夏休みの2-F。四月に行われた試召戦争によって夏休みであろうと補習が行われていた。
「えー、ここはこの公式を応用してだな・・・・・」
西村先生が教卓に立ち2-Fの生徒に補習を行っている中、補習から逃走しようと雄二たちは計画していた。
(暑い~。こうなったら逃走するぞお前ら!)
(((((((応!))))))
「むっ!どうやらこの中に逃亡を図ろうとしている奴らがいるようだな。」
(アンタはエスパーか何かか!)
逃亡を図ろうとした者全員が思った。
「姫路、清水、木下は耳を塞げ!」
三人は西村先生の言葉に従い耳を塞いだ。
「聞け!貴様ら!これは私が学生の頃のレスリングの世界大会決勝戦での事だった。俺はそこまで順調に勝っていて天狗になっていた。だがしかし!相手はジョン・アレストンと言うアメリカ代表選手。身長195cm、体重102kgの筋肉質の身体を持つ男。髪型はスキンヘッドの奴だった。俺は合図と同時に力で勝負をした。だが俺は甘かった!俺の脚ほどある腕奴の腕は俺を赤子の手を捻るかのようにあしらった。しかし俺は抗った。互いに域を荒くしながら戦い――――」
西村先生が体験談を話していると次々と生徒が悲鳴を上げ、中には気絶する者がいた。2-Fの生徒は学力面では残念だが想像面では天才だ。妄想やエロイものならお手の物。そこを西村先生は漬け込んだがこの中に特に被害に合わない生徒が二人いた。明久と友也である。
「――――そして・・・・むっ!もうこんな時間か。それでは10分間の休憩に入る。間違っての逃走謎は駆らないように。」
西村先生はそう言うと教室を後にした。
「ちょっとアキ、坂本たちに何があったのよ。」
「とりあえず三人は聞いても何の特にもならないと思うから言わないけど、本人たちにとって拷問のような話を聞かされたんだよ。」
教室の状況を理解出来ない美波は明久に尋ねてくるが明久は上手くごまかした。
「しかし一番ダメージを喰らっているのは土屋君のようですよ。」
友也が見る方向には卓袱台に身を預け、うつ伏せに倒れているムッツリーニの姿があった。想像力がこの学園一長けているムッツリーニには処刑のような物であった。
「しっかしこうも暑いと涼しくなりたくなるよね~。」
明久の言葉に秀吉と姫路も納得する。
「そうじゃのう。日本では風鈴の音色を聞くと涼しいイメージを連想だけ気持ちだけでも涼しくなるのう。」
「せめて扇風機は欲しいですよね。」
「たしか一台買ったんじゃなかったんかな?学園祭のときに。」
明久は学園祭での収入で買った扇風機を思い出す。
「・・・・あれはFFF段の連中が制服着用時での奪い合いの際に壊れたと土屋から聞いた。」
バレルが明久に説明する。その瞬間明久は頭が痛くなった。
「・・・・・・・何でクールビズしないんだろう。そもそもカーテンを閉めている時点でこの時期は自殺行為と思うのは気のせいかな?」
明久の言葉に一同首を横に振る。そんなとき友也がある事を思い出した。
「そういえば今回期末のテストで召喚獣の装備が変わる話がありましたが皆さんは自分の召喚獣がどのように変わったか分りますか?」
友也の言葉に一同首を横に振る。そこへ西村先生が戻ってきた。
「よし、全員揃っているな。では補習を再会する。」
「西村教論。」
秀吉が手を上げて西村先生に話し掛ける。
「なんだ木下?」
「試召フィールドを展開して欲しいのじゃ。わしらの創刊中がどのように変わったのか見たくてのう。」
「あ~木下。別に今じゃなくてもいいのではないか?」
歯切れが悪い返事をする西村先生。それに感づいた雄二はゆすりを掛ける。
「いいじゃねぇか西村先生。ちょとくらい。それとなんか問題でもあるのか?」
「ないわけでは無いぞ。それよりさっさと補習を・・・」
「甘い!」
雄二は腕を発動させる。
「アウェイクン!」
雄二の腕輪から試召フィールドが展開された。
「よっしゃ!試獣召喚!」
雄二は召喚獣を召喚する。が、出てきた召喚獣は人間サイズの上半身裸の雄二であった。
「なんだりゃ!」
「これは坂本君の性格を現しているのでしょうか?」
友也がズバッといく。
「飴でも食べるかな?」
そう言って明久は召喚獣の雄二に飴玉を差し出す。その瞬間雄二の召喚獣が変化を起こし、狼男に変態した。
「・・・・・・・西村先生。」
「吉井、言いたいことは分かる。実は学園の召喚獣システムがこんな風に設定されたんだ。」
「・・・・・・そういや今七月でしたっけ。」
明久は西村先生の言葉に相槌を打った。
