ムッツリーニが廊下の先を見て目を大きく開ける。
「あれ?ムッツリーニ君どうしたの?そんな目を―――――ああ、成程。」
愛子はムッツリーニの視線の先を見て理解した。ムッツリーニの視線の先には着物を胸が見えそうで見えない状態で内股に座っている小暮先輩の姿があった。
「・・・・まだ大丈夫。」
ムッツリーニはそう言うが鼻血がぽたぽたと落ちていた。
「あら、以外にがんばりますのね。ですが私、茶道部且つ―――」
「なんですか?まだなにか?」
愛子がドズの効いた言葉を言う。その言葉に一部男子は恐怖する。
「――――新体操部にも所属しておりますの。」
着物から一気に露出の多い新体操の服に替えた小暮の姿を見てムッツリーニは鼻血を大放出する。声ではないが別の面で退場となった。
「こうなったら俺たちが行く!」
「そうだ!ムッツリーニの弔い合戦だ!」
「ちょっと待てお前ら!」
雄二の言葉も聞かずにFクラスの男子は小暮の下に向かう。
「「「「「「うぉおおおおおおおおおおー!新体操――――っ!!」」」」」」
そしてリタイヤ。雄二も友也も明久も頭が痛くなった。
「明久君、ギンガクロスシュートを。」
「いやいや、ここは友也のジャンナックルで。」
「お前ら、何気に恐い事を言うな・・・・・・・わからんでも無いが。」
今回ばかりは雄二も同情した。
「よーし、こうなったら大丈夫そうな木下姉弟ペアだ。」
「わかったのじゃ。」
「任せて坂本君。」
秀吉と優子は小暮先輩の方へ向かった。特に問題ない二人は小暮のお色気作戦に対抗出来る。
「あらあら、演劇部のホープの木下秀吉さんに優等生の木下優子さんではないですか。この方々の相手は彼方に任せます。」
そう言って小暮は下がる。入れ替わりに常村が来た。
「秀吉・・・・・・俺、お前に言いたい事があるんだ。」
「こ、今度はどんな手が来るのじゃ・・・・」
「落ち着きなさい秀吉。どうせろくでもない手よ。」
「秀吉、俺、お前のことが好きだ。」
「嫌じゃ~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!」
これによりアウトになったが更にポエムが続きそれを聞いていた生徒は嘔吐をした。これは余談ではあるが精神科の患者が増えたとか増えなかったとか。
「秀吉、辛かったらガルムにでも相談しなよ。」
「ありがとうなのじゃ明久。アレは辛かったのじゃ。」
「でもガルムが気を使ってくれたおかげでポエム聞かなくてよかったね。」
「うむ、そうじゃな。」
秀吉がポエムを聞かされそうになったときガルムが秀吉に当て身をし、優子に即時撤退を要求した。優子はポエムを聞きながら逃げる羽目になったが明久に頭を撫でられ機嫌を取り直した。
「ここまでかなりの生徒がやられたな。」
雄二は改まって状況を整理すると残る戦力はわずかとなっていた。
残りは七人。明久、雄二、久保、姫路、美波、翔子、美春。人数を考えても一人余ってしまう。
「とりあえず姫路は最後のチェックポインのために残すとして・・・・・」
「雄二は霧島さんと決定だね。」
「待て明久!俺は久保とでもぉおおおお~!フェイスクロー!」
「・・・・雄二は私と一緒に回る。」
霧島は雄二にフェイスクローを喰らわせる。
「霧島さん、やりすぎると霧島さんの手が翌日痛くなるから。」
「・・・・うっかりしてた。」
「明久・・・・助かった。」
雄二は解放され息を荒くしている。
「とりあえず残ったのは僕と久保君と美波と清水さん。・・・・・・・・僕は美波とかな。」
明久は冷静に分析した。久保と組んでも構わないがそうなると美波が清水の餌食になる。かと言って明久が見張るとなると確実に半殺しである。となると最善の選択はただ一つ、美波だけである。
「いいの、ウチで?」
「うん。それに美波以外考えなかったから。」
「そ、そう/////」
美波は顔を紅くするが明久は首を傾げた。それを見ていた二年生はつくづく明久が鈍感だと思った。
「じゃあ久保君は清水さんと。」
「わかったよ。それよりどうする?二手に分かれるかい?」
「いいや、今回は一緒に行っておこう。最悪どちらかが先に辿り着いてチェックポイントの先輩と戦って負けたとしてもすぐに生き残った方が戦えば成功する確率が上がるから。」
「それもそうだね。では一緒に行くとしよう。」
「うん。」