「おいおい、それは無いだろ。どうせババア長が設定をミスしたんだろ。ちょっくら俺は行ってくる。」
「待て坂本!そう言って補習から逃れようとするのは分っているぞ!」
「ちぃっ!捕まってたまるか!」
そう言って雄二は教室から抜け出し、雄二を追って西村先生も走り出した。
「・・・・・・廊下は走らないのが大抵の学校の校則では?」
「友也、ツッコム所が違うよ。」
友也に明久がツッコム。
「おい、俺たちの召喚獣もどんなんか気になるからやってみようぜ!」
「だな。」
『試獣召喚!』
Fクラスの生徒12人が召喚獣を召喚したが全てゾンビであった。
『いやぁ~~~~~~~~~~~!』
姫路と美波の悲鳴で男子12人は畳に手を付ける。
「・・・・精神が腐っているからか。」
「じゃな。」
ムツリーニと秀吉が容赦なく言う。
「明久君も出してみてはどうですか?」
「うん・・・・・あまり期待はしないけど・・・・・試獣召喚。」
明久は召喚獣を召喚するが召喚獣は現れない。
「・・・・・・・・・あれ?」
そんな時明久はギンガスパークからの波動を感じ取りギンガスパークを手に取る。
「もしかして・・・・・」
明久は鞄の中からスパークドールを一体取り出す。
〈ウルトライブ!レッドキング!〉
「あ、明久よ!ここでそれは・・・・!」
秀吉は明久がここでウルトライブしようとしたことに驚くが更に驚くべき事が起こった。
「人間サイズにウルトライブ出来た・・・・・」
明久は清涼祭での試獣フィージョンを思い出した。
「明久のが観察処分用のシステムだからかのう?」
「そうでしょうね。もしくはギンガスパークの影響かですけど。」
秀吉の言葉に友也が冷静な分析をする。明久も驚いている。
「こんな感じにライブするのは久しぶりだね。」
「そうですね。では私も試獣召喚!」
姫路は召喚獣を召喚するがその姿は胸が大胆に見せられるサキュバスであった。ムッツリーニは鼻血を吹く、姫路はフィールド外まで出る。
「サキュバスは色仕掛けが得意な悪魔ですから誰かに対して好意を見せるためにはあんな方法しかないと考えているのでしょう。」
友也が分析をする。
「じゃあウチも試獣召喚!」
美波は召喚獣を召喚するがぬり壁であった。その瞬間Fクラス全体が静まり返った。
「・・・・・・・・・ねぇ、これってどういう意味なのかな?」
美波が誰かに対して尋ねている。それに明久が答える。
「えっと・・・・・・・多分精神が鉄壁のように硬いのと相手を取り込むのかも。ほら、ぬり壁って相手を取り込む妖怪だし。」
「そっか・・・・・相手を取り込むか///」
美波が顔を紅くしていることに明久は疑問を持つ。
「・・・・鈍感は罪だな。」
ムッツリーニの言葉に一同頷いた。
「それでは僕たちも召喚獣を召喚しましょう。」
「そうじゃな。」
「・・・・・ああ。」
『試獣召喚!』
友也、秀吉、ムッツリーニが召喚獣を召喚するが友也の召喚獣だけは出ない。秀吉は猫又、ムッツリーニはドラキュラであった。
「どうやら僕も明久君と同じようですね。」
「じゃあ試しにジャンナインを出してみたら。」
「そうですね。」
明久の言葉に従い友也はガンパッドをと出すとジャンナインを起動させる。
「OK. Come on! Jean nine!」
電子音と共にジャンスターが人間サイズに巨大化する。
「Jean Fight!」
ジャンスターがジャンナインに変形する。
『お~~~!』
その光景に感心するFクラス生徒。それと同時に雄二が戻ってきた。
「おーす、お前ら戻ってきたぞー。」
「あ、坂本君西村先生に捕まらなかったんですね。」
「とっくに廃人になっているかと思ってたよ。」
明久と友也が心にも無い事を言う。
「おいお前ら!酷い事を言っていないか」!
「事実じゃないか。それよりどうだったの?」
「お前らなぁ・・・・・・・・まあいい。ババァ長がこのシステムはこういう風にしているって事を口にしたから黙っている交換条件として肝試しをする事になった。」
「上手い事考えたね、雄二。」
「まあな。」
「でもその後に来る未来は予想出来なかったようだね。後ろが特に。」
「は?」
雄二は後ろを振り向くとそこには鬼神の如く仁王立ちをしている西村先生の姿があった。
「て、鉄人!」
「「西村先生と呼ばんか馬鹿者!坂本、お前にはよーくよ~~~~~~~~~っく!補習をしてやる!」
「ぐっ!しま・・・・・!」
雄二は逃げようとするが西村先生に首を捕まれそのまま補習室に連れて行かれた。
「ハンターに殺された鳥みたいですね。」
友也の言葉に一同頷いた。